心地よい暖かさが全身を包んでいる。  
深い眠りから目覚めたその体に意識はすでに戻っているのだろうが、瞼を上げるには未だ至らない。  
代わりに行われているのは、相変わらずの可愛らしい唇から漏れ出るスヤスヤという穏やかな呼吸のみだった。  
包み込むような、やんわりとした感触が再び琴乃を美しい真っ白な眠りの世界へ誘う。  
それに導かれるまま、琴乃は己の思考をゆっくりと時間が流れる別世界に沈めてゆく。  
 
『琴乃ちゃん。琴乃ちゃん……』  
 
優しい口調。まるで愛おしいものを包み込むかの様に声をかけるそれは、微睡む意識のただ中にいる琴乃を眠りの世界からすくい上げる。  
 
「だれ……?」  
 
柔らかなベッドからのろのろと半身を起こすと辺りを眠け眼で見渡す。目に映ってきたのは見知らぬ広い寝室であった。  
洋風の部屋らしく、部屋の隅には幾つかのクラシックな造りの調度品やテーブルが置かれている。柔らかな朝日の粒子が満ちている。  
部屋全体が温もりを持っているようで、朝特有の縫って伝わってくるような寝起きの冷たさも感じない。  
体を覆っていたのは高級そうなシルクの毛布一枚だった。  
それから抜け出た身体を見ると、下着一枚纏っていない美しい乳房があらわれていた。  
肌理の細かい肌と豊乳は朝の日差しを受け輝き、先端をツンと上向かせてその大きさを誇示している。  
 
「どうして私こんなところで……。それにこんな格好で……」  
 
琴乃はどうしてここで眠っているかを思い出そうとするも、全く記憶が思い浮かばない。  
昨日はいつも通り、見知った自分の部屋で眠りについたはずだ。私は夢遊病にでもかかってしまったのだろうか?  
 
『琴乃ちゃん。琴乃ちゃん……』  
(またあの声……。一体誰なの?)  
自分の名前を呼ぶ声がどこからか聞こえてくる。しかしこの部屋にいるのは琴乃本人だけだ。それになぜだろう?  
よく耳を澄ましてみれば聞き覚えのある声だと分かった。なのに何故かその声の持ち主の姿が浮かばない。  
見知らぬ場所に訳も分からずただ一人いる状況に琴乃はいよいよ不安をおぼえた。  
 
『大丈夫。何も怖くないんだよ。琴乃ちゃん』  
 
またあの声が頭に響く。この状況で唯一自分の状況を説明してくれるかもしれない存在に琴乃は耳を傾けた。  
 
『ここは琴乃ちゃんにとっての楽園。もう何もつらいこともない。我慢する必要も無い。琴乃ちゃんが琴乃ちゃんでいられる場所なんだよ』  
 
楽園?語りかけてくる存在はここを楽園と言うが、どういうことか理解できない。  
しかし、しばらく考え込んだ後、琴乃は一つの結論に達した。なに、たいしたことではなかった。むしろ考えるまでもなかった。  
これは夢なのだ。それならば全て合点が行く。ここが楽園だと言われるのもそれならば理解に難くない。  
 
『そう、ここはあなたの夢。琴乃ちゃんの待ち望んだ世界……。何をしてもいいし、何をしても許されるの……』  
 
やはりここは夢の世界だ。ここに私を恐れさせるものは何もない。  
そう分かると、一時身体を強張らせていた緊張が一気に解かれ、瞼を閉じて再びその身をベッドに預ける。  
ここが待ち望んだ世界、改めて考えてみるとある意味その通りなのかもしれない。ここなら周りの煩わしさからも開放される。  
そう思うと同時に、琴乃は今までその煩わしさからいつも振り切れなかった自分を思い出す。  
 
その取り分け人目をひく容姿と傑出した成績で琴乃はつねに他人より一目置かれる存在として育ってきた。  
しかしその反面、琴乃は常に他人の期待に応えようという思いに引き締められてきた。  
よく知る友人に助けられつつも、どこか特別視される琴乃に対して同級生から疎ましく思われ、嫌がらせを受けた経験も少なくない。  
そのせいか積極的に人に接するというのは琴乃の苦手とするところであった。  
家庭での状況は、ドラマでよくあるように親が教育にうるさく、子供に無理強いをしてきたという訳でもない。  
むしろ琴乃の両親はいつも自分の好きなような、やりたい事を勉強すればいいと言ってくれる。だが分かってしまう。  
言葉では自由にしてよいと言いつつも、無限の期待を込め琴乃の将来が必ず成功するものだと信じて疑わない。  
その自分への視線が分かってしまう。特に気にするべきでない。当たり前のことだ。  
だが結局、私は何も決められないまま、いつも人の決めたルールのなかで、たまたま良い成績をただ残してるだけだ。そう思ってしまう。  
めずらしい話でもない。他人に涙を誘うほどのことでもない、ごくありふれた一人の少女の悩みだ。  
だが琴乃はこの時、その事を人一倍心の中で気に病んでいたのかもしれない。  
 
