青い空の下、たくさんの花に囲まれた庭で
真っ白なシーツを干す女性の黒髪が風にゆれている。
身を起こした自分に気づいて、振り向いたのは幼い頃からずっと一緒の彼女だ。
おきたの?
うん、いまおきた。
手伝うよ。と庭に降りて君のとなりまで歩く。
ありがとう。
どんなに小さなことにでもちゃんとお礼を言うところは大人になってもかわらないんだな。
なんてちょっと感動していると、
大きめのシャツを手にした彼女の左手に指輪。
けっこん・・・したの?だれと?
だれとって・・・わたしたち3ヶ月前にしたばかりでしょ。
見ると自分の指にも彼女とおそろいの指輪がはまっている。
そうか
そうよ。
やわらかく風になびくシーツと花の香りに包まれながら、
まだねぼけてるの?と微笑む彼女の頬にふれる。
君は少し照れながらも、目を閉じる。
だいすきだよ。と愛しい妻に顔を近づける。
ちかづけ・・・る・・・
ちか・・・づけ・・・───
「あ、起きた。よだれ垂れてるわよ。」
どうやら縁側で本を読んでいて眠ってしまったらしい、日はまだだいぶ高い。
「なんかうなされてたけど、悪夢?」
隣で洗濯物を畳みながら彼女が言う。
「いや・・・ちっちゃい頃からの夢が叶う・・・みたいな・・・」
「良かったわね。どんな夢だったの?」
「・・・ひみつ。」
幸せだったけどだいぶ惜しかった。
いや、でも、もしかして。
伸びのついでに彼女の膝に頭をのせて、聞いてみる。
「環、ちゅーしていい?」
彼女は呆れた様子でため息をつく、
「もう、何言ってるの。
午後から映画観にいこうって言ったのは誰でしたっけ?
寝ぼけてないで出かける前にお風呂洗ってきて。」
ダメか。・・・ダメかぁ。
お気に入りの歌を口ずさむ彼女の声を聞きながら廊下を歩く。
眠気覚ましに顔を洗いながら、少し泣いた。