rose bud   
 
 この任務ももうすぐ終わる。  
 
 私は殺し屋をしている。そして今は仕事の最中というわけだ。  
ここは地中海に面したホテル。仕事でなければさぞやくつろげそうな  
場所だが、今はそんな気分にはなれない。  
そして、もし今この場所に一般客が来たとしても同じような感想を漏らすだろう。   
 
 …口を開けるほど肝が据わっているならば。  
 
 ホテルの廊下は血にまみれていた。  
そこには点々と死体、死体、死体。  
 私の「仕事」の結果だ。  
彼らがどんな人間で、どんな人生を歩んできたか。  
善人か、悪人か。  
貧者か、金持ちか。  
 全てどうでもいいことだ。  
 私は与えられた仕事をこなすだけだ。  
いつもそうだったし、今日もそうだろう。  
 今日の任務はつつがなくほぼ終わった。  
あとはホテルの部屋を一室一室開けて、ぶるぶると縮こまっている  
哀れな小鹿たちを一匹づつ「喰う」だけだ。  
 そして最後の扉に手をかけた。  
 
…この時、私は知らなかったのだ。  
どちらが「小鹿」で、  
どちらが「喰う」立場なのかを。  
 
 誰もいない。  
 
 一通り部屋を確認する。中は二部屋の作り。  
大きさは割と広めに取られている。  
 
 入ってまず目に付くのは部屋の一面全体を使った窓ガラス。  
バルコニーに出ると、地中海が一望できるようになっている。  
 
 次に目を引くのは部屋の中央にある大きめのテーブル。  
家族連れでも悠々全員が一度に朝食を採れる様に出来ている。  
テーブルの上にはバラの花入りの花瓶、各種調味料。  
 
隣の部屋は寝室になっている。キングサイズのベッド。  
きちんと畳まれている。確認。  
 
 あとはトイレ付きのバスも確認した。 …誰もいない。  
任務終了。部屋を出ようとして  
 
 背筋が凍りついた。  
 
   
 男がドアを背にして立っている。  
 
 真っ黒なスーツを着たその男は、煙草の煙をくゆらせながら言った。  
 
 「お仕事ご苦労様。 …ただ、「刈り残し」は良くないな」  
 
 私は男の言葉が終わらぬまま無言で銃を抜き、撃つ。  
殺しに会話など不要だ。  
 
 しかし、当たらない。  
男はひらりとターンして身をかわす。  
 
 銃を、撃つ、撃つ。  
 
 男はかがみ、ステップを踏み、ターンして、こちらに近づく。  
まるで舞を見ているよう。そんなバカな!  
私の狙いを外すなんて、そんな男が!  
 
 「君の名前は?」  
 
 言いながら、男は私のバックを取る。  
すかさず銃を男に向ける。いや、向けられない。  
男は私の銃を持っている右腕を捻り上げる。  
 
 「うっ… うぐ!」  
 
 私の顔が苦痛に歪む。男はギリギリと力を込めて捻りあげ続ける。  
ものすごい力だ。一見華奢そうに見えるこの男にこれほどの力が  
あるとは信じられない。  
 私の右腕の骨が軋みを上げる。とうとう私は相棒とも言える  
銃を床に落してしまった。ゴトリと鈍い音が響く。  
 
 「名前を教えて欲しいな」  
 
男が再質問。穏やかだが促すような口調だ。  
 
 「ろ… Rose Bud」  
 
 「Rose Bud? バラのつぼみ? 映画ファンかい?」  
 
 「知ってるとは意外ね」  
 
 「[市民ケーン]位なら誰でも知ってるさ。  
…当然、本名じゃないんだろ?」  
 
 「言えるわけ無いでしょ、本名なんて」  
 
 会話を続けながら、男の隙を伺っている。  
銃は、今取り落としたので最後。あとは弾切れのおもちゃが  
数丁手元にあるだけ。となれば、左腕のスーツに仕込んでいる  
アーミーナイフに全てを賭けるか。  
 
瞬間、左肩にピリッとした感覚が。  
 
 「…っ!?」  
 
 続いて右肩。  
 
 「さて、失礼をしたね」  
 
 男は、私の右腕の拘束を外してしまう。  
…バカな?  
 
 しかし、何故かと考えている場合ではない。  
瞬間、左腕のナイフを取り出し、背後の男に  
 
 …!?  
 
 ナイフを落としてしまう。  
何故!?  
 
 左腕に力が全く入らない。右腕もだ。  
まるで、他人の腕のように自分の思うように動いてくれない。  
…さっきの痛み、何か細工をしたな!  
 
 「おやおや。物騒なものを隠していたね」  
 
 男が私のナイフを拾い上げ、懐に収める。  
抵抗の手段を奪われた。  
 
 しかし、この私をこれほどまでに圧倒する男とは…  
こいつ、手強い…!  
 
