俺の幼馴染みは変わってる。  
 
 容姿は良いんだ。170を越える身長にサラサラと流れる長い黒髪。切れ長で天然のレッドアイズにグラマラスで白くしなやかな柔肌。  
 スポーツ万能で成績優秀で家事の一切を熟し、性格もクールドライでポーカーフェイス。  
 たいていの事は「そう……」の一言で流し片付ける。  
 俺が言うのもなんだが、かなりカッコイイ。実際モテるしな……女からも告白されてるし。  
 しかも女なのに『村雨(むらさめ)』って変な名前なんだぜ? いまどきありえねぇって! そんでモテるんだぜ!? 世の中不公平だっ!! まっ、名前だけなら俺の小太刀(こだち)も負けてないが。  
 そんな幼馴染みは、数多くの告白を受けてるのに、未だ彼氏を作らない。俺なんて十回くらい告白したけど、一回も首を縦に振ってくれなかった……  
 俺だけは幼馴染みの『秘密』を知ってるのに、他の奴よりも有利な筈なのに、毎回「ゴメンねコタ……」って台詞で却下される。  
 つまり、俺が一番、可能性無いわけだ。笑えねぇ。  
 
 家も隣同士で、3歳の頃から17になるまで思い続けて来たけど、さすがに限界だよ。十四年間、口説いても振り向いてくれない人を、これ以上は追い掛けれない。  
 俺だって彼女作って、イチャイチャしてHしたいんだ。どれだけ素敵な人でも、手を出せないのは辛過ぎるよ……だから今夜、幼馴染みに言わないと。  
 もう、部屋には来ないでくれって。  
 もう、二人きりになるのはヤメようって。  
 言わないと……  
 
 「よしっ、いっちょ気合い入れますか!」  
 覚悟を決めれば後は楽。みんな帰宅した教室の中、突っ伏していた机から顔を上げる。  
 今日は高二の終業式。今日の夜もベランダ越しに幼馴染みは来るだろう。窓をノックもせず、了承も得ずに、俺の部屋に入り込んで来るだろう。  
 その時に、言うんだ。付き合ってくれる人ができたと嘘を付いて、だからもう部屋に来るなと、関係を終わらせる。  
 
 
 夜も九時を過ぎた。今日は家に一人だけ。二階の自室でベッドに座り、ぼんやりとテレビニュースを眺めてた。  
 「給付金かぁ……何に使うかなー」  
 そして何気なく呟くと、  
 
 「漫画でも買えば良い。そしたら私が読みに来るよ」  
 すぐ後ろから聞き慣れた声。  
 鍵の壊れている窓は開けられ、部屋に上半身を差し込みながら村雨が答えていた。  
 漫画……か。俺の部屋壁は、四面のうち一面が本棚で、漫画本は2000冊以上存在する。子供の頃からの小遣いも、バイト代も、その殆どを漫画を買う為に注ぎ込んだ。  
 俺自身はそんなに漫画を読まなくとも、新しい漫画を買えば村雨が読みに来るから。  
 それが嬉しくて、馬鹿みたいに漫画を買い集めた。だけどそれも終わり。二束三文でも、全て売り払う。できた金は、これから現れる恋人に使うんだ。  
 「いんや貯めとくよ……それと、新しい漫画は買ってないぞ?」  
 俺は前を向いたまま。正面のテレビを見詰めたまま。平静を装ったまま。小さく、小さく、深呼吸。  
 「んっ? ああ、今日はそうじゃないんだ。ほらっ、前に『シタ』日から三日だろっ? そろそろ貯まって来たかと思って」  
 声と足音が近付き、テレビを遮って前に立つ。  
 ブレザー制服の幼馴染みを見上げれば、白い頬を僅かに赤くして俺の顔を見下ろしていた。  
 正確には顔じゃない。『耳』だ。村雨の秘密……それは、重度の耳フェチだと言う事。  
 耳掃除と称して俺の耳を舐め、しゃぶり、唾液を流し込み、耳垢と一緒に啜(すす)る。俺の耳に関する時だけ、クールな仮面は剥がれ、卑猥なセリフを連発する淫女になる。  
 初めて綿棒で耳掃除して貰う時、息を荒くしながら「コタのイヤーバージン奪っちゃうから……」と囁かれたのにはビックリした。それぐらい耳が好きなんだ。  
 だから困る。恍惚の表情で一心不乱に耳を舐められて、その間中抱き締められたら、絶対に勃起する! 手を出したくなる!  
 村雨も性的に興奮して太腿を擦り合わせてるし……生殺し過ぎるだろ!?  
 いつもいつも嫌なんだよ! 耳を舐められた夜に、一人で村雨の名前を呼びながらオナニーするのは!!  
 
