「みんなー!グラスは持った〜?」  
「持ったよー!」「はーい!」「うんっ。」  
今日は瑞希、紀子、湊と一緒にクリスマスパーティ!本当はあと1人居るんだけど・・・  
「たっちゃん!キミも今くらいは料理はおいといて、とりあえず乾杯にきなさーい!」  
「いや、今ちょうどピザがいい感じで焼けそうだから、先にやっててくれ。」  
そう、私達専属のシェフ、たっちゃん。ピザは確かに気になるけどさ、乾杯するだけじゃん!  
「たっちゃんノリ悪「たっつー!料理期待してるよー!」瑞希ー!」「ミキティめんごめんご!」  
瑞希は私の不満に割り込み、たっちゃんに料理をするよう促す。うぅぅ・・・  
 
「まぁまぁ、また海神君がきたら乾杯しようよ。ね?」私たちのまとめ役の湊がそういうなら・・・  
「仕方ないなぁ。じゃあとりあえず4人で乾杯しようか?」  
「そうだね!」「はやくはやく!」「あー!瑞希!料理の手づかみは汚いよ!」「あっはっはー!」  
湊は苦笑しているが、嫌そうではない。そう、これが私たちの普通。  
 
「それじゃあとりあえず、2学期もお疲れ様でした!また来年もよろしくって事で・・・」  
「「「「かんぱーい!!!」」」」  
カチン、とグラスを合わせる私達。ちなみにグラスの中身はアルコール無しのシャンパン。  
瑞希がアルコールを買おうとしたけど、紀子と湊が阻止。それを見てたたっちゃんはさすがに苦笑いしてたな。  
「ピザ出来たぞー。テーブルの上空けといてくれー!」  
そんなことを考えていたら台所からたっちゃんの声。湊はその声が聞こえたと思ったら、既にスペースを確保し始める。  
「お、水上さんありがとう。お前らも少しは見習えよー。」  
湊の行動に感心しながら私たちを注意してくるたっちゃん。湊は褒められて頬を赤く染めてる。でもそれは差別だー!  
「たっちゃん、私達が行動しようと思ったらもう湊が既にやっちゃってたんだよー。」「そうだよたっつー!私が何もしないとでも?」  
「・・・佐々木に関しては何もしなさそうだな。気付いたら美紀と水上さん、木津さんがやってそうだもんな。」  
「う、痛いとこ突くねたっつー。」「あはは・・・瑞希ちゃんはそういうところ疎いからね。」  
「湊・・・フォローになってない。」「まぁその分いつも私たちを引っ張ってくれるからね。帳消しじゃない?」  
「ううう・・・慰めてくれるのは紀子だけだよ・・・」「おーよしよし、それじゃあ私たちはベッドで仲良くするかい?」  
「いーやー!私には彼氏がいるのー!」「「「「あははははっ」」」」  
いつも通りの会話はたっちゃんが混じっても変わらない。  
まぁ普段からナンパ除けとかで一緒に居るから、みんなあんまり抵抗無いのかも。  
 
でもみんないつもより少し楽しそう。やっぱり好きな男の子がいるから?  
湊は普段からたっちゃんと仲良くしたいような雰囲気を出してる。たっちゃんが私達以外の女の子と喋っていると目が怖くなるのが、ね。  
紀子に関しては良く見ないとわからないけど、何気にボディタッチとかしてるし。他の男の子なんて仲良さそうに喋ってても触れやしないのに。  
瑞希は彼氏が居るのに、結構たっちゃんにじゃれ付いてる。何気に胸とか当ててるのってたっちゃんだけだよね?  
 
湊も紀子も瑞希もクラス、いや学年で見てもかなり美人の部類に入ると思う。普段一緒に居るからこそ、自分に自信があまり持てない。  
本当はたっちゃん、私なんかより他の女の子と付き合ったり、キスしたり、その、あの、セックスしたりとか・・・  
そんなことを考えてると気分が落ち込み、背筋を走る悪寒みたいなもので体が冷え切ったような感覚に陥る。  
「美紀、調子悪いのか?顔が青いぞ?」俯いていた私の視界に入る愛しい人。思わず涙が出そうになる。  
「ちょっと失礼。」そういってたっちゃんは私のおでこにおでこを合わせる。暖かい。私の瞳からこぼれた雫が私の頬を濡らす。  
 