 私は、渋々その事を認めざるを得なかった。  
悔しそうな目で男を睨み付ける。  
 
 「私を… どうするつもり?」  
 
 「こうするのさ」  
 
 「ッ!?」  
 
 言うが早いか、背後の男は私の顎を持ち上げ、  
顔を近づける。  
 
 唇と唇が、重なり合った。  
 
 
私は男が嫌いだ。  
 
 私は、孤児としてとある組織に拾われ、そこでスプーンの使い方を覚えるよりも早く人間の急所を的確に突いて殺す訓練を受けた。  
そのような場所では女性優遇などあろうはずも無く、  
共に孤児として連れて来られた男たちと  
同じ場所で食事をし、同じ場所で入浴し、同じ場所で寝た。  
そこで私は嫌という程男という生物の醜悪さを知った。  
奴らと同じ空気を吸うだけで、体が芯から腐っていく気がする。  
私と同じく孤児だった少女はそこの男どもの慰み者となった。  
彼女はいい子だった。私の親友だった。  
それなのに。 …彼女が何をしたというのだ?  
ただ少女だっただけだ。なのに… 嫌がる彼女を  
男どもは寄ってたかってその体を犯した。嬲った。蹂躙した。  
その時私は思った。  
男に負けたくない。この腕で男を圧倒してやる。  
その一心で私は生きてきた。  
そして… 気づいた時は、私は組織では並ぶものの無い  
殺し屋として知られていた。最強の殺し屋。血に塗れた戦士。  
私の願いは、叶えられた。  
 
 …そして私は、ここにいる。  
 
「キスされてる!? 私が?」  
 
 狼狽している私の事などどこ吹く風、男の舌が私の  
口内に侵入してきた。途端、強烈なヤニ臭が私の  
口の中を満たす。  
 
 こんなのはいやだ!  
 
 顔をしかめ、キスから離れようと私は身体を男から遠ざけようとする。  
当然男が離してくれるはずも無く、後ろから身体を抱きすくめ、  
私が逃げられない体勢を作り出してしまう。  
 
 がっちりと後ろから両手を前に回され、  
濃厚なキスは続く。  
 
 「ン… ぅん… はっ… んちゅっ…」  
 
 男の舌は私の口内を余す所無く蹂躙する。  
歯茎、舌の裏側。頬の裏側、  
そして、舌と舌が絡まりあった。  
 
 「んっ! ふぅんっ…! ちょ… やめっ…!  
……んんっ!!」  
 
 キスの状態からなんとか顔を離し、抗議しようとすると  
体を正面に回され、再び唇を塞がれる。  
 
 立ったまま正面を向き合い、唇と唇がぴったり  
重ね合わされ、舌が絡まり合う濃厚なキスが再開される。  
 
プチュ… ピチャ… クチュ…  
 
 時折、唇と唇の間から唾液の音が零れ落ちる。  
嫌でもその音が耳に入ってしまい、私は  
羞恥に頬を染める。  
   
 「んんっ、プチャ… くちゅっ…」  
 
 男は、私の背をドアに押し付け、  
逃げられないようにサンドイッチ状態にし、口腔愛撫を続ける。  
   
 男の舌技は、巧妙だった。  
私は、男になんとか対抗しようとするが、知らぬ間に  
逆に男の行為に協力するような形を取らされてしまう。  
 
 舌と舌が絡まり合い、私の口内で淫らなダンスを踊る。  
 
 「!!」  
 
 男の唾液が口内に流し込まれる。  
 
 「んっ…! んっふぅーっ!!」  
 
 私はいやいやをするように顔を左右に振る。  
男が逃がしてくれるはずも無く、どんどんと口内が  
男の唾液で満たされていく。  
 
「ンッ… ンッ… ンッ…」  
 
 もうどうしようもない。諦めたように私の喉がコクコクと鳴り、  
男の唾液を飲み下し始める。  
   
 く… 屈辱だ…!   
 
 男の唾液が口内から喉を通り、食道、そして  
胃の中に収められていくのをイヤでも感じてしまう。  
吐き気が込み上げる。戻したい。  
 しかし、しばらくその状態を続けていると、私の身体に  
変化が生じた。  
 
 身体が熱い。  
まるで強い酒を飲み下しているような、身体の奥底が  
カアッと燃えるような感覚。膝が笑う。  
身体の均衡が崩れ始めている。  
男の唾液は徐々に私の理性を蝕み始めていた。  
   
 男がさらに私をドアに追い詰め、  
私の両足の間に男の膝が差し入れられた。  
脚を閉じたくても閉じられない。内股の情けない格好を晒し、  
プルプルと太股が羞恥の痙攣を始める。  
男の胸板に私の乳房が押し潰される。  
両方の胸から鈍い痺れが体中に広がる。  
 
 ま… まずい…  
 
 私はなんとか逃れようと、男との間に両手をさし込み、  
体を離そうとするが、その手を男の手が  
やんわりと押し退け、逆に、指と指が絡められた。  
 
 …これでもう、抵抗できない…  
信じられない、私が男なんかに体を自由にされるなんて…  
 
 男とドアに挟まれ、口の回りは唾液だらけ、  
乳房は押し潰され、両手は抑え込まれて…  
 
男の陵辱は続く。  
 
 プチュッ… チャクッ… プチョ… プチュルルル…  
 
 「ンフッ… んはぅ、 ンン… ッ… くっ、くぅん…」  
 
 口腔愛撫の音は激しさを増し、私は翻弄されていた。  
アサシンとして育てられた私は、「教育の一環」として  
性的行為も教え込まされている。  
耐性だって、人一倍あると思っていた。  
 
 だが、この男の愛撫は、並ではない。  
その技巧の前に、  
ただただ私は組み伏せられ、  
蹂躙され、  
屈服を強いられる。  
 
 こ… こんなことって…!  
 
