…土生は一足先に湯船につかっていた。  
 
(どど、どうすりゃいいんだ?  
 そうだ、あいつが来る前にサッサと上がろう…)  
 
と思うのだが、体が動かない。  
土生の理性とは裏腹に、完全に理奈を待つために湯船にその身を置いていた。  
 
(い、いいじゃないか、誘ってきたのは向こうからなんだし…  
 だ、ダメだ、すぐに上がらないと…)  
「湯加減どう?」  
「どわああっ!」  
 
擦りガラス戸の向こうに理奈の色付きシルエット。  
もう理奈との混浴は避けられない。時すでに遅し。  
 
「何驚いてるのよ。一緒にお風呂入る事に決めていたじゃない。」  
「いや、それはそうだがな、その…!!」  
 
ガラス越しの理奈の姿。  
ガラガラガラ、の音と共にその目にはっきりと映った。  
土生は見まいと思うのだが、視線をそらそうとするのでやっと。  
 
「何目をそらしてるの?そんな事しなくたって、堂々と見ていいんだから。」  
「…。」  
「はあーあ。えいっ!」  
 
土生の顔のまん前に胸を持ってくる。両手で両胸を寄せて上げている。  
性的魅力抜群。土生はちらりと見ては目線をそらし、ちらりと見てはそらし。  
理奈はその様子を楽しみつつ、  
 
「しょーがないなあ。とりあえずさ、いったん浴槽を出て。」  
「あ、ああ。」  
 
風呂場から出してくれる、と思い、ホッとしつつ浴槽を出る。  
もちろんこれは土生の勘違いに過ぎないのだが。  
 
「ちょっと待ってて。」  
「え?」  
 
理奈はすっくと立ち上がると、ボディソープを多めに手に流し込む。  
手の中いっぱいのボディソープを腹に、脚に、もちろん巨乳には一段と念入りに、大量に塗りこむ。  
塗りこむたびに、やわらかく大きな彼女の胸はたゆたう。  
 
…土生は理奈がやりたい事に気付いた。逃げようとしたが、一歩遅かった。  
 
「わわっ!」  
「つっかまえた♪こらっ、翔、逃げるな!」  
「しょ、ショウ!?」  
「翔平の翔。これからは、そう呼んでいい?  
 …土生くんじゃ、みんなと同じになっちゃう。2人の時だけ、でいいから。」  
「…わかったよ、好きにしな。  
 って!いいから離せ!」  
「嫌だ!  
 秘密基地のエロ雑誌に、巨乳で男の人の体を洗うシーンがあったもん!」  
 
体を上下に小刻みに揺らす。  
巨乳が土生の背中に擦りつけられる様に当たっている。ボディソープのおかげで効果も倍増。  
 
「あたしね、このおっぱいのせいで、今まで苦しい思いをしてきた。  
 だからこそ、あたしは、このおっぱいを好きになりたいの!  
 そのために、あたしはこのおっぱいで、翔を気持ちよくさせてあげたいの!」  
 
好きな人とのエッチ。それが、自分の巨乳が役立つとき。  
胸が大きい事を、長所だと思いたかった。だから、巨乳だからこそ出来そうな事を、土生に施した。  
 
「う…あ…」  
「今度は前かな?逃がしはしないよー?」  
「り、理奈…」  
「ん?」  
 
流石の土生も、性欲には勝てなかった。  
自分に正直になれ、理奈が行ってた言葉を、心の中で自分への言い訳にした。  
 
「ぜ、全身を、頼む…  
 そ、その…おっぱいで、俺の体を全部洗ってくれ…」  
「うんっ!」  
 
土生をイスに座らせる。まずはもう一度背中を念入りに洗う。  
柔らかい胸と、コリコリと固さを主張する乳首とのコントラストが絶妙だった。  
 
「どう?」  
「…理奈の胸、大きい…」  
「ありがと。」  
 
お次は正面。真下に理奈の胸が見える。  
改めてその大きさを再確認し、率直に感想を述べた。  
 
「…脚、開いて。」  
「え、…いや、その流石に、パイズ…」  
「太ももとか、ふくらはぎとか洗わないと。」  
「え?あ、ああ、そうだな、ははは!」  
「…翔、エッチな事考えてた。嬉しいな。」  
 
顔を真っ赤にして下を向き、おずおずと脚を開く。  
理奈の巨乳が太もも、ふくらはぎを包み、手で陰茎を扱く様の如く巨乳を上下させ洗っていく。  
ふくらはぎはもちろん、理奈の巨乳は太もも周りすら1周していた。  
 
「よし、とりあえず全身完了!」  
(ふう、流石にパイズ…)  
「一部を除いて。」  
「リもやんのかあっ!」  
「…嫌?」  
 
不安そうな顔をする。  
流石にその顔を見せられ、断るわけにはいかなかった。  
 
「…頼む。もうこうなったらやれるだけやってくれ。」  
「うんっ!」  
 
最高の快感だった。  
上下するたびに、快楽が襲う。  
 
「り、理奈…」  
「これもあのエロ雑誌に載ってたやつ。きもちいい?」  
「ああ…だ、出しても、いいのか?」  
「ダメ。」  
 
え?  
いや、普通出してもいいって言わないのか?ていうか、このままだといずれ出ちゃうんですけど!  
 
