「嘘をつくのは…よくない」
「ふ、ふぇぇ…ひょへんひゃひゃい〜ひゅーひちひゃん」
最中を食べ終わった後、僕は明子の頬を左右にぐいっと引っ張った。
妙な声を上げながら謝罪する妻はかなり可愛い。
たぶん訳すると『ふ、ふぇぇ…ごめんなさい〜龍一さん』
思わず抱きしめたくなる衝動をどうにか抑え、ぐいぐいと頬を引っ張る。
「ひゃいひゃすひひゃいひぇす!」
訳は『痛いです痛いです』
続けて僕はぐいぐいぐーいと引っ張った
「ひひゃいひひゃいひひゃぁぁぁひ」
諄いようだけど訳は『痛い、痛い、痛ぁぁぁい』
餅のように柔らかい肌は何度、触っても飽きることはない。
まだ24歳という若さもあるが、どことなく幼く愛くるしい顔立ちと背丈。
控えめな、けれど決して貧相ではない胸部に加え、腰のくびれから
お尻へと続く官能的な曲線は魅力的であり、刺激的だ。
肉が多すぎず少なすぎず、キュッと締まったそれでいて女性特有の
丸みを帯びた柔尻は思わず揉みし抱きたくなる。
いつまでもこうしていたいけど、さすがに可哀想なので
僕は粒アンに感謝しながら、明子を解放してあげた。
僕の名前は野上 龍一。
職業は運輸局管轄の検査官、通称PSC(ポートステートコントロール)。
結婚して、はや3ヶ月。月日が流れるのは早いものだ。
28歳の時、伯母さんの『龍一さん、縁談のお話があるのだけれども、いかがかしら?』
という発言からあれよ、あれよという間にお見合いになってしまった。
写真は手渡されたが、まだ結婚は…という思いと、仕事に忙殺される時期が重なって
ついに相手の顔も見ずにお見合いの日を迎えてしまった。
席に通され、座っていたのは二人。一人は着物をきた女性、もう一人は連れ子だろうか?
連れ子の女性とお見合いとは一体…などと考えていると、驚くべき事実を明かしたのは、
先方の母親だった。
「初めまして、野上さん。こちらは次女の神谷 明子です。
明子、野上さんに御挨拶なさい。」
「か…か、かかみやあ…きこでしゅ!ゴン」
ゴンというのは、明子が頭を下げすぎて、机に頭突きをかました音だ。
「あ…え…の、野上…りゅ…いえっくしょん…龍一です」
頭突きをかました明子に続いて、僕はくしゃみ。これはかなり痛い。
しかし、もっと痛かったのは明子の次の言葉だった。
「野上さんは日系の方なんですか?」
「は?」
「え…えーと…御名前が野上・リュイエクション・龍一なんですよね?」
実に衝撃的な出会いであったが、誤解を解き、話を進めていく内に
一番に惹かれたのはその明るい性格と笑顔であった。
自覚しているのだが…あまり変化しない表情と口数の少なさから、寡黙で怖い人という
イメージが定着してしまった僕にとって、眩しすぎるくらいの笑顔はとても新鮮で愛おしかった。
お見合いが終わった後も、片時も忘れる事がなかった明子の笑顔。
お見合いから二週間後の夜、僕は意を決して交際を申し込んだ。もちろん結婚を前提に。
そして、一年…思い出すのも恥ずかしい台詞で結婚を申し込んだのだ。
そして3ヶ月…挙式をして、今に至る。初夜は終えたが、引っ越しやら何やらで
あまり覚えていない。ようやく落ち着き始めたのが最近だ。
しかし性急すぎるのもよくない。正直、子供はまだ……と思うし。
このスケベ、エロ、性欲大魔神なんて思われたくない……
が、もし明子に「龍一さん、明子に種付けして下さい、滅茶苦茶に破壊して欲しいの。」
などと言われたら、それこそザ・ビーストの如く明子を犯してしまいそうだ。
内容など頭に入るはずもない新聞を読みながらついつい眼で
後かたづけをする明子のお尻を追ってしまう。
「龍一さん、お風呂沸いてるから先に入ってくれる?」
『いや、明子と一緒に入るよ。洗いっこしよう、身体の隅々まで念入りにね。
今夜はパジャマパーティーだ』
……などと口が裂けても言えない僕はいつものように
「ああ、ありがとう」という短い台詞を残して風呂へと向かった。
『大きな旦那様と小さな奥様』
……後片づけをしていて、お尻に視線を感じたんですが、
私が振り返ると龍一さんは新聞を広げて難しい顔で読んでいます。
龍一さん、それは昨日の新聞ですよ…というツッコミは無粋なのでしょうか?
結婚してから3ヶ月、初めての夜は恥ずかしすぎて、まともに顔が見れなかったし、
よく覚えていません。あんまり痛くなかったのだけは覚えていますけど…ん〜…
龍一さんは私に魅力を感じてくれているのでしょうか?ちょっと疑問です。
だってあれから一度もその…セックス…というか性交をしていません。
確かに忙しかったのが一番の原因で、夜になると疲れ果てて
二人ともバタンキューです。
でも、いざ「しようぜ」となったら身長が低い私ですから…
や、やっぱり…その……エッチする時は上に乗らないといかないのかな?
え…いや、特に深い意味はないんですケド。で、でも龍一さんにあの顔で、静かな口調で
「乗れ」とか言われたら、つい「お邪魔します」と言って乗ってしまいそうです。
夫婦のエッチは…いけないことではないんですけど…やっぱり、自分から言うのは恥ずかしくて
貪欲だ、痴女だ、雌豚だって思われたくはないし…
ちょっと怖いけど龍一さん、『がおーっ』て求めてきてくれないかな?
