(そんな…うそっ)  
久我鎮子はスカートの中の異様な感触にとまどっていた。  
ふとももとふとももの間に、生温かいなにかが感じられる。  
朝のHRの時間。  
鎮子は誰にも気付かれないようにきょろきょろと左右をうかがって  
そっとスカートの上から股間を右手でさぐった。  
 
「きゃっ」  
「どうしましたか、久我さん」  
担任がとがめる。  
「な、なんでもないです…」  
       ・ ・  
(感覚が…ある…っ!)  
鎮子の顔が真っ赤になったのは、担任に名指して叱られたからではなかった。  
とんでもないものをしょいこまされたとまどい。  
だがそんな思いはすぐに掻き消された。  
(な、なんなの、あ、熱い、熱さがひろがっていく…!)  
いつのまにか鎮子の股間に存在していた「それ」は  
先ほど触った手の感触に反応したのだろうか  
鎮子の意思とはかかわりなく、きゅうにむくむくと体積を増大させはじめた。  
(ど、どうなっちゃうの、これ)  
鎮子のいままでの人生では体験のない体感だ。  
強いてあげれば、汚いけれど、何日もたまっていたお通じがまとまって出ているときのような  
熱いものが増大していく感触。お通じは自分の意志でふんばって出すが、股間の「それ」は  
鎮子のコントロール外なのだ。  
 
鎮子は高校生だ。性経験はまだないが、オナニーには親しみがある年頃だった。  
乳首やクリトリスが張り、勃つ実感にはなじみがあった。  
しかし、肉体の一部の、暴力的な体積の急変は、全く未知の経験だ。  
びくんっ!  
「それ」が勢い良くそりかえる。鎮子はまた声をあげそうになった。  
むくっ。ぐぐぐっ。  
動かそうという意思などこれっぽっちもなく、むしろ動かすまいという意思さえあるのに  
鎮子の思いにはんして「それ」は幾度も幾度もしゃっくりのように力強いそり返りを起こす。  
 
女の子のショーツのわずかの幅のクロッチが、「それ」によってテントのように持ち上げられる。  
(いやだ…スース―する)  
「それ」がショーツを持ち上げたせいだ。本来ショーツにくるまれているはずの下半身に直接涼しい外気があたる。  
(そ、それに、なんとかしないと)  
「それ」の勃起は勝手に繰り返される。ピーンと張り詰めたまま、時々力が衰えたかと思えばまた盛り返すのだ。  
そんなに暴れられては、その上に張りわたされた形のクロッチが「それ」の右か左にすべってしまう。  
言いかえれば、ショーツからこんにちはしてしまうのだ。  
女の子の鎮子には全く縁のない言葉だが、俗にいう「横チン」のことだ。  
スカートが全てを隠してくれているから、即とんでもない大痴態ということにはならないが、  
こんなとんでもない不慣れな事態では、厄介事は少ない方がいい。  
 
(これって、朝勃ちなの!?)  
以前読んだHの知識の本に、男の子の勃起は性欲の刺激がなくても勃起する  
朝勃ちというものもある、と書いてあったのを思い出す。  
男の子の性にはかなり興味を持った鎮子だったが、  
そんな勃起の種類の違いなんてことはどうでもよかった。  
その違いを思い知る日がくるなんて思いもよらないことだった。  
ただ、今はひたすら、命令を無視して暴れまわる「それ」がおとなしくなることだけを願う鎮子であった。  
 
(ふぅー、ふぅーーー)  
鎮子は、なるべくリラックスすれば、力がゆるみかけた「それ」に  
ぶり返しの勃起が起きにくいことを発見した。とは言ってもしゃっくりと同じで  
安静にしていれば万事PKとはいかない。油断をしているとすぐググっと力強く持ちあがる。  
とにかく、HR終了の起立の時までにはなんとかしないと、  
下手をすると起立したときにスカートの前の一部だけがテントを張っている状態になりかねない。  
それだけは絶対に避けなければ。  
 
