ぐぽぐぽぐぽぐぽ  
 
糠漬けに腕を突っ込み、無理やり掻き回した時のような音が  
奇妙なリズムを刻みながら薄汚れたリノリウム張りの階段の踊り場に響く。  
その音のリズムに併せて、股間を包む生暖かい何かが蠢き、蕩ける様な快感を脊髄経由で脳ヘ送り込んで行く。  
快感に意識の大半をピンク色に染め上げられながらも、彼はぼんやりと考えていた。  
―――何で、自分はこうなったのだろうか、と。  
 
だが、彼はその自問したその答えを、とうの昔に知っていた。  
 
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「おねがいっ! 私の一生の頼みを聞いて頂戴!」  
 
築30年という月日による経年劣化の為か、  
壁の所々に薄っすらと罅(ヒビ)が見える何処か薄ら汚れた雰囲気を感じさせるとある高校の学生食堂。  
それにも関わらず、お昼時の時間の所為か彼方此方のテーブルには空腹を満たそうとする学生で溢れかえっていた。  
その片隅のテーブルで、彼――樋口 歩(ひぐち あゆむ)は空っぽになったカレー皿を押し出しながら、  
テーブルの向かい側――彼にとっては目の前の席に座る、歩に向けて手を合わせて頭を下げる少女を眺めた。  
 
――遠藤 久実、歩とは別のクラスに1週間ほど前に転校してきた少女。  
身長は歩とほぼ同じ、スレンダーな体型に前髪にシャギーの入った黒のショートカット、  
そして何処か猫を思わせるパッチリとした双眸が特徴の美少女で、  
その上、性格も明るく快活とあって同級生の男子の間での人気が急上昇中。  
と、歩は自分の脳内データベースから、目の前の同級生の女に関する情報を引っ張り出した。  
だが、それ以上の事は、生憎、歩の脳内データベースには収まってはいなかった。つまりは良く知らないという事だった。  
まあ、転校生な上に、別のクラスの人間という希薄な関係である以上、それくらいしか知らないのも当然なのだが。  
無論、今の今まで歩が久実へ話し掛けた事も無ければ、久実も歩に対して勧んで話しかけた事も無かった筈である。  
 
――なら何故、そんな希薄な関係でしかない自分に対して、  
久実はわざわざカレーを奢ってあげる、などと言い出した挙句、自分へ一生の頼みとやらをするのだろうか?  
歩はその理由を暫し少し考えた。しかし、納得できる結論は思い浮かばなかった。いや、思い浮かぶ筈も無かった。  
取り合えず考えるに窮した歩は、コップのお冷をひと呷りした後で目の前の少女へ問い掛ける事にした。  
 
「一生の頼みって……なんで俺だよ? つか俺じゃなくても同じクラスの連中に頼めよ」  
「いやぁ、同じクラスの子に頼むのもなんだし、それに歩君は見た感じ、  
女の子の頼みを断れ無さそうだなーっと思ったから」  
「……帰る」  
「ちょ、ちょっと待って待って待ってって!?」  
 
あっけらかんと答えた久実に、付き合ってられないとばかりに席を立とうとする歩。  
が、慌てた久実が歩のシャツの裾をがっしと掴まえ、歩のシャツが伸びるのも構わず強い力で引っ張られた事で  
歩はつんのめる形で足を止めざるえなかった。  
 
「じょーだんだって、じょーだん! ね? だから帰らないで頂戴!」  
「冗談にしても、言って良い冗談と悪い冗談がある。そしてあんたの言ったのは悪い方だ」  
「悪かった、その点は本っ当に悪かった!   
本当はそうじゃないから話を聞いて頂戴! カツカレーを奢ってあげたんだし!」  
「……じゃあ、そうじゃないとすれば本当はなんだよ……?」  
 
立ち去る事を諦め、仕方なく座り直した後で半眼で聞き返す歩に、  
久実は妙に真剣な面持ちで歩へ顔を寄せると、囁くように耳打ちする。  
 
「歩君なら……秘密を守ってくれそうだと思ったのよ」  
「は……?」  
 
思わぬ言葉に、目を点にして間抜けな声で疑問符を漏らす歩。  
その歩の様子に構う事無く、彼女は周囲に少し気を配りながらひそひそと話を続ける。  
 
「私の頼みと言うのはね、それこそ余り人には知られたくない問題なの、  
しかも、その問題と言うのが…私一人だけでは解決の出来ない厄介な物な訳よ。  
まあ、それで……その、口が硬そうで尚且つあんまり友達が居なさそうな君に頼む訳、分かる?」  
「そうか……分かった」  
 
口が硬いのは分かるが友達が居なさそうは余計だ、と胸中で呟きつつも、歩は取り合えず頷いた。  
 
――とはいえ、別に歩は納得して頷いた訳ではなく、  
ただ単に学生食堂で一番高いメニューであるカツカレーを奢ってもらった以上、  
このまま話も聞かずに帰るのもなんか悪い気がすると思っただけである。  
だが、その歩の心境を知ってか知らずか、久実はにぱっと笑顔を浮かべて、  
 
「それじゃ、ここで話すのもなんだし、後の話は学校が終わった後で、私の住んでるアパートに来て話さない?」  
 
と、恐らく自分の家がある方向を適当に指差し、彼女は言った。  
 
 
                          *  *  *  
 
「んじゃ、好きな所に座って頂戴」  
 
それから時刻は放課後を少し過ぎた辺りに移り変わり。  
学校近くのアパートの一室、ピンク色を多く使った何処か女性らしさを感じさせる内装の部屋で、  
訪ねて来た歩を出迎えた薄手のカーディガンにミニスカートの私服姿の久実が、部屋の床の適当な所を指差し、  
部屋に上がった歩に座る様に促す。  
 
「……なら、ここで……」  
 
初めて来た女性の部屋の空気を前に、歩は僅かに躊躇した後、  
取り合えず、床に転がっていたやたらとファンシーな柄のクッションの上に腰掛け、  
ベッドに腰掛けてにこにこと笑顔を浮かべる彼女に向けて問い掛けた。  
 
「で、早速で悪いんだが、俺に頼みってなんだよ?  
言っとくが、俺は力仕事には向いていないと思うんだがな……」  
 
言って、歩は視線を下に向け、やや草臥れたシャツ越しに自分自身の少し貧相な身体を見やる。  
 
――歩はそれなりに自分の体の事は分かっていた。  
数年前、家族の引越しを手伝った時、引越し業者が手際良く箪笥などを運んで行く中。  
自分も何かやろうと小さめな戸棚や荷物の入ったダンボールなどを家からトラックまで運んだ結果、  
翌日は酷い筋肉痛で寝こんでしまった事を思い返す。  
その事もあって、歩は自分には力仕事は無理、と言う事をはっきりと自覚していた。  
だが、それでも彼女は男手と言う事だけで自分に頼もうとしているかもしれない、と言う予測を立てて、  
歩は久実に向けて更に付け加える様に言う。  
 
「まあ、そう言う訳だから。もし力仕事を頼むつもりなら、悪いけど俺じゃ君の期待には……」  
「大丈夫大丈夫! 私の言う頼みってのは、ちょっと体力使うけど力仕事とは違うから心配しないで」  
 
と、歩の言葉を遮って、久実が否定の意味か平手をぱたぱたと左右に振りながら答える。無論、その笑顔は崩さない。  
その笑顔の否定に、何処か怪しい物を感じた歩は半眼になって問う。  
 
「体力を使うけど力仕事じゃないって……なら、その頼みってのは一体なんだよ?」  
「んー、そうね……」  
 
何処かもったいぶった様に、そして焦らしている様な感じで彼女が天井の方を見やった後、  
おもむろに歩の方に向き直り、彼女はまるでお隣から醤油を借りるような軽いノリで頼みを言った。  
 
「頼みってのは、歩君に私のゴハンになって欲しいって事なの」  
 
…………。  
 
一瞬、歩は目の前のベットに腰掛けている同級生の少女が言っている意味が理解できなかった。  
無論、彼は即座に、『私のゴハンになって欲しい!』と言うのは別の意味の言葉である可能性も考えたのだが、  
幾ら如何考えても、彼女の言った言葉はその言葉通りの意味でしかなく、  
彼の困惑をよりいっそう深める結果になるだけでしかなかった。  
 
だが、何時までも困惑している訳にも行かなかったので、歩は恐る恐るであるが言葉の意味を聞く事にした。  
 
「え、えっと……ゴハンになって、って如何言う意味だ?」  
「んー、まあ、言った通りの意味、と言えばそうね」  
「……つー事は、あんたは俺を食べたいってか? ひょっとして人肉が主食!?」  
 
言って、何処か恐れる様にひっ、と口から漏らしつつ後ろへ身を引く歩。  
その様子に久実は手を縦にひらひらと振って苦笑しつつ、  
 
「違うわよ、流石にこんなかわゆい娘さんが人を頭からバリバリ食う訳ないじゃない」  
「自分でかわゆいって言うなよ……」  
「いーじゃない、私は本当にかわゆいんだから。 と、それはそれとして、私が食うのは専ら精の方なのよ」  
「精?」  
 
更に言葉の意味が掴めず、歩は思わず首を傾げる。  
その反応を、彼女は説明を求めた物と受け止めたらしく、  
何処か得意げに、かつ、捲くし立てるように話し始める。  
 