 数秒も無言で居ると、我慢できなくなったムラサメは俺の左隣に腰を下ろし、そのまま肩へと寄り掛かって来た。  
 「なんだコタぁ……こんなにぐちゅぐちゅの垢なんか溜めて、私を誘ってるのかぁ?」  
 そのまま嬉しそうに、アゴのラインまで長い舌を垂らして口を広げ、俺の耳を一口でしゃぶろうとしている。  
 
 ここまでだ。さよならムラサメ。  
 
 村雨の肩を掴んで引き離し、驚いてる顔へ振り向いて見据え、呼吸を一つ、二つ、三つ。言葉を紡ぐ。  
 「聞いてよ村雨。俺、さ……今日、彼女できたんだ。だからもう、俺の部屋に来るな。耳掃除も彼女にして貰うからしなくていい」  
 俺は落ち着いた顔をしてられてるか?  
 声は変わらず普段通りに出せているか?  
 その結果は、瞳を大きくし、唇を震わせてるムラサメを見れば解る。  
 「あっ、秘密は絶対にバラさないから安心して。村雨も早く彼氏見付けて、いっぱい耳掃除してやれよな!」  
 ポンと村雨の肩を叩いてそう切り上げ、トイレで泣こうとベッドから腰を上げようとして、  
 「私と付き合えコタ……」  
 上げれない。  
 両の二の腕は、爪が食い込む程の力で掴まれ握られていた。聞き間違いでなければ告白まで添えられている。  
 「付き合ってる子とは別れて……昨日までは私が一番だったんだろ? 良かったなコタ! 十年以上も告白してた相手と交際できるんだぞっ♪♪」  
 口調は軽く、笑っているのに、目だけが笑ってない。掴んでる腕も執拗に握り締めたままだし。  
 そんな状況で言われても、怪しくは有るけど嬉しくはない。余計に疑問は増大。  
 「だから、なっ? 私の身体を好きに触っていいから……恋人同士だもんな! 恋人同士だから、耳……良いよな?」  
 村雨は甘い台詞を吐きながら、再び俺に寄り掛かって来る。  
 
 しかしまぁ、最悪だよ。ちょっぴり期待はしてたけど、するんじゃなかった。村雨は自らの身体を差し出してまで、俺のパーツ……俺の耳を手放したくないだけ。  
 「ううん、付き合え無いよムラサメ。これからの彼氏の為に、身体は大事にして」  
 今でも好きで焦がれてる想い人を完全に拒絶した。だって悲しいよ……好かれても無いのに。  
 村雨も今度は堪えたのか、瞳だけではなく、全身を硬直させてる。口だけがパクパクと動いてる状態。  
 「ふっ……あははははははははっ! はぁあっ……駄目だっ!! ダメだダメだダメだダメだ駄目だっ!! コタは私のモノだ! 別れて私と付き合ってよ……そしたら、せっ、セックスとか、しても良いんだぞ?」  
 顔を何度も左右に振り、耳まで赤く蒸気させて催促する。  
 本気だってわかるけど、  
 本気だってわかるから、  
 好きだって言って貰えないのは悲しい。  
 まぁ言わないよ。だって、俺の耳が好きなだけなんだもんな?  
 それならこっちにも考えが有る。  
 「俺は、別れるつもり無いよ。ムラサメには一ヶ月に一度ぐらい耳掃除させてあげるから……それで良いだろ?」  
 身体は、心から好きだって言える奴ができたらソイツに差し出せよ。  
 耳だけの為に、好きでもない男の側に居るな。好きになった男の耳を好きになれ。  
 それまでは妥協して、耳だけを貸してやるから……  
 
