ドアが開かれて外の光と一緒に彼女が入ってくる。一歩一歩近づいて、白いドレスがひらひら揺れた。  
初めてのはずなのに記憶がたぶる。なんだろう。答えを求めて彼女を見つめる。  
 長いすそに少しバランスを崩した、その瞬間閃いた。僕らがまだ同じぐらいの身長の頃、  
洗いたてのシーツをみたててテレビのまねごとを、二人だけの式をしたこと。  
 夢のような霞む思い出。  
 どうしたの、ぼうっとして。  
 隣に並んだ彼女のかすかな問いかけに、綺麗だったから、と答える。はにかむ様子に胸がいっぱいになった。  
 
 
 起きて、また寝てるの。  
 強く揺さぶられてまぶたをあけるといつもの彼女がいる。先ほど見た彼女は今までで一番綺麗だったよ、と伝えると、  
じゃあ負けないように現実も頑張らなきゃね、と笑う。  
 何度でも見たいから、大歓迎だよ、そう言おうと思ったけどこれも夢だと困るから強く抱きしめて確かめた。  
 
 
fin  

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