「精、といっても精力の事じゃなくてね、まんま男の人の精液なのよ。  
そう、子種とか呼ばれてるおちんちんから出るどろどろとした白い液体の事、  
歩君もオナニーをした事あるなら知っているでしょ?」  
「あ? あ、ああ……」  
 
さり気に彼女からとんでもない事を言われたような気もするが  
捲くし立てる様に言われた所為で、突っ込む事も出来ずに思わず相槌を打ってしまう歩。  
 
「で、私はその精液を糧にして生きているのよ。何たってサキュバスなんだし。  
それで、私の為に精を提供して欲しいなーって歩君に頼む訳」  
「…………」  
 
一瞬、歩はどう返せば良いのか分からなかった。  
しかし、ずっと黙っている訳にも行かなかったので、先ずは疑問に思った事を口にする。  
 
「……なんか、色々と聞き捨てならない言葉が出てきたが、  
一応、それはそれで置いとくとして、尤も気になった事を聞くけど、その、さきゅばす、ってのは……マジか?」  
「うん、マジよ」  
「…………」  
 
にっこりと笑顔で即答する久実。それを前に、歩は聞いてしまった事を激しく後悔した。  
サキュバス――サクブスともサッカバスとも呼ばれる、一部の嗜好の人の間では言わずと知れた悪魔の一種。  
実の所、サキュバスは悪魔ではなく、本来はとある地方の地母神だったりするのだが、  
キリスト教の布教の際、一神教であるキリスト教にとって不都合な他の宗教の神を悪魔扱いした事が元となっており  
今となっては、その手の業界ではお手軽なエロキャラとして便利な存在と扱われ、意外と知名度は高い。  
……無論、歩の知る限り、サキュバスなんてのは現実に存在する筈の無い、想像上の産物である。  
 
しかし、自分自身をそのサキュバスだと思いこむ様な酷い妄想癖をまさか転校生の少女が持っているとは……。  
幸い、その事を知ったのが彼女とは余り関わりの無い自分だから良かったが、  
これをもし、彼女に好意を擁いている人間であれば、かなりの割合で幻滅する事は間違い無いことだろう。  
そう、歩は僅かに頭痛がわき上がり始めた頭でぼんやりと考えた。  
 
「ちょっと、その顔!」  
 
しかし、その思考はどうやら無意識の内に表情に出てしまっていたらしく、  
それを見咎めた久実は眉根を寄せて歩へ詰め寄り、彼の眼前までその不機嫌そうな顔を目一杯に寄せて、  
 
「なーんか私の言ってる事が只の妄想だとか思ってる顔ね!」  
「いや、それわその……」  
「分かったわ! なんだったら今から証拠を見せてあげる! 私がサキュバスである証拠をね」  
 
何とか誤魔化そうとする歩の言葉を遮り、彼女が叫んでがばぁっ、と立ち上がると、  
その場で両手を広げ、目蓋を閉じると口から何か呪文のような言葉を小さく漏らし始める。  
 
「なっ……!」  
 
そして――唐突に空気がザワリと震えると同時に、彼女の耳が長く尖り、その耳の上から山羊を思わせる角が生え、  
更に腰から鏃の様な先端を持った黒く長いしなやかな尻尾が生え、生え切った事を確認する様に左右に振られる。  
そんな目の前で起きる酷く現実味の無い光景に、歩が驚きの声を上げようとした矢先。  
 
びりびり  
 
「…………」  
 
久実の背中の方から何かが破ける嫌な音が響き、その動きが硬直した。  
数瞬ほどの間を置いて、ようやく我に帰った歩が何事かと、硬直している久実へ恐る恐る問い掛ける。  
 
「ど、如何した……?」  
「うう……翼が引っ掛かって服が破けた……」  
 
と、縦長の瞳孔と言う人に在らざる物となった紅の双眸に涙を浮かべた久実が、その場にがっくりとしゃがみ込む。  
見れば、彼女の着る薄手のカーディガンの背中の辺りが縦にざっくりと裂け、其処から蝙蝠を思わせる翼が生えていた。  
恐らく、翼を生やした際、その翼に付いたかぎ爪が服の生地に引っ掛かって破けてしまったのだろう。  
 
「……お気に入りだったのに……うう、服脱いでからやりゃ良かった、私の馬鹿……」  
「…………」  
 
それは彼女にとってかなりショックだったらしく、その場でしゃがみ込んだまま、絨毯に『の』の字を書き始めていた。  
歩はその様子を前に、久実が人外であった事への驚きの感情よりも、何だか遣る瀬無い感情を感じて仕方がなかった。  
 
「ま、まあ、そういう事もあるって……」  
 
とりあえず、流石に見ていられなくなったので、  
歩がしゃがみ込む久実へ手を差し出し、何か話し掛けようとした矢先、  
 
「こ、これくらい何よ! 服が破けたんだったら縫えば良いだけの話じゃない!  
こんな些細な事でいじいじ挫けている前に、私にはもっとやるべき事があるのよ、うん!」  
 
何だか勝手に自己完結したらしく、久実はやおら立ち上がると顔の前で握りこんだ拳を震わせて言う。  
そして、歩が差し出し掛けた手を彼女ががっしと掴むと、細腕の割に意外に強い力でベットの方へ引っ張る。  
 
「ほら、ぼうっとしている暇は無いわよ! さっさと服を脱いでベッドに横になって頂戴!」  
「いや、あの……」  
 
いきなりの行動に思わず口篭ってしまう歩だが  
どうやら久実は歩が躊躇していると取ったらしく、むっとした表情を浮かべると、彼の服に手を掛ける。  
 
「あーもうっ! 躊躇しているんだったら無理やり服を破いてでもやっちゃうわよ! それでも良いのっ?」  
 
よくよく見れば、彼女の指先の爪が異様な長さに伸びており、彼女が力を込めればあっさりと服を破りそうな感じがした。  
   
「わ、分かった、分かったから服に爪を掛けて力を込めないでくれ! 自分で脱ぐから!」  
「うん、分かれば宜しい」  
 
流石に服を破かれたくなかった事と、人外の双眸に闘志の炎を燃やした久実に対して妙な迫力を感じた事もあって、  
歩は仕方なく了承すると、一人頷く彼女に背を向け、その場で服を脱ぎ始める。  
……本当はこんな事はしたくない気持ちで一杯だったのだが、  
今なお背後に突き刺さる彼女の視線がひたすら恐ろしく、素直に命令に従わざる得なかった。  
 
「えっと、これで良いかな……?」  
 
シャツを脱ぎ捨て、そしてズボンも脱ぎ捨て、トランクス一丁の姿となった後、彼は言われた通りにベッドに横になる。  
その様子をじっと見ていた久実が、何処か不機嫌そうに歩のトランクスを指差し、  
 
「そのトランクスもよ」  
「……ヘ?」  
「さっさと脱ぐ! と言うかもう待ちきれないから無理やり脱がーすっ!」  
「ちょ! おま!?」  
 
歩の浮かべた疑問符を無視し、翼を広げた彼女が獲物を襲撃する猛獣の様にベッドの上の歩へ飛び掛ると、  
慌てる歩の両手を手際良く片手で抑えつけ、空いた片手でトランクスに手を掛けると一息にずり下ろし脱ぎ取る。  
そして、露出した歩の股間をじっと見やり、何処か残念そうに呟きを漏らした。  
 
「んー、流石に縮こまちゃってるかー……やっぱいきなりじゃ駄目だったかしら……?」  
「……ううっ、御無体な……」  
 
同級生にまじまじと股間を見られる羞恥の余り、歩は抑え付けられたまま涙混じりに呻く。  
無論、こうなるまでに歩は何度か自分の上に跨る久実を振り払おうとしたものの、彼女の力が意外に強い上、  
身体に触れる彼女の太腿の柔らかく暖かくそしてすべすべした感触と、彼女から漂うほんのりと甘く蠱惑的な香り。  
それらが歩の思考を容易く掻き乱し、思う様に力を生み出せない状態に追いやっていた。  
 
「まあ良いわ、縮こまってるなら起たせるまでだし」  
「へ?―――んぅっ!? むーっ!?」  
 
久実の言葉に歩が疑問に思う間も無く、歩の唇にそっと顔を寄せた久実の唇が重ねられる。  
思わず離れようとした歩を逃がさない様に、歩の頭に両手を回して抱き締める様に固定し、  
その後で下唇、上唇の順に舌先でねっとりと舐め回し、じっくりと愛撫してゆく。  
その異質な感触と迸る快感によって、彼が思わず口を緩めた所で、彼女がすかさず舌を口内へ差し入れ、  
歯茎の粘膜や頬の裏側の感触を味わう様に、そのぬめった舌先を滑らせ撫で回し、念入りに愛撫して行く。  
 
ちゅ…ぢゅう……ぢゅるるるっ、ぢゅうぅぅ……  
 
更に口内に侵入した久実の舌が、歩の舌へ到達するなり、  
獲物へ襲いかかる捕食者の様に、瞬く間に歩の舌へ絡み付いて吸い寄せ、  
舌先から根元にかけてねっとりと愛撫する事で、久実の長く淫猥な舌の感触を歩の舌全体に味あわせる。  
ぬめり、ざらつく感色が口内で蠢く度に、歩の意識は着実に快感に支配されて行く。  
 