『何も恐れることなんてないよ。さぁ、また目を開いて。何もかも忘れさせてあげるおまじないを私が教えてあげる』  
 
またあの声が聞こえる。琴乃は言われたとおり再び瞼を持ち上げた。  
 
「なに、これ……?」  
 
開いた目の先にはもう一人の琴乃がいた。いや、一瞬驚いて分からなかったがそれは鏡であった。  
巨大な鏡で自分の全身を写すどころかこの大きなベット全体までも写しこんでいる。  
衣服を一切着込んでいない、ベッドの中央に横たわる裸の少女を琴乃はじっと見つめる。  
 
『キレイでしょ……?こんなに素敵でエッチな身体してる子なんて他にいないよ。きっと女の子なら誰でも羨ましがってるよ。  
男の子もみんな気になってしょうがなかったんじゃないかな?』  
 
その通りかもしれない。他の女子からは着替えのときなど羨ましいと言われたことなど枚挙に遑がない。  
そういえば水泳の授業で水着を男子の前に晒したときなど、幾人もの男子が自分へ熱い視線を送り続けられた事など忘れられない。  
さらに後で知ったことだが、その水泳の授業中に自分の水着姿を隠し撮りしていた者がいたのだ。  
撮った写真は男子間のなかで高額で取り引きされるのを知った時など、怖くなって次の日は学校を休んだほどだ。  
 
『ツラかったね……。何も知らないくせに、琴乃ちゃんのことを自分の好きにしたくてしょうがないんだよ……。  
でもこの身体をよく見て。こんな琴乃ちゃんだったら、みんなもっと知りたくて知りたくてしょうがないの。  
ほら、琴乃ちゃんはこんなにエッチな身体してるんだよ?』  
 
鏡に映る少女は、確かにあまりに魅力的だ。ベッドに流れるストレートの黒髪は光の粒子を取り込んで艶を放ち輝いている。  
理知的な光をたたえた黒い宝石のような瞳。すっきりと通った鼻筋に鮮やかなピンク色の唇は引き結ばれ蕾のような艶やかさだ。  
隠すもののない完全に露になっている二つの肉球は無闇に大きいだけでなく、張りがあって形がよく染み一つない琥珀色。  
その頂上に桃色の突起がツンとそそり立っている。  
豊満な乳房から腰へと伸びるくびれ、目にも眩しい太ももにはどんな女性も羨まずおけないだろう。  
秘所を守るショーツも今はなく、薄めの肉花びらは複雑な襞でありつつも左右対称で乱れなく美しい。  
陰毛は濃すぎず薄すぎず、細い茂みを蓄えている。ひっそりと佇む蕾は包皮で薄く覆われ、僅かにその可愛らしい赤い実を露出している。  
 
『ほらこんなにイヤらしい……。きっと色んな人が琴乃ちゃんでエッチなこと想像していたんだよ。  
ふふ、みんなの頭の中では琴乃ちゃんはどんな目にあっているんだろうね?』  
「あぁ、言わないで……!」  
 
頭に響くその声は記憶を掘り起こし、それに恥ずかしくなって顔を赤く染めてしまう。  
 
『それだけじゃない。琴乃ちゃんには秘密があるよね?それを教えて……』  
 
秘密、それは写真の売買を知って次の日に休んだときに起きた。  
私がどんな風に男子に見られてるか知って、布団の中でうずくまって僅かに震えていた。  
だがそれと同時に想像していたのだ。彼ら男子が想像している私はどんな姿をしているのだろう、と。  
その晩夜遅く、私は今のように鏡の前にいた。  
 
『ふふ、それからどうしたの?』  
 
衣服もまた一切纏っていない生まれたままの状態だ。  
この身体が悪い。そう思った。人を誘惑する、イヤらしい私を知りたくなった。  
男子が妄想を膨らましているであろう、浅ましい私の姿を鏡の前で自分でも演じてみようと思った。  
最初は恥ずかしさのため自分ひとりにもかかわらず赤面していたが、  
乳房を揉み上げ絞り続けるとその奥からじんわりとした悦楽が湧き上がってくる様な気がした。  
 
『そうでしょ?もっと、もっと好きな事していいんだよ……』  
 
自然と、あたかもそうする事が当然と分かりきっていたように右手が陰部に伸びていた。中指がひとりでに女泉へ沈んで行く。  
ゾクゾクと満ちてくる見知らぬ快楽に私はすぐに夢中になった。  
 
