「も、もうこんなこと、やめて敬介さん…っ!」  
「つれないことを言わないでよ義母さん。せっかく父さんに僕らの仲が  
いいところを見せてるんじゃないか」  
「そっ、そんな、こんないやらしいこと…ぁああっ!」  
 いやらしいのは義母さんのほうじゃないかと薄く笑みを浮かべながら  
敬介はくちゅくちゅと粘着く水音を聞えよがしに大きくし、香子は耐え切れず  
背中を反らしてみだらな喘ぎ声をあげた。  
「あぁああ!ひあぁあっ!」  
 情欲に潤んだ香子の切れ長の目に、瑞々しい花に囲まれた仏壇の中で生真面目な顔をしている亡夫の  
写真が映った。  
「ああ、あなた、あなたぁ…」  
 許してゆるしてとうわ言のように呟きながら、その合間にも義理の息子が  
ストッキングの上から秘所を弄る、とりわけ敏感な肉の芽を扱く指の動きに唆され、  
真っ赤に熟した花弁の奥から絶え間なく淫液を溢れさせ続ける香子であった。  
 
 
 そもそも香子が十ほどしか年の離れていない義理の息子の敬介とこんな関係に陥って  
しまったのは、まだ夫の喪も明けきれていない頃だった。  
 突然の事故で逝った夫、弘樹と息子の敬介は夫が生前の時から、いや香子がこの家に  
嫁ぐ前から不仲であった。一本気でやや頑固な気質である夫と、物憂げな  
研究者のような敬介とは、性格の反りあわぬ場合が多々あった。だが  
実の父子の亀裂を決定づけたのは、敬介がまだ小学生であった時分、  
敬介の実母が病死し、その遺品のすべてを夫が実家に送り返した行為だったという。  
 夫には夫の思いがあったのだろう。妻の姿をしのぶ何かを目にするのが  
辛かったのかもしれない。  
 泣き母を慕って泣く息子を叱り飛ばし、強くなれとも叱責した。  
 だが、当たり前だが、まだ幼かった息子にそんな父親は理不尽以外の何物でもなかったのだ。  
家族のスナップ写真が収められたダンボール箱を無理やり敬介から取り上げたときの、  
あの時の目は忘れられないとぽつりと一度だけ夫が漏らしたことがあった。  
 27才で後妻に入った香子は、そんな夫と義理の息子との間を何度も取り持とうとしたが  
尽く失敗した。「金目当て」と周囲に陰口を叩かれる若すぎる義母を、それでも最低限の礼儀を払い  
「義母さん」と呼んでくれることにありがたさを感じたが、親子の断裂は深いばかりだった。  
 それでもいつしか分かり合えるとこが来ることを望んでいた、その矢先の夫の死。  
 悲しみにくれる香子を敬介は犯した…いや、犯してはいない。香子の精神をさんざん凌辱し抜いて  
いるものの、一度もその秘肉は差し貫いていないのだ。  
 しかし香子はすでに数え切れぬ絶頂を敬介によって与えられ、淫らな雌と化している…。  
 
 
「ひぃいっ!あひぃ!」  
 黒いストッキングの上からクリトリスをぐりぐりと捏ね回され、香子はひときわ高い声で  
啼いた。  
「本当にいやらしいな義母さんは…まるでお漏らししたみたいにびしょ濡れだよ」  
 香子が仏壇の弘樹の写真から顔をそ向けられぬよう、尻もちをついた香子に大股を開かせ、  
背中から抱きしめるような形をとっている敬介が耳元で囁いた。  
「しかもノーパンだ。下着も履かずにストッキングだけだなんて、ド助平も  
いいところだよ」  
 敬介の言葉どおり、香子は下肢に直接ストッキングを身につけていた。花芯を中央にした  
その周辺は、溢れ出る淫液によってじっとりと黒く変色していた。  
「そんな!け、けいすけ、さん、が、ぁあああっ!」  
 反論しようとすると、ぎゅ、っと摘みを捻られ、香子の体がビクビクと跳ねた。  
 小さなアクメに達した香子を、そのままにせず、なおも敬介はいたぶる。  
「僕が大学に行ってる間、弄ってたんでしょ?我慢できないでクリトリス触ってたんだよね  
義母さんは。でなきゃ僕が触る前からあんなに濡れてない」  
 白い肌を桃色に染め、切なげな吐息をもらしていた香子は「返事は」と言わんばかりに  
クリトリスを摘みあげられ、ひっと息をのんで頷いた。  
 