「んっ、ふぅっ……んん」  
 
更に、彼女は僅かに頭の角度を変える事で、歩の口を咥え込むまでに顔を密着させると  
その長い舌を、歩の口内のより奥へと侵入させ、口腔全体に自分の唾液を擦り付ける様に、  
粘膜全体へ自分の舌の感触を刷り込む様に、舌を歩の口腔を縦横無尽に蠢かし、  
歩の唾液を吸い出し、代わりに彼女の甘ったるい唾液を送りこんでゆく。  
 
「んふっ……ふ……」  
「あ……」  
 
やがて、歩の表情が陶然とした物に変わった所で、  
久実は唾液の糸を引かしつつ唇を離し、紅く輝く双眸で放心する歩を見下ろして、舌なめずりをしながら囁く。  
 
「ふふっ、如何かしら? 私のキスの味は」  
「…………」  
 
歩は何も答えられない、それだけ久実の――否、淫魔のキスは凄まじかったのだ。  
だがしかし、そんな放心する主に代わって、歩のペニスは真っ赤になって怒張する事でその喜びを大いに表していた。  
それに気付いた久実は淫靡な笑みを浮かべると、怒張している歩のペニスへそっと手を伸ばす。  
 
「どーやら効果覿面みたいね。よかったよかった」  
「―――ひぃっ!?」  
 
唐突にペニスを襲った柔らかくすべすべした久実の掌の感覚によって、  
放心していた歩の意識は一気に現実に引き戻された。  
その様子に気を良くしたのか、彼女は何処か悪戯っ子のような笑みを浮かべ、  
彼の耳元へ囁きながら歩のペニスを更に撫で繰り回す。  
 
「ほら、この程度で放心してちゃ駄目よ。これから、君にはもっと凄い事するんだから」  
「あふぁっ!? ひうっ! あぁぁっ!?」  
 
柔らかい掌ですりすりと亀頭を撫で回したかと思えば、雁首を優しく握りこみ、  
更に片手で竿を扱き上げながら、もう片方の手の指先で鈴口の辺りをくりくりと弄繰り回す。  
飽くまで強い刺激を与えず、じわじわと快楽を与え、  
念入りに、そしてじっくりと獲物を確実に昇り詰めさせ、追い詰める淫魔の責め。  
凄まじい快感に嬌声を上げ、身を捩じらせる歩を見下ろしている内に、久実も興奮してきたのか、  
彼女の表情が次第に上気した物に変わり、捕えた獲物を前にした猛獣の様に舌なめずりをする。  
 
「ほらほら、一人でオナってるよりずっと気持ち良いでしょ?」  
「あがっ、ああ、うぁっ…くぅっ!」  
 
その責めを前に、歩の意識は瞬く間に快感に染め上げられ、  
ペニスはこれまでに無い位に怒張し、びくんびくんと脈動し始める。  
それに気付いた彼女が あ、と言わんばかりの表情を浮かべ、慌ててペニスを責めていた手を止め、離す。  
 
「――と、危ない危ない、反応が面白過ぎてつい調子に乗りすぎちゃったわ。  
こんなところで射精させて如何するのよ。後ちょっと気付くのが遅れたらかなり勿体無い事になってたわ……」  
「……う、あ……?」  
 
再度、快感によって放心しながらも、歩は突然責めが止んだ事に疑問符を浮かべる。  
   
「よっと、ちょいとごめんね、変に動かれると困るし」  
「ふむぐっ!?」  
 
その間も無く、馬乗りの状態から立ち上がった久実が、歩の顔面に自分の股間を押し付ける様に腰を下ろし  
所謂シックスナインの体勢となると、そのまま歩のペニスへ上気しきった顔を寄せる。  
柔らかな尻肉と如何言う訳か濡れているパンツに顔を圧迫される息苦しさに、彼がくぐもった抗議の声を上げるものの、  
彼女はそれを一切気にせず怒張した歩のペニスを前に、まるで朝ご飯を食べる前の時の様に合掌し、  
 
「んじゃ、いただきます」  
 
言って、徐(おもむろ)に歩のペニスを咥え込んだ。  
 
「むっ、むぐぐぅぅぅぅぅぅぅっ!?」  
 
言葉と共に、再びペニスから押し寄せた甘くも激しい快感によって、快感で陶然とした歩の意識は一気に覚醒された。  
竿の真中辺りを軽く締め付ける、温かい上に柔らかくぬめった感触の物体は、恐らく彼女の唇。  
更に亀頭にねっとりと纏わり付き、ざらざらとした弾力のある感触を与える物体は彼女の舌であろう。  
雁首の裏側をなぞる様に舌先が動くと同時に、亀頭に纏わり付いている部分がうねる様に蠢く、  
そして雁首の裏側をなぞり終えると、今度は蛇が棒に身体を巻き付かせるに長い舌を動かし  
歩のペニスへ螺旋状に舌を巻き付かせ、ペニス全体に唾液に濡れた舌の感触を味あわせて行く。  
そしてある程度、歩のペニスの真中辺りに来た所で巻き付く舌の動きを止めると  
今度は逆方向に舌を引かせ、竿に唾液を塗り付けながら、巻き付かせた舌を解いて行く。  
 
「んぐぅっ! ぐぐうっ!」  
 
ペニスの表面を這い回り、カリ首や裏筋、鈴口などの敏感な部位を責め弄る熱くぬめったざらつく感触  
両頬を挟みこむ柔らかな尻肉の感触、濡れたパンツの布越しに感じる女性器の柔らかさと体温、  
女性器から発せられる蒸せ返る様な甘い体臭、それらに意識を侵されつつも、歩は止めてくれとばかりに声を上げる。  
だが、どうやら久実は歩の声に対して全く聞く耳は持ってはおらず、  
その責めを止めるどころか、片手で竿を上下に扱き始め、もう片方の手で陰嚢を優しく揉み上げ  
更に舌先を鈴口に這わせ、2度3度、尿道を広げる様に捻り込み、尿道の粘膜を刺激する。  
 
「んふっ、はひはひりはへへひは、おいひい(先走りが出てきた、美味しい)」  
「むぐぐっ! ふぐぅっ!」  
 
刺激を受けて、次第に溢れ出した先走りを舐め取った彼女が感想を漏らすと、  
ペニスを口内へ咥えこみ、軽く甘噛みしながら溢れ出る先走りを味わう様に亀頭に舌を這わせる。  
その際、久実がペニスを口に含んだまま喋った事で、ペニスに纏わり付く舌がより複雑に蠢き、歩をより追い詰める。  
先走りの味が(久実にとって)よほど良かったのか、嬉しそうに振られる彼女の尻尾が歩の視界の端で見えたが、  
意識を侵しつつある快感に喘ぐ今の彼に、それを気にしている余裕は殆ど無いと言って良かった。  
 
「うグっ…んううっ、ぐぅぅぅ!」  
 
ペニスに纏わり付き波打つ様にうねる舌、ペニスの両側を撫でる両頬の粘膜、刻折コツコツと亀頭に当る彼女の歯、  
陰嚢を優しく揉み上げ、竿を緩急付けて扱き上げるすべすべとした温かい彼女の掌  
グリグリと押しつけられるパンツの布越しに感じるじっとりと濡れ始めた女性器、それによって一段と強まった甘い体臭、  
それらが一体となって、歩へ断続的な快感と強烈な性的興奮を与えてゆく。  
次第にペニスは膨張すると共に脈動が強まり、その速さを増して行く。歩はもう限界だった。  
それを察した久実は歩のペニスを口内の粘膜でキュッと挟み込み、動かぬ様に固定すると、  
 
「んー、ひょろひょろへんはいへ? んひゃ、ほほめ!(そろそろ限界ね? んじゃ、とどめ!)」  
 
――そのまま一気に吸い上げる!  
 
「んぐっ――ぐぐぅぅぅ!……ぐぅぅっ!!??」  
 
凄まじい快感が歩の限界を突き崩し、  
今まで感じた事の無い悦楽が身体を駆け巡る感覚を感じながら  
一際大きな呻き声をあげると共にビクリビクリと身体を震わせ、久実の口内へ熱い滾りを解き放った。  
精液を吐き出すべくペニスが脈動する度に歩は凄まじい快感を感じ、何処か嬌声を混じらせた呻き声を上げる、  
 
「……んぐっ、んんんっ、んふ、ん、ん、んっ」  
「ぐぅっ、ううっ、ぐむぅぅっ! ぐぅぅぅっ!!」  
 
口内に噴出する精液に、久実は顔をしかめるどころか、双眸に愉悦の笑みを浮かべ、  
舌を巧みに操り、噴出する精液を受けとめ、あるいは吸い上げ、喉を鳴らして精液を嚥下して行く。  
久実が亀頭に舌を這わせ、鈴口からストローの様に精液を吸い上げられる度に、  
歩は体の奥底から何かが吸い出されるような強烈な快感を味わい  
よりペニスを猛らせ、ドクリドクリと脈動する様に精液を解き放っていった。  
 
「………ふう、ご馳走様でした、と」  
 
そして、歩にとって狂おしいほどに長く続いた射精の後。  
久実はようやくペニスから顔を離したのか、ふっと、歩の顔を圧迫させていた臀部を離し、側へ座ると、  
尿道の残滓まで吸い上げられた凄まじい絶頂の余韻と、  
顔を股間で塞がれ酸欠になり掛けた事で、荒い息を漏らすだけとなったベットの上の歩に向けて  
 
「思った通り美味しかったわよ、歩君の精液」  
 
言って、今まで見せた事の無い妖艶な笑みを浮かべ、見せ付ける様に口内に残った歩の精液を飲み込んで見せる。  
その様子に歩は一瞬だけ見蕩れたが、なんとか気を取り直し、荒い息の合間をぬって久実へ問い掛ける  
 