『まだまだこんなんじゃ物足りない……。そう、琴乃ちゃんはもっともっと激しいのが欲しい……』  
 
まだ手順もよく知らなかった頃の初めての行為は、瞬く間にエスカレートして、指の動きは激しさを増した。  
肉の疼きが導くまま、指が敏感な肉芽へて宛がわれていた。それを守護する皮を剥くと興奮のまま抓んだりしてしまった。  
背筋を貫く電撃に驚き酔いつつ、イヤらしい私は、もっと人を挑発出来ると思った。  
そう、もっとイヤらしく……。もっと過激に……。床に対してうつ伏せになって腰を上げてみた。  
陰部を指で刺激しつつ腰を上下左右に動かす。乳首も床に擦り付けてしまう。身体もだんだん熱くなってきた。  
得体の知らない何かが身体を突き動かしてきた。滴が股間からしたたり落ちていた。白いモヤモヤで頭がボーッとなる。  
 
『素敵……!』  
 
何かの一線を踏み越える寸前、ふと鏡を覗いた。あぁ、そうか……。コレが私を苦しませていた。やっぱりそうなんだ……。  
琴乃が見たのは快楽を貪る浅ましい一匹の獣の姿だった。お尻を振って、エッチな涎を垂らして、よがり狂って、イヤらしい……。  
その後に訪れた光の一瞬にまた何もかも忘れさせられた。だがほとぼりの冷めた琴乃は思い出してしまう。  
あの一瞬、鏡に見てしまった雌の私。ひどい自己嫌悪に陥った琴乃はそれ以来いっさいの肉欲を禁じている。  
そう誓った。  
 
『あらあら、でも琴乃ちゃん。その手はいま何をしているのかな……?』  
「え……?」  
 
そう言われるとハッとした。気付いたらいつの間にか、琴乃は自分の胸と股間をまさぐっていたのだ。  
心臓が早く鼓動を叩いている。耳が、体全体が仄かに赤く染まり、呼吸が荒くなっている。既に血潮が体中を駆け巡り熱く火照っている。  
肌がしっとりと汗ばみ、上気した頬が艶やかに輝く。重力に負けることない豊かな双丘には、右手が乗せられている。  
指に力を込められ膨らみに食い込み、肌のぬくもりが伝わり甘い痺れを奔らせていた。そしてもう片方の腕は下腹部に向けられている。  
繊細な陰毛が僅かに生えているだけのふっくらとした恥丘。  
割れ目に残ったままの右手は和毛の茂みを掌で隠し、火照った媚肉を愛おしむかのように撫でていた。  
既に恥ずかしい粘膜に濡れた秘部が剥き出しになっている。  
ヌメヌメ光る肉畝や真っ赤に染まった陰唇はもちろん、弾けんばかりに勃起した陰核も、  
その上のなだらかな丘に茂った艶々しい和毛の草叢、なだらかに起伏する下腹部、それらが合わさって淫猥な協奏曲を奏でていた。  
 
 
「わ、私……どうしてこんな……?」  
『ふふ、前にこんな事はもうしないって誓ったはずなのに、どうしてこんなことしてるんだろうねぇ?  
やっぱりそのいやらしい体が悪いのかな?』  
 
鏡みに映った、淫らな行為を続ける女。  
こんなの私じゃない。  
 
『でも今こんなにエッチなことしてるよ?』  
 
禁じているのだ。私は誓った。  
もうこんことしない、と。  
仮にこれが本当だとしても、私は悪くない。  
『じゃぁ、誰が悪いんだろうね?』  
 
悪いのは……、そう、いやらしいこの身体だ。  
ほら、やっぱり私は悪くない。  
でも、こんなイヤらしいのどうすればいいの……?  
 
『ふふ、そいつが原因なんだね?このイヤらしい身体が……。じゃぁ、お仕置きしなくちゃいけないね。私が手伝ってあげる……』  
 
大腿がひくひくと痙攣した。頭の中にぼうっと霞がかかる。疼きが下腹で渦巻いている。  
言葉にならない情欲が喉の奥から吐息になって溢れてくる。これもこの身体のせいだ……。  
懲らしめてやらなければ。あのいやらしい身体に。  
 
『じゃぁ、まず最初に琴乃ちゃんがいつも一番注目されている場所教えて。そこからお仕置きしちゃおう』  
「あぁ、おっぱい。おっぱいがイヤらしい……。みんな、ここをジロジロ見るの……。ここにお仕置きが必要なんだね……?」  
 