龍一さん、明子はもっとハグして欲しいよ、ハグ、ハグ、ハーグ………
……!……明日の夕食はハンバーグにしよう。
閃いたのはよかったのですが、お皿にハグしていた私は空しくなりましたので止めました。
どうして「お風呂一緒に入ろ、ちゃんと洗って、あなたぁ…今夜は寝かせませんよ」
って言えないんだろう…せっかく、お姉ちゃんに教えてもらったのに。
ちゃんと勝負下着履いて、ブラも可愛いのつけてるのに…。
そう言えば、結婚してまだ一度も『あなた』とは呼んでいません。
『龍一さん』でずーっと通しています。だってあなたって…何か夫婦みたいで…
いや、夫婦なんですけど……あははは、やっぱり恥ずかしくって。
そうして片づけを終えて、ソファでテレビを見ていたら龍一さんの身体を流す音が
聞こえてきました。しかも間の悪いことにテレビでは熱い男の人達の格闘技戦が
中継されています。私はつい龍一さんの逞しい身体を想像してしまいました。
適度に鍛えられた胸の筋肉と腹筋、太く筋肉質ではないけれど、やはり男の人のソレ。
女性と比べると堅く、逞しい身体付き。
ああ、だめだ、だめだ。何だか悶々としてきてしまいます。
私はテレビのチャンネルを教育テレビに変えました。これなら大丈夫。安心です、悶々しません。
と思っていたら、動物の交尾場面が解説と共に流れています。犬や猫に狐に狸。
さらに馬に熊に鮭の産卵までパンパンパンって……いや、鮭の産卵とかでは興奮しませんよ。
あ…ん……や、やだ…ちょっと濡れてきたかも…もう限界です。今ココで……
「ああ、いい湯だった。明子、上がったぞ」
「ひゃあ!?」
スカートに手を入れて、パンティの両端に手を掛けていた私は飛び上がりました。
「……どうした?」
「なななな、何でもありませんいいいい湯でしたか!?」
「……?…あ、ああ」
「それはよかったよかった!あはははっじゃ、お風呂入りますからー!!」
「……どうしたんだ、アイツ?」
「ふぅ……あ〜あ…」
私は湯船に浸かり、大きく息を吐きます。
「……どうして、あんなにタイミング悪いんだろう…」
ふにふにと自分の頬を引っ張りながら、そんな事を呟きます。
動くたびに波を発生させる自分のおっぱい……身長が低いだけに、
そこそこサイズのクセに目立ってなんか恥ずかしいです。
これって…女として誇っていい事なんでしょうか?
龍一さんは大きい方が好きかな…それとも小さいのが好きなのかな…
お姉ちゃん曰く「おっぱいは大きければ大きいほどいい、使い用途がたくさんある」
と言っていましたが、妹は「時代は貧乳だよ!微乳だよ!今の時代劇だって『微』って
書いてある旗を掲げてるじゃん!イケメン俳優がさぁ、あははは」
妹よ、それは時代劇には違いないけど、字が違うと思います。
そんな旗を掲げる大名はたぶんいません。あと、よだれ、よだれ。
「……ん…はぁ……だめだ、やっぱり一回は……しとかないと。
お風呂でなんて…エッチだな…もう」
お風呂の湯気にあてられたからか、ほわぁっとしてお腹がうずうずしてきました。
右手を股間に伸ばすと、指先がもっとも敏感な部分、突起の部分を触れます
「はっ……ん…」
思わず声が漏れましたが心配はいりません。
股間のアソコから熱いものが溢れ出しているのが何となくわかります
「ん…く……ぁ」
私の…いや、龍一さんの手が私の股間を這い回っています。
そんな光景を想像しながら中指を股間の中心に押し込むように力を込めると
くちゅ……という感触とともに指が熱い壁に包まれました。
「あ…ふっ……龍一さ……」
小さい声でぼそっと呟きながら、中指を引いたり、押したりします。
「んっ…はぁっ…あっ…ふっ…」
龍一さんとのエッチを思い描き激しく抜き差しを繰り返します。
『そう、吸って…くださ…あ…もっと…強く…んんッ』
私のおっぱいをチュウウと音が出るほど激しく吸い、舐め回す龍一さんの唇。
『僕…あっ…そ、そこ…いい…は……』
アレをしごき、舌で鈴口を開け、しゃぶり尽す私の口
………実際には、まだできませんけど。
『ああっ、いいの!龍一さん!いいの!もっとパンパンして!』
飛び散る汗、ぶつかり合うお尻と下腹部。冗談のように跳ね回るおっぱい。
さっき見たテレビでの甘い雄と雌の喘ぎ声。
『明子!明子!だ、出すぞ!』
眉間に皺をよせ、両手でおっぱいを握りつぶし、
限界まで腰を密着させ、膣内射精の快感に顔をしかめる龍一さん。
「あはっ…ん…あ、あ、あ…んく…龍一さん…龍一さん…龍一!」
下腹部を中心に高ぶる快感が背筋をゾクゾクッと駆け上ってきます。
「あっ…龍一…んっんん!い、いや、…だ、だめっイ―――イクッ」
ピクンッと身体が引きつり、身体の芯を稲妻が突き抜けていきます。
「ん…く……はぁ…はぁ…はぁ…ん、んん…」
どっとくる脱力感……お風呂で一人エッチなんて…はあぁぁ…最低です。