 「私とセックス、したくないのか?」  
 「彼女以外の人とはしたくない」  
 
 心にも無い言葉で拒絶し、村雨は下を向いて肩を震わせる。ただ掴まれ続けてる俺の腕だけが痛みに軋んでいた。  
 この痛みは、村雨を悲しませた罰。  
 「そっ、かぁ……そんなに彼女が良いのかコタ? 昨日まで私をオナペットにしてたクセにっ!  
 ふふっ……コタの私を呼ぶ声、私の部屋まで聞こえていたんだぞ? あんな愛しそうに呼ばれたら……んふっ、声だけで妊娠してしまいそうだよ♪」  
 村雨は瞳を三日月に細め、俺の身体を抱きしめて耳元に口を寄せる。  
 
 ……はっ? 村雨は今、何て言ったのか。俺のオナニーしてる声が聞こえると言わなかったか? いや、だってそれはオカシイ! もう七年だぞ!? その間、ずっと黙ってたって言うのかよ!?  
 グルグルと考えが巡り、体動は影縫われる。  
 「他の男子と話ししててもわかるだろ? 学年で一番のオカズにされてるのは私だ。みんなこの身体を見て想像してるんだぞ?  
 この胸を揉み、もっとオチンチンで突いてって喘がせて、当たり前にチツナイ射精するんだ……コタが私と付き合わなきゃ、いずれ誰かとこうなるんだぞ? そんなの嫌だよなコタ?  
 私の……わた、ひっ、ふんんっ、だめっ、我慢できな……んちゅ、ちゅぎゅちぎゅちぎゅ♪」  
 突然。台詞は打ち切られて終わり、右耳に水っ気たっぷりの温かさが触れた。  
 へりの軟骨部分を唇で挟んでコリコリと音立て、粘着質な唾液を徐々にコーティングして絡める。  
 「ふぁぁっ!? ヤメッ……離れ、ろ、ムラサメ!!」  
 村雨が施した長年の口淫と愛撫により、俺の耳は完全な性感帯へと姿を変えていた。ゾクゾクと駆け抜ける快楽はダイレクトで足の付け根に伝わり、たった数秒でズボンを押し上げてしまう。  
 ハグから逃げようとしても、さっきまで掴まれていた腕は痛むばかりでちっとも動いてくれない。ははっ、あーあ、こりゃ痣になってるなぁ……  
 「んぢゅ♪ ぢゅるぢゅる、んん、ちゅぱっ、おいひいよコタぁっ……いっぱいエッチするからぁっ、コタの赤ちゃんいっぱい産むからぁっ……わたひのモノになってよぉっ」  
 一旦口を離して更に抱き寄せ、俺の顔を柔らかくふくよかな胸にぎゅうっと押し当てる。腕を頭の後ろに回し、息苦しくなるぐらいに力強く。  
 「なっ? コタ、なっ? 別れろよ、なっ? あした一緒に謝ってあげるから、それでいいよな?」  
 こんな現状、昨日までだったら押し倒してたかもしれない。今だって、腕が動けば村雨を押し倒したい。  
 でもできないから、色々と考えて、脳内で村雨の言葉を反芻させる。  
 そして気付く。あれっ、もしかしてプロポーズ紛いの事を言われなかったか? と。子供を作るとかなんとか。  
 それって、俺を好きだって自惚れても良いよな? おおっ、もしかして……もしかしてもしかするのか!? きちんと、話しを聞かないと。  
 
 僅かな光明を感じ、  
 「苦しいんだよムラサメ、早く離れ……」  
 息苦しいから一度離してくれ。腕が動かないんだと続けようとした瞬間……  
 
 「いやだっ!!」  
 急速に首への圧迫が増し、あっと言う間も無く視界がホワイトアウトして消えた。  
 心地良い気絶の中で聞こえたのは、  
 「悪いけど、彼女からコタを寝取るから……」  
 そんな村雨の笑い声。  
 