そう琴乃が呟くと、細指が乳肉へ沈み込んだ。その自らの手によって零れる柔肉が弄ばれ、揉みしだき、形を変化させる。  
 
『そう。それでいいの』  
 
美峰を麓より頂上へと揉み上げる。撫でては揉みこむ魅惑の緩急で、乳房の芯よりゾクゾクと危険な恍惚が湧き上がる。  
緊張の血潮が乳房に募り、揉み上げられるまま薄紅色の快感帯に集中していく。  
乳輪がぷっくりドーム上に膨れて、怯える蛇苺をことさら高く掲げて見せる。  
平面的だった乳輪はこそばゆさと含羞に充血し、白い球面から浮き立つように立体化していく。  
乳輪の縁を触れるか触れないかのところで撫でた。ぞわりとくすぐったさが生じ、白い乳膚に鳥肌が立つ。  
 
「はうぅううっ……。んふっ……」  
 
親指と人差し指の腹がその山巓を捉える。  
親指で乳輪から乳首まで一つに圧迫され、引き締まった肉体の背筋に電流が走り瞬時に感電する。  
ぬくるめく甘美な感覚に、あどけない甘酸っぱい喘ぎが溢れる。反り返った白い喉が耐えきれずに痙攣する。  
 
「あくっ、はぁはぁ……」  
『とってもお上手だね……。身体が熱くなってきたでしょ?でも琴乃ちゃんのもっとイケない所がある……。そこにもっとお仕置きしなくちゃ』  
 
まるで自分以外の何かが己を動かしているようだった。自らの指によって割り開かれる秘裂。  
流れ込んできた空気に熱く潤んだビラビラが舐めまわされ、羽で擽られている様な感覚が湧く。  
恥部に被せた指先が熱い滑りを掻き分け、潜り込んだ。指に扱かれた粘膜器官に湧き上がる電流。  
それに合わせて乳房がプルルンと震える。  
 
「あンっ、い、いや……く、ンンっ……」  
『何がイヤなのかな?ココはもっともっとして欲しいみたいだよ?頑張ってお仕置きしなくちゃダメだよ……』  
「ふあぁ……そう、だよね……お仕置きしなきゃ……私、頑張る……」  
 
人差し指と薬指は尺取虫のように伸縮し、蜜まみれの粘膜花弁を扱く。  
五本の細指をいやらしく蠢かせ、肉ビラを掻き回して卑猥な音を立てていた。単調に上下する細指の先が、次第に深度を増して行く。  
ただでさえ敏感なビラビラが熱を帯びてぷっくりと膨れ、心地よい痺れが沸き起こる。  
 
「鏡の中の私、イヤらしい……。私は普通でいいのに、ココがこんなにエッチだから……」  
 
甘酸っぱい蜜に濡れた淫華。  
肉畝からはみ出すほど成長した粘膜花弁は鮮やかに紅く、縁が細く波打って、潤みの底では小さな穴がひくひく喘いでいた。  
 
ぬぷちゅ!  
「ん、く……ふあ……あああっ」  
 
割れ目をまさぐっていた指先がとうとう肉孔を捉え、喘ぐ膣口をこじ開けて中へと潜り込んだ。  
侵入者を察知した淫穴が一気に奮い立ち、恥丘の裏側に炎が渦巻く。  
 
「はぁあ、あああ……はっ、く、イイ……っ」  
『イイ?琴乃ちゃんはお仕置きしてるんだよね?悪いのはエッチな琴乃ちゃんの身体で、琴乃ちゃんが悦んでちゃいけないんだよ?』  
「はぅ……い、今のは、間違い……。これは仕方なくやってる罰なの……」  
『ふふ、そうだよね。これは仕方ないの。さぁ、続けましょう』  
「う、うん……」  
 
鈎に曲がった中指の先は秘孔の中まで潜り込み、肉豆の裏側にある神経の快感帯を見つけ出した。  
快楽神経の集中した壺口に鈎に曲がった指先で触れると肉悦が閃いた。  
 
「はあっ……んひぃあああっ!」  
『ほらほら、こんなとこで終わってちゃダメだよ?まだまだイジめてやらないと……』  
「はぁぁ……あぁ……」  
 
遥かな高みまではじけ飛ばされそうになった意識を辛うじて引き止めつつ、向こう岸に逝こうとする私を繋ぎとめてくれる、あの声に感謝する。  
今度は割れ目に添えた手は激感の源をゆっくり愛撫し続ける。掻き立てられた快感は心地よい波紋となって膣奥に響き、子宮に淫らな熱が沸く。  
 