「……な、なんで…俺に、こんな事を……?」  
「何でって、何が?」  
 
きょとんとした表情を浮かべ、逆に聞き返す久実。  
 
「いや……だから、やった後で言うのもなんだけど……君は、なんで俺を選んだのかが気になるんだが……」  
「ああ、その事ね」  
 
歩の言葉で久実はようやく合点がいったのか、ポンと手を打つと  
 
「簡単に言っちゃえば、私から見て歩君が美味しそうに感じたからよ」  
「美味しそう?……俺が?」  
「まあ、ちょっと端折って説明するとね、  
私達サキュバスには、人間には無い超感覚で人間の纏う気を感じとる事で、精の味を”見る”事が出来るのよ。  
例えば、あの人間は味が薄そうだ、とか。あの人間は後味がしつこそうだ、とか……。  
普通はそれを参考にその場の気分に応じて、ある程度は妥協して獲物を決めるんだけどね」  
「ああ……」  
「で、私達サキュバスにも人間と同じ様に個人的な嗜好って物があるんだけど。  
人間とは違って、サキュバスが自分の好みの味に出会えるって事は本当に稀でね、  
それこそ100年捜し回ってやっと見つかるか如何か、な位に貴重なのよ。分かる?」  
「……えっと、という事は?」  
 
半分ほど意味が掴めぬまま聞き返す歩に、久実は何処かやれやれと言いたげなジェスチャーを取り、話を続ける。  
 
「言ってしまえば、歩君は私にとって凄く好みな味をしている人間だったって訳  
もう、君を最初に見た時なんか本当に大変だったわよ?  
何せパンツがあっという間にアソコから溢れ出た愛液でぐしょぐしょになっちゃったもん、  
その溢れた汁とか匂いとかが他の生徒や先生に気付かれて無いか、ずっとヒヤヒヤ物だったわ」  
「………つー事はなに? 俺は……君にとって大好物のおかずみたいな物なのか?」  
「んー、まあ、そう言う事になるかしら?」  
「……それで、ゴハンになって欲しいってのは、そう言う意味での事だった訳か?」  
「うん、ご名答!」  
 
歩は瞬時に判断した。よし、逃げよう。今直ぐ逃げよう。これは逃げた方が良い。  
今、自分の側にいる少女は、いわば人間にとって捕食者といえる存在なのだ、しかも一度搾られたばかりだ。  
このまま放っておけば、自分はこの人外の少女に食料的な意味で喰われてしまう。  
最悪、ミイラ化と言う普通では有り得ない死に方を遂げる事になるやも知れない。  
無論、そんなのは御免だ。やりたい事は沢山あるし、行って見たい所もある、まだまだ死ぬ訳には行かない。  
そう思った彼は、即座に立ち上がってその場から逃げ出すべく、身体に力を込める、  
 
「だ か ら 今、ここで逃げられる訳には行かないのよね!  
ここで逃したら、何の為にカツカレーを奢ってまで誘ったかが無意味になるんだし!  
しかも、お気に入りのカーディガンも駄目にしたんだから尚更よ!」  
 
だが、どうやら逃げようとしていたのが既に気付かれていたらしく、  
歩が立ち上がろうとした所で、久実が飛び掛るようにして歩に馬乗りになり、ベットに抑えつける。  
見れば、彼女の額には青筋が浮かんでおり、彼が逃げ出そうとした事に対して久実が不機嫌になったのは明白だった。  
 
当然、色々な意味での恐怖に駆られた歩が悲鳴混じりに懇願の声を上げる。  
 
「や、やめてくれ! お、俺はこんな若さで死にたくないぞっ!   
まだ学食のメニューも完全制覇出来てないってのに、こんな所で殺されたくは……!」  
「――って、ちょっと待ちなさいよ!」  
 
それを遮って、表情をより不機嫌な物に変えた久実がずいと顔を詰め寄らせ、歩へ怒気混じりに問い掛ける。  
 
「なんでいきなり死ぬとか殺されるとか言う話になる訳? 訳分からないわよ!」  
「え、いや、それは……」  
「ひょっとして、私に吸い殺されるとか思った訳?」  
 
口篭もった所で、久実に答えを言い当てられ、歩は思わずコクコクと頷いた。  
それを見た久実は、歩に馬乗りになったまま何処か疲れた感じにかぶりを振りながら深い溜息を付くと、  
 
「あのね、何処の漫画か映画を見て思い込んだのか知らないけど、  
この、人間のうら若き少女として青春を謳歌しようとしている私が、  
同級生の生徒を吸い殺すなんて、常識も節操も恥も外聞も蔑ろにした真似なんてする訳無いじゃない」  
「いや、でも……」  
「そりゃあ、歩君が思っている様に、  
私の同族の中には、相手が死ぬまで吸い尽くす人だって居るかもしれないわ。  
でも、それは今じゃ少ない方よ。だって、人間社会の中で人間に紛れて生活する以上、  
そんな事すれば当然、人間社会に溶け込む同族達の間からは厄介者として爪弾きにされるし、  
場合によっちゃ最悪、お尋ね者としてその手のコワイ人に追い掛け回される事だってありうるわ。  
無論、私はそんなすさんだ生活なんて御免よ」  
「そうなのか……」  
 
歩は一瞬、その手のコワイ人ってなんだ? と言う疑問が脳裏に浮かんだのだが、  
ここで迂闊に話の骨を折るような事を聞くと、久実が余計に不機嫌になりかねないと賢明な判断を下し、適当に頷いた。  
が、その頷きを納得した物と受け取ったらしく、久実はイイ笑顔を見せて言ってくる。  
 
「まあ、そう言う訳だから、安心して私に精を献上して頂戴。悪い様にしないから」  
「安心できねえよ!」  
「なんでよ! 別に精液の2、3発くらい献上したって死ぬような事になる訳ないのでしょ?  
……ひょっとして、歩君はカブトムシの雄みたいに一回交尾したら直ぐに死んでしまうようなヤワな身体な訳?」  
「いや、そう言う訳じゃなくて……」  
 
いって、歩は何処か恥ずかしそうに顔を赤らめて、もぞもぞと言い出す、  
 
「あの、アレだ、俺達はまだ高校生なんだ。そう、まだ若いんだ、だからそう言うのはまだ……」  
「―――要するに、歩君はまだ童貞って訳ね?」  
「ぐはっ!?……ストレートに痛い所を突かれた……!」  
 
言葉を途中で遮って久実が言った歯に衣着せぬ痛烈な一言に、歩は思わず痛恨の呻きを漏らした。  
その様子を見てうんうんと一人頷いた後、久実は酸いも甘いも知った女の笑みを浮かべ、歩へ囁く。  
 
「ふふっ、だったら尚更安心して頂戴、この私が、歩君の童貞を心地よく奪ってあげる。  
そう、何もする必要は無いわ、ただ、私に身を任せるだけで良いのよ」  
「……なんだかその言い方って、どこぞの怪しい宗教のエセ教祖みたいな喋り方だな……?」  
 
歩が何気に言った言葉に図星を突かれたのか―― 久実は一瞬だけうっ、とうめいた後、  
 
「ああっ、もう! 一々うだうだ言っちゃってくれて! 本っ当にじれったいわねっ!!」  
 
いきなり顔色を変えると、久実は癇癪を起こした様に叫ぶ。  
普通なら、ここまで魅了すれば男の方から行為を望む筈なのに、歩の場合はこれである。  
どう言う風に魅了しても、なんやかんやと渋って嫌がって、全然思う通りに動いてくれない。  
彼女が癇癪を起こすのも当然だった。  
   
「こうなったら無理矢理にでも犯してあげるわよ! と言うか私も限界!」  
「え、ちょ、おい!」  
 
そのまま歩が声を上げるのも無視し、久実は歩の下腹部の辺りで膝立ちをすると  
カーディガンの裾に手を掛け、完全に破けて駄目になるのも気にせずに一気に脱ぎ去り、ベットの側へ放り捨てる。  
 
「あ……」  
 
それを前に、歩は動揺し、思わず間抜けな声を漏らす。  
そうなってしまうのも当然の事だった、どうやら久実は下着の類を一切身に付けて居なかったらしく、  
無駄な贅肉と言うものが存在しない引き締まった腹部。くびれが芸術的なラインを描く腰回り。  
その腰から続く僅かに浮いたあばらがより淫靡さを強調させる胸回りに  
思わず貪り付きたくなるような、ツンと上に張った釣鐘型の小ぶりな乳房がぷるんと震える。  
それはある意味、完成されたと言っても良い均整の取れた健康的な少女の身体、  
今まで様々なメディアで女性の身体を見た事のあった歩でも、それを前に見上げるような形で釘付けとなってしまった。  
 
「あーもう、パンツもベトベト、後で洗わなくちゃ」  
 
そんな歩に気に掛ける事無く、久実は更にミニスカートの下のパンツに手を掛けると、これもまた一気に脱ぎ捨てる。  
パンツを脱ぎ捨てた際、股の辺りからぬめりのある液体が糸を引いて離れ、甘い香りを周囲へ振りまく。  
その匂いに惹かれる様にその辺りを見た歩は、驚きのままに更なる呟きを口から漏らす。  
 