「うふふ。嘘だよ。一杯出してね。」  
「あ、ああ…うくっ!」  
 
安心した瞬間、ふっと気が抜けた。一気にこみあげてくる。  
それを察知した理奈が。  
 
「ん!」  
「な、飲むきか!?」  
(コクリ)  
 
胸で挟みながら亀頭を口にくわえる。  
チロチロ舌で先っぽを刺激したその瞬間、  
 
「んんんんんっ!」  
「うあ……っ!」  
 
…。  
 
「いっぱい出たね。」  
「その大量の精子を全部飲むお前もすごい。」  
「えっへへー。」  
「自慢をするな、自慢を。」  
「でも、ずいぶんたくさん出たね。…ひょっとして、オナニーもしたことない?」  
「してたら、もっと我慢出来てるぜ。」  
 
クスッと笑う理奈。  
やれやれという表情の土生だが、何を思ったか理奈の両脇を抱えあげた。  
 
「え?」  
「よっと!」  
 
くるっと理奈の体を半回転させ、土生と反対側の方向に体の正面を向けさせる。  
そして土生の膝の上に、理奈を座らせた。  
 
「何なに?…きゃっ!」  
「お返しだ。おとなしく揉まれろ。」  
 
背後からの乳責め。2つの巨乳が鷲掴みにされ、土生の思い通りにぐにゃぐにゃと形を変える。  
乳首をつまむと、コリコリした感触。だが、  
 
「…あれ?」  
「ん?どうしたの?」  
「いや、なんかこう…おっぱい触っているのに、理奈の様子が変わらないなって。」  
「ふーん、あたしが、息を荒げたり、いやん、とか言うと思ってた?」  
「な、なんで?」  
「…へたくそ。」  
 
プライドをずたずたに引き裂かれた。  
目の前にあったシャワーのスイッチの出力を最大にする。  
 
「きゃああっ!つ、冷たいっ!」  
「もう許さねえぞ!風邪でも引きやがれ!」  
 
土生が理奈の体を両腕でがっちり捕らえる。それでも何とか土生の両腕から逃れシャワーの雨から逃れようとするが、  
土生はシャワーの本体を持って、理奈に追い打ちをかける。  
 
「つ、冷たいっ、冷たいっ!」  
「日本男児を愚弄したその罪は許すまじ!」  
「何それ、何時代?江戸?縄文?旧石器?きゃはははははっ!」  
「うるさい、とにかくお前は死刑決定だ!はははははははっ!」  
「あははははっ!」  
 
シャワーと一緒にじゃれあう2人。これをバカップルと言わずに何と言おう。  
…だが、この2人、まだお互いの事を好きだと告白していなかったのだが。エッチまでしておきながら。  
そして、お互いに自分の事が好きなのかどうか、心の中で不安に思っていた。  
 
…答えはもう見えているだろうに。  
 
「ふー、いい汗かいた後のお風呂は気持ちいーねー。」  
「どー見ても馬鹿の極みだがな。」  
「そーだね。でも、風呂に入るまではあんなに嫌がってたじゃない、混浴。  
 …やっぱり、翔、エッチだ。」  
「好きに言ってろ。もう何を言われても焦りはしないさ。」  
 
お互いが向き合うように湯船につかっている。  
今は疲れ果ててお互いの裸を見る余裕もない。ただのんびりと目を合わせて雑談を楽しんでいる。  
 
「…ねえ、お願いがあるんだけど。  
 その、パパ、まだ当分帰ってこないの。」  
「そして友達もいなかった理奈にとっては、親父さんがいない間、本当に1人ぼっちだった。」  
「え…?」  
「監督もいいって言ってくれるだろ。  
 理奈さえよければ、親父さんがいない日は、いつでも喜んで泊まりに来るさ。」  
「ほんと…?明日も、明後日も、その次も?」  
「おいで、理奈。」  
 
ゆっくりと土生に寄り添う。  
温かい湯の中で、永遠ともいえる時間を、2人は抱き合っていた。  
 
 
ちなみにその時間は正確には30分ほどだったらしい。現在午後10時。  
 
「…なんで男物の服があるんだ?親父さんの昔のか?」  
「まさか。これ、あたしのだよ。」  
「はあ!?」  
「昔ね、二年くらい前かな。野球やってる男の子に交じろうと男の子用の服と下着一式そろえたの。  
 初日にすぐにばれちゃったけど、…こんな形で役に立つとは思わなかったかな。」  
 
