「ね、ちょっとでいいから触らせて?」
そう言うやいなや幼なじみ様の手はベッドで寛いでいた俺のそれに触れた。
「く……ちょ、やめっ?」
いきなりのことに、情けなくも声が裏返る。
そんなこちらの静止なんて完全無視でさらに気ままにすべり、中の筋の動きさえも知ろうと念入りに這う、指の感触。
「いいじゃない、減るもんじゃないんだから」
「そう……いう、問題じゃなくて」
まじまじと観察するためだろう、寄せたれた顏からかかる吐息と束ね損ねた遅れ毛がくすぐったい。
「後学のために知っておきたいのよ。自分のを触るのは不可能なんだから、協力してよ!」
細い指は少し冷えていて、それがいやになるほど感覚を刺激する。
息をするのも辛い気がするなか、俺が絞りだした意見は一刀両断。
「へぇ、こんな感じなんだぁ……なんかカワイイ。あっ! 動いた!!」
詰めていた息を吐き出すと、歓声があがった。
痛くはないが、勝手に動くから次が予想できなくてされるがままだ。
「……勘弁してくれよ……」
「なに? 未来の白衣の天使のためなのよ?」
「白衣の天使は相手の了承もなく人体の急所にアタックしねー」
我慢できなくて、無理矢理柔らかい拘束から逃れる。
危ないところだった……。
「あっ、ケチ……でもあんなにおっきいんだね……はじめて触ったからドキドキしちゃった」
「触りたいならちゃんと言えっての、こっちだって心の準備っつーもんが……」
「ちっちゃいこと言わないでよ! それはそんなにおっきいのに」
不満げに頬を膨らませて再度手を伸ばしてくるのを払う。
「これと性格に関係性はありませんー」
「ほんっと、女々しいな!」
「おまえはちったぁ恥じらいを持てよ!」
膨らんだままの頬を両側から潰すと唸り声が返ってきた。
さらに噛みつかれそうになったから慌てて手を離す。野生動物が白衣の天使とか、ねぇよ!
「まぁ、いいや。大体わかったから。しっかし、何で女の子にはないんだろ……喉仏」