とある週末。  
久々にまとまった休みを取ることができた俺は、その一時を妻のために費やすことにした。  
本当はどこかへ遠出したかったが、皐月の発案で家の大掃除をすることになった。  
結婚に際し彼女の祖父から贈られたこの家はとにかく広い。  
今までは皐月が一人で何とか手入れをしてきたのだが、自分のことは自分で、という彼女の強い希望でお手伝いがいないこともあり、さすがに行き届かない箇所も多いのだ。  
こんなに広いのだがら業者を呼べばいいだろう、と言ったが、  
「信哉さんと一緒にやりたいんです…」  
などと言われて断るわけにはいかない。  
というわけで、バケツと雑巾を片手に奮闘している。  
こんな風にまともに掃除をするのはいつ以来だろうか? 学生の頃は正直に言って怠けていたことの方が多かった気がする。  
 
『信哉さ〜〜〜ん!!』  
柄にもなく鼻歌などを歌いながら埃を拭いていると、皐月の声が響き渡った。  
何か少し泣きそうな感じだったが、とりあえず行ってみる。  
「どうした?」  
「あ、あうぅ…助けてください…」  
見ると着物の腕を捲って、雑巾を持ち戸棚の前に立ち尽くしていた。  
どうやら腕が上に届かなかったようだ。少し涙目になっているのがなんともいじらしい。  
「私がんばったんですけど…その、どうしても届かなくて…」  
不意に棚の前で必死にぴょんぴょん飛び跳ねる図が思い浮かび、思わず吹き出しそうになるのを堪える。  
「あの、ごめんなさい。わざわざ呼んじゃって」  
「ん、別に構わないぞ…それより、今助けてやる」  
「え?…きゃっ!」  
彼女の体を抱き上げ、顔が棚の前に行く程の高さまで持ち上げた。  
「これで届くか?」  
「あ、…はい、ありがとうございます…」  
 
そうして、俺たちはその後も2人で掃除を続けた。  
子供みたいだなと言いつつ、雑巾がけで競争したり。  
互いに協力して、笑い合いながら。  
そうやって家中を奇麗にすることはとても充足感があった。  
掃除をすることがこんなに楽しい事だと初めて知った。  
これもきっと、彼女と分かり合えたおかげなのだろう。  
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  
 
時計は午後3時を回っている。  
掃除は一段落ついたので、とりあえず2人でお茶にすることにした。  
彼女は座布団の上に正座して眠そうな顔をしている。  
時折うつらうつらとなりながら、はっと顔を上げている。  
そんな様子がとても愛らしく、つい見入ってしまう。  
…ふと、以前から彼女にやって欲しかったあることを思い出した。  
今なら時間もあるし、この際だからちょっと頼んでみるか。  
「なあ、皐月」  
「ふにゃ…は、はいっ!?」  
「頼みがあるんだが」  
「な、なんなりとっ!!」  
「洋服を着てみてくれないか」  
 
一瞬きょとんとした顔を見せる。  
「え、洋服、ですか?」  
「そうだ」  
彼女は普段から常に着物を着ている。  
日本の着物というのは、布の量の調節で季節を問わずに普段着として着ることができ、  
さらに礼服としてもそのまま用いることが可能な機能的な服である―これは彼女の受け売りだ。  
とはいえ毎日同じ格好を見ていると、やはりいつもと違った服装の彼女を見てみたくなる。  
「あー、…えっと、持ってないです、多分…」  
「一着もか?」  
「はい、小さい頃からずっとこんな格好だったので…」  
はあ、と思わず軽い溜息をついてしまった。  
最近は慣れてきたが、やはりお嬢様なだけあって世間とは離れているらしい。  
「あの…すみません」  
「別に構わないよ、謝ることじゃないさ」  
そう言ってテーブルの上の新聞に手を伸ばし、適当な欄を広げる。  
特に刺激的なニュースもない。紙面は連日世界経済の不況について似たような内容を伝えている。  
―まあ、持ってないならないでいいか。今度2人でどこかに行った時に一着買ってやるのもいいかもしれない。  
そんなことを考えていると、今度は彼女の方から声をかけられた。  
「あの、信哉さん、一応あります。一着だけ…」  
 