 そうこうしている内に、私の体に変化が訪れる。  
 
 頭の中が、白で覆い尽くされる。  
それは、最初はぼんやりと、漠然とした  
感覚のみであったのが、  
次第に、  
徐々に、  
段々と、  
 頭の中が、白になっていく。論理的な思考が結べなくなっていく。  
身体がボウっとして、火照る。  
 
 「んっ… ふぅあっ…」  
 
 まさか… 感じている!?  
キスだけで… 私が… 男なんかに!!  
 
 私が混乱している間にも、身体の疼きは大きさを増していく。  
 
 胸が擦られ、背筋に甘い痺れが走る。  
 
 ジュワッ…  
股間が恥ずかしい液で濡れるのが分かる。  
 
唇の間からは、飲み下し切れなかった唾液が零れ落ち、  
顎を伝って床へと淫らな銀色のアーチを幾筋も描く。  
唇と唇の間から時折覗く赤く濡れ光る互いの舌は、  
人間のものではなく、なにか別の淫靡な軟体生物のよう。  
互いの軟体生物は唾液にまみれ、交尾をするように淫らに絡み合う。  
しかし、片方の生物は、もう片方の暴虐にただただ耐え、  
逃げ惑い、その度に捕えられ、蹂躙を再開され、  
犯し尽くされているように見える。  
    
 まるでむわっと匂い立つような淫らな姿。  
そして、その当事者は他でもない自分なのだ。  
 
 く… 悔しい。  
 殺してやりたい。  
 自分にこのような痴態を演じさせる男を。  
 せめて… せめて奴の舌を噛み切って…!  
   
 しかし、その口から発せられるのは  
 
 「んくっ… ンッふぅーん…」  
 
 という、鼻に掛かった淫らな吐息だけ。  
この声を自分が出していると言うことすら信じ難い。  
 
 私は… そんな女じゃないのに…  
 
 ペチュ… プチュく… チュパあッ…  
クチュルルルル… くパッ…  
 
 男の行為が激しさを増す。  
 
 「くっ… くふぅ… ンひっ…!」  
 
 それに比例して、私の喘ぎも強くなる。  
私の痺れは無視できないレベルに達し、股間から溢れ出る恥ずかしい液は既にショーツを激しく濡らしているだろう。  
身体は制御不能の甘い悲鳴を上げている。  
閉じることを許されない両足はカクカクと笑う。  
背中は私の意思を裏切って弓なりに反り上がり、  
男を誘うように胸を突き出す。  
なんて淫らな姿勢…!  
私は赤面するのを抑えられなかった。  
 
 「クッ… ンクふぅ…!!」  
 
 もはや一刻の猶予も無い、早くこの淫らな戒めを  
解かないと…!   
   
 私は激しく体を前後に揺らし、顔を振りたて、  
縛りを解こうとした。セミロングの髪がボサボサに乱れてしまうが  
構っている暇は無い。  
 
 しかし、私の必死の抵抗を嘲笑うかのように、  
男の両手が私の手から離れ、私の両頬に添えられた。  
 
 「んんッ…!」  
 
 だっ… ダメ!!  
 
 喘ぐ私。そんな私を見て満足そうに男は微笑むと、  
止めを刺そうと、震える私の舌に自分の舌を絡ませた。  
そして、  
 
 ジュルルルルルルッ!!  
 
 激しく私の舌を吸い立てたのだ。  
 
 「ンッ!! くひぃ…! くっ…ふぅぅぅぅぅーん!!」  
 
 ぴゅっ…! ぷしっ!  
私の体が,弾けた。  
 弓なりに反り上がった身体はこれ以上ムリだという  
状態で静止し、二の腕やふくらはぎがピクピクと甘い痙攣を起こす。  
恥唇からは淫らな汁の噴出がショーツを濡らす。  
 
 イ… った…?  
 
 信じられない。軽くイった。キスだけで…   
絶頂に達してしまったのだ。  
 
 ぷちゅっ。  
 
 男が長い間拘束していた唇を離す。  
どれくらいそうしていたのだろう…?  
10分? 20分? 分からない…  
時間の感覚がぼやけるなんて感覚は、  
私にとっては初めての体験だ。  
 
 男が密着姿勢から身体を離す。  
私の膝がガクガクと笑い出し、へたり込みそうになるのを  
背中のドアに寄りかかる事で何とか堪える。  
 
 …プロの殺し屋の私が、こんな…  
 
 呆然とする。キスだけで立てなくなるほど感じたのだ。  
股間からは続きを欲する甘い疼き。  
男に達したことを悟られていないだろうか…  
唇の端からこぼれる唾液を拭い取ることも出来ず,  
しばし甘美なキスの余韻に浸る。  
 
「男は,初めて?」  
 
 男は、悪びれず聞いてきた。  
その顔には勝利者特有の余裕の笑み。  
 
 「くっ…!!」  
 
 私は,キスに潤んだ瞳で男を睨み返すことしか  
出来なかった。  
 
 そして、男は私に向けて宣言する。  
…これからの夜を予感させる宣言を。  
 
 「気に入ったからね。頂くことにするよ」  
 
 
静かな夜。  
部屋の外からは地中海の潮騒の音が聞こえるのみ。  
 
 しかし,部屋の中はそのような静寂には似つかわしくない  
空気が漂っていた。  
 
 殺し屋の私は、甘く痺れた身体に鞭打って  
再び男と対峙していた。  
 
 「ほら… こっちに来なよ」  
 
 男が私の腕を握り、引っ張る。  
私の身体は、先ほどの愛撫の余韻が残っており、  
おかしいほどに自由が効かない。    
   
 あっけなく男の側に引き寄せられてしまう。  
勢い余って,男の胸板に顔を埋める形になってしまう。  
 
 途端に、私の鼻腔にむせ返るような男の匂い。  
 
気持ち悪い…!!  
 
