私は、その少女を崇めていた。  
肌は雪白、歯は真珠。その青い瞳は深い知性と無限大の優しさを湛え、  
プラチナの輝きとハニーの柔らかさを持つシルクのブロンドは、  
その一本一本に至るまで神々が丹念に櫛を入れたとしか思えない。  
すっきりと通った鼻梁、小さく整ったピンクの唇。  
端正でありながらまだまだあどけなさを残した可憐な面立ちからは、  
甘やかな気品が立ち上るよう。  
頭が小さく胸と腰の位置が高いため、一見長身に見える体躯はしかし、  
他者と並ぶと儚いまでに小柄で、繊細なまでに華奢である事が分かる。  
 
私は、否、彼女を知る者ならば誰もが崇めているであろう純白の聖少女。  
アリシア=ベル=セレンディール王女。  
小国でありながら大陸の宗主国であるセレンディール聖王国。  
その第一位王位継承者たる、16歳の姫君。  
 
私はワインを煽り、溜息を吐く。  
私は下級貴族の三男坊。家を継ぐ資格は無く、  
と言って裸一貫でのし上がるだけの武も学も才も、狡さえない。  
長兄は既に家を継ぎ次兄は学で身を立てているというのに、  
私は誰にも何も期待されていない三十がらみの下級貴族の三男坊。  
純白の聖少女とさえ称される聖王国の姫君とは、  
何から何まで違い過ぎる。  
それ故に私には、アリシア姫を崇める事しか出来ない。  
 
身分を隠して入った酒場などで庶民の声を聞く事がある。  
美しいアリシア姫の事は、庶民達の口にも膾炙しているが、  
下賤な男達ですらアリシア姫にはあまり欲情しないらしい。  
その気持ちはよく分かった。  
アリシア姫の美しさ可憐さは、もはや神々しくさえある。  
故にほとんどの男は劣情よりも憧憬を感じるのである。  
私もそうだ。  
だから私は、かの純白の聖少女を、崇め奉るのである。  
なのに――  
なのに何故、アリシア姫の姿を頭に思い浮かべただけで。  
私の股間の肉棒はいきり立っているのだろうか。  
 
大枚をはたいて美しい女を買った。  
誰にも言えない聖少女への劣情を思い切り叩き付けた。  
大金を取るだけあって、良心的な売春宿、良質な娼婦だった。  
その時は快感を覚え、それなりに満足もした。  
だが――  
ふと頭の中にアリシア姫の姿が浮かぶと、娼婦で得た満足が途端に色褪せるのである。  
白い肌。整った容貌。よく磨かれた肉体。豊満な乳房。  
何一つ文句のつけ所の無い女であったが、  
酸い様な体臭の上に覆い被せた様な香水の匂い。  
薄茶色をした乳輪は大きく、腋の下には剃毛の痕。  
乳房も肌も重ねてきた歳月は隠しきれず、  
性器の周りの色素の沈着は、なまじ肌が白い分却って目立つ。  
肥大した肉弁はびらびらとはみ出し、  
その見っともない割れ目の下のドドメ色をした菊門は見なかった事にした。  
「くそ!」  
安酒に狂った頭を振るい、手近な壁を叩く。  
(そもそも16歳の小娘を崇拝する事が間違ってるんだ)  
(あの姫君は自分如きが欲情して良い少女ではない)  
(何が純白の聖少女だ! 綺麗な顔をしていても一皮剥けば女なんだ!)  
(聖なる姫君は、たとえ頭の中であっても汚してはならない)  
(さっきの女の喘ぎ様を見ただろう! アリシア姫だって……)  
(アリシア姫を冒涜する事は許されない)  
(アリシア姫を冒涜などしたくない。だがアリシア姫を汚したい……)  
「でしょうね」  
酔った頭で取りとめない事を考えていた私に投げかけられてなのは、  
若い女の声だった。  
自分の頭の中の最も汚らわしい部分が覗き見られた様な悪寒に振り返ると、  
先程の高級娼婦が場末のイモ女に感じるほど、美しい女がそこにいた。  
 
美しい女。だが私が最初に覚えたのは戦慄だった。  
年の頃ならば25、6といった所か。背中まである黒髪は濡れた様な艶を湛え、  
ぬめる様な白い肌は冥府の底で凍てついた氷を思わせる硬質な妖しさに光る。  
全てを見透かす様な鋭さと、あらゆる者を堕とす媚びという相反するものを備える、  
研ぎ澄ました様な黒瞳を、黒く長い睫毛が飾っている。  
長身な身体は細いくせに、黒いイブニングドレスの胸は大きく突き出している。  
ただそこにいるだけで、闇を孕む危険な妖艶さを身に纏っているかの様であった。  
「何者だ?」  
情けない事に、それ以上言葉が続かない。  
黒髪の美女はしなやかな身体を揺らし、何か企む様な笑みを浮かべて近付いてくる。  
その笑みがまた、コケティッシュな魅力があった。  
「フフ……」  
気が付けば女はすぐ眼前にいる。  
甘やかで、それでいて獣臭の様な生々しさを孕む女の体臭が、ひどく性欲を掻き乱す。  
女がイブニングドレスの肩紐を外す。  
完璧な肢体が現れた。  
張り詰めた乳房は巨乳のくせに垂れるという事がなく、  
その先端が、紅色の尖りを見せている。  
その腰は研ぎ上げた様なくびれを見せ、  
むちむちと脂の乗った太腿はいかにも柔らかそうだ。  
禁断の箇所は、綺麗に生え揃った陰毛で覆われているが、  
女はそこを自分の指で開く。  
そこから漂ってくる麻薬的な匂いに私は、やられた。  
勢いよく襲い掛かる私に女は余裕の笑みを返しながらも抵抗する事はなく、  
自ら足を開き私の手を乳房に秘所に導く。  
私は匂いの元を求める様に女のそこを舐めしゃぶると、  
自分でもいつ出していたのか分からない肉棒を、女のそこへ思い切り突っ込んでいた。  
 