新聞を閉じ、彼女に目を向ける。  
「どんなのだ、それは」  
「えっと…洋服、というか…制服、なんですけど…高校の時の…」  
思わず体が反応する。  
彼女の通っていた高校というのは、確か都内でも有数のいわゆるお嬢様学校である。  
そういう学校の制服というのががどんなものかは全く分からないが、見ることができるなら妻の制服姿というものは是非見てみたい。  
「それ、着てみてくれ」  
「ええっー? そんな、だめ、恥ずかしいです…」  
「ダメか? ぜひ見てみたいんだがな、お前の制服姿」  
「だ、だって…その、サイズとか合わないかも…」  
「少し見せるだけでいいから」  
彼女は割と、というかかなり押しに弱い。もう少しだ。  
手を握って目を見据え、はっきりと願いを伝える。  
「頼むよ。ほんの少し、見せるだけでいいから」  
しばらく迷っていたようだが、やがて観念したように口を開いた。  
「じゃ、じゃあ…ほんとに、少しだけですよ」  
 
ふすま越しには先ほどから彼女が着替えている証の衣ずれの音がわずかに聞こえてくる。  
普段とは違う妻を見るのだと思うと妙に緊張してくる。  
『あの、信哉さん』  
彼女の呼び声。  
「終わったか? …早く見せてくれよ」  
『は、はい。あの、それで、着てみたんですけど…やっぱりきついです、その、胸、とか…  
 多分その、され、た…か…ら、…しんや、さんに…』  
言っている途中で恥ずかしくなったのか、最後は消え入るような声になってしまった。  
『…………』  
「…………」  
…自分の妻にそんな色っぽいことを言われて、黙っていられる夫がこの世にいるだろうか?  
俺は立ち上がると勢いよくふすまを開けた。  
 
…しばし、絶句してしまった。  
 
可愛い。  
いや、可愛いなんてもんじゃない。  
可愛すぎる。  
 
小柄な体型に映える紺色のブレザーは、肩に届く長い黒髪と相まってはっとさせられるような美しさを醸し出している。  
そんな中、胸もとで蝶々結びされたリボンが少女らしさを演出していて。  
そして、プリーツスカートから伸びる雪のように白い足。  
 
可憐、という言葉はこういう時に使うのだろう。  
そう言っていいほど、目の前の彼女は可愛らしさに満ち溢れていた。  
 
「あの、信哉さん、そんなに見ないで下さい…恥ずかしいです…」  
彼女の声がして我に帰った。どうも大分長い間見とれてしまっていたらしい。  
「可愛い」  
「へっ?」  
「可愛い。最高に可愛いよ、皐月」  
「あ…ありがとうございます…嬉しいです…」  
褒められたことはまんざらでもないらしく、少しはにかんだ笑顔を浮かべた。  
「えっと、じゃあ、そろそろ脱いでもいいですか?」  
…ここで着替えさせてしまうのは、何というかかなりもったいない気がする。  
「だめ、しばらくそのままでいて」  
「え、あ、はい…」  
最初は嬉しそうにしていたのだが、いい加減見つめられ続けて羞恥心の方が勝ってきたらしく少し落ち着かずにもじもじし始める。  
「あの、私、何をすれば…?」  
ほのかに紅潮したな顔で尋ねられて、不意に悪戯心が湧きあがった。  
彼女のそばに近寄ると、隙を突いて一気にスカートをバッと捲りあげた。  
水色の下着が一瞬露わになる。  
「きゃ――――――――――――っ!?」  
彼女は思いきり絶叫を上げると、ぺたんと膝を付く。  
「い、いきなり何するんですかぁ…」  
「ごめんな、あまりに可愛かったから、つい、な」  
「もお…」  
後ろから彼女を抱きしめる。  
この姿勢は一番彼女が安心するらしい。  
「許してくれ、な」  
触り心地の良い髪を、その一本一本をなぞるようにそっと撫でる。  
その動作を何度も繰り返し、喉元をくすぐってやると、くうん、とまるで子犬のような声を漏らす。  
そのまま心地よさそうに体を俺に預けていたが、やがて身をよじって腕から逃れようとした。  
「…皐月? どうした?」  
少しの間を置くと、やがて頬を赤く染めそっと告げた。  
「あのっ、…あたってます…さっきから」  
 
