三学期が始まって数日、現代文の先生がなにやら語りだしたので、つまらなくなって窓の外を眺めると、雨が降り出していた。
今日は天気予報を見忘れて家から出てきたので傘を持ってない。まぁ私の彼氏さんなら持ってるだろうから、今日は・・・てか今日も一緒に帰ろうかな。
ついつい緩みそうになる頬を押さえながら、1年前のあの日のことを思い出していた―――
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
インフルエンザで期末テストを受けられなかった私は、追試を受けていた。
追試が無事終わったので帰ろうとしたら、降るはずじゃなかった雨が既に降り始めていて。
朝の天気予報では夜からってことになってたから、傘を持たないで来たのに。
「うー・・・サイアクだぁ・・・」
昇降口でひとりごちていたら、後ろから突然誰かに声をかけられた。
「美紀、どうした?」
「うひゃあ!・・・なんだたっちゃんか」
『なんだ』なんて失礼な返答をしちゃったけど、いきなりだったんだから仕方ないよね?
だってたっちゃんは帰宅部のはずで、いつもは授業が終わったらサッサと帰ってるし。
「何だとは失礼だな」
「後ろからいきなり声かけられたらビックリするもん!」
「確かにそうだな。悪かった」
「と言うかたっちゃんは何でこんな時間まで残ってるの?」
「図書室で本借りて読んでたんだ」
たっちゃんは意外と読書家で、たっちゃんの部屋の隣の部屋は本のための部屋になってるくらい。
と言ってもその在庫の半分以上はたっちゃんのご両親のものらしいけど。
「で、美紀はこんなところで何をして・・・なるほど、傘でも忘れたのか?」
たっちゃんが何故帰ってないのか不思議に思ったのか私を見て、一番痛いところをついてきた。
「うー・・・まさかこんなに早く降るとは思ってなかったからさぁ・・・」
「折り畳みくらいもってこいよ」
「だってかさばるじゃん・・・」
「確かにそうだけどさ」
たっちゃんが苦笑しながら鞄に手を入れて傘を捜し始めた。
たっちゃんはなんでか知らないけどやたらと準備がいいんだけど、多分一人暮らしって言うのもあるんだろうなぁ。
「じゃあコレ使え」
そう言いながら、たっちゃんは鞄から取り出した折り畳み傘を私に渡してきた。
でも、たっちゃんは折り畳み傘以外の傘をもってない。
「え?でもたっちゃんの傘じゃ」
「いいから使え。お前病み上がりだろうが」
「そうだけど、たっちゃんはどうす「んじゃな」ええっ!?」
たっちゃんは私の言葉を遮って『んじゃな』とだけ言って雨の中に飛び出していった。
「ちょっと待ってよ!たっちゃん!風邪引いちゃうよ!戻ってこーい!」
大声で叫んだけれどたっちゃんにその言葉は伝わらず、小さくなっていくたっちゃんの後ろ姿。
その姿はだんだん小さくなっていき、最後には見えなくなっちゃった。
不器用な優しさにときめく私、けれどその自分のことを省みない行動に怒る私。
二つの感情が入り混じって、わけが分からなくなる。
「もう・・・まったく・・・」
そんな言葉が冬の雨に溶けていった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
―――たしかあの後、たっちゃんは見事に風邪を引いて、終業式直前まで休んでたんだっけ。
たしかあの時はたっちゃんをやたらと怒ったなぁ。今となってはいい思い出だけどね。
気付くと授業はもう終了間際。でも先生はアレからまったく板書してないみたいだけど、授業する気あるのかな?
SHR終了後、直ぐにたっちゃんのところに駆け寄って傘のことを聞く。
「ね、たっちゃん。傘持ってきてる?」
「ん?ああ、今日は折り畳みじゃないのを持ってきてるが・・・もしかして忘れたのか?」
「えへへ♪だから、一緒に帰ろ?」
「まったく。わかったよ」
付き合い始めてから、たっちゃんは今まで以上に優しくなった。
いままでだったら『じゃあコレ使えよ』って言いながら折り畳み傘を出すはずなんだけど、私の言いたいことが何も言わずに分かったみたい。
オーラも何だか柔らかくなったからか、女子からはすこぶる評判がいい。
・・・彼女としてはビミョーなんですけど。
さっきのやり取りを聞いていた市川君と金沢君がたっちゃんをからかっている、というか羨んでる?