『お豆もこんなに勃起しちゃって……はしたないよ?琴乃ちゃん』  
「はうぅ……はしたないなんて言わないでぇ……」  
 
割れ目の端では痼った肉豆が莢を押し退けて顔を覗かせている。  
はしたないなどと罵られたせいか、その縁に色づいた肉豆を親指が思いのほか強く圧し潰してしまった。  
 
「ひ、あ……んぁぁぁぁっ!」  
 
目に炸裂する火花が映った。身体が反射的にバネ仕掛けのように仰向け反る。  
豊満な乳房が奔放に跳ね踊り、香汗に潤んだ乳谷が踊りぶつかり合う。  
その瞬間の、とりわけ刺激的な摩擦と圧迫に耐え切れず、足のつま先でベッドを掻き毟った。  
 
「や、やっぱり、もう、ダメ……。堪えられない……ふぅ……ぁぁ……」  
『こんなので満足してちゃダメだよ?ふふ、でも私から素敵なプレゼントがあるの。  
琴乃ちゃんならきっと気に入る。枕の下にあるの。それを使ってくれたら、もう好きにしていいよ……』  
「うんぁ……分かりました……使わせて、ください……」  
 
言われるがままに手を枕の下に這わせると、何やら細長いモノに指先が触れる。  
取り出して正面に掲げてみると、それは女体をより過激に弄ぶための淫具だと気付いた。  
やや小さなピンポン球を一直線に七連結させた珊瑚色の電動玩具。いわゆるアナルバイブだ。  
 
「ああ……コレは……」  
『どうすればいいかは、分かるよね?まずは準備するの。  
ほら、あの鏡をじっと見て、そこに映るエッチな琴乃ちゃんをじっと見つめながらするの。  
イヤらしい身体を懲らしめてやらなくちゃいけないんだからね、ふふ』  
「そう、です……イヤらしい私、懲らしめる、ため……」  
 
両手で包み込むように握る。鏡を奥に見据えながら、棒状のそれを拝むように持ち直した。  
伸ばした舌を平らに広げ、球一つずつに舌を絡み付け、丁重に唾液を塗りつける。先端から口に含んでピチャピチャと舐め回す。  
最後に男のソレを裏筋から舐め上げるように舌を這わせ上げると、淫棒はその役目を果たすために唾液でヌルヌルの状態となった。  
 
『上手いよ。琴乃ちゃん。さぁ、それを使って自由にしていいんだよ』  
「あは……ふぅぅ……あ、ありがとうございますぅ……」  
 
一瞬視線があった鏡の中の自分に流し目を返しながら、琴乃は濡れた淫棒を口端に押し付ける。  
しなやかに塗れる淫具の先で琴乃の頬を撫でた。細い顎から白い喉を伝い、美しく円錐を保ったままの胸を這わせて、ゆっくりと下へ。  
ぬめる連結球の先端が乳肉に触れると、唾液が塗りつけられ肌がジワッと熱くなった。なだらかなライン上にあるおヘソを辿る。  
 
「ん……ふぅん……くっ、ううっ」  
 
秘部を撫で通ると、甘いと息がこぼしてしまった。自然と、アナルバイブを掴んだ手が己の意思を離れ、ゆっくり前後に動き始める。  
それで肉ビラを掻き回すと、さらに熱を上げ愛蜜が溢れだすのだ。  
 
ぬぷちゅ、くちょ、にちゅ……  
「あっ……くっ……ああ、ん……はぁ……」  
 
淫猥な音を立てて肉穴は捲くり返され、電動玩具は一層のヌメりを増す。飛び出してくる紅い肉畝。蜜に濡れた粘膜花弁。  
掻き出された淫蜜は、さらに肉畝を乗り越えて会陰部を伝い広がり菊門と尻房までも濡らす。  
 
『もうグショグショだね……。普通こんなにエッチなお汁流しちゃうかな……?琴乃ちゃんは変態さん?』  
「ふぅぁ……私、変態なんかじゃ、ありません……こ、これはしょうがないんです。ん、んぁっ!全部、私の身体が勝手に……」  
 
陽の光に現れる鳶色の菊門。塗りつけられた愛液にいやらしく濡れ光る肉の蕾に、珠を連ねた電動玩具が押し当てられる。  
背筋に痺れが走った。クニクニと蠢いて愛液を背徳の門に塗りつける。  
 
「あ、あ、はぅうっつ」  
 
入り口を弄られただけなのに穴の内側までゾクゾクし、尻肉が急に熱くなる。そしてゴム玉がひとつ、括約筋をこじ開け排泄器官に潜り込んだ。  
 
「あぅっ、あああっ……」  
 
繊細な壺口に電流が渦巻き、8の字に繋がった括約筋を伝い、膣奥から愛蜜が滲み出してきた。  
肉悦を予感した肛華は早く次のもと言わんばかりに硬い淫棒を求めてはしたなく疼く。  
 