男の子になろうとしたのもいい思い出と取っていた服だったが、まさか使う事になるとは思わなかった。  
理奈は土生よりわずかに背が高い。  
当然2年前の理奈よりは土生のほうが背が高いが、当時の理奈より大きめの服を買っていたおかげか、  
 
「うん、ピッタリ!ちょうどいい!」  
「…同い年の理奈のお下がり着る事になるとはな。日本男児のプライドが、ズタズタだ。」  
「だーかーらー、日本男児って、何時代の話よ。  
 氷河期?ジュラ紀?恐竜時代?」  
「…。」  
 
どこまでさかのぼれば気が済むだろう。下手したらビックバンまでタイムスリップしそうだ。  
そんなこんなで眠気が来たので、寝ようという事になった。明日は土曜日。寝坊大歓迎。  
 
「で、おそらくこれはダブルベッドを意味してるのか?」  
「いや、ここは普通にあたしの部屋。なんであたしだけの部屋にベッド2つつける理由があるのよ?  
 ベッドが置いてあるのはここと隣のパパの部屋だけだし、ここに連れてくるのは当然でしょ?」  
「親父さんの部屋で勝手に寝るわけにはいかねえからな。」  
「まあ、2階建ての一軒家に2人しか住んでないから空き部屋も数部屋あるし、  
 別に、そこに布団を用意…したくないなあ。」  
「理奈?」  
 
理奈がうつむく、表情も暗い。土生と一緒に寝たいから。  
今まで父親がいない夜は寂しい思いをしていたが、今日は土生がいる。  
その土生が別の部屋で寝たら、部屋の中で一人ぼっちなのに変わりはない。せっかく土生がいるのに、意味がない。  
 
「いいじゃない、一緒にお風呂に入ったんだから、一緒に寝たって問題ないでしょ?  
 その…またおっぱい触っても、いいからさ…  
 …でも、やっぱりあたしと寝るの、やっぱり」  
「嫌とか言うなよ。」  
「!」  
「一緒に寝なきゃ、泊まりに来た、意味がないからさ。ダブルベッド、大歓迎。」  
 
理奈を寂しがらせるわけにはいかなかった。  
ふと、理奈から涙がこぼれる。今まで他人に見せなかった自分の辛かった思いが、ついに溢れ出した。  
 
「…よかった…本当に、よかった…」  
「おいおい、泣くな泣くな。…そんなに一緒に寝たかったのか。  
 理奈に大事なのは、辛い事を1人で抱え込んで思いつめるな、ってとこかな。」  
 
そっと体を寄せて、よしよしとなでてやる。  
そのままゆっくりとベッドの方へ移動し、2人とも腰掛ける。  
 
「明日も練習あるよね?」  
「ああ、明後日はいつも通り休みだ。」  
「ふーん…ね、明後日はどこか行かない?パパからお小遣い貰ってるから。」  
「へえ、いいのか?」  
 
理奈は笑って頷くと、そのままベッドの上に寝そべった。  
土生が掛け布団をかけてやり、自分も潜り込む。理奈の右肩と、土生の左肩が密着する。  
 
(うずうず…)  
「どうしたの?」  
「やっぱり、このまま寝られそうにないわ。心臓のバクバクが止まらん。」  
 
土生が理奈を抱き寄せた。  
はちきれんばかりの理奈への想い。抱かずにはいられなかった。  
そしてパジャマのボタンを片手で器用に外していき、器用に乳首を口に含んだ。  
 
「んく…ちゅく…」  
「もう…ミルクなんて出ないのに…」  
 
返答がない。  
何を言われようとも、関係ない。心臓の鼓動が激しいのは、ただエッチな事がしたかったから。  
理奈に巨乳を好きにしていいと言われた以上、ためらう理由などなかった。  
 
(翔…あたしの事、好きなのかな…)  
 
そんな土生が愛しかった。  
土生は当分巨乳に吸いついているだろう、飲み終わる前に、こっちが寝てしまいそうだった。  
…だから寝る前に、思いきって聞いてみた。  
 
「翔…あのね…」  
(こく…こく…)  
 
しばらくためらっている。だが、意を決して、  
 
「あたしの事、好き?」  
(こく…こく…)  
「おっぱい飲んでいいからさ、…答えて。  
 あたしは、翔が好き。翔は、あたしの事、好き?」  
(こく…こくり…)  
「…え?」  
 
もうすでに土生は眠っていた。これでは答えようがない。  
だが、意識は失っていたが、母乳は無意識に飲み続けている。  
 
「…エッチ。エッチな夢見てるのかな。あたしのおっぱいを飲む夢を。  
 夢の中で、現実と同じことやってるよ、もう。」  
 
しばらくして、理奈も眠気が来た。  
おそらく理奈も、土生に母乳をあげる夢を見るのだろう。  
そう思いつつ、土生に一言だけ残して、眠りについた。  
 
 
「おやすみ。」  
 
まだ恋人同士でなくてもいいや。その想いを残して、理奈の意識も暗闇へ吸い込まれていった。  
 

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