 
 ――ガタンゴトン、ガタンゴトン。  
 
 
 ああ、身体が熱い。息も荒い。きっと夢の中。夢の中で俺が居るのは、一歩も動けないぐらいに詰まってる満員電車。  
 勃起したペニスをズボンから出し、前に立つ女性のお尻にグリグリと先端を押し付けてる。  
 ブレザーを托し上げ、ブラを抜き取って下に落とし、両手を使っても余る程に大きな胸を、入り口のドアガラスに密着させる。  
 電車の外からは、潰れたふくらみと、コリコリに固くなった乳首と、羞恥で赤くなった顔が丸見えの筈だ。  
 ペニスにスカートを掛けて隠し、痴漢行為により濡れて張り付いてる下着を、クロッチ部分に人差し指を引っ掛けて横にズラす。  
 「ひあっ!? おっ、お願い、しま、す……私、これから……ひくっ、学校、なんですぅっ……」  
 女はイヤイヤと長い髪を力無く左右に振り、涙目で俺にだけ聞こえる様に訴えるが、そんな被虐の表情をされても、余計に性欲を煽るだけ。絶対に止めたりしない。  
 だから女の耳元に顔を近付け、できるだけ甘い声で、  
 「駄目、だな……中出しだ。俺のザーメンを腹に溜めたまま学校に行けよ」  
 膣内射精宣告をしてやった。  
 弾力有る尻肉を両手でガッチリと掴み、ヴァギナにペニスを擦り付けてヌルヌルの愛液を全体に纏わせる。  
 「ヤメ、てっ……ぐすっ、ください。手で……うくっ、いっしょうけんめい……しますっ、からぁ」  
 あっ? 今更なに言ってんだコノ女は? 俺好みの顔とスタイルしやがって。  
 「駄目だ。中出しだ」  
 鈴口と挿入口をキスさせる。それだけで女の淫孔は水音を立てて吸い付き、物足りないと、言葉とは逆にディープが良いと催促して来る始末。とんだ淫乱だ。  
 
 「はっ、うっ……ひぐっ、ううっ……せめて、中出しだけはヤメ……」  
 「駄目だ。中出しだ」  
 
 いつまでも縋(すが)る女に、もう助からないと教えるべく、台詞を遮ってゆっくりと腰を打ち込む。  
 ぢゅぷっ、ぢゅぷちゅぶぢゅぷぢゅぷぢゅぷ……  
 「んああっ!? そん、なっ……ふあぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」  
 ついに漏れた××の悲鳴。身体を弓形に反らせ、口横からヨダレを垂らす。  
 もうどうだっていい! バレたって構わない! だけど絶対に中出しだっ!!  
 「ふぅっ、ふぅっ、ふぅぅっ!!」  
 どうせこれは夢なんだから……  
 だってこんなに気持ち良いのに、どんなふうに気持ち良いのかが解らない。セックスの経験がないから、せっかく×雨とシテるのに感触が伝わらないんだ。  
 俺の好きな顔で泣き、俺の好きな身体を震わせ、俺の好きな声で喘がせてるのに、村×とセックスしてるのに、こんなのってないよ!  
 って事は、気持ち良くてイキそうなのも、結局は夢精って事か? ちっく、しょう……  
 「ちっくしょぉぉぉぉぉぉっ!!!」  
 快楽の波がペニスの中心から噴き上がる感覚。ああ、夢精したなー。  
 「コタっ、コタっ! コタぁっ!! もぅ、イっキゅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」  
 そんな村雨の絶頂と同時に、ぼんやりと意識が覚醒し始め、パンツ洗わなきゃなーって考えが浮かんだ。  
 
 
 目に映るのは見馴れた天井。俺の部屋だ。  
 そして今度は間違い無く、身体が熱い……と言うよりも気持ち良い。  
 確かめるために、その気持ち良い所に視線を流す。ヘソの位置よりやや下、男性シンボルの有る場所。  
 「んむぅぅぅぅぅぅぅっ!!?」  
 慌てて俺は声を出す。『ガムテープで口が塞がれ』てて、何て言ってるか理解できないだろうが、それでも構わない。  
 だってヤメさせないと。こんな信じられない光景は終わらせないと。  
 