「きりーつ!」  
HRが終わった。後半は担任の話など耳には入らず、ひたすら「それ」を荒立てないように心を砕いていた鎮子。  
どうにかまとまった時間を小康状態でいられる実感があり、九死に一生の思いで席を立つ。  
「ちょっと待ちなさい。久我さん、あなた先生の話をきいてましたか?」  
声をあげて目立ってしまったので、担任の視線は鎮子にあつまりがちだったのだ。  
うわのそらの鎮子の様子はばっちり担任に見られていた。  
「ちょっと前に来なさい!」  
(ちょっと、それってシャレになんない……!)  
立つだけでもまずいのに、歩きなどした日には「それ」がどれほど調子付いて  
運動部の筋トレの腹筋背筋よろしく勢い良く起きあがることか。  
 
「久我さん、聞こえませんでしたか?」  
クラスの視線が鎮子にあつまる。  
(か、かみさま、お願い…)  
鎮子は思いきって足を踏み出した。  
動きのないリラックスを保ってたおかげで小康状態を保っていた「それ」に  
むくむくと力が注ぎ込まれる実感。  
「…っ!」  
とっさにしゃがみこむ。とりあえずしゃがめば、屹立した「それ」を  
スカート内の空間が隠してくれる。  
もろん。  
(だ、だめぇっ!)  
急にしゃがみこむという大きな動きは、別の窮地をもらたす。  
とうとうショーツの右に「それ」がもれ出てしまったのだ。  
 
急にしゃがみこんだまま止まった鎮子に、教室内にしだいにざわめきが広がる。  
「久我さん、気分が悪いんですか」  
きびしい担任の声。  
ぼそぼそとかわされるささやきでは、鎮子が今トイレを我慢していて  
もれそうになっていると見られているらしい。改めて訊ねた担任の空気の読めなさを  
非難する声、鎮子に同情する声などがそれとなく耳に入ってくる。  
(とにかくこの場をなんとかしなきゃ)  
鎮子は打開策を考えた。まずは心をおちつける。そう、おちつかないと。  
リラックスしないと「それ」が制御しにくい。  
 
熱い塊が鎮子の右のももにぴったりとよりそっている。  
(まだまだこんなの平気よ。幼稚園のときに比べたら……)  
鎮子がこれまでにくぐってきた修羅場の中でも、大変なものの1つだ。  
幼稚園のとき大きい方をもらしてしまった鎮子。  
数日分のそれがもりもりもこもことあふれ出て、ちっちゃいパンツの後ろにおさまりきらず  
ボトボトと熱い塊が床に落ちて行く絶望感。  
その時に比べれば、今の「それ」は鎮子の股間にがっしりと根差していて  
いくらショーツからはみでようとも、幼稚園のときのように床に落っこちて恥態をさらすことはない。  
 
鎮子は右手を控えめにスカートに当てつつ立ちあがった。  
「それ」の位置を調整し、スカートから飛び出すのをふせぐためだ。  
みんなは鎮子がトイレを我慢していると思っているようだが  
そう思われたくなくて、股の奥の方にはあえて手を当てず  
「それ」の先っちょの方をそっと押さえる。  
 
(こうすれば…)  
立ちあがりながら左足を前に出す。  
左足が前、右足が後ろ。右足に沿って「それ」。  
「それ」が前に飛び出さないよう、さりげなく押さえる右手。  
その状態で鎮子は左右の脚をぴったり合わせた。  
「それ」を押さえつける役を、右手から左脚に交替したことになる。  
言いかえれば、「それ」を左右の脚ではさみこんだ形である。  
(やった、うまくいったわ!)  
これで手を使わず、外から見えないスカートの中だけで「それ」を押さえ込むことに成功した。  
あとは歩くだけだ。  
大股で歩くと、せっかくはさみこんだ「それ」が逃げてしまう。  
鎮子は膝から下だけ動かす不自然な歩みで教壇のそばまで言った。  
 