「うあ……はえて、無い……」  
 
パンツと言う邪魔が無くなり、外気に晒された久実の秘所は陰毛が一切生えておらず、  
その割れ目のやや赤味がかった桃色の陰唇の内側に僅かに見える、愛液まみれの淫穴が刻折ヒクヒクと艶かしく蠢き、  
其処から溢れ出した愛液が、つつっと糸を引いて滴り落ち、彼の下腹部を濡らしていた。  
その途端にその強さを増す甘い香り、どうやらこの甘い香りの大本は久実の愛液だったらしく、  
直にそれ嗅いでしまった歩は、心臓の鼓動がどくんっ、と高鳴る感覚を感じると共に、ペニスをより怒張させてしまう。  
それを見て取った久実は双眸を愉悦の形に歪め、愛液を滴らせる秘所へ両手を添えると  
 
「ふふ、今から君は、私のここに精液をタップリと献上するのよ? 良いわね?」  
 
言って、両手の指先で陰唇を割り開き、その内側に隠れていた淫核と淫穴を歩へ見せつける。  
その際、広がった淫穴の内側をみっしりと覆い尽くす肉襞と肉疣が、  
目の前の獲物を求める様にウネウネと蠢いて見せる。  
同時に、陰唇を割り開いた事で、口を大きく広げた淫穴から溢れ出る愛液の量が増し、  
歩の下腹部はおろかペニスの根元辺りまでをもヌルヌルに濡らし、強さを増した淫臭が歩の思考を奪う。  
 
「あ、ああ……」  
 
うめく様に答えた歩に、久実がくすり、と笑いかけると股の間に歩のペニスの先端が行くよう、僅か後方に腰をずらす。  
そして、そっと歩のペニスの根元を掴むと、その先端を愛液を滴らせる秘所へあてがう様に腰を下ろす。  
ぶぢゅ、と何とも形容しがたい粘った水音と共に、亀頭の先端に非常に柔らかく温かい粘膜が触れ、愛液が伝い落ちる。  
その初めての感触に、歩は戸惑いと動揺と、そして僅かな歓喜を入り混じらせた声を上げた。  
 
「うぁ! なっ、ちょ、やめっ!」  
「それじゃ、歩君の初めて、頂きます」  
 
だが、久実は歩の声を意に介せず、ゆっくりと腰を沈め始める。  
先ず、柔らかい入り口が僅かに広がり、歩のペニスを内部へ飲み込み始め、  
その中の、粘液にぬめる襞にみっしりと覆われた柔らかな内壁が、ペニスを更に奥へ飲み込むべく蠕動を行い、  
幾重にも重なった肉襞が、歩のペニスの亀頭やカリ首、竿を撫で上げ、粘液を擦り付けながら通り過ぎて行く。  
 
「あっ、かっ…はぁっ!?」  
 
その凄まじい感触を前に、歩の意識は瞬く間に快感に染め上げられ、痺れるような感覚が腰の奥を渦巻き始める。  
一度射精したにも関わらず、彼のペニスは早くも久実の胎内で張り詰めるくらいに膨張し、熱く脈動を始める。  
   
(なっ、こ、これがっ、彼女の…中なのかっ!? 凄まじ…過ぎるっ!!)  
 
そう、今、歩のペニスが飲みこまれているのは、精液を搾取する為に特化した魔膣なのだ。  
例え、それが挿入しただけであっても、先程まで童貞であった彼が耐えられる筈が無い。  
そして、亀頭が膣の奥の方にある、無数の肉疣に覆われたざらざらとした内壁に包まれたと同時に、  
歩はあっさりと限界を向かえた。  
 
「あぁっ、くっ、でっ、でるっ、あぁぁぁぁぁぁっ!!」  
「あっ、早速来た! 歩君の精液がどくどくって出てるっ! 美味しいっ!」  
 
歩が叫び声を上げ、腰をがくがくと痙攣させると同時に、  
腰の奥で渦巻いていた熱が、ペニスの先で弾けるような感覚と共に精液を勢い良く放出させる。  
どくどくと、胎内に注ぎ込まれる熱い物を感じ取った久実が、嬌声混じりに歓喜の声を上げると共に  
より多くの精液を搾り取るべく膣の内壁を蠕動させ、肉襞と肉疣をペニスへ絡みつかせる。  
そしてそれに応える様に、彼のペニスが暴れる様に脈動し、更なる精を放っていった。  
やがて長く続いた射精が収まった頃、紅い双眸を潤ませた久実が身体を僅かに前傾させると、  
口から荒い息を漏らすだけとなった歩に囁くように言う  
 
「……ふふ、歩君の童貞、美味しく頂いたわよ。  
それにしても、入れただけ出しちゃうなんて、私の中がよっぽど良かったのね?」  
「…………」  
 
歩からの返答は無い。だが、それも当然である。  
凄まじい射精の余韻と、未だにペニスに絡み付き、優しく撫で上げ続ける内壁の感触に声を出せない状態なのだ。  
――だが、どうやら元より返答はこない物と考えていたらしく、久実は続けて歩へ囁きかける。  
 
「しかし、この程度で惚けているようじゃ、こうやった時にはどうなるのかしら?」  
(……こうやった時?)  
 
久実の言葉に、歩が僅かに残った理性を疑問に振り向ける。  
――その疑問の答えは直ぐに訪れた。  
 
「……っ!」  
 
ペニスを包み込んでいた温かい内壁が、別の意思を持った様にじわじわと蠢き始めた。  
別の生物の様に内壁が意思を持ってうねり、蠕動しながら歩のペニスの全体へ肉襞と肉疣が纏わり付き、  
亀頭から根元までに吸い付くようにぴったりと隙間無く絡みついて行く。  
 
「あ、ああっ!?」  
 
その異様な感触を前に、歩は堪らず声を上げた。  
幾重に重ね合わされた肉襞が蠢きながら歩のペニスに纏わり付き、グネグネと複雑な動きで蠕動運動を繰り返す。  
亀頭やカリ首、裏筋や竿の全てに粘液にまみれた肉襞の一つ一つが満遍なく吸いついて  
言い様の無い快感を歩の脳へ断続的に送り込み、瞬く間に射精感の限界ヘ追いやっていく。  
 
(こ、こんなの…我慢出来る訳が無いじゃないかっ!)  
 
我慢し様にも我慢出来る物ではなかった。そう、久実の膣はその我慢する意思すらをも殺ぎ落として行くのだ。  
ならばせめてと、歩が腹筋に力を入れ、更に括約筋を引き締めてなんとか耐えしのごうとした矢先。  
   
「さ、もっと出して頂戴」  
 
久実の言葉と共に、ペニスを包みこんでいる膣がぎゅっと締まり、纏わり付いている肉襞や肉疣が更に密着してきた。  
それと同時に、亀頭の先端に弾力のある子宮口が吸いつき、ポンプの様に無造作に吸いついてくる。  
無論の事、この不意討ちに歩が耐え切れる筈が無く、  
 
「あ、あ、く、久実っ、くぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」  
 
身体を弓なりに仰け反らせながら、蠢き続ける久実の胎内へ射精した。  
胎内に解き放たれた白濁に歓喜する様に、内壁がうねりを強くして肉襞と肉疣を蠢かせ、  
鈴口にぴったりと吸い付いる子宮口が、解き放たれて行く精液を一滴残らず吸い上げて行く。  
射精している最中も尚、より多くの精を吸い上げる為にペニスを愛撫する膣の動きは止まらない。  
久実の胎内への一発目からニ発目まで僅か三十秒足らず、それだけ久実の――いや、淫魔の膣は凄まじいのだ。  
ミミズ千匹、カズノコ天井とか呼ばれる名器の特性をすべて兼ね備えていると言っても良い。  
それを前に普通の人間が幾ら我慢した所で、果たして何の意味があるのだろうか?  
精を吸い上げられる感触に身体を震わせる彼の表情を、久実は何処か愉悦を入り混じらせた眼差しで見下ろし、  
胎内でビクリビクリと震える歩のペニスから、勢い良く放たれる精液の感触の感想を漏らした。  
 
「ん、ニ発目、いや、三発目も勢いが良いわね。く…子宮をどんどん叩いてる」  
 
そして僅かに腰を揺すると同時に、リズミカルにきゅっきゅっきゅぅっと膣を締め付けさせる事で、  
ペニスへ与える快感を増大させ、歩から更なる精を搾り取って行く。  
そして、精液の放出が収まった所で、淫らな笑みを浮かべた久実が歩へ語りかける。  
 
「……ねえ、歩君が良いって言うなら、もっともっと気持ち良くさせてあげるわよ?」  
 
久実は思っていた。歩はそろそろ『墜』ちる頃だと。  
為す術も無く一方的に犯され、快感を強制的に味あわされた上で、精を搾取されていく  
それは何処までも倒錯的な感情、だが、同時に一度味わえば病み付きになってしまう魅惑的な感覚。  
彼はその内の悦楽に浸り、溺れ、肉欲の望むままに久実を受け入れる事だろう。  
そうすれば、後は彼が死に至らない限界まで楽しむだけ。と、そう考えていた。  
 
――だが、歩の精神力は、久実が想像していた以上に強かった。  
 
「い、いや。…もう、結構だ……これだけ、やれば……もう、充分だ」  
 
肩で息をしながら、歩は久実に向かって億劫ながらも口を動かす。  
歩にして見れば、もう3発も献上させられた時点で充分だと思っていた。  
何時も、彼が自慰を行う時は多くて3発までにしている。そうしなければ疲労が明日に響く事になりかねないからだ。  
そう、彼が倒錯的な快感を振り払って言い出したのも、只、単に疲れた状態で学校に行きたくないだけの事だったのだ。  
本質的に樋口 歩と言う男は、そう言う面倒な事になるのが嫌な人間であった。  
だが、そんな歩の考えを余所に、久実の感情は驚きの物に変わっていた。  
 