 「ちゅぴゅっ……んっ? たった今、私の手でシコシコピュッピュして小太刀君が目を覚ましましたぁっ♪」  
 右手に付着してるザーメンを舐め取りながら、俺が仰向けに横たわるベッドに、村雨が寄り掛かってる。  
 左手にはハンディカムのデジタルビデオカメラ。レンズ越しに俺のペニスから顔へと往復させて、口元を吊り上げて妖しく笑う。  
 レンズ下に有る『撮影中』の赤いランプが点いてるし、村雨が何をしてるのかは一目瞭然。  
 「んんぅぅっ!! んむぅぅぅぅっ!!!」  
 止めようにも、身体は全く動かない。ズボンとトランクスを剥がされて下だけ裸にされ、膝上と腹部と胸部の三ヵ所を、ベッドごとビニールテープでグルグルに巻かれていた。  
 なんなんだよ……なにがしたいんだよ村雨は!? 手でされたんだなってのはわかるけど、どうして今になってこんな事を?  
 「なんだコタぁ、ムラサメは何をする気なんだって顔してるぞ?」  
 村雨はカメラで撮影を続けながら、その場で立ち上がってスカートをパサリと床に落とす。  
 「んんっ!?」  
 そうしたら見えてくる。大事なトコロが隠れて無い、下着の役割を果たしてるのかさえ不安になる、布地が極端に少ない黒色のローレグパンツ。  
 「コタも、机に仕舞ってるアダルトDVDを見たなら知ってるだろ? 今からするのは、ハメ撮り……と言うやつだよ」  
 ハメ……頭がオカシクなったのは俺か村雨か。  
 同じ言語で会話してるよな? 変なフィルターを通してないよな?  
 ならハメ撮りってアレだろ? 男と女の接合部を撮影しながらセックスする……ん? 去年ネットで買って、机の引き出し奥に仕舞ってたの見付かってたのかよ……ああ死にてぇ。  
 「いいよなコタ……これから先、コタとしかエッチしないから、コタのチンポしか挿れないからぁっ……なっ? コタのどーてい、私にちょーだい?」  
 自己嫌悪してる間に、村雨は俺の身体を跨いでベッドの上に立つ。  
 そしていつの間にか消えていた撮影ランプを、未だガチガチに勃起する俺のペニスに照準を合わせ、再び点灯させた。  
 「見てるか彼女さん? 今から小太刀君は、交際一日目に浮気するぞ? いや、違うな……小太刀は貴女を弄(もてあそ)んでいたんだ。だから交際じゃない、ノーカン。  
 小太刀も、初めて付き合うなら気心知れた人が良いと言ってたからな。それにコタはもの凄く鬼畜な奴なんだ。私なんていつもハメ回されて……ハメ殺される寸前まで犯されてるよ。  
 もちろん避妊なんかさせて貰えない。生理だからと断っても、生理なんて毎日……はぁっ、ナカ出ししてれば来なくなるって、押し倒されるんだ。  
 ふぅっ、ふぅぅっ……じゃあ、今日も、コタの……ふっ! チンポを、私のあっ……アソコにぃっ、ハメハメしてもらいましゅ♪」  
 
 村雨は存在しない俺の彼女へと嘘を言い並べ、ボリュームダイヤルを最低ラインまで回す。  
 それに俺の耳を悪戯している時の様に息が荒い。きっと自分で放った言葉で興奮し出したんだ。だからボリュームを消した。  
 しかしまぁ、村雨は俺の彼女にこの映像を見せて別れさそうとしてるんだろうが、これじゃレイプだ。信憑性のカケラもないぞ? それを気付け無い程、焦ってるってか……逆に俺は、一発抜かれたから冷静になれてるけどな。  
「それじゃあ、はぁぁっ……するからなコタ。あっ、処女膜は無くても、私は正真正銘の処女だから。処女膜はな……ふふっ、7歳の時にオナニーで破ってしまったよ。  
 忘れもしない、コタと私の家族で遊園地に行った日だ。私がコタの手を引っ張ってはしゃいでたら、家族とはぐれてしまったろ?  
 でもコタは、自分も泣きたいはずなのに私を抱き締めて慰めてくれた……私はコタの耳をおしゃぶり代わりにして、泣き声を殺すだけで精一杯だったのにな。  
 その夜だ……オナニー自体は5歳の時からしてたんだが、擦り付けるだけじゃセツナくて。指を……挿れたんだ。コタを想って、痛くても我慢して、激しく、激しく……そしたら破れてしまった」  
 村雨も落ち着きを取り戻し、淡々と語られる幼い頃の思い出。  
 これで確信する。99%の自信で自惚れられる。村雨も俺に好意を持ってたけど、何らかの理由で俺の告白を断ってたんだと。  
「コタを手放したくない。だから……だからっ! たくさん誘惑してきたのにっ!! なんで襲ってくれないんだよコタっ!? しかも勝手に彼女なんか作っちゃうし、最低だ!!  
 コタが私をレイプしてくれれば……罪悪感を持ってくれれば、例えコタが私を嫌いになっても離れられなくできたのにっ!!  
 でも、もういい……今日はコタの赤ちゃんを孕むって決めたからな。コタの赤ちゃんいっぱい産むんだっ♪ ふふっ、なぁコタ? 子供の名前……どうしよっか?」  
 ボリュームを元の位置へ。ローレグのクロッチ部分に中指を引っ掛け、躊躇なく横へスライドさせる。  
「んんっ!!?」  
 覗くのは、薄毛の丘に控え目でピンク色の秘唇。左右に分かれる唇の間からは、ふくらはぎまに到達するまでトロットロの糸を伝い垂らす。  
 肩で息をするまでに興奮してテンションを高めながら、  
 頬を紅潮させて瞳を水分たっぷりに潤ませながら、  
 相変わらずの妖艶な笑みで、ビデオカメラを俺のペニスに向けたまま腰を下ろし始める。  
「ふぅっ、ふぅぅっ、コタぁっ……」  
 ゆっくり、ゆっくり。俺の上に。  
 でも、  
 