『ほらほら、お尻の穴が早く次のもってパクパクしてるよ?このすごくエッチなお尻……』  
「あぁ、私は悪くない。悪くないのぉ」  
 
指先に唸りが加わるとゴム玉がまたひとつひとつ肛門をこじ開け、中へ。  
括約筋をこじ開けながら排泄器官に潜り込んでゆくと、直腸器官が心地よく痺れた。  
 
「ふぅっ……うっ!くぁうっ!」  
 
行き止ると結腸の捻れを絡め採るように腰が回され、さらに奥へ。右へ左へといやらしく腰がくねる。  
未知の快感に背筋が跳ね、頭が一瞬白く染まる。  
 
「あぅ、うぅぅぅ……お、奥にぃぃ、く、るぅぅぅ……」  
 
甘い衝動は粘膜隔壁を伝い、膣穴にも響く。疼く女体の欲求に応えるべく持て余していたもう片方の腕もすぐさま淫行に走る。  
自分でも意識しないまま両脚を広げ、身悶えていた淫泉に指が根元まで迎え入れられている。  
 
「あふぅっ!コリコリって当たるぅぅ……やっぱり、気持ち、イイッ!アソコもイイのっ……!」  
 
膣全体がキュンと締まり、溢れんばかりに満たされていた愛液がジュワッと染み出る。  
 
『あら、まだコッチを忘れちゃダメだよ?』  
ヴヴヴヴヴンッ!  
 
突如、腸道を襲う激震。腸壁を揺さぶる振動は、すさまじいスパークが次々と弾ける。  
仰向けになっていた身体が直接電流を流されたように激しく反り返った。  
 
「ひゃふあぁぁぁ!んんっ!イッ……はふぁぁぁっ!」  
 
左右に開いた脚がつま先を立てて突っ張り、腰がクゥッと持ち上がった。  
あられもない春声をあげ、恥部を鏡に向かって突き上げて悶え狂う。振動だけではない。  
まるで生き物のようにアナルバイブは左右回転し、それは肉を抉るようにのたくるのだ。  
 
「だ、ダメぇっ!中で、動いてっ、ひあぁぁぁっ!」  
 
本来ならありえない排泄器官の中を蹂躙するソレに、普段なら窄まっている腸道がグリュッと広げられてしまう。  
広がった腸壁は自然の反応から必死に押し戻そうと、平滑筋がギュウッと食い締めて蠢く。  
 
「んんうっ、はあぁぁっ、ひぃっ、おっ、お尻が、熱いっ!」  
 
肌の裏側に密かに潜んでいた熾火が、侵入者の刺激を感じて一気に燃え上がる。  
最初はアナルバイブの見知らぬ衝撃に驚いた琴乃も、いつの間にか手を浮き上がった尻の下に潜り、唸る淫棒を握り締めている。  
 
『ふふ、もう夢中になっちゃって……琴乃ちゃんカワイイ』  
 
さらなる悦びを呼び起こすように淫棒を抜き差し前後し、熱さが腸全体に伝わるようで身体全体がたちまち蕩ける。  
揉み解された肛門は、赤らんだ菊蕾を弛め腸液に濡れた肉膜を花弁のように広げた。  
コブコブとしたアナルローターは、愛液を滲ませるビラビラと前の淫穴を占拠していた指と協力する。  
それがまるで共鳴し合うように双穴を隔てる肉膜をしごき、挟んで、磨り潰す。  
 
「はぁあ、ひあ!お尻もっ、前もっ、どっちも、気持ちイイっ!」  
 
肉畝からトロトロと溢れ出す生暖かな粘液、それだけでなく肛門からも流れ出す粘つく透明な腸液。  
二穴から溢れ出す淫蜜は混合粘液となってどろりと浮き上がった震える内股を伝い、透明な糸が切れることなくシーツと淫穴を繋ぐ。  
甘い雌匂がツンと立ちこめ、ベッドのシーツになみなみと蜜池が溜まる。  
そんな痴態を鏡に演じているのもお構いなく、ヒダヒダが奮い立つ膣洞と、  
新たな性感帯となった淫敏な穴に刻み込まれる悦びに没頭してしまう。  
 
『お尻からもあんなにエッチなお汁垂らしちゃって、やっぱり琴乃ちゃんは変態さんだったんだね……。もう聞いてもいないね』  
 
何かが頭の中で囁いた気がする。だが淫棒と細指に犯され続ける双穴が気持ちよく、意識が桃色の霞に包まれる。  
蕩けた頬、潤んだ瞳。赤らんだ額には珠のような汗が浮き、半開きの唇からは甘いと息がとめどなくこぼれ出る。  
乳房が悦楽の炎に合わせて艶舞する。湧き上がる肉悦に身体中が蕩けて骨までフニャフニャになってしまいそうだ。  
淫穴に沸く悦びに灼かれ、頭の中が真っ白になる。何も考えられない。何をしているかも分からない。  
眩い光が満ちる遥かな頂に向け、一直線に駆け上がっていく。  
 
