部活から帰ってくると、丁度誰かが小さな段ボール箱を持って困っている所だった。
「すいませーん!今うちに誰もいなくて・・・お届けものですか?」
サインをして家の中に入って、荷物を確認する。
随分小さいし、封も簡単にセロハンテープで止められてたりして、
かなり適当な荷物みたい。
受取先がお兄ちゃんになってるからとりあえずそのまま
お兄ちゃんの部屋に持ってきたけど、
『内容物:百科事典』
って怪しすぎるでしょう!小さすぎるって!
私は好奇心に負けて丁寧に箱を開けてみた。
大丈夫、これくらいの包装なら後からやり直したほうが
かえって自然だ。段ボールの中に入っていた3つの
プチプチの包みのうちの1つを広げると・・・
(うそっ?なんでお兄ちゃんにこんなもの届くの!?)
ピンク色の、あの男子のアレの形をした、所謂、バイブ。
見たことはないけど、友達の持ってた漫画で何となくは
知ってるから多分そう。お兄ちゃんが──というショック
が半分に、初めて見たバイブにドキドキが半分。
(これ・・・あそこに入れて使うんだよね?)
幸い、今家には誰もいない。お兄ちゃんもバイトで
まだ帰ってこない。イタズラ心がむくむくと広がって、
私はそれを手に取った。
制服のスカートを上げて、おずおずとパンツの上から
当てて線をなぞってみる。自分のしてることの恥ずか
しさで、身体がびくんびくんと反応する。
そのうちにちょっと物足りなくなって、パンツを
下ろして直接挿入れてみた。
(いっ・・・)
やっぱり先っぽだけでも少し痛い。出し入れしてみるけど、
そんな簡単には慣れない。くちゅくちゅという音が
お兄ちゃんの部屋に響いて、なんだかすごく悪い事を
している気分になってまた恥ずかしくなった。
(あ・・・ちょっと平気になったかも)
少しずつ奥まで挑戦し始めた頃、残っていたあと2つの
うちの1つの袋からベルトみたいな物を見つけた。
説明書を読むと、どうやら固定するためのベルトらしい。
悪戦苦闘しながら組み合わせてふんどしのような
形になったそれに足を通してみた正にその時、悪夢が起きた。
バイクの音が聞こえて、ガレージの前で止んだ。
すぐに1階でガチャリと開くドアの音。
(お兄ちゃんっ!?どうしてっ!?)
ベルトを持ち上げた時に気付いたので、勢いをつけすぎたみたいだ。
激しい痛みが私の中心を貫く。
2階へゆっくりと上がって来る足音に、身体の血が全速力で駆け巡る。
とりあえずこれを外して・・・え、脱げない・・・痛っ!!
ガチャリと開くドア。
「お兄ちゃん!お帰りなさい!早かったね?」
なんとかカバンの中に段ボールはしまった。
でも、私の中にはしっかりと異物が埋まっている。
「ああ、今日はバイトじゃなくてシフト編成会議だけだったからな。
それより、こんな所で何してんだ?」
「あのね!ちょっと最近バイクに興味があって、
お兄ちゃんの部屋の雑誌借りてたの!」
「ふーん・・・」
お兄ちゃんの視線が、さっき段ボールを置いてた辺りに止まった後
私の身体を見た時、心臓が止まりそうになった。
痛みで少し内股気味になっちゃってるけど、バレてないよね?大丈夫だよね?
「そっか、」
お兄ちゃんがにこっと笑った。よかった、バレてない!
「じゃあ、今度お兄ちゃんの後ろに乗せてね!」
私は急いで部屋に戻ってすぐに、入ったままのアレを取り出そうとした。
スカートに手を入れようとした瞬間、ドアがノックされてお兄ちゃんが顔を覗かせる。
「な、折角だから今どっか行こーぜ」
「えっ、今?」
「ちょっとだからさ」
お兄ちゃんに急かされて、私はフラフラと外に出た。
「これ!ちゃんと付けろよ!」
「うん! あ」
私はヘルメットをしながら重要な事に気が付いた。
「これ・・・足広げて座るの?」
「何言ってんだよ?体育座りでもすんのか?」
ただでさえ痛いのに、後ろに座ったりしたらもっと深く刺さってしまうだろう。
「お前──」
「!!」
お兄ちゃんが怪しんでる!
「大丈夫!なんでもないよ!」
私は覚悟を決めて跨がり、腰を下ろした。
「っ──!」
一線を越えた痛みに、思わずお兄ちゃんにしがみつく。
「大丈夫か?行くぞ」
お兄ちゃんは私の手を一度握ってからバイクを発進させた。
夕暮れの道をガタガタと上下に揺れる度に襲ってくる痛みに耐えながら、
バイクってこんなに揺れるんだ、とだけ冷静に考えていた。
でも、そう言い聞かせるのも長くは続かなかった。
(あ・・・なんか変なきもちになってきた・・・)
繰り返す刺激に慣れてくると、逆にそれが変な感覚を引き起こした。
最初は揺れが怖かったけど、今はぼんやりした頭でデコボコ道を待っている。
すっかり暗くなった頃、バイクは港に着いた。
「ここ覚えてるか?小さい時良く来たんだけど」
「覚えてるよ!懐かしい!」
(私に少し余裕が出来たので)私達はバイクを降りて少し歩く事にした。
「ちょっと待ってて、飲み物買って来るから」
近くのベンチに座ってお兄ちゃんを待っていると、
よく知った声に呼びかけられた。振り返ると、
「・・・松田くん!」
「よーす 何してんのー?」
松田くんはサッカー部のエースで、学年で一番モテる。
お兄ちゃんのバイクで来たのだと言うと、目を輝かせた。
「じゃあ先輩もいんの!?」
「うん、今飲み物買いに行って・・・はぁんっ!」
私はベンチに座り込んでしまった。
(やだ、なんで突然動きだして・・・!?)