「熱は無いみた・・・お、おい、泣くなよ美紀。俺なんかやっちまったか?っておでこか?それなら悪かった!すまん!」  
「あー!たっつーがミキティ泣かしたー!」「えっ!?海神君、美紀に何かしたの!?」「美紀!?どうしたの!?」  
「お、俺は美紀が顔真っ青にしてるから調子わるいのかと思って・・・。」  
女性三人に攻められるような形になってるたっちゃんが慌ててる。たっちゃんの優しさは伝わったから、私からフォローしてあげないと。  
「たっちゃん、瑞希、湊、紀子、ありがと。こんな楽しいパーティが来年出来ないと思うと、ちょっと寂しくなっちゃってね。」  
ちょっと苦しい言い訳。こんなの私のキャラじゃないし。  
「ちょっとミキティらしくないんじゃなーい?私たちは親友だよ?何があったってまた集まれば良いじゃん!  
 来年は受験が終わったらみんなで旅行にでも行こうよ!ね?」瑞希らしいフォローにまた涙が出てくる。  
「うんっ!ありがとう、瑞希!」「わわっ!私はそっちの気はないぞっ!でもミキティが喜ぶなら、今だけ撫でちゃる!」  
「わ〜!そんなにぐしゃぐしゃしないでよー!」「あははっ、涙目のミキティはなんだかかわいいぞー!」  
私は本当にいい友達を持ったと思う。こんなに暖かい空気、なかなか味わえないもんね。  
 
美紀のいきなり泣きだした騒動から1時間経過。俺はパーティ一番のお楽しみを急ピッチで仕上げている。  
 
あの後、女子に混じって料理を食べたり一緒にゲームしていたら、突然佐々木が「そういえばたっつー、クリスマスケーキは?」なんて言い出した。  
完成したケーキはあるのだが、ちょっとした細工をするために「じゃあちょっと用意してくるから10分ほど待ってくれ」と宣言し、台所に移動。  
ちなみにケーキはブッシュ・ド・ノエル。5分ほどでケーキに細工を施し、階段脇の納戸からプレゼントの入った白い袋を取り出し、サンタ帽を  
身につけ、準備完了。サンタ服に着替えるのははめんどくさいので却下。  
 
「メリー・クリスマース!今日のケーキはブッシュ・ド・ノエルだぞー。」「「「「わー!すごーい!」」」」  
女性陣の関心の声が上がる。こういうのってちょっと嬉しいよな。  
「既に切り分けてあるから、好きなのを取ってってくれ。」  
ケーキに群がる女性陣。あれ、俺のこのカッコは無視かい?お兄さん、泣いても良いかな?  
「あれ?たっちゃん、その袋は?」  
やっぱり持つべきは幼馴染だよな。真っ先に美紀が気付いてくれてお兄さんの機嫌も急上昇。  
「これか?実はそのケーキにはちょっとした細工があってな。ケーキのどこかに数字を印した飾り付けをしてある。  
 その番号に応じたプレゼントが、この袋に入ってるのさ。ま、普段みんなにはお世話になってるから、そのお返しだよ。」  
「「えっ!(たっちゃん|海神君)のプレゼントがもらえるの!?」」  
美紀と水上さんが異様な反応を示した。水上さんはともかく、美紀ってこんなに俺からのプレゼント喜んだっけ?  
「おう。一人一人違うプレゼントだぞ。ま、安物だけどな。」  
「たっつー、それは言っちゃダメよ。」「そうだよ〜、冗談でも『高かったんだぞ』くらい言わないと〜。」  
佐々木と木津さんが文句を言ってくる。いや、4人で1万円って結構な出費なんだけどな。  
 
 
ケーキを食べ終え、女性陣の手元には俺から渡したプレゼントがいきわたってる。佐々木はケーキを食いながら包み紙を破いていたが・・・。  
佐々木には1の『FACEBANK』、木津さんには4の『ザ・フロッグウェザーリポーター』、水上さんには2の『バスパレット マイオーシャン』、  
美紀には3の『ペコっぱ』。正直、1は佐々木に当たってくれて助かった。木津さんならまだしも、他の二人なら絶対嫌がるだろうからな。  
 