言われて股間を見やると、ジーンズの上からでもはっきりと分かるほどに張りつめてしまっていた。  
ここ最近仕事が忙しかったので、彼女の体温、息づかい、甘い匂い、柔らかい感触、それらを感じるのはほぼ一週間ぶりになる。  
そして何より、新鮮な制服姿。  
…どうやら、平たく言えば俺は欲情してしまったらしい。  
「信哉さん…?」  
無言で抱きしめる手に力を込める。  
「え、ええと…着替えていいですか? は、恥ずかしいですし、掃除の続きしないと…」  
「…したい」  
「え?」  
「今からしたい」  
一瞬の沈黙。  
「えっ… ……ええええええええええっっ!?」  
そして、素っ頓狂な声が上がる。  
「駄目か?」  
「えっ、えとっ、それって、まさか、このまま、ですか…?」  
「そうだ。お前のそんな格好を見てたら、欲情した」  
「よ、欲情って、そんな」  
「なあ、駄目か」  
「い、いや、そんなの絶対無理です、恥ずかしいですよお…んむっ」  
言葉の中途で顔をこちらに向けさせ、唇を重ねた。  
少し強引に舌で唇をこじ開け、唾液を流し込む。  
両手で頭を抑え込み、先程食べていた茶菓子のせいか、ほのかに甘い味のする口内を荒く蹂躙する。  
「―はぁっ、信哉さ、待ってっ、わたしっ―んんっ!」  
唇を離した直後、息をつく暇も与えず再び唇を奪う。  
先程より激しく。唇に、前歯に、舌に、臼歯に、歯茎に、喉奥に、次々に舌を絡めて舐め上げる。  
ぴちゃぴちゃという水音と、彼女の苦しげな息づかいが本能を煽ってゆく。  
互いの唾液が混ざり合い、唇から溢れて制服のブレザーの上に垂れ染みを作った。  
「―はぁっ…!」  
長い接吻から解放されると、彼女は深いため息をつく。  
「まだ駄目か?」  
「はぁ、はぁ、お…ねがい、まってぇ…」  
「待てないよ」  
「っひゃう!、ん、うぅん…」  
今度は耳に軽く息を吹きかけ、そのまま輪郭を舌先でなぞり、耳たぶを口に軽く含んで愛撫してやる。  
その間にも指先は背筋から尻にかけての線を往復させ、その度に体が面白いように反応を返す。  
「参ったか?」  
「くふっ、あう…そんなこと、な、ひゃあ…」  
汗ばんだ首筋に、その汗を舐めとるようにつぅっと舌を這わす。  
「素直になれ」  
「っくうん!、…わ、わかりましたから、あぁ…おねがいだから、もういじめないでぇ…」  
 
―――思わず小さくガッツポーズしそうになるところを、何とか堪えた。  
 
あれ以来皐月とは何度か体を合わせたが、こんな風に昼間から明るい場所でするのは初めてだ。  
自分の妻と、服を着たまま、しかも高校時代の制服を着てセックスをする。  
その倒錯した状況に、思わず目眩がするほどの興奮を覚えた。  
ひとまず、彼女の息が落ち着くのを見計らう。  
膝立ちで抱き合った状態のまま、胸に手を伸ばす。  
「あ…」  
「どうした?」  
「あ、あのっ」  
「大きくなったんだろ?」  
「そ、それは…」  
「確かめてやるよ」  
そっと2つのふくらみを掌で包み込み、、やわやわと優しく揉みしだく。  
言われてみると、確かにブレザーの胸部は少し張り詰めており窮屈そうに見える。  
「なるほど、ちゃんと大きくなってるな…感心感心」  
「気のせいですよおっ…そんな、変なこと、言わないで下さい…」  
しかし、ブレザーのボタンを外した時、はふ、と小さく解放されたような溜息を漏らしたのは見逃さなかった。  
「気のせいじゃないだろ、今まで苦しそうだったじゃないか」  
「それはっ!、ええと、あの、その……  
 …うう、信哉さんのせいです…」  
「安心しろ…責任はとるよ」  
「せ、責任って…? あんっ!」  
ワイシャツのボタンも2、3個素早く外し、そこから手を滑り込ませ、下着の上から乳房に触れる。  
「もっと大きくしてやる」  
円を描くように、撫で回す。  
膨らんだ突起を下着越しに軽く弾くと、同時にぴくんと体が震える。  
さらに鎖骨をなぞり、脇腹や臍にもにも手を伸ばして愛撫する。  
もっと彼女に触れたくなり、背中をまさぐって拘束を解く。  
直接さわる乳房の感触は、布越しよりもはっきりとその成長を伝えてくる。  
こう言うのも少し失礼かもしれないが、彼女は自分に抱かれる度に女らしさを増してゆくような気がする。  
「あ…うっ、あう、くうぅん、―っはあああぅっ…」  
と、こんなことを冷静に考えてはいるのだが。  
腕の中で身を悶えさせ、甘い声で喘ぐ彼女を前に、自分自身の本能を抑えていられなくなってきた。  
その時。ふと下を見やると、スカートと畳の隙間に僅かに見える太腿に、一筋の粘液が伝っているのが見えた。  
 