 ペチンッ……  
 
 入らない。村雨の独白を聞いている内に硬度は無くなり、フニャリと情けなく曲がっていたからだ。  
「コタっ! コタっ! コタぁっ!!」  
 しかし挿入されてなくとも、村雨は関係無く腰を上下に動かし続ける。  
 
 ペチン! ペチン! ペチン! ペチンッ!!  
 
 村雨の生器に何回も押し潰され、ヌチュヌチュと吸い付く唇に挟まれてヘソに打ち付けられ、その度に愛液が溢れ出してペニスを粘着質にデコレートしていく。  
 胸を弾ませ、俺の名を連呼しながら、俺の大切な幼馴染みが、俺を勃起させようしている。  
 繋がる為に。セックスする為に。俺を彼女から寝取る為に。  
 ちっくしょ! エロ過ぎるんだよ!!  
「んっ、ぐっ……」  
 夢に見ていた、昨日までオナペットにしていた村雨の裸身。それが今、目の前で淫らに揺れている。  
 俺の告白を断っていた理由だって、本当に馬鹿げたモノ。こっちは何年片思いしてたと思ってんだよ?  
 
 だから早く村雨を安心させないと。もう一度、心を篭めて告白しないと。セックスはその後。  
 裸の村雨が誘ってるのに、これ以上我慢して待ってたら化石になっちまう。  
「むっ、やっ、ひゃ、めっ! はっ、しゅ、せっ!!」  
 できる限りの単音で『村雨、外せ』と口の自由を訴えてみるが、  
「ああっ? む、ら、さ、め、ハ、メ、て? そうかそうかコタっ……いっぱいコウビしような♪♪」  
 全く疎通されずに、笑顔で頷いて腰の動きを激しくさせるだけ。  
 ハ、しか合って無いだろうがっ! くっそ、もう知らん!!  
 
 パチンッ! パチンッ! パチンッ! パチンッ! パチンッ!  
 
 一心不乱に騎乗位で腰を振る村雨。どんなAVよりもエロティックで、俺のペニスを硬化させる最高の媚薬。  
 それに、こんな強引に性器同士を擦り合わせられては、射精して間もないから勃起しない……なんてヘリクツが通用しない。  
「おっきく、なったなぁコタ。それじゃ、『はじめて』を……交換しような♪」  
 ねっとりとした村雨の淫液に塗れ、再びペニスが棒状に変化して血管を浮かび上がらせる。  
 ぎゅっちぃぃぃっ……  
 そして幼いヴァギナが中指と薬指で左右に拡げられ、透明な蜜を零す穴にペニスの先端があてがわられた。  
 皮に包まれたクリトリスに、ぷっくりと膨れたオシッコの穴に、その下。湯気が見えそうな程に熱い、膣内への挿入口。  
 村雨の瞳は潤みを増し、涙となって目尻から漏れ出す。その雫が頬から顎先まで流れた瞬間、  
「ははっ……やっと、ひくっ、ひっく、コタとぉっ……えっち、できるよぉっ。うくっ、うぅっ……ふんんっ!!!」  
 甲高い村雨の艶声と共に、ペニスは根元まで包み込まれた。  
 一息で打ち落とされ、奥の奥まで優しく迎え入れる。  
「んむああああぁぁぁああっ!!?」  
 俺はあまりの気持ち良さに悶え叫ぶだけ。  
 膣内射精だけはしないように堪えるだけ。だけどこんなの無理!  
「ぅあぁ、あっ、あん! くぅっ……みてるかぁ、彼女さん? いま、おまえの彼氏はぁっ、はぁん♪ 幼馴染みにチンポ突っ込んで、ふあぁ……んんっ、よがってるぞっ♪♪」  
 パン! パン! パン! パン! パン! パンッ!!  
 五度目。六度目。村雨も初めてに関わらず、腰を振るスピードは一向に変わらない。あくまでスムーズに、ペニスから精液を搾り取る動きで弄ぶ。  
 中は熱く狭く、トロけてヌメる柔肉。膣壁は細かなヒダを隙間無く絡み付かせ、キュウキュウとキツく締め上げる。沈む時はカリを愛情たっぷりに撫で回し、抜ける時は行かないでと引っ掛かって吸い付く。  
 ああ、駄目だ、負ける。この快楽を貪って、腰を突き上げれば更に気持ち良いかもしれない。  
 膣内射精を強要する幼馴染みに、十四年分の思いをブチ撒けられるかもしれない。しかも全部を受け止めてくれると言ってる。  
 なんて魅力的……だけどっ! 未成年で子供作って、幸せになんかなれるかよ!!  
「んぐううぅぅああああぁぁぁぁぁっ!!!」  
 口を塞いでいたガムテープは唾液に濡れて緩み、微かに剥がれた箇所から空気の出入りを許していた。  
 俺は唇の間に舌を差し込み、できる限りガムテープを押し上げる。  
 