「たっちゃん、見事に全部おもちゃだね。」「悪いか?なかなかいいと思ったんだが。」  
確かにアクセサリーとかの方がいいかと思い悩んだけど、アクセサリーのプレゼントって変に勘違いしたりしないか?と思い却下。  
「なにこれー!キモーイ!あはははっ!コイツお金食べてるー!」  
「へぇ、気圧でこの水が上がったり下がったりするんだ。今日は天気がいいから、低いみたいだね。」  
「お風呂に浮かべるおもちゃかぁ。早く使ってみたいなぁ・・・」  
既に中身を見ている3人の反応は上々、なかなかの高評価みたいで一安心する。  
「美紀のもあけてみようよっ!」「そうだぞそうだぞ!独り占めしようなんて卑怯だぞ!」「私もちょっと見たいなぁ・・・」  
そう思っていたら、唯一プレゼントを開封していなかった美紀に非難の声。早々に折れる美紀。  
「わかったわかった!今から開けますよっ!」  
 
「ていうかさー、たっつーってなかなかひどい男だよね?」ペコッ  
「そうそう、優しい顔して酷い事言うんだから、えぐいよね〜?」ペコッ  
「いや、あの、海神君は優しい人ですよ?でも、その優しさが罪です・・・」ペコッ  
「確かにねー、朴念仁って言葉がぴったりだと思わない?」ペコッ  
「お前ら、ペコっぱ相手に俺をけなして楽しいか?」ペコッ  
「・・・こいつ壊したろか」ペコッ  
「「「「あはははははっ!」」」」  
なぜか俺に対する愚痴をネタにペコっぱで遊ぶ4人。なんだか不愉快だ。気分を害された俺は、空いた皿片手に台所へ逃げ込む。  
皿を洗っていたら気分が晴れてきて、気付けばクレープとクッキーを作っていた。てかクッキー好きだな俺。  
時間がかかったものの、なかなかいい作品が出来た俺は、何の警戒もなくリビングに向かった。  
 
「あはははっ、良いではないか良いではないかっ」「いやーん、そこくすぐったーい♪んぁ!そこはダメだって!」  
「美紀の体ってホント綺麗だよね・・・出るとこ出てるし・・・」「ふぁっ!ちょ、湊、感じちゃうからだめぇ・・・」  
俺はクレープとクッキーがのったトレーを持ちながら、リビングの扉の前で固まっている。  
俺がいない約30分ほどの間に一体何があったんだ?この百合の花が咲いている楽園のような場所に飛び込んでいいんだろうか。  
いやいや、ただのマッサージだろ。いやらしい考えをするな、俺よ。南無妙法蓮華経、悪霊退散、臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!  
なんだか訳の分からない呪文を唱え、意を決して扉を開ける。  
「おーい、クッキーとクレープ作ったんだがいる・・・か・・・?」  
・・・ここはどうやら本当に楽園だったようです。どうもご馳走様です。  
木津さんの服の裾から手を突っ込んで胸を愛撫している佐々木。木津さんのちらりと見える白い肌とおへそがまぶしい。  
水上さんは水上さんで服を捲りあげられた美紀の胸をブラの上から揉みしだいている。美紀の水色のブラにくらっとする。  
 
俺は急いで回れ右、逃げるが勝ちと言う事でリビングを脱出しようとしたら、何者かに全身を拘束される。  
「え、えと、その、これは、あの・・・」全身の汗腺という汗腺が開く。嫌な汗がだらだらと流れる。  
「ちょっとこっちに来ようか、たっちゃん?」「そうだね、ちょっとお話聞かせてくれるかな?」  
美紀と木津さんの声がすごい怖い。ごめんなさいごめんなさいごめん(以下略  
 
 
「確かに湊にお酒を飲ませた瑞樹も悪いけど、たっちゃんも女の子しかいない場所に入るときは声かけようね?」  
ちなみに佐々木は水上さんを美紀の部屋に運んで介抱している。  
「そうだね。ちょっとマナー違反かなっ!」「はい、ごめんなさい、もうしません。」  
と言うか俺は悪くないと思うんだが、女の子の肌を見てしまった以上謝るしかない。  
「でもでもっ♪辰則くんは私のエッチな声聞いて興奮しちゃったかな?」「う、それについてはノーコメントで。」  
「へぇ、じゃあ興奮しちゃったんだねぇ♪まぁ美紀の方が色っぽい声出してたけどねぇ?」「わ、私は仕方ないじゃん!」  
「ほほう、なんでかなぁ?」「だって、そりゃ、あんなとこ触られたら、声出ちゃうし。」  
お願いだから男の前でそんな生々しいお話しないでください。体育座りで色々と隠さないといけなくなりますから。  
「どこ触られちゃったのかにゃ〜?」「むー!じゃあ紀子にしてやるー!」  
「えっ!ちょ、辰則くんがい、ふあっ!そこはだ、んにゃあ!」「ほらほらー!感じるでしょー?」  
「んんんっ!美紀、ちょっとおかし、やぁ!もう!私だってやってやる!」「んあっ!ちょっと、そこはやめっ、あん!」  
お前らも酒入ってるだろ?と思いつつもあまりの光景に頭に血が上りすぎて、美紀と木津さんの嬌声を聞きながら、俺は意識を手放した。  
 