『いいよね、彼女と相合傘って』とか『帰った後は部屋でしっぽりかっ!しっぽりなのかっ!?』なんて声が聞こえる。
金沢君の言葉に恥ずかしくなって俯いていると、私の後ろから聞き覚えのある声がした。
「男の子ってホントデリカシー無いよねぇ」
「瑞希は言えた義理じゃないけど、確かに女の子の前で『しっぽり』なんて使ってるようじゃね」
「と言うか『しっぽり』って古くない?」
「あははははっ!確かにっ!」
瑞希と紀子が口を揃えて男子を非難し、湊は二人に挟まれ苦笑を浮かべている。
男子二人は瑞希と紀子の『口撃』に何も言い返せないみたい。
「佐々木も木津さんも容赦ないな」
「ミキティをいじめる輩は私たちの敵だからねぇ」
「友達がいいように言われてるのを黙って見過ごせないよ」
瑞希も紀子も、後ろで頷いている湊も本当にいい友達だと思う。
「三人ともありがとな。じゃあ美紀、行くか」
「うんっ」
たっちゃんに促され、後ろについていく私。
「手間賃はいいから、今度たっつーの手料理ご馳走してねー♪」
後ろから瑞希がちゃっかり手間賃の請求をしてきたけど、たっちゃんは後ろを振り向かず手をひらひらとさせて答えている。
・・・というかさっきの『いい友達』は撤回したほうがいいのかな?
三学期入ってからは一緒に登下校してるんだけど、やっぱり学校が近いのもあって腕にくっつくのはちょっと恥ずかしいから、せいぜい手を繋ぐことくらいしかしてない。
「寒いね」
「だな。この分なら雪になるかもな」
「そうなんだ。そういえばさ、たっちゃんが『雪になる』って言った日って、本当に雪になるんだよね」
「そうだっけ?」
「そうだよ。まるで魔法の言葉みたいに、必ず降るんだから」
小学校の頃からずっとたっちゃんのこと見てきたんだから、忘れるはずが無い。
その言葉が毎年楽しみで、聞けない年があると寂しかった記憶だって残ってるくらいだもん。
「ま、降ってくれりゃいいんだけどな。嘘つきにならないで済むし」
「あははっ♪そのくらいの嘘ならキスで許してあげるよ?」
「・・・じゃあなおさら降らないで欲しくなるんだけどな」
そんなこと言うなんて、たっちゃんは相変わらず悪い人だ。
「・・・でも、キスなら、いつでもしてほしいんだけどな・・・?」
たっちゃんの耳に届くかどうか分からないくらい小さな声でつぶやいたら、たっちゃんが顔真っ赤にして視線を逸らしちゃった。
あとちょっとで家に着く、という辺りで、たっちゃんの左肩が異常なほど濡れてるのに気付いた。
「たっちゃん!?左肩すっごく濡れちゃってるじゃん!」
「あ?ああ、そうみたいだな。気付かなかった」
多分学校出てからずっとそうだったんだろう。左手は硬く握られて、とっても寒そう。
「もう家に着くから私は着替えてからたっちゃんの家に行くね!たっちゃんは帰ったらちゃんとお風呂に入ること!」
そう言い放って私は傘から抜け出し、家に向かう。後ろから聞こえる、
「あっ!おい美紀!濡れちまうだろ!待てって!」
って言う声は聞こえない振りをして。
あの後すぐに着替えてたっちゃんの家に向かい、たっちゃんを探す。
「たっちゃーん?お風呂入ってるのー?」
返答は無し。お風呂場から水の音が聞こえるから、多分入ったんだろう。よしよし。
お風呂場に近づき、ドア越しにたっちゃんに話しかける。
「たっちゃーん!ちゃんとシャワー浴びてるのー!?」
「ああ、大丈夫だから居間で待っててくれー」