「ひ、ひいっ!こ、これダメぇ……はぁん!私、イ、はっ!ひゃうぅぅぅ!」  
 
炎のような快感に包まれ、琴乃は腰をまた大きく弾ませた。絶頂の悲鳴が響き渡る。指と口と喉で、歓喜を訴えた。  
快感が全身に広がり、一瞬の閃光の後、烈しい痙攣が始まった。  
そうしたかと思うと、ガクッと力が抜けてまるで糸の切れた操り人形のように腰が折れる。  
最後に敷かれたシーツの上にお尻をストンと落とすと、排泄器官に残ったアナルバイブが唸り、また「ひゃん」と喘いで腰を捩らせた。  
温かな疲労感と充足感が全身に込み上げる。  
鏡に向けて仰向く顔には恍惚の微笑みを浮かべ、甘酸っぱい霧が開放された膣口から噴き出していた。  
まるで体の中から洗われるような心地よさが流れ出す。体が透き通るようで、五感がすっきり研ぎ澄まされている。  
そんな絶頂より数回呼吸に腹部を上下させた後、再びあの声が頭に響く。  
 
『変態』  
 
何か重大なものを忘れているのを思い出したときのように、身体がビクッと震える。突き付けられた蔑みの言葉。  
その言葉の通りになるのがイヤで今まで自身を戒めてきたのではなかったのだろうか。  
 
「ち、違うの!今のは……今のは……、そう、お仕置きなの!仕方のない私の身体のためのお仕置き!その筈でしょ!?」  
『嘘吐き』  
 
自身の言葉を放った後、鏡の中の琴乃の唇が動いた。一瞬、何かの見間違いかと思った。  
目にゴミでも入ったかと指を瞼の上から擦り付けて、もう一度鏡を凝視する。  
 
『ホントはエッチなのが大好きなくせに』  
「ひっ……!」  
 
思わず、裏返った声で短い悲鳴を上げてしまう。鏡の中の自身はもはや、琴乃本人の動きを追わない。  
その顔には恐怖で引きつった琴乃本人と対照的に、笑みが浮かんでいるのだ。しかしその瞳には何故か見覚えがある。  
 
『まだ分からないか。じゃぁ、これならばどう?』  
 
鏡がとろけた。比喩でもなんでもない。  
まるで鉄鋼所の熱く加熱された金属がドロリと流れ出すように、鏡は銀の液体となってベッドに垂れ落ちる。  
非日常的な現象の前に頭より身体が先に反応した。  
すぐさまベッドの奥へと身を寄せ脚をたたみ、その現象の経過を驚きながらじっと見つめる。  
溜り積った鏡だった液体は一つの物体を作り始める。  
人の形をしている。しなやかにくびれた腰と、胸の膨らみから女に独自の曲線だと分かった。  
やがて液体だったそれが完全に人を象ったものへと変わる。  
表面の銀であった所が、まるで水が大地に吸い込まれていくように消えていく。  
変わりに現れるのは人の肌のそれだ。  
一見するとほっそりとしたスレンダー体型に見えるものの、局部にはムッチリと女肉を実らせている。  
輪切りレモンを横に置いたかのような綺麗な形はまさしく美乳だ。その頂点の小豆は乳暈とともに薄いピンク色をしている。  
やや色素の薄い白く肌理の細かい肌との取り合わせは、さながら雪の上に桜蕾を落としたようだ。腰の括れは位置が高く、  
それだけ脚が長く映える。瑞々しいカーブを描くお尻の肉付きが、波打つ女体曲線をさらに際立たせる。  
すべやかで張りのある太腿は差し込む陽の光をつるんと照り返す。恥部の叢の毛脚は短く癖も強くない。  
薄絹に似た綿毛のような茂みはよく整えられ、両側には恥骨の丘である膨らみが見える。  
僅かにウェーブのかかった艶やかな亜麻色の髪を背中でなびかせ、シルクのように柔らかなその毛先を腰まで伸ばしてる。  
シャープな輪郭の子貌に薄桜色の唇は優しげな笑みを浮かべ、美しくも誘惑的な淡い色気を放つ。  
眉間からスゥッと通る鼻筋は、理想的なラインで高い鼻頭を貌の中央に飾る。  
切れ長な目はやや目尻が吊り上り、人によってはやや高圧的な印象を受けるかもしれないが、  
その双眸には人を惹き付ける美しい輝きを宿してる。  
 