 醜悪な,男の匂い。  
男,私の敵!!  
 
 私は思い切り男を突き飛ばし,後ずさった。壁を背にして  
両手で胸を隠すようにガードする。  
トップレベルの殺し屋としては余りにも初々しい少女のような仕草だが、  
混乱している自分では気づかない。  
 
 男が、私のほうに近づいてくる。  
 
 「男は,初めてか?」  
   
 先ほどの質問を再び聞いてくる。  
私は、追い詰められた獣のような目で睨み付ける。  
 
 男は全く頓着することなく再び私に口付けた。  
 
「んんっ! ふぅ…!」  
 
 だめだ! だめだ!   
 再び私の身体の内側でくすぶっていた官能の炎が  
燃え出し始める。  
 早く逃げ出さないと!  
頭の中で警鐘が鳴り響いているが、身体は容易にそれを裏切り、  
ただ両手を弱々しく男の胸板に添えるのみ。  
   
 男が私の口内を思うがまま蹂躙し尽くし,唇が離れた。  
 
 「ンッ… く…!」  
 
 両手で身体を掻き抱く。  
男が身体から離れたことが,堪らなく寂しい。  
身体が,熱い。  
舌が震える。  
口内が、もっと、もっとと騒いでいる。  
 
「よっと」  
 
 男が私の肩を抱き,歩かせる。  
私は、抵抗できない。  
身体から抵抗する力を根こそぎ奪われている。  
 
 「ほい」  
   
 「うっ!!」  
 
 部屋の中央にある大きなテーブルに乗せられる。  
仰向けに倒れ付した私を見下ろす男。  
男の背後に見える天井の室内灯の白い光が眩しい。  
 
 「やっぱり、初めてらしいな」  
 
 「違うわよ!!」  
 
 私は叫ぶ。答えなくてもいい事なのに…  
 
そう、私は男は初めてではない。  
男には何度か抱かれたことがある。しかし、その度に  
男の醜悪さと、愚かさと、いかに女を道具としてしか  
扱っていないかを確認するだけだった。  
ゆえに、男との性行為で感じることも無かった。  
 
 自然と私の相手は、女が中心になっていった。  
同性と寝ると、気が休まる。安心できた。  
 
 同性との性行為は、主に私がタチ、  
いわば「責め」だった。私の技巧に同性が悶え泣き、  
本気の証を迸らせながら絶頂に達し,昇天するのを  
見るのが何より楽しかった。  
 
 だから、私は処女ではない。性経験は  
人並み以上に積んでいるつもりだ。  
 
 …しかし、この男は…  
 
「いやーっ!!」  
   
 男の手が私のスーツのジッパーを下ろし始める。  
服を脱がすつもりなのだ。  
 
 「おとなしくしなよ。初めてじゃないんだろ?」  
 
 言いながら、ジッパーは腰のあたりまで下ろされてしまった。  
 
 「いやっ!! やめ…… んっんゥーっ!」  
 
 暴れる私の動きをキスで封じ、男は作業を続ける。  
男の指がスーツの肩に掛かる。  
ゆっくりとスーツが下ろされていく。  
しかし,唇を塞がれている私は弱い抵抗しか出来ない。  
肩をすくめ、スーツが脱がされるのを何とか抑えようとする。  
…男の手の前に、全ては空しい抵抗に過ぎない。  
 
 ああっ…!  
 
 私の素肌の肩が外気に晒される。  
男の手が止まる。  
 
 「ほう」  
 
感心したように男が呟く。  
男の目は私の左肩に注がれている。  
私の左肩には,刺青。  
 
 バラのつぼみの刺青があるのだ。  
 
 「Rose Budとは良く言ったもんだ」  
 
 私は唇を噛み、ワナワナと震える。  
 
 …こんな奴に,見られてしまった…!  
私の刺青を…  
私の印を…  
私の、純潔のつぼみを!  
 