うん、声も元気だし大丈夫そうだね。それを確認した私は、素直にリビングに向かう。
たっちゃんはあの後割とすぐに出てきた。カラス並みだよ、まったくもう。
今はソファの上でたっちゃんに寄りかかりながら話をしている。
「ねぇたっちゃん。一年前のこんな寒い雨の日のこと、覚えてる?」
「ん?・・・いや、なんかあったっけ?」
授業中に思い出したことを話すと、たっちゃんも思い出したのかバツの悪そうな顔をしだした。
「ああ・・・そんなこともあったな」
「あの時は心配したんだからねー!」
「ああ、悪かった」
「・・・もう、あんな無茶はしちゃだめだよ?」
そういって見上げると、たっちゃんは優しくキスをしてきた。まるで『もうしないよ』と言わんばかりに、優しいキス。
『初めて』の日以来、キスだけでこんなにエッチな気分にならなかったから、今日は久しぶりにしたくなっちゃった。
そんな気分になった私は、ベロをたっちゃんの口に侵入させる。たっちゃんが一瞬ピクッて反応したけど、そんなことお構い無しにどんどん進んでいく。
「んふぅ・・・ん〜・・・」
たっちゃんのベロに触れて理性が溶けていく。エッチな気分がどんどん高まっていく。
目がトロンとして、とってもエッチな顔をしてると思う。でも、それが今日の気分。
「んはぁ・・・どうしたんだ、突然?」
「・・・うん、今日はね、したくなっちゃった」
こんなエッチな子になっちゃったのはたっちゃんのせいなんだから、責任取ってよね?そう思っていると、
「・・・ダメだ。アレないし」
「持ってるよ、って言ったら?」
私の言葉が意外だったのか、顔を真っ赤にして『いや、でも』とか呟いてる。
本当にかわいいんだから♪罪作りな私の彼氏さん。
「う・そ♪でも、今度の休みまでに買っておいてね?」
そんなエッチなおねだりを、抱きつきながら耳元で呟く。今度は耳まで真っ赤になっちゃった。
「・・・スケベ」
「えへへっ♪たっちゃんがこんな気分にさせちゃうんだからね?」
「・・・ったく」
「ふふ♪たっちゃんが好きだから、だからね?」
「分かってるよ」
目を逸らしながら、つり上がる口の端が隠せてない不器用なたっちゃんが好きで好きでたまらない。
「俺も、美紀のこと、好きだよ」
「じゃ、思いっきり抱きしめて?」
たっちゃんの膝の上にまたがって、顔を胸にうずめるとたっちゃんが思いっきり抱きしめてくれる。
ちょっと苦しいけど、たっちゃんの匂いが私を落ち着かせてくれる。ちょっと浮ついてた心が落ち着く。
「ふにゅー・・・」
ちょっと隙間の空いていたココロにたっちゃんの優しさが注がれて、とっても満たされる。
もう抱きしめられて何分経ったんだろう?とっても眠たくなってきちゃった。このまま眠りたいな、なんて思っていたら、たっちゃんからナイスな提案が飛んできた。
「美紀、眠いのか?」
「うんー・・・♪」
「なら布団で寝なさいな」
「抱っこでつれてってぇ・・・♪」
「はいはい」
苦笑気味に答えたたっちゃんだけど、お姫様抱っこで部屋まで運んでくれた。
「えへへぇ・・・♪お姫様だっこされちゃったぁ・・・♪」
「ゆっくり寝てな。夕飯出来たら起こすから」
「うん・・・♪」
頭を撫でられ、ゆっくりと意識が落ちていく。
心地よいまどろみの中、暖かい何かが唇に触れたのをきっかけに、完全に夢の世界へと落ちていった。
ちょっとしたお昼寝(たっちゃん曰く1時間半は寝てたみたい)を終えて、今日もたっちゃんのおうちで晩御飯。
