夜勤明けは妙な高揚感がある。  
明け方の寒さに若干気持ちが萎えながらも、スキップでもしそうな勢いだ。  
おっぱっぴーなんて言葉はこういう気分の時に思いつくんだろう。  
 
帰宅してドアを開ける。  
電気は点いてないが、窓から差し込む日差しでどこに何があるかはわかった。  
仕事仲間と飯も食った。風呂は後でいい。今は寝るだけだ。  
とにかく眠い。瞼がヘドロ化している。  
だが寝るべく寝室へ侵入すると、そこにはわざわざ俺の掛け布団に抱きついて眠る女がいた。  
えーいどけ。邪魔だ邪魔だ。  
「ん〜……」  
俺にゴロンゴロンされても一向に目覚めない。ただ仰向けになっただけだ。  
 
俺は仕方なく視姦をはじめる。  
寝ている女性のどこを見るか。寝顔?いいえ、胸です。  
寝顔は間違いなく可愛い。赤ん坊のようで、小さく開いた口なんてちゅっちゅしたい。  
でもそれ以上に気になるのが爆乳。  
あれは高校時代だっただろうか。女子の体育を眺めて、このパツンパツンになった胸を見て初めて  
でかいなあと実感したものだ。他にも大きい女子はいたが迫力までは感じなかった。  
そのでかい胸がパジャマに皺を作っている。というかボタンが思いっきり引っ張られてる。  
 
俺は嫁の前をはだけた。饅頭がこぼれ出る。  
お椀型の肉が胸に溶け込んでて、真ん中に花みたいな朱色の粒。紅白饅頭だ。  
見事な胸としか表現できない。さらに凄いのは、彼女は巨乳だがぽっちゃりではないという事だ。  
俺は巨乳の子は皆どこかしらふくよかなもんだと思ってた。  
でも彼女は違う。まず脚が細い。細くてすっと長くて、でも適度に曲線を持ってる。  
踏みつけられたい足だ。高校の頃からそう思って、毎日ずーっと見ていた。  
友人によくそれを咎められたりした。  
 
その頃、この女――紗江(さえ)は地元でも名高いレディースだったから。  
 
ダルンダルンという騒々しいエンジン音が紗江が来た合図だった。  
俺の学校に面した公園がレディースの溜まり場で、彼女もよくそこでメットを脱ぎ一服していた。  
胸元の開いたライダースーツは刺激的なんてもんじゃない。  
他の連中のように髪を染めることはせず、長い黒のストレートで、遠目にも艶があった。  
ちょうどアジエンスのCMみたいに。  
髪を大事にしているのは明白で、俺の「彼女は実は真面目」説の根拠でもあった。  
 
俺は彼女が来るたびに窓から凝視してた。  
「女眺めてる暇があったら勉強しろ!」  
他にも見ている奴はいたろうに、俺だけ教師に茶化されたりした。それだけ必死だったんだろう。  
紗江も俺の視線には気付いているらしく、たまーに俺に向けて挨拶らしき仕草をしてきた。  
鼻で笑ったり、手を小さく上げたり。  
 
彼女は毎日噂されていた。いっこ上らしいとか、昨日どこそこで喧嘩してたのを見たとか。  
わりと真面目な生徒が多かったから、そういう事が珍しかったのもあるんだろう。  
女子はどうだか知らないが、男子には結構ファンがいた。  
黒髪で巨乳で美脚、顔はしっかりしていそうなお姉さん系。そりゃ人気もでる。  
 
その地域での喧嘩はいくつかある公園と相場が決まってたから、喧嘩の噂を聞くたびに  
俺みたいな奴が群がってた。  
単に紗江の喧嘩が凄いってのもあるんだろう。  
女の喧嘩っていえば髪を掴んだりビンタしたりぐらいが殆どだが、紗江のは本当に格闘技だ。  
相手の腹へミドルキックをかましたり、時にはハイキックだってやった。あれは股を鍛えてないとできない。  
紗江は結局、一度も負けることはなかった。  
相手は素人だから、紗江が数発蹴りを入れたらただの女の子になる。  
 
紗江はその辺の思春期男子ほとんどの性欲の捌け口だった。もちろん脳内に限ってだ。  
ただ一人、俺だけは露骨に興奮を表していたけれども。  
 
昔を思い出しながら、俺は紗江の身体を揉む。  
今やただの専業主婦だが、やはり身体を動かさなければ落ち着かないらしく、週に何度かジムで鍛えているようだ。  
そんな紗江の身体はやっぱり凄い。  
腹筋は固く締まっていて無駄な肉がほとんど無く、足は寝ていても肉が余らない。  
こんな身体を見たら、いわゆるグラドルがどれほどゆるい体に見えることか。  
 
でも鍛えられていても柔らかい所は柔らかい。  
乳房はやっぱり脂肪の塊で、掌の中でいいように形を変えた。  
俺はそんな乳房を口に含み、干し葡萄のような先っぽを舌で転がす。  
ミルクもでないし、甘い声もしない。でも飽きずにしゃぶるうち、明らかに固さを増していくのが面白い。  
乳首を転がしながら右手を伸ばす。  
つーっと腹と臍を撫でていく。その瞬間、ぴくっと紗江の腰が反応した。  
ははぁん、こいつ起きてるな。  
ほぼ確信しながらパジャマのズボンを下ろしに掛かる。粉が掛かったような感触の薄いパンツをずらし、  
やっぱり薄めの若草を掻き分けてなかに指を沈ませる。  
中はよく濡れていた。ちょっと激しく指を抜けば迸りそうなほどに。  
 