 「見ないで! 触らないで! 殺してやるっ!!」  
 
 「何怒ってんだよ… 褒めてんだよ。綺麗だって」  
 
 男が私の刺青に口付ける。  
 
 「あっ…」  
 
 身体がピクンと敏感に反応する。  
憎い男の愛撫でも、快感に変換してしまうらしい。  
 
チュパ、チュピ… プチュッ…  
 
 男は私の刺青に口付けを繰り返す。  
まるで、そうする事でバラのつぼみを咲かせることが  
出来るかのように…  
   
 「いっ… いやあっ! いやっ…!  …ぃや」  
 
 私の抵抗は快楽に弱められ,  
まるでその愛撫を悦んでいるかのよう。  
 
 男は刺青を気に入ったらしく,口付けから  
本格的な舌での愛撫に切り替える。  
 
 私の刺青は、男の舌に  
舐められ,  
吸われ、  
挫かれ、  
押され,  
震わされる。  
 
 男の執拗な愛撫を受ける度、  
私の口からは  
 
 「んっ…! ふぅ… くぅ…ん!」  
 
 という淫らな声が漏れる。  
 
私の印が…!!  
こんな男に汚されてる…  
 
 私は、大事なものを汚される羞恥と屈辱と怒りと、  
それを上回る快楽に震えた。  
 
 私のバラのつぼみは、男の侵略を受けていた。  
それは、私の誇りそのものと言って良かった。  
その誇りが今、憎い男の手によって余すところ無く  
陵辱されようとしている。  
 
 バラのつぼみはふるふると震え、男の淫ら極まりない性の攻撃から  
その純潔を守ろうと堪えているように見える。  
 
 しかし、それはまた今までその身が味わったことの無い  
快楽を与えてくれる男との出会いに喜び、  
わなないているようにも見える。  
 
 裏切られた。  
私の身体が、裏切られた。  
男の愛撫で、裏切られた。  
 
 ヌロォー…ッ  
 
 最後に男の軟体生物のような舌が刺青を一舐めして、  
その攻撃が一旦止んだ。  
 
 私の刺青は男の唾液にテラテラと濡れそぼり、  
室内灯に照らされ光り輝くその姿は、  
ひどくいやらしく見える。  
 
 私は,敗北した。  
 
 純潔が、汚された。  
 
 私の印が汚されるのを快感に思ってしまった。  
男に汚されるのを待ち続けていたような気がした。  
 
 男の蹂躙を受けたバラのつぼみは  
淫らに濡れ光り、その身を男への屈服の快楽で  
わなわなとわななかせた。  
 
 「くっ… ううっ…ぅ!」  
 
 屈辱を堪えきれず、私の瞳からは敗北を宣言する涙。  
トップクラスの殺し屋の私が… 泣くなんて。  
 
 「なに泣いてんだよ? …そんなによかったか」  
 
 「うるさいっ…!」  
 
 余りにも恥ずかしい。見られたくない。  
今の私のこんな顔、男なんかに見られたくない…!  
 
 私は顔を背け、さらに両手で顔を覆い、  
自分の殻に閉じこもるようにして泣いた。  
 
 しかし、左肩の刺青はその逃避を許さないとでも言いたげに、  
男へ媚びるように淫らに濡れ光る。  
 
 
 
 これからこの男にされることを、暗示しているかのように。  
 
 
 
「ああっ…!!」  
 
 男は、私を逃避させてはくれない。  
卵の殻をむくように私のスーツを剥いでいく。  
 
 両手でその行為を抑えつけ、何とかその淫らな  
侵略を止める事に成功する。  
沈黙の均衡。  
 
 しかし、  
 
 「ほーらほら、どうした?」  
 
 「んくっ…! くぅう!」  
 
 分かっている。男は全然本気なんか出していない。  
本気を出したら、今の快楽に痺れた私の力なんかでは  
全く勝負にならないことくらい分かっている。  
 
 男は,いたぶっているのだ。  
どうにでも料理できる相手を前に、その狼狽振りを楽しんでいる  
だけなのだ。  
 
男なんかに,ここまで…!  
 
 悔しさに再び涙が溢れてくる。  
しかし、だからと言って好きにさせるわけには行かない。  
震える両手で、スーツが剥かれるのを防ぐだけだ。  
 
 「きっ… くあっ! あっ」  
 
 もちろん、今の抵抗は現在私に出来る全力だが、  
平時の力に比べたら、情けなくなるほど貧弱に違いない。  
 
 それ程に、これまでの男の愛撫は強烈だった。  
それ程に、私は融かされていた。  
 
 額に汗を滲ませ、瞳を瞑り、口を結び、必死の抵抗が続く。  
しかし、それを嘲笑うかのように、スーツはじわじわと  
ゆっくり身体を降下している。  
 
 既にスーツは腰のあたりまで剥かれ、  
私の黒のブラジャーと、それに包まれた両方の乳房は既に  
外気に晒されている。  
 
 顔を苦悶に歪め,肌を汗に濡らし,乳房を震わしながら  
必死に抵抗している私の姿は男の目にはさぞ扇情的に  
見えることだろう。  
 
 「ほらほら、見えそうだ!」  
 
 「うぁ! くぅっ!!」  
 
 スーツが腰のくびれに掛かる。そこには、ブラとお揃いの  
黒に統一しているショーツが…!  
 
 そこは…! そこだけは!!  
 
 「んっ! くひぃ!!」  
 
 無駄と分かっていながらも、絶望的な抵抗は続く。  
両手を股間に当て、手をプルプルと震わせながら  
挫けそうになる気力を何とか奮い立たせ抵抗する。  
 
 いいじゃない…  
そこまでしないでも…  
もう、いいじゃない…  
 
 うるさい!!   
男なんかに!  
男なんかに!  
 