ママにさっき電話でたっちゃんの家でご飯食べるって伝えたら『まるで芸能人の半同棲みたいな感じね♪』なんて茶化された。
そしてお風呂タイムは・・・
「な、なぁ美紀。本当に入るのか?」
「たっちゃんはホント、ヘタレだよね」
「うぐっ、で、でもなぁ」
「たっちゃんは私と入るの、嫌?」
「嫌じゃないんだが、恥ずかしいからなぁ」
「それは私もおんなじだよ?だから、ね?」
「・・・わかった、わかりましたよ」
何とか一緒に入ることに成功した。ちょっと拗ねくれたたっちゃんがかわいい♪
たっちゃんには先に入ってもらって、私はお風呂に入る準備を・・・
「・・・で、なぜ美紀は水着なんだ?」
「や、やっぱり裸を見せるのはちょっと恥ずかしいって言うか・・・」
私の水着はちょっと恥ずかしいけど、去年の夏に使ったビキニタイプの水着。
だから、ちょっと胸がきつくて困るんだけど・・・
「・・・最初のとき電気付けたままでいいとか言ったのはどこのどちらさんでしたっけ?」
「あ、アレとコレは別だよぉ!」
「・・・はぁ」
あの時はテンションおかしかったしなぁ・・・
「とりあえず体洗ってあげるから、座って座って!」
「・・・はぁ・・・」
さっきより深いため息。そんなにならなくてもいいじゃん。そんなたっちゃんにはお仕置きです!
最初こそ普通にボディタオルに液体石鹸をつけて洗ってたんだけど・・・
「み、美紀?な、何をやってるんだ?」
「ん?背中洗ってるだけだけど?」
「な、何でだ?」
「私の胸だけど?」
そう、私のおっぱいを当てて洗ってるの。とは言えビキニをつけてるから直接じゃあないんだけどね。
「な、何をして「気持ちよくない?」う、あ、いや、気持ちいいのは気持ちいいんだが・・・」
「じゃあ続けるね♪」
「ああ・・・じゃなくて!なんでこんなことするんだ!?」
「さっきしたいって言ったよね?あれ、冗談じゃないんだよ?そうじゃなきゃ、こんなことしないよ」
たっちゃんは私に対して優しすぎるきらいがある。それをやめて欲しいから、こんなことしちゃうんだ。
「・・・」
「だから、ね?本当の私を知って欲しいの。ダメ・・・?」
「・・・止まらなくなるが、いいのか?」
「止めないで。本当のたっちゃんを、見せて?」
「・・・じゃあ、そのまま洗い続けてくれ。ただ、ビキニのトップは外してくれよ?」
突然のたっちゃんの要求に、思わず照れてしまう。
「・・・たっちゃんのスケベ」
「美紀が要求したんだろ?俺は素肌で洗って欲しいんだけどな」
意地悪く、でも優しそうな笑みでそんなこと言われたら、断れないよ。
「・・・もう、外すけどこっち見ないでよ?」
「見ないよ」
たっちゃんは苦笑しながら、こっちを見ないと約束してくれた。その余裕がちょっと悔しい。
「ふぅ・・・ん・・・どう・・・?」
「ん、気持ちいいよ。美紀の柔らかいのが当たってな」
「なん、か、私だけ、ずるい」
「・・・そう言われましても」
たっちゃんには私の言いたいことが分かったのだろう、苦笑と敬語で返された。
悔しくて、手を動かしてたっちゃんの乳首を触ったりつねったりしてみる。
「っ!?ちょ、美紀!」
「へへぇ♪たっちゃんも、ココ、感じるんだ?」
「あっ!?ちょ、やめ、ううっ!」
「やめたげないもん♪」
たっちゃんは背中で私の乳首を愛撫し、私は指先でたっちゃんの乳首を愛撫する。
たっちゃんを責めるのはなんだか楽しい。快感に対する反応は素直なのに、口では嫌がってる。
たっちゃんも結構天邪鬼だよね。今風に言うとツンデレ?