紀子と乳繰り合ってたら、隣からバタッと言う音がしたので見てみると、顔を真っ赤にして目を回しているたっちゃん。  
「「(たっちゃん|辰則くん)!?大丈夫!?」」紀子も驚いたようで、私と同時に駆け寄る。  
「たっちゃん!?どうしたの!?ねぇ、ねぇ!」「美紀、ちょっと落ち着こう。まず体におかしい部分がないか調べないと。」  
たっちゃんが倒れるなんて今まで無かったから、相当慌ててたみたい。とりあえず顔を真っ赤にしている以外におかしなとこ・・・っ!?  
「美紀?どうしたの?・・・っ!?」  
紀子もたっちゃんのおかしなところに気付いたらしい。まぁこれだけ主張してたら、ねぇ。  
「・・・とりあえず。」「興奮しすぎて倒れちゃったんだね。」  
原因が分かりほっとする私たち。まぁあんなことを目の前でやってたんだから、仕方ないよね。  
 
「・・・ねぇ、美紀。」「ん?なあに?」  
「あのさ、美紀も辰則くんのこと好きだよね?」「っ!?」  
「わかっちゃうんだよね。なんとなく。」「・・・そっか。」  
「だから、今からちょっと悪いこと、しちゃわない?」「え?どういうこと?」  
「辰則くんの、コレ、見ちゃわない?」「ふぇ!?」  
「美紀は、気にならない?」「た、確かに気にはなるけど・・・」  
「これは私と美紀の秘密。誰にもしゃべらないし、辰則くんにも言わない。」「うう・・・でも・・・」  
「美紀が嫌ならいいんだよ。私だけで見ちゃうから。」「そ、それはダメ!」  
「・・・じゃあ、いいね?」「・・・分かった。でも、紀子も言わないでよ?」  
「分かってる。絶対に守るから。・・・じゃあ、やるよ?」「・・・うん」  
たっちゃんごめんね、美紀は悪い子です。でも、やっぱりたっちゃんが好きだから、気になっちゃうんだ。  
 
「ってちょっと待てーお前らー!!!」「ひゃっ!」「わぁ!」  
「たたたたたたっちゃん?!いいいいいつから気付いてたの!?」  
「『美紀が嫌ならいいんだよ。私だけで見ちゃうから』あたりか?お前ら何しようとした?」  
「いや、あの、その・・・辰則くんのね、あの、ソレが、立派だなぁと思って・・・」「それ?・・・あ、コレ見られたんだ・・・」  
再び卒倒しそうなほど真っ赤になるたっちゃん。と言うかみんな真っ赤。  
非常に空気が重い。えーと、なにか声を「みなっちふっかーつ!!・・・あれ?何この雰囲気は。またたっつーやらかした?」  
「加害者確定!?今回俺はどちらかといえば被害者だっ!」「は?たっつーがひがい・・・なるほどねぇ♪」  
瑞樹はたっちゃんの体を見、そして私たちの顔を見てそんなことを言い出した。何となく嫌な予感がするんだけど・・・  
「たっつーのアレはおっきかったかい?」「ちょ!?ななななんて事っごほっ、ごほっ」  
耳元で突拍子もないことを囁く瑞樹。思わず咳き込む私。いや確かに見ようとはしたけど見てはいないし!  
「なるほどなるほど、見ようとしたらたっつーが気付いちゃったんだねぇ♪残念だったねぇ、お二人さん♪」  
ずばり言い当てられ、真っ赤になってる三人。たっちゃんは体育座り。訳が分からないという表情の湊、ニヤニヤとしている瑞樹。  
そんなこんながありつつ、デート前日は変な雰囲気のまま終わった。  
 
明日、たっちゃんと顔合わせるのがツラいなぁ・・・  
 

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