 そしてそれはペリペリと、村雨の手によって剥がされた。  
「ほらっ、彼女に謝れコタ。付き合ってその日の内に浮気してすみませんて、ボクは幼馴染みと付き合いますって……言えっ、コタっ!」  
 ガムテープは丸めて部屋隅に投げられ、カメラレンズが俺の顔を捕らえる。  
 村雨に脅迫された言葉。言えば誤解は消えるだろうが、現状の打破にはならない。  
 既にカウパーが出てるって自覚してるし、もう我慢してられる自信は無いから、俺が言うべき台詞は決まってる。  
「はぁっ、はぁっ、ムラサメ……もう、イキそうなんだ。このままだとマズイからっ、早く抜いてくれっ!!」  
 カウパーだって孕ませる危険が有るんだから、下手したらとっくにアウトかもしれない。とにかくギリギリだっ!  
 村雨へは安全を確保した後で、満足するまで思いを告げれば良い。  
「んっ? コタだって赤ちゃん欲しいよな? 私に似てて、私の次にカワイイんだぞっ♪」  
 本当に限界。ゆったりとした狂ってるとさえ感じる問いに、全力で首を左右に振る。  
「まずは抜けよ! 早く! はやくっ! ハヤクッ!!」  
 腰の動きは止まっていても、その中は別。膣内だけが違う意思を持っているかのように妖しく蠢き続けるのだ。  
 自在に膣圧を変化させ、竿から裏スジ、カリ首、先端の鈴口に至るまで、余す所なく揉みほぐす。  
 まるで搾精器。ただ挿れているだけで、快楽の波に当てられて射精に導かれる。我慢してる身としては、たまったもんじゃない。  
「ふっ、しょうがないなぁコタはっ♪ すうぅっ、はぁぁっ……んふぅっ!!」  
 イク寸前の敏感なペニスを擦り上げながら、少しずつ村雨の腰が浮き始める。  
 ぢゅぶぶぶぶぶぶぶぶっ……  
 とてつもなく甘い刺激で誘惑した蜜穴は、漸く先端まで。  
 やっとだ、やっと終わり。そう思って村雨の表情を見れば、吊り上がった口元も、三日月にして笑う目も、何一つ解消されていなかった。  
「私はわかってるぞ? 幼馴染みを妊娠させたくないんだろ? でもなコタ……そんなワガママ、通らないんっ、だっ!!!」  
 ぢゅぱあぁぁぁぁぁんっっ!!!  
 村雨の体重が掛けられてる。ペニスは再び気持ちいい穴の中。腰は勢い良く打ち落とされた。  
 グツグツと、奥底からマグマの如く噴き上がる感覚。睾丸に準備されていた精液は、次々と管に転送される。  
「あ、あ、あっ、あっ、あっ……うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」  
 人生で最も巨大な咆哮。十四年分の溜まりに溜まった村雨への想いが、絶頂の快楽と混ざって爆発した。  
 抑えられない。ビュクビュクと、とてつもなく長い射精。空になるまで注ぎ込む。  
「ふぎいぃぃぃぃっ!!? あっ、あついぃっ……はぁぁっ、やっと、イッたなコタぁ……わたひなんて、もうっ、十回イキだぁっ♪♪  
 あは、はっ……わたし、ムラサメはぁ、性欲盛んな、男子校生のぉ、こだち君にぃっ……ナカらしキメられちゃいましゅた♪♪」  
 村雨は、白濁した液がゴポゴポと泡立ち、逆流して溢れ出す接合部を撮影しながら。俺はそんな村雨を見上げながら。二人揃って涙を流す。  
「なんで、だよぉ……抜いてくれるって、言ったろ?」  
 嬉しさと、悲しさと、情けなさで睨み付ける。  
 全てが終わって、どうでも良くなって、自暴自棄になって、ポッキリと折れた心で村雨を責めた。  
「ちゃんと抜いたぞ? おちんちんから、こゆくて、いっぱつで着床する精液を、たっくさん『ヌいた』じゃないか? まったく、何を言ってるんだコタ……っと違うな、何を言ってるんだ、パ・パ♪♪」  
 しかし、そんな暗い声は届かない。満面の笑みを浮かべる彼女には届かない。  
 返って来るのは、俺に向けられる、俺だけに向けられる、幸せそうな最高の笑顔。  
「そうだな……ムラサメが隣に居るなら、それでも良いや」  
 言い放つ台詞は尋常を逸脱していても、欲しかったモノを手に入れた心は暖かくなっていく。  
 俺は心まで彼女に寝取られて。気持ち良い脱力の中、ゆっくりと目を閉じた。  
 