「濡れてるな」  
スカートの中に手を入れ、内股を伝う愛液を人差し指ですくう。  
「やあ…」  
そのままそれを顔に近づけると、目をきゅっと閉じて顔を反らす。  
「そんなに嫌がることないだろ」  
「だ、だって…はずか、しっ…くううんっ!」  
唐突に、一際高い嬌声を上げる。俺の指がが下着越しに秘部に触れたからだ。  
既にそこは洪水状態で、下着の許容量を超えた愛液が溢れ出していた。  
「こんなに濡れて、今更恥ずかしいも何もないだろ」  
「そんなことっ、んんっ、いわれ、て、もおっ」  
そう言う間に、ゆっくりと秘所への愛撫を始める。  
中心を微妙にずらし、小さく円を描くように撫でる度に細い腰がぴくんと震える。  
「っんあぁ…、や、あう、あああ…」  
激しい喘ぎが本能を揺さぶった。  
下着をずらし、溶けそうなほど濡れそぼった秘部に直接触れる。  
「あああっ!…っやあっ、し、しんやさっ、だ、めっ、ああっ…!」  
軽く触っただけで、体が小さく震え、頂点が近いことを知らせる。  
「我慢するな」  
軽く指がめり込む程度に押す。  
「ひゃっ!?」  
そのまま、軽く秘所を掻き混ぜるようにくすぐり、同時に空いた手で左胸の乳首の先をぴんと弾く。  
「だ、だめぇっ、う、ああっ、…――――――――――っぅっ………!!!」  
大きく息を飲み込み、全身を強張らせ、最初の絶頂に達した。  
 
「はぁ、はぁ…」  
彼女は後ろから抱かれた姿勢のまま、昂った体を少し静めている。  
「何だか…」  
顔を赤く染め、こちらを振り向く。  
「な、何だか、いつもより、すごい、です…」  
「この格好のせいだろ」  
彼女のブレザーの裾を指でつつく。  
「そ、そう、なんですか…?  
 わ、わたし、何だかすごくいけないことをしてるような気がして…」  
「だけど、興奮する?」  
慌てたように目を逸らす。  
が、少しの間を置き、こくん、と頷いた。  
「そういうのを、まあ、背徳感、って呼ぶな」  
「分かんないですよお、そんなの…」  
「…じゃあ、もっといけない事をしてやる」  
「え…きゃ、きゃあっ!?」  
 
先程やったようにスカートを捲り上げる。  
そして、素早くその中にもぐり込んだ。  
「ちょ、ちょっと、何してるんですかぁっ!」  
抗議の声を無視し、太腿に顔を寄せる。  
「だめ、ですってばぁ…出、て、ください…」  
膝立ちの態勢を崩して懸命に逃れようとするが、腰を掴んでそれを許さない。  
愛液の痕がに残る内股に唇を寄せ、ちゅうっと強く吸った。  
「!?っ、やああっ! だ、だめっやああああああっ!」  
ほとんど悲鳴に近い嬌声が脳髄を刺激し、脆い理性は完全に打ち壊された。  
再びとめどなく流れ出した愛液で顔が濡れるのも構わず、夢中で彼女の柔肌を蹂躙していく。  
雪のような白い肌は、何度も吸い上げられる度に赤い痕跡を残す。  
「やう、あああん…だめ、だめぇ…」  
懸命に上げる抗議の声も、もはや蕩けるような甘い音に変わり、余計に感情を煽るだけだ。  
太腿から唇を離し、そして間髪を入れず熱い粘液を湛えた恥部に顔を寄せ、激しく吸い上げた。  
「やっ、やぅぅぅぅん!、あう、ん、ああああああああああああぁっ!」  
不慣れな強い快感に押し上げられ、恥じらいを捨てて絶叫する。  
真っ赤に充血した芽に舌を這わせ、軽く歯を立ててやる。  
全身がびくっと痙攣する。  
「ああああっ!、きもち、い、いい、いっちゃ、いっちゃ、―――――っ!」  
最後の仕上げに、再び思いきり秘所を吸い上げる。  
「あああああ、ああああああああああああんっ!!!」  
びくびくと体を震えさせながら、彼女は再び絶頂へと押し上げられた。  
 