「あ、あぁ……美月、さん……?どうしてここに?ここは、私の夢じゃ……」  
「夢?あんなにヨガり狂っていたのに、まさか本当に夢だと思っていたのかな?」  
 
驚愕して声が震えてしまっている。ここが夢でなかったら一体どこなのだ。  
それに、美月の様子からして、ここで何をしていたのか分かっているようだ。思わず背筋がゾッとする。心臓の鼓動も一瞬高く鳴る。  
 
「混乱させちゃったみたいだね。ごめんね。私と琴乃ちゃんの間に言葉なんていらないんだったね。だから、全部思い出させてあげる」  
 
美月が正面に腕を差し出し、親指と中指が擦り合わされる。パチンと乾いた音が鳴り、それを合図に視界が歪む。  
いや、視界が歪んでいるのではなく、この部屋全体の床や壁が歪んでいるのだ。  
一瞬、遊園地のアトラクションにでも入れられ、からかわれているのかとも思った。  
アトラクションであったなら、次はどんな物が待ち受けているのだろうと心躍らされる。  
だが琴乃が見た物は、人間が普段見る世界と余りにかけ離れた空間であった。  
 
「ひっ……!ここは……」  
 
背筋が凍った。たまらず引きつった悲鳴を上げる。目に飛び込んできたのはまさに肉の世界。  
先程までの洋風の陽が差し込む洒落た部屋などとは訳が違う。見渡す限りに広がるのは、粘膜にまみれた肉の大地。  
床も天井も僅かな隙間も無く肉塊で構成され、不気味な肉瘤が不定期に脈を打っている。  
さながら巨大な生物の内臓の中のようだ。  
琴乃の背中に天井から濃厚な粘液が滴り落ちた時など、驚愕に震えていたところ思わず「ひぁっ!」と声を上げてしまった。  
 
「どう?思い出してくれたかな」  
 
先程の肩に滴った粘液の驚きと共に全て思い出した。目を覚ましたら、訳も分からずここに連れて来られていた。  
目の前には美月がいて、いきなり乙女のファーストキスを奪われた。  
その後、肉の触手にさんざん弄り回され、制服もぐちょぐちょに穢された挙句、白い光に包まれてしまったのだ。  
ここもまた洋風部屋のベッドで起きたときのように、夢だと思いたい。  
だが肌の先に触れる肉の感触、ビュクビュクと波打つ蠕動が否応なく、これは現実だと頭に突き付けられる。  
 
「い、一体、何をしたいの……?」  
「何をしたい?もっともっと気持ちよくさせてあげたいんだよ。お尻を弄り回して悦んでいるイヤらしい琴乃ちゃんもそうしてほしいんでしょ?」  
 
あの頭の中に響いていた声は美月であったと確信させられる。  
同時にあの声の通りに淫らな行いをしていたことや、それを全てどこからか見られていた事に気付く。  
羞恥のあまり、顔を真っ赤にさせ、僅かに身悶える。  
まるで玩具のように、訳の分からない方法で自身を弄ばれる感覚に言いようのない恐怖を感じる。  
そして変態と罵られさらにそれを自ら悦んでいると蔑まれ、悔しさと憤りの気持ちが身体の底から沸いてくる。  
複雑に絡み合った感情の前に、目尻に水滴が溜まる。  
美月に向かって、キッとあの瞳を見つめながら「私はイヤらしくない……!こんなの望んでいない……!」と呟いた。  
そんな琴乃の様子も、美月は全く意に介さない。肩の力を軽く撫で下ろし、一呼吸置きつつも全く涼しげな様子だ。  
 
「じゃぁ、分からしてあげる。琴乃ちゃんがどんなにイヤらしいか、徹底的にね」  
 
再び親指と中指が擦り合わされ、音が鳴る。  
また何かが始まるのかと警戒して、辺りをキョロキョロと見渡すが、目に見える変化は特に無い。  
相変わらず赤紫の肉空間が気味の悪い蠕動を繰り返している。だが襲撃は思いもよらない急所に突然やってきた。  
 
「いひゃッ……!」  
 
身を凍らせるおぞましい感覚が背筋を駆け上がった。たまらず顎を跳ね上げて、総身をブルルッと震わせる。  
 
「うひぁぁっ……ひっ……ひいいっ」  
 
続けざまに起こった信じられない現象にその存在を忘れていたが、琴乃の排泄器官には未だアナルバイブ残していたのだ。  
牝肉を嬲るためではあるが、悪魔で無機質な道具であるはずのそれが、突如直腸を内側から生き物のように舐め上げた。  
粘液を発生させ、グチョグチョと伸縮を繰り返すそれはさながら、辺りを包む肉塊の蠢きのようだ。  
 
 
 

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