 初めて敬介に押し倒された日から、香子の下着は全て捨てられた。替わりに許されたのは  
敬介がどこからか調達してきた、クリトリスをわざと露出させた非常に淫猥な下着か、  
目の細かいストッキングをそのまま履くことだけだった。敬介の「邪魔だね」の一言で  
脱毛クリームで秘所を子どものようにつるつるにされたため、日常の動作の中でもそれらの  
下着やストッキングは  
クリトリスを常に刺激し続け、衝動に耐え切れず香子がクリトリスを弄るオナニーに  
耽ることもしばしばであった。  
 そう、香子は敬介によってクリトリスを責める快楽に目覚めさせられたのだ。  
 達した余韻に浸る間もなく、敬介が再びクリトリスを触り始める。ストッキングの目の上から  
勃起したクリトリスを弄られるのは、香子が好む行為だった。ざらざらした無数の網目状の繊維が  
はちきれんばかりに真っ赤に肥大したクリトリスの上を擦る、その刺激に耐え切れず  
何度も呻き、自然と腰を浮かしてしまう。  
「僕が戻るまで、自分でこうしてた?」  
 敏感になりすぎているそれを、薄い薄い布の上からゆっくりと押しつぶしていきながら  
敬介が訊ねる。震えつつこくりと再びうなづくと、「全部しゃべって」と言われた。  
「父さんにちゃんと教えなきゃ。義母さんがどうやってクリトリスオナニーしてるのかを」  
「そんな、ことっ、あぅうっ、ゆ、ゆるして、敬介さん…もう…ああぁああ!」  
 ぐりぐりと親指で押しつぶされる感触。新たな淫液が花弁から滴り落ち、仏間には  
いやらしい雌の臭いが充満していた。  
「わ、私は、敬介さんの言いつけを、やぶって、クリトリスで、オナニーを、し、しました…」  
 ゆっくりと弧を描くようにクリトリスを弄る敬介の指先に促されるように、香子は  
時折体を震わせながら告白し始めた。  
「す、ストッキングが、やぶれると、ダメだから、ダイニングの、テーブルの、かどに、クリトリスを、  
おしつけて…からだを、うごかして…」  
 自分が行った背徳の行為と敬介の指先の動きとにぞくぞくと背筋をわななかせる。  
 そのテーブルは、弘樹と香子が結婚する際一緒に選んで買った家具だった。二人で  
コーヒーを飲み、ひと時の穏やかな夫婦の語らいを過ごしたテーブルだった。  
 そのテーブルの縁に下肢を押し付け、体を上下に動かしてオーガズムに達したのだ。  
「気持ちよかった?」  
「良い…すごく…よかった」  
 そう、と敬介はうなづくと、両手で思いきりストッキングを引き裂いた。布地の破ける甲高い音が  
部屋に響いた。  
「ほらもっと父さんに見せて、義母さんの元気でいやらしい姿を」  
「あなた…ああ、あなたぁ」  
 尻を伝って畳に染みができるほど濡れそぼつ濃い桃色の秘所から粘り気のある蜜を掬い取り、  
すっかり包皮から顔を覗かせて  
もっと触れて虐めてくれと催促するクリトリスに塗りつける。  
「さ。言って義母さん」  
「あなた…わた、あ、あはぁあっ!お、おまんこになにもつっこまれてないのに、あああ!  
こっ、こんな、いやらしい、淫売女なのおっ!く、クリいじられるのが、だ、だいすきなっ、  
け、けいすけさんの、クリ奴隷なのおぉお!あひぃいっ!」  
 二本の指の中央にクリトリスを挟まれ、強くしごくように上下に擦られ、その快感に  
涎と涙を垂れ流し、美貌を歪ませながら香子は口走った。  
「あ、あなたのちんぽよりずっといいのっ、これからも、けいすけさんにかわいがって…ふぁあああぁああっ!  
しっ、しんぱいっ、しないでっ、あなたぁあ!」  
 指で挟み込まれたクリトリスをぐっと摘まれた瞬間、香子が弾けた。  
「いっちゃう、いく、わたし、クリでいく、クリいくぅううう!あなたぁぁああっ!」  
 白い喉を反らし、獣のように叫んで香子は絶頂に達した。と同時に、ぷしゃあっと勢いよく  
香子の花弁から黄色い液体が飛んだ。  
 
「ああ、本当にお漏らししちゃったね、義母さん」  
 がっくりと敬介に体を預けきった香子は視線の定まらぬ顔で畳の水たまりを見た。仏壇にまで  
届くはずもなかったが、香子は夫の顔を自分の小水で汚したと思った。  
「大丈夫義母さん気にしないで。僕がきれいにするから。そのあと、ベッドに行って  
義母さんのクリトリスをまた可愛がってあげるよ。舐めしゃぶって、歯も立てて、義母さんが  
失神するまで…」  
 ベッドとは弘樹と香子が使っていた寝室のベッドのことだ。子どもじみた敬介の復讐心は  
どこまで行けば満たされるのだろうか、それとも本来の標的である夫を  
永遠に失ったことでこのままずっと。  
 朦朧とした意識のままで聞く楽しげな敬介の声に香子は反応しなかった。ただ、だらしなく  
開かれたままの足の合間の奥で、新たな蜜が淫らにゆっくりと滴り落ちていった…。  
 
 
終わり  
 

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