 私の中での葛藤は続く。  
しかし、その葛藤の終焉は外部からもたらされた。  
 
 「んひっ!!」  
 
 背筋を走る快楽。  
背中が反り上がる。  
 
 男は、スーツの上から、私の股間に手を這わせているのだ。  
秘唇のスリットをなぞるように、上から下へ、下から上へ。  
巧み極まる指加減で私を追い詰める。  
 
 たちまち私の身体が制御不能のわななきを起こす。  
びくんびくんと意思の命令を無視して身体が跳ねる。  
   
 瞬く間に抵抗しようと言う意思が削がれていく。  
その間もじわじわとスーツはずり下ろされていく。  
 
 「くっ… くぅぅぅぅぅーっ!!」  
 
 真一文字に結んでいた唇から、とうとう淫靡な声が溢れ出る。  
スーツを抑える手の力がどんどん抜けていく。  
秘裂をなぞる男の手は激しさを増していく。  
もうスーツはほとんどショーツを隠す役目を果たしていない。  
むしろ、スーツからちらちらと見え隠れする黒のショーツが  
逆に淫猥さを際立たせてさえいる。  
私の最後の抵抗は終わりを告げようとしていた。  
    
 私は,  
屈辱に、  
羞恥に、  
怒りに、  
敗北の予感に。  
頬を染めた。  
 
 「あひぃ…!」  
 
 とうとう男の手がスーツの上から私の淫核を突き止めた。  
 
 「あっ… あぅ、 …っ」  
 
 私の瞳は、もはや男を見ていない。  
中空を見つめ、身体は最後の断末魔のわななきを起こす。  
身体は待っているのだ,憎い男に敗北させられるのを。  
男の手によって、絶頂を極め、止めを刺されるのを。  
 
 敏感過ぎるそこを、遠慮を知らない男の指がつまみ、  
 
 躊躇なく捻った。  
 
 「ひぃぃぃっ!! はぁぁぁぁぁああああーん!!」  
 
 目の前が白く染まり,下半身が溶ける。  
背中がクゥッと仰け反り、甘い痺れを起こしたヴァギナが  
ひくひくとひくつき、秘唇がぱくぱくと開閉する。  
 漏れる…! 何かが… 漏れて…ッ!!  
 
 ぷしゃっ!! ぷしっ! ぷしゃあああ!  
 
 私は,果てた。  
潮を吹いて,果てた。  
生まれて初めての潮噴きだった。  
ショーツの下で、ヴァギナが私の意思を裏切り  
愛液の噴出を続ける。愛液が下着の吸水能力の限界を超え、  
床に滴り始めた。  
 
 「あっ… あ…」  
 
 重力の感覚が失せた。青空を漂うような心地良い感覚…  
初めて味わう潮吹き絶頂の快楽を、私の身体は受け止めた。  
この快感を知ってしまったら、もう元には引き返せない…  
 あまりの快楽に私は声も出せず、ただ絶頂の嵐に  
翻弄され続けるのみ。  
しばらく仰け反ったままぷしゅ、ぷしゅっと愛液が  
ヴァギナから発射され続ける。  
 
 やがて、全ての力を使い果たしたかのように  
海老反りに仰け反った背中が、テーブルに着地する。  
 
 「んふっ… くひぃ…」  
 
 私はプルプルと痙攣し、初めての絶頂エクスタシーの快楽に  
苛まれる。  
 
 男は、スーツに乗せられた私の手をゆっくり優しく退ける。  
既に力など入っておらず、ただ添えられていただけの私の腕は  
あっさりと男の命令に従う。  
 
 右手が離された。   
 左手も屈服した。  
 
 もはや妨げるものの無くなったスーツを  
男は遠慮無く一気に足元までズリ下げる。  
 
 「いやーーーーっ!!」  
 
 男はスーツを私の足先から抜いてしまう。  
床は既に私の愛液で水溜りが出来てしまっている。  
男は私のほうに視線を上げる。  
 
私は男の目にどう写っているのだろうか?  
 
 ぐしょぐしょに濡れ光り、愛液を滴らせるショーツ。  
汗に濡れた肌。  
ぐったりとしどけなく横たわる身体。  
時折快楽に痙攣を起こす腕、足。  
初めての潮吹きに恍惚となる顔。  
髪は乱れ、瞳には涙が滲んでいる。  
 
 何もかもがどうしようもなく男を欲情させ、誘う。  
私が憎むべき、男を。  
 
 そして、目の前の男も、当然誘われたのだ。  
動けない私の身体に覆い被さる男。  
 
 
 
 本格的な陵辱が、始まった。    
 
 
 
男なんかに。  
 
 「くひぃ…っ!」  
 
 本格的な愛撫に、絶頂に震える私の身体は為す術なく  
翻弄されていた。強烈な快楽の前に理性の壁は次々に  
崩され、本能を剥き出しにされていく感覚に怯えた。  
 
 既にブラジャーは鎖骨の所までズリ上げられ、  
直に乳房を嬲られる感覚に晒される。  
テーブルの上で、男と体を重ね合わせ、愛撫される。  
 
 男の指が、舌が。  
 
 私がこれまでに経験したことの無い快楽を  
私の中に注ぎ込んでくる。気持ちが良すぎる。  
身体が胸から融かされそうだ。泥沼にズブズブと  
はまり込んで行く感じがする。  
 
快楽に晒され、  
 快楽に溺れ、  
 快楽に染められる。  
 
 もはや私は狩る側ではない。  
縮こまって「喰われる」のを待つ小鹿だ。  
目の前の男にただ黙って男の望みのまま  
翻弄され、  
陵辱され、  
蹂躙されるだけの、弱々しい小鹿に成り下がった。  
 
 
…そうされたかったんでしょ?  
 