ちらっと嫁をみると、先ほどより少し顎を浮かせて目を閉じている。  
寝たふりをしているつもりだろうか。  
ええい強情な奴め。俺はなけなしのサドっ気で乳首を吸いながら中を弄繰り回す。  
ここがええのんか。ここがええのんか。そんな事を考えながら。  
胸からかあそこからか、物凄く甘酸っぱいエロい匂いが漂ってきて勃起してしまう。  
眠気はもう全くない。  
汗を掻いて微妙に息苦しくなってきて、でもまだまだと責め立てる俺は実はSかもしれない。  
嫁も嫁で、たまに腿が動いたり足先を握ったりしてるのに気付かれないと思うんだろうか。  
 
俺は無抵抗をいいことにたっぷりかき回してやる。たぶんGスポットと言われる辺りを撫で回すように。  
あんまり痛くすると後で怖いのでソフトに押し込む感じ。  
そのまま何分がたったろうか。  
「んあああううっっ!!!」  
嫁が叫んだ。  
特に激しくもしていない。半ば作業のようになってた時に、いきなり。驚くのは俺だ。  
「おやお目覚めでふk…」  
俺の朝の挨拶は頬をつねられて遮られた。ここからはお待ちかね服従のターンだ。  
 
「い・つ・ま・で!やってんのよッ!!」  
紗江はさらにもう片方の頬までつねってくる。あっち向いてホイかよ。もっとやれ。  
「何だよー、イキそうになったからって怒んなよぉ」  
俺はニヤけながらかますと嫁の表情が固まる。  
この感覚がたまらない。地雷原にジャンプで飛び込むようなこの空気。  
「―――!!」  
眉間に皺を寄せてつねってくる嫁。怪力強力、腕相撲では両手でもたぶん勝ち目がない。  
いいい痛いですマジでちょっと怒らせすぎtかぁええ  
 
※  
 
ティッシュを取って下を拭う嫁を、後ろからじーっと見てやる。  
「見るな!」  
紗江はくるっとこっちを向いて丸めたティッシュを投げつける。いい肩だ。  
だが美女の愛液まみれの紙なぞ嫌がらせにもならない。思わず一部分にバットを拵えてしまった。  
「うう…ごめんよごめんよ」  
俺は怒ったらしい紗江に背後から抱きつく。  
「ああ、もう馬鹿重い!んで堅いモン擦り付けんな!!」  
紗江は俺を布団の上に投げ捨てて言った。やっぱり強い。そしていいツッコミだ。  
にやける俺に嫁は腰に手を当てて溜息をつく。  
 
「夜勤明けだよね、何か食べたの?」  
俺をじとっと見下ろしながら言う。ここからは嫁モードか。  
こういうやや真面目な時にキミを食べ損ねたとかふざけると叩かれるから難しい。  
俺は真面目ーに答える。  
「そ。じゃあもう寝たら」  
紗江は壁に寄りかかった。変に優しい笑みを浮かべている。  
「え、なにその笑」  
「寝・た・ら?」  
紗江は満面の笑みで俺を転ばす。筋肉さえあればこんなスレンダーに。くやしいっ  
 
哀れな俺は一瞬でパンティを取り去られ、八分勃起の逸物を空気に晒す。  
紗江がそこにのしかかって一気に皮を剥いた。  
「ふふ、きったなー」  
紗江は俺の先端に溜まった糸くずのような恥垢を指で摘む。えらく恥ずかしい。  
ひとしきり掃除が終わると、俺の敏感な粘膜は彼女の口に咥えこまれた。  
結構溜まってるから亀頭に舌が触れるだけでやばい。  
「ほらぁ、早く寝なよぉー」  
嫁は舌先と指で逸物を責めながらこっちを見上げる。その目つきが一番クる。  
何しろ彼女はずーっと俺の理想だったから。  
おまけに実態を知った今、もっとずっと理想になったからだ。  
 
「うあ、うああ」  
俺はそんな情けない声を断続的に上げる。  
唾液で全体をじゅるじゅるにして指でカリを擦られ、玉は結構な力で握り込まれる。  
耐えられるわけがない。  
腿が跳ねて足先を無意識に曲げてしまう。  
美人の嫁に逸物を食われる。そのイメージが俺のマゾッ気を焦がした。  
でも俺は知っているんだ。コレで逝かされることはない。  
唾液を垂らしまくっているのは、それを指に絡めて後ろの穴に差し込むためだ。  
「う!」  
指を差し込まれた瞬間、いつも叫んでしまう。そんなに太いわけではないのに女性の指は格別だ。  
「うわ、締め付けてくる。まだまだ初々しいねぇ」  
紗江はそんなことを呟きながら長い指を奥へ奥へと送り込んでくる。汚辱感がハンパじゃない。  
「あああ、あああああ!!」  
ナニを摘み上げられ、排泄の穴をくじりまわされて俺はのた打ち回る。  
 
どの快感も名状しがたい。でも一番快楽を押し上げるのは、そんな俺を心から愛しそうに見つめてくる嫁自身の瞳だ。  
 
冴えない俺が彼女を射止めた唯一の資質、それは俺が誰より彼女を好きだった事だ。  
レディースの取り巻きに詰め寄られても彼女を見に行く事をやめなかった。とにかく絡みに行った。  
彼女は、それがとても嬉しかった、と初夜の夜に泣いた。  
俺ほど甘えたがる男も少ないだろうが、彼女ほど甘えられたい女性もきっとそういない。  
そんなことをふと思った、三年目の夜だった。  
 
                       終  
 

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