 
 深夜も十二時を回った頃。順番にシャワーを浴びてさっぱりした後、服を着替えてベッドに腰掛ける。  
 三歩も離れた前には、予備のパジャマを来て、床に正座して俯く村雨。  
「ゴメン……でも! コタの部屋に来る時は、いつ襲われてもいい様に避妊薬を飲んでるから……だから、えぇと、あっと、ごめんなさい」  
 さっきから言い訳を述べては俺の表情を確認し、許して貰ってないと悟ると、しょぼくれて下を向き、新たな言い訳を考えてる。  
 因みに、俺が彼女を作ったって嘘はバラしてない。コタが嘘付くのが悪い! って開き直られるし、墓まで持って行こう。  
 それじゃ、そろそろ……村雨が言い訳を考えてる間、俺も考えてたからな。  
 
「なぁムラサメ? 嫌いに、ならないで欲しい?」  
 頷く。  
 
「耳、舐めたい?」  
「五……四日に一度で我慢する」  
 
「幼馴染みに戻りたい?」  
「コタが許してくれるなら」  
 
「じゃあ許さない」  
「ふぇっ!? う、そ……」  
 
 村雨の瞳は恐怖で大きく開かれ、口も広げられたまま身体は小刻みに震え出す。  
 心苦しいけど、お前を泣かせるのはこれで最後だから、許してくれよな。  
 ふぅぅっ、と二つ深呼吸。ベッドから立ち上がり、村雨の目前まで近寄り、泣き出しそうな最愛の瞳を見詰める。  
「俺は幼馴染みに戻りたくない……だから、村雨さん。僕と、付き合ってください!!」  
 そして何回目かも忘れた告白をし、頭を下げて手を差し延べた。  
 頼む、カッコ良く決めさせてくれ村雨!  
 
「ひくっ、えっ? えっ? あ……あっ、ああ! もちろんだコタぁ!!」  
 破顔一笑。  
 幼い時代から差し延べ続けた手は、やっと掴まれた。  
 俺の夢が、やっと叶った。  
 
 年甲斐も無く、二人で抱き合いわんわん泣く。今度は丸ごと嬉しさで、繋がり合った想いの嬉しさで。  
 この日から、小太刀と村雨は、世界で一番幸せな恋人になった。そして一番幸せな家族になって行くはず。  
 だって隣にはいつも、大好きな幼馴染みが居るんだから。  
 
 
 
 
 『寝取られ彼氏』 おしまい。  
 
 
 
 
 後日、彼女がいるって嘘がバレて、満員電車の中で怒った村雨に、手でアレをゴシゴシされたりもしたが、それはまた別の話し。  
 
 

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