「おねがい、信哉さん、もう…」  
彼女は荒い息を付きながら、2度の絶頂に達した体を休めていたが、それが収まると自分から求めてきた。  
返事は言葉では返さず、頷いてそれに答える。  
普段なら、頃合いを見計らって柔らかく布団に押し倒してやるのだが。  
…こんな格好をしているのだ。せっかくだから、今日はいつもと違う事をしてみたい。  
「ほら、立って」  
四つん這いになって息を付いていた彼女の手を持ち上がらせる。  
「え、あ、あの…」  
「そこの壁に手付いて」  
いつもと違う流れに多少戸惑ったようだが、それでも素直に言葉に従う。  
「そう、そしたらお尻を出して」  
「えっと、こうですか…?」  
 
―――思わず目眩を感じてしまった。  
それほどまでに今の皐月は色っぽい。  
付き出された丸く小ぶりな尻。ほんのりと朱が差した白い足は、先ほど付けた唇の痕が見え隠れして恐ろしく煽情的だ。  
こんな姿を自分のものに出来る。そう思うと、途方もない衝動が湧き上がるのを感じた。  
「だ、だ、だめですっ、だめですこんなの! 恥ずかしすぎますっ!」  
自分がどういう格好をしているのかに気付いたらしく、慌てて姿勢を崩す。  
「じっとしてろ…後ろから入れるからな」  
「う、うう後ろって! そんなの、死んじゃいますよぉっ!!!」  
ばたばたと手足を振り回す彼女を後ろから抑え込む。  
「暴れるな! …嫌なら、ここで止めるか?」  
少し意地悪く聞くと、手足をぴたっと止めた。  
「そ、それは…嫌です、…けどぉっ…!」  
「なら、さっきの姿勢になれ」  
「うう…」  
少し考えるそぶりをしていたものの、やがて決心したらしい。  
元のように壁に手を付くと、おずおずと尻を突き出した。  
 
顔が見えないのが心細いのか、きょろきょろと何度も不安げな瞳をこちらに向けてくる。  
思わず卒倒しそうな程の可愛さに、言葉に出来ないほどの愛しさがこみ上げる。  
「信哉さん、こわい…」  
「大丈夫だ」  
安心させるように髪をくしゃくしゃと撫でまわす。  
「行くよ」  
そう告げると、目をきゅっと閉じ、体を固く緊張させる。  
そんな彼女を見たら、またもや悪戯心が湧いてきてしまった。  
―今日は、もっともっと彼女をいじめてみたい。  
「…?」  
いつまでたっても挿入されないのを不審に思ったのか、視線をこちらに向けてくる。  
「あの、信哉さん…?」  
「欲しいか?」  
屹立した股間を指差して聞く。  
「そ、それは、その…」  
「欲しいなら、言ってごらん。何をしてほしいか」  
途端に、かあっと顔が耳まで赤く染まった。  
「…むり、です、そんなの…」  
「じゃあ、ここで終わるか? 」  
「やぁっ…、やだぁ…」  
ふるふると首を振る。  
「言わなきゃ、入れてあげないよ」  
「だって、そんなのはずかしい…――――――っぅ!!!」  
唐突に、スカートの上から秘所を指で刺激した。  
「ほら、早く」  
「あうっ…! い、いじわる…」  
「何と言われようと、気を変えるつもりは無いんだがな」  
スカートの中に手を入れて、直接刺激を送り込む。  
「ああぁっ…! わ、わかり、ましたっ…いう、いうからぁっ…」  
その言葉に、手を離してやる。  
2、3度大きく深呼吸をし、「…信哉さんのばか」と呟くと、ゆっくりと顔をこちらに向けた。  
 