そんなことを考えながら、左手はそのままに、右手をたっちゃんの下腹部に移動させると、明らかに興奮している象徴がそこにはあった。
「ねぇたっちゃん。口ではイヤイヤ言ってるのに、どうしてこうなっちゃうの?」
「や、それは、その・・・好きな人がこんなにエロかったら、普通こんな風になるだろっ」
拗ねた感じでたっちゃんが答える。好きな人の困惑した顔って、なんでこんなに可愛いんだろう。
もっと困らせたくって、それ以上にエッチな顔が見たくて、右手でボディソープを泡立ててたっちゃんのおちんちんを擦る。
「うああっ!美紀!と、止めてく、あああっ!」
「やだ♪たっちゃんのエッチな顔、もっと見せて?」
「っ!〜〜〜〜〜ぁっ!」
たっちゃんが困惑の中、快楽に飲まれていくのが手に取るように分かって、ぞくぞくしちゃう。
私ってこんなにSだったっけ?冷静な部分がそう言ってくるけど、無視無視。
「はぁっ!うぅぅっ!〜〜〜〜〜!!!」
たっちゃんは私の責めに耐えながらも、口からはかわいらしいあえぎ声を上げることしか出来ないみたい。
私から与えられる刺激に、体もおちんちんもビクビクと震えてる。
「たっちゃん、気持ちいいの?」
「は、あ、う、うんっ!うんっ!」
たっちゃんが子供みたいに『うん』なんて言うから、かわいくってかわいくって仕方がない。
と言うか、やっぱりたっちゃんが欲しくて仕方がない。
「えへへぇ♪おててはこれでおしまい♪とりあえず泡は流すね?」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
たっちゃんは今の状態があんまりよく理解できてないみたい。
とろんと目尻が下がりきって、まるで10kmくらい走った位、息が荒い。
「ねぇ、たっちゃん。もう私、我慢できないから、入れちゃうね?」
「え・・・?」
たっちゃんの上にまたがり、左手でパンツのクロッチ部分をずらしながら、右手でたっちゃんのおちんちんを入り口に導く。
私の中は何もしていないのに、既にたっちゃんを受け入れる準備が出来ていた。
多分、たっちゃんの声とか反応を見聞きしてる間に、興奮しちゃったんだろうけど。
そのまま腰を落とし、たっちゃんを私の中に迎え入れる。
「あああああっ!!!」
「うああああっ!!!」
私とたっちゃんの声が広めの浴室に響き渡る。
二回目だからまだちょっと痛いんだけど、ゴムが無い分痛みが若干少ないみたい。ほんの少しだけど、気持ちいいのもあるし。
「っ!?美紀!ゴムしてないだろっ!?」
たっちゃんがようやっと現状把握できたのか、一回目より刺激が強かったからか、焦って抜こうとする。
私はたっちゃんに思いっきりしがみついて、離れられないようにする。
「ちょ!美紀!離れろ!!」
「やだ。離れないもん」
「やだじゃない!妊娠したらどうすんだ!」
「大丈夫だもん!」
「な、何が大丈夫なんだよ!?」
私だってちゃんと考えてる。ただの獣じゃないもん。
たっちゃんはいつも先を見据えて行動とかしてるんだろうけど、その優しさが、今は逆にツライ。
「ゴムをすることだけが避妊じゃないんだよ?私だってちゃんと考えてるから・・・だから、今は、ね?」
「・・・分かった。美紀のその言葉、信じるからな?」
たっちゃんの目が、私の心を透かすように見つめてくる。
だから、私も『信じて』って気持ちを込めて、たっちゃんを見つめる。
「・・・最後は抜くからな」
「はーい♪」
たっちゃんもそこまでしか引くことが出来なかったんだろう。最大限の譲歩をしてくれた。