(信じられない。これだけやってまだ『墜』ちないなんて……!  
普通、歩君くらいの子がこれくらいやられたら、もう子供みたいにねだってくる筈なのに……)  
 
サキュバスと言う存在は、男に快楽を提供する代償に、精を提供してもらわねば生きていけない存在だ。  
久実もサキュバスである以上、生きていく為に何人もの男に快楽を与え、その代償として精を搾取して行ったのだ。  
その中で、彼女は男を魅力で『墜』とす事で、愉悦を味わえる上に、普通よりも多く効率的に精を搾取できる事を知った。  
そうやって幾人もの男を魅力で『墜』とし、男が望むままに(無論、死なせない範囲ではあるが)精を搾取して行った。  
その内、久実は自分の魅力で『墜』ちない男はおらず、  
同時に、自分のテクニックで『墜』ちない男もいない、と確固たる自信を持つようになった。  
だが、その自信は今、歩が何気に言った言葉に粉々に打ち砕かれてしまった。  
 
(……思った通りだ。歩君は、私が見込んでいた通りの子だった)  
 
しかし、彼女は自信が打ち砕かれた事に関して怒りは感じなかった。いや、むしろ喜びに近い感情を感じ始めていた。  
自分の見込んだ樋口 歩と言う男が、予想よりも遥かに強靭な精神力を持ち合わせていた事に、  
そして、その歩を自身の魅力で『墜』とす事が出来れば、自分はよりサキュバスとして高みに昇る事が出来る、と。  
そう、久実はある意味、求道者的な一面も持っていた。  
 
(ふふ、何時かは、歩君の方から望む様にしてあげたいな♪  
……と、その前に先ずはやる事をやっとかないとね)  
 
何時かは自分の魅力で歩を『墜』とす事を、胸中で硬く決意した所で、  
久実はようやく自分のやるべき事を思いだし、呆然と此方を見上げる歩に、くすり、と笑いかけると、  
 
「歩君。残念だけど、私の方はまだ充分じゃないのよ」  
「え゛っ?」  
 
彼女の言葉に、歩は何処か信じられないと言った感じに声を上げる。  
しかし、彼女はそれを一切気にしていないように続けて言う  
 
「だ・か・ら、私が満足するまで、容赦無く搾ってあげるわ」  
「ちょ、ちょおま!……っ!」  
 
焦る歩の胸へ彼女が乳房を押し当てる様に体を倒すと、両手を歩の首の後ろに回して固定する。  
その際、押し当てられた乳房の柔らかな感触と勃起した彼女の乳首の感触に、歩は声無き声でうめく。  
そんな眼前の歩の表情を、彼女は目を細めて眺めると、  
 
「それじゃ、行くよ。 いっぱい出して頂戴ね?」  
「う、うあっ、あぁっ!!」  
 
歩に有無を言わせる前に、ぐいぐいと腰を前後に動かし始める。  
ペニスが中から抜け出す時は肉襞と肉疣が名残惜しげにしがみ付いてペニス全体を撫で上げ。  
反面、ペニスが中へ沈みこむ時はみっしりと詰った肉襞が蠢きながらペニスを包みこみ、揉み立てる。  
その度に、柔らかな肉の圧迫をペニス全体に受け、肉襞が裏筋と竿全体を扱き上げ、肉疣が亀頭を揉み上げる。  
彼女の動きに合わせて結合部から淫猥な水音が漏れ、愛液が溢れ出るも、  
どうやら精液は一滴残らず吸上げられているらしく  
彼女がどの様に動いたとしても、結合部から精液が漏れ出す様子は見られなかった。  
 
「あがぁっ、あ、く、あ、う、や、あっ!」  
 
彼女の動きに併せる様に、脳髄を貫くような凄まじい快感が身体を駆け巡り、歩は身体を仰け反らせて呻く。  
動かずに締めただけでも凄まじかった物が、今度はテンポ良く腰が振られる事でそのうねりがより激しくなっているのだ。  
その快感は動かなかった時の比ではない、これで悶絶しない方がおかしかった。  
それでも、彼は断続的に襲い来る強烈な快感から耐えようと必死に歯を食いしばり、括約筋を振り絞るが、  
久実の魔膣の前では、歩の抵抗なんぞ最早、蟷螂の斧にも等しかった。  
 
「う、あ、あぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」  
 
そのまま四度目――久実の胎内では三度目の絶頂を迎え、身体を痙攣させながら射精した。  
四度目にも関わらず、膣に解き放たれる精の勢いは衰える事は無く、いや、むしろ増している様にさえ思えた。  
吐き出される精の感触に反応して、ペニスを包みこむ肉壁がうねうねと奥へ送り込む様に蠕動し  
更にすかさず、彼女の子宮口が歩の鈴口に吸いつき、脈動する様にどくリどくりとペニスから精を吸い出して行く。  
その時でさえも彼女が腰を動かし続けているのだが、それにも関わらず子宮口が鈴口にぴったりと吸付いているのは、  
なるべく多くの精を搾取する為に膣を特化していった淫魔がゆえの構造なのだろう。  
 
「あ、あぁぁぁっっ……」  
「ふふ、もう出しちゃったの?」  
 
尿道に残った残滓まで吸われていく快感に打ち震える歩の表情を、彼女は腰を動かしつつ愉悦の眼差しで眺めていた。  
彼は精を出しきった後で、彼女が少しは間を空けてくれるだろうと思っていた―――が、  
その彼の期待を裏切る様に、頬を赤らめた久実が言ってのける。  
 
「それじゃ、続けよっか……」  
「え、ちょ!? あ、あぁっ!」  
 
慌てる歩を余所に、久実が愉悦と快感を入り混じらせた妖艶な笑みを浮かべ、腰を艶かしく動かしつづける。  
ペニスにびっちりと纏わりついた、ぬるぬるに濡れた無数の肉襞と肉疣がうねりを上げて揉みしだくように蠢き、  
射精して間も無い歩へ、えもいわれぬ快感と興奮を与えてゆく。  
 
(な、なんで……!)  
 
先程射精したにも関わらず、再び腰の奥に込み上げてくる痺れに近い熱い感覚。  
このままでは再び射精に追い込まれるのも時間の問題だ。  
 
「さっき、言ったわよね? 容赦無く、搾って、あげるって」  
 
まるで歩の思考を読取った様に、久実が笑みを浮かべながら、  
紅い双眸を怪しく輝かせて腰の動きのリズムに合わせてぶつ切りにした言葉で言う。  
 
「休む暇を与えてくれる、だなんて、期待しないほうが、良いわよ?」  
「…………!」  
 
この時、ようやく歩は、今の自分の立場と言うものを理解した。  
そう、この時の自分は、彼女にとっては飽くまで搾取される側の『獲物』に過ぎない存在なのだ。  
捕食されている最中、獲物がどの様に抵抗を試みた所で、喉元に食らい付いた捕食者が食うのを止める筈が無い。  
この場合で言えば、獲物を喰らう捕食者が久実であり、逆に捕食される獲物が歩である。  
歩が我慢と言う形で抵抗を行った所で、久実はそれ以上の快楽を送り込み、結局は射精させられ搾り取られてしまう。  
そう、歩はまさに久実に喰われているのだ。それも、牙や爪を使って肉を引き千切り、血を啜ると言う形ではなく、  
魔膣によって強烈な快楽を強制的に送りこまれ、屈辱的な形で精を搾取されて行く形で。  
だが、今更それを知った所で、彼のペニスへ快楽を送り込み続ける膣の動きが収まる筈も無く、  
彼女が腰を下ろした際に、亀頭の辺りヘ食いつく様に纏わり付いた肉疣が、  
亀頭をもむもむと咀嚼する様に蠢き始めた所で、歩に限界は訪れた。  
 
「うっ、あぁぁっ!」  
「んっ、まだ、こんなにっ、出るのねっ…一体、何処に溜め込んでいたの、こんなに」  
「あ、ああぁ……」  
 
脈動するペニスからの四回目――いや、五回目の射精を胎内に感じながら、  
ようやく腰の動きを緩めた久実が、何処か捕えた鼠を弄ぶ猫を思わせる眼差しを歩に向け、甘い声で語りかける。  
だが、歩は呻くだけで何も答えられない。それだけ彼ヘ送りこまれる快感が凄まじいのだ。  
ペニスに絡みつく肉襞が精の残滓を搾り取る様に、根元から先端への圧迫を繰り返し、  
亀頭に吸付く子宮口がポンプの様に吐き出される精液を機械的に吸い出して行く。  
絶頂を繰り返しても尚、休む暇は殆ど与えられず、次第に歩は息も絶え絶えの状態になりつつあった。  
同時に、彼女の腰が艶かしく振られる度に、快感と共に確実に魂を削り取られるような感覚をも感じ初めていた。  
   