「しっ…、しんやさん、…のが、ほしいの…… わたしの、ここに、いれて、くだ、さい……」  
 
「よく言えたな」  
髪を優しく撫でてやる。  
本当はもっと具体的に言わせてみたかったが、それは高望みというものだろう。  
「〜〜〜〜〜〜〜っっ……!!」  
声にならない抗議の声を上げる。  
「そう怒るな…じゃあ行くぞ、力抜けよ」  
「!?…あ、待ってっ、ひゃううっ!」  
スカートをずらすと、一気に張り詰めた分身を付き入れた。  
熱くぬめった柔肉が分身を迎え入れ、さらにきつく締め上げる。  
「凄いな…気持ちいいよ、皐月」  
「ひゃっ、ああ、あん、ああああああっ…」  
「動くぞ」  
彼女の腰を掴み、ゆっくりと前後に腰を動かす。  
「ああ、あうっ、あんっ…」  
序々にその動きを激しくしていく。  
膣内を強く、時に弱く付きあげる度に、彼女の甘い声が部屋に響き渡る。  
愛液が飛び散り、畳にその小さな染みがいくつも形作られる。  
「しんや、さ、ああっ…っあああ――っっ!!!」  
殊更に力をこめて子宮口まで付いてやると、一際高い嬌声が上がる。  
「いっちゃぁっ、しんや、さっ…、おねがいっ、いっしょに、おねがい…」  
消え入りそうな理性の中から紡ぎだされたであろう、その言葉に頷く。  
何より自分自身ももう限界だった。  
「行くよ、しっかり受け止めろよ」  
本当に子宮に達するほどの勢いを込めて、膣内を付き上げた。  
「あああっ……!!! い、いくっ、うあっ、ああああああああああっ――――――――――!!!」  
「…くっ…」  
最後にきゅうっと剛直が締めあげられ、彼女の最奥へと精を放った。  
全てを出し終えると、彼女の姿勢が崩れ落ちそうになる。  
体を支えてやり、そのまま2人で畳の上に倒れこんだ。  
 
しばらく畳の上で彼女を後ろから抱いたまま過ごす。  
そうして息も落ち着いたころ、彼女が口を開いた。  
「本当に、このままするなんて…」  
自分のブレザーを指差す。  
「おまけに、あ、あんな事を…」  
「でも、興奮しただろ」  
「それはっ! …その、しましたけどぉ…っ」  
「次はどうする…メイド服でも着てみるか」  
「着ません〜〜〜〜〜っっっ!!!」  
体の上でくるりと俺に向き直き、ぽかぽかと胸を叩かれる。  
「もう、信哉さんのばか、えっち」  
「…否定はしないよ」  
「…へんたい」  
「………」  
…自分の妻に制服を着せ、そのままやってしまったのだから変態と言われても文句は言えないだろう。  
「でも、大好きです、大好きっ!」  
ちゅっと音を立て、頬にキスをされた。  
…まずい。  
今ので、消えていた欲望に再び火が付いてしまった。  
「えへへ…」  
はにかむ彼女を一旦床に下ろす。  
「…え?」  
すっと立ち上がると、がばっと横に体を抱き上げ、そのまま寝室へ向かう。  
「え、待って、きゃあああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」  
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  
 
気が付けば辺りはすでに暗くなり始めている。  
あの後、結局お互いに火が付いてしまい3回も交わってしまった。  
限界を超えた後も、手や口で何度も彼女を絶頂に導いた。  
流石に少し調子に乗りすぎた。強い快感にまだ不慣れな皐月にとっては辛かっただろう。  
「掃除、明日に延期だな…おい立てるか?」  
裸でぐったりとしている彼女に声をかける。  
「あ―――、むりです、すみません…」  
「水持ってくるな、待ってろ」  
足早に台所へ行き、冷蔵庫からミネラルウォーターを注いで持ってくる。  
「ありがとうございます…」  
んくんくと飲み干すと、糸が切れたように布団に倒れこもうとする。  
あわてて抱き止めると、すうすうと寝息を立て始めていた。  
ほっと息をつき、ゆっくりと体を横たえ、タオルで汗を拭き布団をかぶせてやる。  
部屋の隅に脱ぎ散らかされた制服に目をやる。  
…お互いの汗やら体液やらで大分汚してしまったので、明日にでもクリーニングに出さなくてはならないだろう。  
大の男が女子高生の制服を持って店にいくのはかなり恥ずかしい、むしろ変態に思われるだろう。  
だが、間違いなく自分に責任があるので我慢しなくてはいけない。  
 
そんなことを考えて、再び愛らしい寝息を立てて眠る皐月に目をやる。  
恐らく、今日のところはまともに立つのも難しいだろう。  
たまには夕食を自分で作るのも悪くない。彼女の分も作って、後で驚かせてやろうか。  
その場面を想像してくすりと笑う。立ち上がり、再び服を着る。  
ふと、1ヶ月ほど前の自分たちを思い出す。  
あの頃なら、共に家事をしたり、ましてこうして溶けるまで愛し合うなど考えられなかったことだ。  
改めて、強い後悔が胸を焦がす。  
だが、あの頃があったから、今の自分たちがある。少なくともそう思いたい。  
その証拠に。俺は今、これ以上ないほど幸せなのだから。  
 
眠り続ける彼女の頬に軽く口付けると、足取りも軽く台所へ向かった。  
 
<了>  
 

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