 
 私の中の「わたし」が囁き掛ける。  
 
   
 本当は男に嬲られたかったんでしょ?  
 本当は男に汚されたかったんでしょ?  
 本当は男に蹂躙されたかったんでしょ?  
 
   
 違う! 違う!   
男は醜くて、汚くて、臭い!  
 
   
 そして、男は快楽をくれる。  
 
 
 違う! 違う!  
 
 
 そして、  
男に抱かれたい。  
胸板に顔を埋めたい。  
貫かれたい。  
昇天させられたい。  
 
 
 違う! 違う!  
 
 
 私は残された気力を振り絞り、男を睨み付ける。  
 
 「男なんか、男なんか!」  
 
 目の前の男は、いぶかしみながら私を見下ろす。  
乳房から口を離し、私の顔を覗き込む。  
 
 「…何?」  
 
 「こんな事なんかで、感じるわけ無い!  
男なんかに、イかされるわけ無い!!」  
 
 「…何を今更」  
 
 男は再び、私の胸にしゃぶり付き、愛撫を再開する。  
 
 「……!! ……っぅ!!」  
 
 私は血が出るほど唇を噛み締め、迫り来る快楽に耐えた。  
 
 男なんかに感じさせられるはずが無い!  
男の指なんか、舌なんか! 気持ち悪いだけだ!  
 
 男は巧緻極まる加減で胸を激しく、優しく、虐めた。  
ぐにぐにとイヤらしく次々に形を変え、男の好きにされる私の乳房。  
私は男の手を止めようとするのだが、快楽に融かされ意識を  
たやすく裏切って一足先に男に隷属してしまった私の身体からは、  
自分の手を男の手に弱々しく添えるのみの抵抗しかない。  
私の両乳房を這い回る男の手と、それに添えられ、  
同じ動きをしている私の両手。  
その仕草はかえって淫靡さを強調して  
男の興奮を高めてしまっているというのに…  
 男は乳首を咥え、吸い、しごき、捻り、引っ張った。  
 こ、この男… 上手すぎる、抵抗できない…  
こんな快楽、今まで…!  
私は、心の奥底で認めてしまった。  
認めざるを得なかった…  
 
 「感じない! 感じてないっ! 感じてるはず…ぅぅうう!!」  
 
 私の体は意思を完全に裏切り、官能の炎が全身に燃え盛る。  
 
 男の指が、両方の乳首を同時に捻る。  
 
 「あーっ!! 感じてない…! 感じて…あーっ!!」  
 
 私の背が仰け反り、またしても制御不能のわななきに震える。  
太ももがぴくぴくと痙攣し、絶頂が近いことを男に伝える。  
また負けてしまう、男に負けてしまう…  
 
 男が乳首を噛み、私に止めを刺した。  
 
 「ひっ! んひぃぃぃぃぃぃいいーっ!!」  
 
 私の背がクゥッと曲がり、足をピンと伸ばし、  
三度目の絶頂に達した。胸だけでイかされた。  
体がアクメの快感に痺れる。膣口からは絶頂の証が  
噴出する。屈辱的な絶頂。憎むべき男の手によって  
刻まれた刻印。  
 私の意思は快楽とプライドの狭間で揺れ動く。  
この快楽を享受して悦んでいいのか、悲しんでいいのか、  
本当に判断がつかなかった。  
 
 混乱を極める私を尻目に、男の愛撫は続く。  
今度は男は目標を私のショーツに定めたらしい。  
男の指がショーツの中に潜り込む。  
 
 「ひぅっ!?」  
 
 端から見て滑稽なほどに私の体がビクつき、跳ねる。  
きっと当事者でなかったら、私自身も笑ったと思う。  
 
 「おいおい、グッチョグチョだな」  
 
 男が感想を述べる。  
恥ずかしい…! 消えてしまいたい!  
もちろん、そんなことを思った所で消えてしまえるはずも無く、  
男の陵辱が弱くなるわけでもない。  
 
 そして、男の攻撃が始まった。  
 
 クチャ、クチャッ、クチョクチョッ、チャプ、くチャプ…  
 
 たちまち部屋の中が淫靡な音で埋め尽くされる。  
無論、その音を立てているのは私自身なのだが…  
 
 強烈な快感が、私の股間から全身に広がる。  
膣口には、男が淫ら極まる指技で私の愛液を  
掻き乱し、混ぜ合わせ、奥から新たな愛液を  
噴出させようと蠢く。  
 股間で、別の何か淫靡な生き物が私を責め苛んでいるようだ。  
 下半身が快楽で撫で融かされそうだ。  
 
 あまりにも淫らな音に我慢が出来ず、耳を塞いだ。  
耳を塞いでも聞こえるので、頭を振ってみる。  
これでもダメなので、せめて憎い男に喘ぎ声を  
聞かせてなるものかと、指を噛んで声を抑える。  
 
 「聞かせろよ。 …イキ声」  
 
 男のもう片方の手が私の指を押さえ、優しく口から  
引き離してしまう。抵抗する手段を封じられた私は  
かえって切なさが強まってしまった。  
 
 「んくふっ…! ひあぁぁぁ!」  
 
 男なんかに… 男なんかに…!  
 
