「博士。なんでこんなものを買うのでしょうか?  
実体化コンバーターがあるでしょうに。  
それもわざわざ自分で組むやつを。  
それも二個も。複製機もあるでしょうに。」  
博士の腕の中にはアニメのロボットのプラモデルがあった。  
「ティィム!!何にも分かってないでありますな。」  
「博士のロマンには理解に余る物があります。  
到底、ロボットの私に理解しきれるものではありません。」  
博士のロマンは人間にも理解できないものが多数あるのだが……。  
そして彼はそのプラモを地道に組んでいる。  
なんとなくであるが、楽しそうであった。  
「博士。」  
「ティム!!君はいつもいつも邪魔を!!」  
「いつも見ているあれの放送時間ですが?」  
「それを早く言わないか!!」  
きょうはそのアニメの放送日。そしてその時間になったのである。  
そして30分後。  
「なんということを!!早速、私も取り入れなければ!!」  
「はぁ。あの作りかけの模型は?」  
「おまえにまかせるであります。私は部屋に篭るであります。」  
「……」  
博士のいつもの病気が始まった。  
何かを思いつくと研究室に篭るのである。  
こうなるともうティムには止められなかった。  
そして数時間が経った。  
一人、博士の残したプラモを淡々と作り続けるティム。  
そこには哀愁が漂っていたとかいなかったとか。  
「ティムゥゥゥゥ!!」  
突然現れる博士。  
さすがのティムもびっくりしたのか手元が狂う。  
「なんですか一体。」  
どことなく不機嫌そうだ。  
「人と言う生き物はどこまで賢くなれるでありますか?」  
といきなりの質問である。  
(少なくともあなたよりは。)  
が選択肢に浮かんだが即、削除する。  
博士はもっと深いことを求めているのだろう。  
「人間の7割の脳は使われていません。  
だから単純計算で2.3倍近く賢くなれると思います。」  
「そうであります!!  
人間の脳には全てを完璧に想像する想像力があるのであります。  
相手が何を考えているか、見えないものがどうなるか、  
そして未来がどうなるか!!」  
「はぁ。」  
「しかし人間はそれをときどきしか使えないのであります!!  
つまり無駄だらけ!!」  
「それで?」  
「私はこの機械を作ったのであります。  
脳に微量子を送り込み活性化させその想像力を完璧にする装置を!!」  
「それはすごいですね。」  
いつもの即物的な発明品に比べて今回の発明品は深かった。  
だからティムの口から思わず言葉が零れる。  
「早速、町の人に英知を与えに行くであります!!」  
「はい。」  
博士は発明品をすぐに使いたくてうずうずとしているようであった。  
 
 そして、彼らは町につく。  
町にはかなりたくさんの人が歩いていた。  
「ここなら一気にたくさんの人を啓蒙できるであります!!」  
「そうですね。」  
「それではトランザムスイッチ!!オン!!」  
博士はその機械のスイッチを押した。  
だが、それは周りになんの物理的な変化は起こさなかった。  
しかし、町の人はパニックに陥ったのである。  
「えぇぇぇぇぇ!!!!」  
その完全にものを想像させる装置は  
博士、いや全ての男の人からはティムを含む、  
町の全ての女の人が何も着てないように写したのである。  
実物と寸分違わずに。  
しかし女の人は裸を隠そうとしない。  
それは逆に女の人のには男の人だけが  
裸に見えたからである。  
当然、自分は裸に見えていないと思い込むし、  
服の感触はある。  
だから自分の裸が見られているとは夢にも思っていないのである。  
「おぉ!!これぞ想像力の勝利!!」  
博士は町の女の人をいろいろと見回している。  
恥ずかしげも無く裸でうろつき回ることが  
何かを刺激したのであろう。  
「ママー、あのひとたち、お洋服を着てないよ?」  
「しっ、見てはいけません!!」  
「ママー、手がすり抜けて見えるよ!!」  
「いやぁぁぁぁ!!!!」  
これはとある親子の姿であった。  
中には男の人の裸を見て叫んでいる女の人がいるが、  
それは警察に受理されることはない。  
なぜなら警察は男が服を着ているとおもっているのだから。  
なかには急に彼女の胸が急に小さく見えた人もいた。  
人間の完全な想像力はパットすら見抜いたのである。  
ロボットのために効果を受けなかったので、  
何が起こったのかよく分かってないティム。  
しかしその裸体は思いっきり鼻の下を伸ばした博士に見られていた。  
 
「さぁ、トランザム2に行ってみよ〜う!!」  
博士はさらにスイッチを奥に入れる。  
すると心の声が聞こえてきたのである。  
人間の寸分違わぬ、心の声。  
確かにその機械で得た想像力は完璧であったのである。  
だが……。  
「なんでクリスマスなのにこんなやつと付き合わないといけないのよ!!」  
「ちぇっ。俺の彼女、パットかよ。」  
「へぇ、あそこの女の人、いい体じゃんかよ。」  
いろいろな人のエゴが聞こえてくる。  
そして町中の人が喧嘩をしだす。  
「パットで悪かったわね!!この短小!!」  
「なんだと!!浮気相手に捨てられたくせに!!」  
また別の方では  
「私を見ていやらしいことを考えていたわね!!」  
「お前だってそこの人でいやらしいことを考えていたくせに!!」  
町中は大パニックであった。  
そして博士もパニックに陥る。  
「あれっ?そんな、実験はうまくいったはずでは?」  
そしてパニックは大きくなっていったのである。  
それを見かねたティムが手刀でその機械を叩き壊す。  
するととりあえず心の声は止まったのである。  
「やめましょう、博士。あの機械は洒落になりません。」  
「そんな。人間の想像力は完璧ではなかったのか?  
人間は賢くなれたのではないのですか!?」  
「完璧だからです。  
だからあの機械は完璧に邪念を想像することが出来たのです。  
しかしそれは人間に受け止めきれるものではありませんでした。  
分かりましたか?博士。」  
「なるほど。」  
「逃げましょう。時が解決します。」  
「そうでありますな。」  
こうしてパニックの中心から博士とティムは逃げ出した。  
そして逃亡中、  
「ティムはあの時、何を考えていたのですか?」  
「私、ですか?ミクロレベルのくだらないことですよ?」  
「それが聞きたいのです!!」  
「聞いてがっかりしないで下さいね。  
私は博士から任せられたプラモデルをどう処理しようかと考えてました。  
あとは博士のせいでズレた色塗りを。」  
「ロボットのお前らしいでありますな。」  
「そう、ですね。」  
 
クリスマスの日。  
この事件が新聞に載ることは決してなかったという。  
しかし、この装置はいろいろな人の心にいろいろな物を残していった。  
人間は今のままで……、丁度いいのかも知れない。  
 

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