「ごめ、急に変なこえ・・・してっ」
「どーしたんだよ、大丈夫か!?」
「なんでもっ・・・なんでもないからっ・・・!ふぇ・・・」
脚をくねらせて平気なフリをするけど、絶対変な女だと思われてるよぉ・・・
「お、松田じゃん」
「先輩!」
「お兄ちゃん!」
私は飲み物を受け取ってすぐに立ち上がって、
「私っ・・・先にバイクの所戻ってるねっ!
・・・っぁんっ・・・」と言ってフラフラと逃げてきてしまった。
バイクの所に着いて地面に座り込むと同時に振動は止まった。
ほっとして飲み物を開けようとするけど、
手が震えて落としてしまった。
転がって車体の下に入ってしまった缶を追って、四つんばいになって手を伸ばした。
と同時に再び私のなかで暴走が始める。
これは完全にふいうちだった。
「やああああぁぁぁぁぁっ!!」
四つんばいでスタートしてしまったから、私は絶叫しながら
スカートがめくれるのも気にせずにお尻を突き出した格好になってしまった。
「やだやだやだぁ・・・あ・・・あ」
全身に響くような初めての感覚に身体はびくんびくんと震えて、
だらしない声しか出なくなってしまう。
もしここでお兄ちゃんが帰って来たらと思うと、
ケモノのような今の自分が情けなくなった。
暗いとはいえ、いつ人が来てもおかしくないのに。
「!!」
どれくらい一人で腰を振っていたのだろう、長い振動は終わった。
すぐに飲み物を拾い上げ、立ち上がってスカートを直す。
よかった、お兄ちゃんが戻って来る前で。
「ごめんな、寒くなかったか?」
戻って来たお兄ちゃんにそう言われて、私は身体がものすごく火照ってる事に気付いた。
帰りはさっきの余韻がまだ残ってて、何度も声が出そうになったけど、
お兄ちゃんにしがみついて必死に押し殺した。
戻って来て部屋に入って、パンツはもうびしょびしょになっていたのですぐ脱いだ。
そして私を拘束していたものを外しにかかった。
(なかなか外れないなあ・・・)
足を広げたり、仰向けになったり、色々試してみたけど複雑に絡まったベルトは外れない。
制服はそのままでパンツだけ履かずになんて、かなり恥ずかしい格好だなぁ・・・
そんな最悪の状況で、ノックと同時にお兄ちゃんが入って来た。
「お兄ちゃ・・・!」
「勝手に人の小包開けたりしていいのかよ」
静かに近づいてくるお兄ちゃん。どうしよう、本気で怒ってる。
「おまけにこんな汚して。使い物にならないだろ」
「ごめんなさい・・・」
「弁償しろよ」
「っ・・・!!!」
また私の中で蠢き始めたそれを止める事は出来ない。
スイッチはお兄ちゃんが握っているからだ。
「お、にいちゃ・・・ごめんなさ・・・っ
・・・ゃぁぁぁぁぁぁっ・・・はぁぁぁぁぁん!!!」
びくん、と身体が大きく跳ね上がる直前に動きは止まった。
荒れる息にお兄ちゃんを見上げると、お兄ちゃんは笑っていた。
「もう怒ってないから」
涙を溜めた瞳で見つめたままでいると、お兄ちゃんは笑ったまま近づいて来た。
ぐったりとした私の耳元で囁く。
「どうした?“まだ足りない”?」
私は頬がかぁっと熱くなるのを感じた。
「そういう時は、ちゃんと「お願い」するんだよ」
私にだって、意味が分からないわけじゃない。
だからこそ、それは特別な意味を持つ。
「・・・・」
「え?」
意地悪く笑うお兄ちゃんを見上げて、私は
とうとうポロポロ涙を零してしまった。
「ごめんなさいぃぃ〜」
そんな私を抱きしめて、お兄ちゃんは
「しょうがないなぁ」と困ったように笑った。
スルスルと簡単に外されていくベルトとバイブを眺めていると、
お兄ちゃんは自分のズボンのベルトを外した。
「生理、いつ来た?」
「えっと・・・おととい終わった」
「なら大丈夫だな」
「え・・・っ!!あぁぁ!!」
お兄ちゃんのソレはバイブよりずっと大きくて激しくて、
本当に壊れてしまうかと思った。
「お、にい、ちゃ・・・ダメだよっ・・・
赤ちゃんできちゃっ・・・うあぁぁぁっ!!」
一突き毎に薄れていく意識の中で、
なぜか私は幸せな気持ちでいっぱいになった。
あの後、あれは妹のモノになった。
と言っても、スイッチと本体は俺が持っているので
使いたい時はきちんと「お願い」するように言ってある。
真夜中のドアが静かに開く。
俺は机に向かったまま「何?」とだけ聞く。
「挿入れてください・・・」
「どっちを?」
「おにいちゃんの・・・」