「何も答えないの? ……まあ良いわ。まだ大丈夫っぽいみたいだし、続きをしましょ」  
 
歩の答えを待つ事無く、久実は僅かに腰を浮かすと、再び腰の動きを再開する。  
最初の前後へのグラインドだけだったものを、左右への動きを加えた円運動に変えて腰を動かしてゆく。  
前後に動いていた時でさえ耐えるのがかなり厳しいのに、彼女はより動きを複雑に、そして激しくさせて行く。  
その動きに合わせて、膣内にみっしりと詰った肉襞と肉疣が複雑な動きでペニスに絡みつき、  
無数の肉襞が亀頭を撫で上げ、カリ首を左右に擦りたて、裏筋を舐り、竿を上下に扱き上げる。  
幾度の射精によって、痛みどころか感覚さえもあやふやになっていたペニスが、  
歩の意思に反して再び久実の膣内で破裂しそうなまでに膨れあがり、びくんびくんと熱く脈動し始める。  
 
「あっ、ああぁっ、もうやめっ…! うぁっ!」  
「あんっ、抱いてくれるの? だったらもっと頑張っちゃうよ」  
 
一段と激しさを増したペニスへの責めに、激烈な快感を歩は思わず久実の身体に抱きついてしまう。  
……しかし、それが行けなかった。  
抱きついた際に歩の乳首へ上手い具合に硬くなった彼女の乳首が押し当てられ、  
彼女の体温と乳房の柔らかな感色と共に、歩の乳首をくりくりと巧みに擦り上げる感触がプラスされる。  
そして更に腰の動きもヒートアップして行き、歩は意識が白く染まり始める感覚と共に絶頂へと昇り詰めさせられてしまう。  
 
「あぁっ、あっ、くぁぁぁぁっ!!」  
「んっ、ちょっと勢いが弱まってきたかな……?」  
 
先程よりも僅かに弱まった射精を胎内に感じ、久実は一人呟きを漏らす。  
しかし、そうなってしまうのも致し方が無い事だった。何せ歩は立て続けに5度も久実の胎内へ射精したのだ。  
普通ならば射精どころか、勃起を維持する事すらも困難になる程に責め立てられ続けていたのだ。  
だが、彼女はまだまだ容赦する気は無かった。  
 
「んじゃ、その時の手段、という事で……ちょっと力抜いてね」  
「……うぁ……?」  
 
久実の言葉に、歩は朦朧とした意識の中で首を傾げる。  
そして、その言葉を理解するよりも早く、  
 
「―――――っっ!?」  
 
唐突に、窄まりをつつっ、と何かが撫でる異様な感触を感じ、歩の意識が一気に覚醒した。  
見れば、久実の長くしなやかな尻尾がUの字に曲がり、歩の窄まりの方へ伸びているのが見えた。  
それに気付き、慌てる歩の様子を見つめながら、彼女がどこか悪戯っ子の様に歩へ囁く。  
 
「ふふ、歩君のお尻の初めて、頂きます」  
「がっ!?…あぁぁっ!!」  
 
ずぶり、と言う感触と共に、愛液に濡れた彼女の尻尾が窄まりを容易く突き抜け、歩の直腸へ侵入を果たす。  
何時もは出すだけの器官に、異物を突っ込まれる衝撃的な感覚に思わず悲鳴を上げる歩。  
体内に入り込んだ尻尾は数度、直腸内でうねると、膀胱の裏側の辺りでクルミ程の大きさの膨らみを探り出す。  
その膨らみこそ、男性のみが有する前立腺と呼ばれる器官であり、女性で言えばGスポットにあたる器官だった。  
それを見つけ出した久実は舌なめずりをすると、早速、体内に侵入させた尻尾でその部分を重点的に刺激する。  
無論の事、今まで感じた事の無い異質な快感に歩は声にならない呻きを漏らし、  
久実の胎内でペニスを熱く膨張させる。  
 
「お、早速私の中で大きくなってる……私の尻尾で感じてるんだね?」  
「ち、ちが…う…」  
「ふーん、違う、ねぇ……うそつき」  
「あうあぁがぁっ!?」  
 
効果有りと感じ取った久実は、歩へ意地悪げに囁きながら尻尾を巧みにうねらせ、歩の直腸を蹂躙する。  
無論、その間にも彼女は両手で、歩のわき腹や脇の下等の敏感な部位を優しく撫で上げ  
更に僅かに身体を前後させる事で、自分の乳房で歩の乳首などの性感帯を巧みに刺激して行く。  
同時に、歩のペニスを包みこむ粘液にぬめった肉壁の責めも止む事は無く、  
まるで我慢する歩を嘲笑うかの様に、肉襞がぐにゅぐにゅとうねりながらペニスを締め付け、快感を送りこんで行く。  
 
「うっ、ぐっ、ぐぅっ!」  
「ん、ふっ、突き上げてくれるの? あんっ、良いわ、来て」  
 
断続的に送り込まれる快感に歩の思考は再び掻き乱され、何も考えられぬまま腰を突き上げ、昇り詰めさせられる。  
その突き上げを感じ、久実は僅かに嬌声を漏らしながら突き上げに合わせる様に腰を動かす。  
ぺちんぺちんと腰と腰がぶつかり合い、愛液と汗と僅かな先走りが入り混じった液がベットに飛び散る。  
どちらかの腰が動く度に、歩は脳髄を焼くような快感を身体全体に感じ、それを求める様に更に強く突き上げる。  
そして一際強く突き上げた所で、何処か獣のような声を上げながら歩は絶頂に達した。  
 
「あっ、ぐがっ――――があぁぁぁっ!」  
「んっ、勢いが戻った、ビクビク震えてる」  
 
久実の尻尾でさんざん前立腺を刺激され続けた所為か、  
先程の弱まった物とは比べ物にならない量と勢いを持って、白濁が一気に尿道を駆け抜ける!  
堰を切った様に鈴口から精液が噴き出し、命が削り取られる様な快感と共に次から次へと久実の胎内へ注ぎ込んで行く。  
彼女はそれを膣で感じ取りながら、歓喜の声を上げて腰を僅かに揺さぶって膣を締め付け、  
更に歩の直腸に侵入させた尻尾をうねらせ、射精を助長してゆく。  
一滴残らず膣に精液を吸上げられる中、歩は最早、彼女の身体の下で身体を震わせるしか出来ないでいた。  
 
「さて、もう一回しましょう」  
 
そして再び精液を搾り取るべく動き始める彼女の腰。  
真っ白に染まってしまった意識の中、歩が感じるのは身体中から断続的に送り込まれる快感のみとなっていた。  
身体に擦りつけられる彼女のすべすべとした肌が何処までも心地よく、彼女の乳房がふにふにと胸を刺激する。  
ペニスに纏わり付いた肉壁がうねり、肉襞が竿を撫で上げ、肉疣が亀頭を揉み解してゆく。  
彼女の尻尾が歩の体内をうねうねと動き回り、ぐりぐりと前立腺を弄んで行く。  
快感が身体の細胞の一つ一つまでを支配し、思考が隅に追いやられる。  
更に疲労の所為か、次第に視界が闇に蝕まれ、身体から意識と感覚が遠のいて行く。  
―――それは何処かの小説か漫画で知った、『死』の感覚に程近い物があった。  
 
「あ、ヤバッ……」  
 
そんな闇に沈みゆく意識の中、  
久実が慌てた様に何かを言ったような気がするが、其処から先は良くは覚えていない。  
 
 
                        *   *   *  
 
―――歩は走っていた。  
何処までも広がる広大なお花畑を。  
頬に吹き付ける風が何処か心地が良い。  
恐らく、景色の向こうで流れゆく川がゴールなのだろう、誰かが此方を応援している。  
こっちに来い、こっちに来い、と川の向こうの誰かが此方に声を掛け続けている。  
さあ、急げ。川を渡ればゴールはもう直ぐだ。  
 
ざぶざぶと川を渡り始めた所で、彼はふと気付き、叫んだ。  
 
「――…って、ここ三途の川っ! 渡ったら駄目じゃん!」  
 
そして次の瞬間、彼の意識は再び暗転した。  
 
…………  
 
――何だろうか?  
さっきから、誰かが歩の口に何かを指し込んで来る。  
彼は即座に、口に指し込まれる『それ』が何なのかを確めようとするが、  
生憎、舌はおろか口内の粘膜の感覚があやふやで、『それ』の正体が殆ど分からない。  
わかる事といえば、『それ』がとても柔らかく温かい事と、うねうねと口内で自在に動く、それだけだった。  
『それ』が何度か、全く動かない彼の舌に纏わり付くと。今度は何かの液体を口内に注ぎ込み始めた。  
その『液体』の物なのだろうか、ほんのりと甘い香りが鼻腔を満たし、練乳を更に優しくしたような甘さが口内に広がる。  
無意識の内に、そして反射的に、歩は喉を鳴らして口内に注ぎ込まれる『液体』を飲んでゆく。  
如何してかは分からないが、身体が今、注ぎ込まれている『液体』を求めている様な気がした。  
気が付けば、歩は母乳を求める赤ん坊の様に、夢中になって『液体』を飲んでいた。  
 
『それ』はある程度、『液体』を歩の口内に流しこむと、不意に口から離れ、  
そしてある程度時間を置いて、再び『それ』が歩の口内に指し込まれ、当然のように『液体』を流しこんでゆく。  
 
――何度か、それを繰り返したところで、  
ふと、彼は身体の内側からじんわりと込み上げる熱のような物を感じた。  
体温とか、そういう物ではない。人間が生きるのに必要な根源的な何か。  
それが熱、と言う感覚を持って、身体の内側から込み上げてくる。  
歩は、それが何なのかを知っていた。  
 