だから、私は最愛の人の気持ちに答えてあげないと、ね。
ぱちゅんぱちゅんと、体がぶつかり合う音が浴室に響く。そしてとってもエッチな言葉も、一緒にこだまする。
「ああっ!やぁ!いいよぉ!」
「うああっ!美紀の中、吸い付いてくるっ!」
「たっちゃんのが奥まで来てるのぉ!熱いのぉ!」
たっちゃんの大きくて硬いのが私の奥にぶつかってきて、鈍い痛みに顔をゆがめてしまう。
でも、そのさらに奥から、沸いてくるような気持ちよさが私の頭の中を滅茶苦茶にする。
「たっちゃん!奥いいよぉ!」
「美紀の中、きつくてヌルヌルで、おかしくなりそうだっ!」
たっちゃんの口からとってもエッチな言葉が出てきて、それがさらに私の頭をかき乱す。
「やぁ!そんなのやだぁ!」
「やだって、言う割には、ぎゅうぎゅう締め付けてるじゃんか!」
「あああああっ!」
吹っ切れたたっちゃんは、意外と私よりエッチかも。私のツボを確実に突いてくる。
「たっちゃん、たっちゃん!」
腰に力が入らなくなっちゃった私は、たっちゃんに抱きついてキスを求める。
「ん・・・んふっ・・・んんんっ・・・は、ぁ・・・」
上と下、両方の口から、水っぽい音が響きわたり、私の思考をどんどん奪っていく。
たっちゃんも下半身から来る欲求命令には逆らえないのか、私の中を犯してくる。
「たっちゃんっ!気持ちいいよぉ!もっと、もっとしてぇ!」
「美紀っ!美紀ぃっ!」
私はたっちゃんを、たっちゃんは私を思いっきり抱きしめて、繋がってる部分を一生懸命意識する。
たっちゃんと一つになりたくて、たっちゃんと溶け合いたくて。それでも、限界は割と近くにあって。
「美紀っ!ヤバイ!もう、イキそう、だっ!」
「私も!イっちゃいそう!もっと奥、突いてぇ!」
「わかっ、たっ!」
「んんんぁぁぁああああっ!」
今までよりも早く、でも確実に私の奥まで入ってきて、一気に限界に押し上げられる。
「だめだめっ!イク!イっちゃう〜〜〜!」
「俺もっ、イク・・・!」
飛ばされた瞬間に、本当に体がふわって浮いたせいでいつもより遠くまで飛ばされちゃう。
なんか下のほうでビクビクと震えてるのがあるんだけど、それが何なのかすら分からなくなっちゃうほど。
「水着汚しちゃってごめんな」
「ううん。私こそ、外に出すって約束忘れててごめんね」
「あれはちょっとやばかったけど、まぁ外に出せたから大丈夫」
お風呂から出て、さっきの反省会。お互いに変なスイッチが入っちゃったしね。
「て言うか、たっちゃんも意外とエッチだったね?」
「男はそういうもんだよ。と言うか美紀があんなにスケベだと思わなかったぞ?」
「えへへ♪たっちゃんが好きだからだもん♪」
開き直ったように返答すると、どう返答していいのか分からないのか、たっちゃんが目を逸らした。
私もたっちゃんの視線を追うように、窓の外を見る。
「「あ」」
私とたっちゃんの声が重なる。視線の先にはふわふわと舞い降りる冬の使者。
「たっちゃんの予想、当たっちゃったね」
「ああ、そうだな」
「じゃあキスできないな」
帰り道のことを思い出したのか、たっちゃんがそうつぶやく。
「じゃ、予想を見事当てたたっちゃんには私からのご褒美です♪」
そういいながら、私の唇をたっちゃんの頬に当てる。
「・・・」
意外なご褒美に照れたのか、黙り込んじゃった。
でも、耳が真っ赤なのは隠せてないよ、たっちゃん?
「寒くなりそうだね」
「・・・ああ」
「だから、今日もいっぱいくっ付いて、寝てもいい?」
「・・・喜んで」
ぶっきらぼうだけど、優しい彼氏さん。ずっと離さないから、ね?