「……とゆー夢を見た」
「人が心配して様子を見にくれば、第一声がそれかい」
我が幼馴染は眼を醒ますなり、そんな馬鹿なことを熱っぽく語った。実際、先程鳴った電子体温計は38度を示している。これは、いよいよダメかも知れない。
「ほ、ほら、幼馴染の女の子が甲斐甲斐しく看病してくれるのは男の子のロマンですよ?」
此方が呆れてるのに気が付いたのか、わたわたと妙な弁解にならない弁解をしだす。それを聞き流しつつ、オデコに氷嚢をぽいとのせてやる。
「ひゃぅん…!?」
「妙な声を出すな」
「うー…」
布団からのろのろと腕を出し、位置を調整し、こちらを睨む。
「……ロマンだけじゃ治らんだろ」
「病は気からってゆーし!」
あぁ言えばこーゆー奴だ…。仕方がない。
氷嚢を取り上げる。
「? どうし、」
そして、代わりのものをひとつ落としてやる。
「………!」
「………女の子じゃないからロマンにならないか?」
口元に残った冷たさだげが妙にくっきりしている。
「………優しい幼馴染の男の子は女の子のロマンだから、許可します」
どうやら俺も風邪をひいたのかも知れない。顔が熱いのは、きっとそのせいだ。
そーゆーことにしとけ。