(はああっ!)  
(はううっ!)  
数歩ごとに立ち止まり天井をあおぐ鎮子。  
両脚ではさみこんだ「それ」は、歩くごとに背すじをかけ上がるおそろしい快感をもたらした。  
鎮子の女性的曲線美とやわらかさをあわせもった2つのふとももが  
左右から「それ」をやわらかく揉み込むのだ。  
「あ…ああああっ」  
とうとう声を殺しきれず、鎮子は声をあげてしまった。  
つけ根のあたりがじーんとしびれ、奥の方から熱いものがこみあげ、高まり、駆け抜ける予兆。  
(あ、あたし、おもらし……!?)  
おしっこのおもらしを変速自転車の「軽」だとすると  
このおもらしは「速」の手ごたえ。  
軽くなく、快感ががっしりと体にからみあって、おしっこおもらしよりはるかな高みへと鎮子をさらっていく解放感。  
どく、どく、どくどくっ  
波打つように熱いなにかが出ていく……。  
 
……………  
(はっ、なんかもらしちゃった…どうしようどうしよう…)  
我にかえると、床に膝をついてしゃがみこんだ鎮子のまわりを親しい女子が囲んでいた。  
鎮子を助け、おもらしの後片付けをしようと集まってくれたのだ。  
担任は1時間目までになんとかしなさいと言い残して去り、  
女子の学級委員がむこうの方で男子を教室から出す指示をしているようだ。  
おちついて感覚がもどってみると、おもらししたにしてはスカートの中に違和感がない。  
足も、スカートも、熱く濡れている感触がない。  
床にも水たまりなんて出来てない。  
(あれ?あたしおもらししちゃったんじゃなかった?)  
冷静になってくるにつれて、自分のようすがだんだんつかめてくる。  
そして気がついた。  
鎮子をあれほど悩ませていた「それ」がいつのまにかなくなっている。  
鎮子は、友達がまわりに密集してきているのもおかまいなしに  
スカートの中に手を入れ、さらにショーツをずらして中をさわってみた。  
今朝までの、なじみのある凹凸がそこにあった。  
おしっこで濡れた跡もない。ただ、この性的な刺激を感じてきたせいか  
割れ目は少しぬるりと潤っていたのは確かだった。  
 
(出ちゃったと思ったのに。あれが精子なの??)  
鎮子が小学校の時に性教育で習った精子の知識は、牛乳みたいな白い液体だった。  
その中に顕微鏡でしか見えないくらいのおたまじゃくしがたくさん泳いでいる。  
習ってからしばらく、牛乳が飲めなかったがそれはさておき、  
あんなに熱いものだとは考えたこともなかった。  
「しず、大丈夫?」  
「トイレ行こ」  
親友が鎮子を誘ってくれる。どうやら鎮子がおもらししてないと分かって  
クラスのざわめきが落ちついて来た。  
(ほんとに、なんだったんだろう?)  
鎮子はトイレに向かいながら、そのことばかり考えていた。  
ショーツの中は、今朝までのアソコと同じだろうか?  
 
「なんだよ、久我なんともなかったのかよ」  
廊下に出されかけた男子がぞろぞろと教室に戻る。  
一人、教室に戻らず、廊下の彼方をそれとなく見る男子生徒。  
視線の先は鎮子たちが向かった女子トイレのようだ。  
 
 
 
 
(第2のムスコを生やせる能力を手に入れて、セルフフェラとかいろいろ楽しみ尽くしたけど  
傷付ければ自分の血が出るし、痛みもばっちりくるし、  
快感だけでなく疲労もしっかりたまるのが困り物だったんだが…)  
 
(試しにと思って久我さんにやってみたけど、他人に生やすのもどうやらうまくいくみたいだな。  
快感や疲労は僕でなく久我さん本人にいくみたいだけど。  
一日に1ヶ所って制限がなければ他の子にも使うのにな…)  
 
(今回は射精前に消して危機一髪まわりにバレる証拠をのこさずにすんだ。  
今日は久我さんのアソコにしか生やせないんだよなー。さて、どうすりゃおもしろいかな)  
 
 
 

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