そう、これは……  
 
「――………っ!?」  
 
うっすらと目を開けた所で、ほぼ眼前にあった少女の顔に気付き、歩の意識は驚愕と共に完全に覚醒した。  
同時に、先程から彼の口内に指し込まれていた彼女の舌が引っ込み、彼女の顔が離れる。  
それは久実だった。どうやら意識を失っている歩に口付けをしていた所だったようだ。  
状況が理解できず、未だ驚愕に目を見開く歩に、久実は優しく微笑みかけ、問い掛ける  
 
「気が付いた?……調子はどう?」  
 
聞かれて、歩は一瞬、どう答えて良いのか分からなかったが、取り合えず、先ずは自分の身体の調子について考える。  
なんだか暫く走り続けた後の様な纏わり付く様な倦怠感こそ感じる――だが、立って歩く事も出来ない程ではない。  
まあ、学校に行く分には少し酷な状態、と言えばそうかもしれない。  
と、其処まで考えて歩は、ふと、ある事を思い出す。  
 
(そう言えば、俺は彼女に散々……)  
 
其処で歩はようやく、自分がきちんと服を着せられた状態で寝かされていた事に気がついた。  
 
「ゴメンナサイッ!」  
 
歩が何かを言おうとする間も無く、いきなり久美が手を合わせて歩へ謝る。  
その突然の行動に、歩は意味がわからず目をぱちくりとしていると  
 
「私、お腹が空いてたから、ちょっと調子に乗りすぎちゃって……歩君に大変な目にあわせちゃった……。  
歩君の心臓が止まってるのに気付いた時は、私も本当に心臓が止まりそうだった……  
とにかく、本当にごめんなさい」  
 
目に涙を浮かべる彼女の話を聞く限り、どうやら本気で死に掛けたらしい。  
つー事は、あの川を渡りきっていたら死後の世界へご招待されていた訳である。  
歩は、寸での所で生命の危機を乗り切った自分の悪運の良さに感謝した。  
 
「もう良いよ、もう済んだ事だし……俺は怒ってないよ?」  
「え?……本当?」  
「そりゃ、死にかけた事は確かだけど、結果的に俺はこうやって生きているんだし  
済んだ事で一々怒ってたらそれこそストレスで身が持たないよ」  
 
言って、歩は涙目になっていた久美へ微笑みかける。  
基本的に、樋口 歩は済んだ事に関して、反省はすれど気にしない性分であった。  
そして、久美は涙を手で拭った後、歩へ何処か心配気に問い掛ける。  
 
「で、さっきは答えてくれてなかったけど……本当に身体の方は大丈夫なの?」  
「うん。身体の方も少しだるいだけで、如何って事無いし……だから気にしないで」  
「……ありがと。……本当は怒られるの覚悟してたけど、歩君って優しいのね……」  
 
優しげに返す歩に、久美は申し訳無さと嬉しさを混じらせて言う。  
其処で、歩は一つの疑問を思い返し、久美が落ち着いた所で聞く事にした。  
 
「所でさ……さっき、俺に口移しで飲ませてたあれ、いったい何?」  
「ああ、それ? あれはね、私オリジナルの滋養強壮作用のある栄養ドリンクなのよ」  
「栄養ドリンク?」  
「うん、せっかく精を提供してくれた人間に、後で倒れられたりしない様に  
私が搾取した人間に対して、行為の後で必ず飲ませている栄養価抜群の飲み物なのよ。  
けど、感謝して頂戴、本来はコップに入れて飲ませる物であって、わざわざ口移しで飲ませるような事はしないのよ?  
あの時は歩君が本当に死に掛けてたから、仕方なしに口移しで飲ませたのよ」  
 
と、そっぽを向きつつ何処か恥じらい混じりに言う久美、  
その際、歩はあれだけ搾っておいて何を今更、とか、  
そもそもその栄養ドリンクの材料って一体、何? とか彼女に突っ込みたかったが  
言ったら言ったで何か恐ろしい事になる可能性が高いと考え、  
喉元まで出掛けていた突っ込みの言葉は胸中にひっそりと仕舞う事にした。  
 
そんな歩の心境を余所に、久美ははと何かに気が付いた様に歩へ向き直り、  
 
「そういや、歩君、家には何時帰るとか言ったの?」  
「え?……特には言ってないけど……?」  
「うあちゃ〜……歩君は気付いてないけど、時間は夜の八時を周ってるのよ?  
そんな遅くまで帰らなかった事を、君は親御さんに如何説明をするつもりよ」  
「え゛? マジ?」  
 
言われて窓に目を移してみれば、窓の外はすっかり暗くなっており、夜空に満月が輝いていた。  
こう見えて歩の親は門限に結構厳しく、規定の時間まで帰らなかったら最悪、家を閉め出される可能性すらもある。  
久美の言葉が正しければ、もう今更家に帰った所で怒った親によって閉め出されてしまう事だろう。  
その絶望に、歩は目の前が真っ暗になる感覚を感じた。  
 
「そんな顔しなくても大丈夫よ。歩君の容態が落ち着いた所で、私が親御さんに電話しておいてあげたから。  
『友達との勉強会で一晩泊まる事になります』ってね。 もちろん、親御さんの許可も下りたわ」  
「なんだ……びっくりして損した……」  
 
久美が機転を利かせてくれていた事を知って、歩は思わず安堵の息を漏らす。  
と、其処で歩はある事に思い当たり、久美へ問い掛ける。  
 
「って、ちょっと待って? そうなると俺は……何処で泊まる訳?」  
 
そう、今夜は家に帰れない以上、自分は何処で寝泊りするか、と言う事に気付いたのだ。  
しかし、そんな歩の問いかけに対し、久美は「そりゃあ勿論」と言って、自分の部屋のベッドを指差す。  
歩はしばし思考を逡巡させた後、やや掠れた声で言う。  
 
「……えっと、それは……君の部屋に泊まれって言う事?」  
「そう言う事♪ あ、心配しなくても大丈夫よ、さっきと違って優しくしてあげるから」  
 
ちっとも大丈夫じゃないのは自分の気の所為だろうか、と歩は考えたのだが  
それを口に出す勇気は生憎、今の歩に持ち合わせてはいなかった。  
 
「はあ……分かったよ。ならお言葉に甘えて今晩だけお世話になりますよ……」  
「うんうん、人間、素直な事は美徳よ♪ さ、先ずはお風呂で汚れた身体を洗ってあげるわ」  
「へいへい、お手柔らかにお願いします……」  
 
ぐいぐいと手を引いて風呂場へ向う久美に、何処か諦め混じりに言う歩。  
かくて、歩は久美の家に泊まる事となるのであった。  
 
尚、この一晩の間、久美によって歩は三発ほど搾り取られたのは、言うまでも無い事だろう。  
 
 
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そして、話は冒頭へと戻り……  
 
「ん〜、やっぱり歩君の精液は実にデリシャスね!」  
「あの……少し言いたい事があるんだが」  
「ん? 何?」  
 
学校の屋上へと続く階段の人気の無い踊り場で、  
つい先ほど口淫によって自分の精を搾り取った久美へ、歩がズボンへペニスを仕舞いつつ少し文句有り気に言う。  
 
「何で学校でまでやるんだよ、こっちとしては何時誰かに見つからないか冷や冷やもんなんだが……」  
 
そう、確かに歩は久美のご飯として精を提供する関係となった。  
だが、それは飽くまで久美が生きる為に協力している関係であり、  
歩自身は久美が望んだ時に何時でも精を提供するその代わりに  
久美は必要以上の搾取を行わず、更に見返りとして歩の勉強の手伝いを行うと言う条件での同意となった。  
 
……実の所、歩自身は既に久美から凄まじい快楽を貰っている為、余り多くの事を望みはしなかったのだが、  
逆に久美の方が『折角、精を提供してくれる歩君に何かしてあげないと私の気が引けるわ』と言い出し。  
数時間に及ぶ論議の末、今の条件に落ち着いたのであった。  
 
「ああ、その点については大丈夫。 やる時は必ず結界を張って誰にも見つからないようにしているし」  
「なんだ、それなら大丈夫……って、そう言う問題じゃなくて!」  
「なら、如何言う問題なのよ?」  
 
不思議そうに聞き返す久美に、歩は深い溜息を一回ついて、  
 
「わざわざ誰かに見つかる危険を予防する為の結界を張る手間をしてまで学校でやらなくても、  
学校が終わった後でなら何時でも出来るだろって俺は言いたいんだよ!」  
「ああ、そう言う事」  
 
やや息を荒げて言った歩の言葉に、ようやく理解のいった久美は手をぽんと叩いて見せる。  
そして、久美は飛び切りの笑顔を歩に向けて言う。  
 
「だって、精の味を含めて歩君が大好きだから、私が我慢できなくなるのも当然じゃない?  
…あ、そろそろ授業が始まるみたいだし、悪いけど私は先に行くね。 歩君も遅刻しない様に急いで頂戴ね」  
 
久美の笑顔に、心にどきりとした物を感じた歩が何かを言おうとする間もなく、  
授業が始まるチャイムがなり始め、それに気付いた彼女は踵を返して教室へと去ってゆく。  
歩はこの時、自分の心がほんの少しだけ、彼女の笑顔に『墜』とされているのを自覚した。  
 
だが、歩はその事に対して決して悪い気はしなかった。  
むしろ、こう言うのも悪くないな、と思いつつ、歩は自分のクラスの教室に向けて歩き出すのであった。  
 
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