 男の指が深々と私のヴァギナに突き立てられる。  
耐えられるはずが無い。私は達していた。  
 
 「んひいっ! いっ…くぅぅぅぅぅうううううーんっ!!」  
 
 ぷしゃ、ぷしゃっ、ぷしぃぃぃっ!!  
 
 私は、高らかに敗北宣言である嬌声を上げた。  
四度目の絶頂。本人が望まぬ絶頂。またしても潮吹き。  
股間から淫らな香りが立ち上り、男の更なる欲情を誘う。  
男に身体を差し込まれ、閉じられぬ両足はピーンと真っすぐ  
中空に伸ばされ、ふるふるとそこでイヤらしく固定され、  
自らの悦びを男に教えてしまう。  
私のヴァギナが男の指を締めつけ、子宮に取りこもうと収縮を始める。  
 
 私は、この瞬間、自分は女であることを理論ではなく、  
本能で実感させられていた。  
 精液など出るはずが無いのに、節操の無いそこは  
快楽を与えてくれる物なら何でも男のペニスと認識し、  
その子種を与えてくれる液体を搾り取ろうとするのだ。  
   
 それがヴァギナの役目だから…  
 それが女の役目だから…  
 
 「まだまだ!」  
 
 男が絶頂にわななく私の膣から指を抜き、うつ伏せに体を  
ひっくり返す。私の裸の乳首がテーブルに擦れるが、  
その痛みすら今の快楽に痺れた身体は快楽として認識してしまう。  
そして、男の指は再びショーツの中へ。  
震え、縮こまっている私の淫核に目標を移す。  
淫核はまるで、これから男に施される淫らな暴虐を  
恐れているかのように、ふるふると弱々しく痙攣する。  
男の指が、包皮をゆっくりと剥く。  
 
 「ひいっ!!」  
 
 私の剥き出しのクリトリスが外気に晒される。  
ショーツの生地に触れているだけで達してしまいそうだ。  
 
 私は激しく悶え、抵抗し、テーブルの上で淫らな踊りを踊る。  
爪が激しくテーブルを引っかく。テーブルには爪痕による  
無意味で不可解な紋様が次々に刻まれていく。  
テーブルの装飾品、調味料、花瓶が激しく音を立てて  
床に落とされる。  
 
 「い、いやっ、いや、いやぁぁぁああ!!  
気持ちいいのやらぁぁああ! もう気持ちよくしないで!  
あっ、ああっ! あひんっ! もう、イきたく、ないぃぃぃいい!!」  
 
 「暴れるなよ、やりにくい」  
 
 滅茶苦茶に暴れ、意味不明な言葉を叫ぶ私を男は押さえつけ  
冷徹に、確実に。私を絶頂への階段を強制的に上らせる。  
 
 男は、クリトリスの皮を再び被せてしまう。  
そして、また剥く。  
 
 包皮を被せ、剥き、被せ、剥き、被せ、剥く。  
 
 あまりの衝撃に私は声も無く快楽の嵐に晒されていた。  
 
 「…………っ、っ、ひぃぃぃぃぃぃいい!!」  
 
 しゃっ、しゃっ! ぷしゃあああああ!  
 
 また絶頂。連続絶頂の嵐に晒される。  
どうやらイキ癖がついてしまっているようだ。  
秘口から絶頂の証が迸り、陵辱者の手を熱く濡らす。  
 もっとわたしに気持ちいいことをしてと、濡らすのだ。  
 
  「あっ… あうっ… あひぃ…」  
   
 私は声も無く仰け反る。もはや暗殺者としての私など  
影も形も無い。  
 ここにはただ、強い男に蹂躙されて歓喜の涙と潮を流す  
一匹の牝がいるだけだ。  
 
 「くっ… 悔しい… 悔しい… 男なんか…!」  
 
 私ははらはらと涙を流し、悔しさに歯噛みした。  
 
 
 私は、女だ…  
   
 そして、女は、男に、勝てない…  
 
    
 「どうやら分かったようだな」  
 
 
 男は嫌味なほどの笑みをこぼし、次の行動に移った。  
愛液でグシャグシャになって既に用を成していない私のショーツを  
脱がしてしまう。  
とうとう私のヴァギナが直接男の目に晒される。  
 
 「あっ…」  
 
 今まで散々嬲られ、陵辱されきっていると言うのに、  
やはり恥ずかしかった。羞恥で私は頬を赤く染める。  
 ヴァギナから零れ落ちる愛液が床へ向けて  
一筋銀色の糸を垂らす。  
まるで男の注意を引き、誘っているように。  
さらに私は頬を染めた。  
 
 次は何をされると言うのか…  
 
 私の中には、これから起こるめくるめく陵辱への  
恐怖感、  
敗北感、  
そして、  
期待感に震えていた。  
 
 
 
 床には、先ほど私が落とした花瓶が割れ、破片が散乱している。  
花瓶に生けられていた花…  
 
 バラのつぼみ。  
 
 バラのつぼみは、地に落ちた。  
 
 
 
 

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