恐ろしい勢いで腰が突き動く。  
その事実を認識してから、私は女の名器の快感を悟る。  
セックスの快感の順序がこんがらがるほどの、  
目も眩む様な快感の中で、しかし私は「これは違う」という  
奇妙な違和感を抱きながら、女の奥底へと思い切り精を放っていた。  
一度精を放つと、多少頭が冴えてくる。自分の状況が理解出来る様になる。  
ここは屋外だ。自分は屋外で若い女を組み伏せて、  
肉棒を性器に突き立て精を放っている。  
(若い女……?)  
頭の中の違和感が膨らむ。どう見ても相手は若い女だ。  
だが私はどうしても相手が若い女だと――  
「魔女か」  
私の口が自然とその言葉を紡ぎ出していた。  
だが女は微笑みながら頭を振って否定する。  
「私は魔族。あんな私達の真似をするだけの女達と一緒にしてはダメ」  
「魔族、だと……?」  
聞いた事はある。だが実物を見たのは初めてだ。  
何故ならばこの国は、この大陸は――  
「セレンディールの聖なる血統に守られている。  
 故に私達魔族は、この大陸では本来の力が発揮出来ない」  
女は起き上がり服を着ながら、声に出してもいない私の疑問に答える。  
それは私が、「言い伝え」として知っている事。  
まさか真実だとは思わなかった。  
もちろんこの女が魔族などではなく、  
発言の全てが嘘である可能性は否定出来ない。  
だが私は、女の言葉を疑う気など毛頭無かった。  
「セレンディールの聖なる血統は、今はアリシアに受け継がれている  
 アリシア王女が純潔である限り、  
 そしてアリシア王女の純潔が正当な婚姻によって貰われる限り、  
 私達魔族は、本来の力を発揮する事が出来ない」  
そこまで言うと女は立ち上がり、続ける。  
「純白の聖少女アリシア姫を、犯し尽して汚し尽して、堕とし尽してほしいの」  
 
「意味が、分からない……」  
他に言う事は、心の声はいくらでもあるはずだ。  
だが、実際にはそれだけの言葉しか言えない。  
「あら? 分からない筈はないわよ?  
 あなたはアリシア姫を犯す。私はそのサポートをする。それだけ」  
「何故、私なんだ?」  
「お姫様なんていうのは、庶民からすれば『お話の世界の存在』なのよ。  
 憧れはしても、手に入らないお姫様に本気で欲情したりはしない。  
 どれだけ美しくても、ね。  
 貴族達にとってはお姫様はお話の世界の住人なんかじゃない。  
 貴族達にとってお姫様は、現実世界の住人。  
 でも、貴族達はお姫様に本気で欲情したりはしない。  
 教養ある貴族は自分の分を弁える。  
 いかに貴族と言えど、いかに相手が現実世界の住人だとしても、  
 貴族にとってもアリシアは雲の上の存在。  
 雲の上の存在の、しかも16歳の女の子に欲情するには、  
 貴族達は理性と教養があり過ぎる。  
 それにアリシア姫自身、彼女をよく知れば知るほど、  
 劣情よりも憧憬を抱いてしまう、そんな娘だからね。  
だから貴族達は、聖王族としてのアリシア姫を崇め奉る。   
……あなただけなのよ。  
 アリシア姫を現実世界の住人と理解出来る立場にいながら、  
 アリシア姫に本気で欲情しているのは」  
「私は……アリシア姫に欲情など……」  
「していないと?  
 だったら答えなさいな。さっきの私とのセックス。  
 あなたは満足した?」  
私は答えられない。  
女の言う通り、私はこの絶世の美女とのセックスにすら、  
満足感がろくに得られない。  
だが、だからこそ女の言いたい事が読めるのだ。  
それを認めてしまえば、では私が満足出来るセックスの相手とは……  
「そう、この世に一人しかいない」  
私は何も答えていない。しかし女は、勝手に話を進める。  
私はそんな女に、まともに反論する事が出来なかった。  
 
「お前は、国を売れと私に言うのか?」  
自分はアリシア姫に本気で欲情している、姫以外とのセックスでは決して満足出来ない。  
その指摘に反論出来ない私は、話の矛先を変える。  
だが、私が言った言葉もかなり重要な内容であった。  
私にも下級とは言え貴族としての矜持がある。  
それは姫君を含む王族への畏敬を柱にしている。  
仮に私が姫君に欲情していたとして、  
だからと言って怪しげな魔族如きに易々と国が売れるはずが無い。  
「アリシア姫の純潔がそんなに大事なものだと、あなたは知ってた?  
 いいえ、昔話の一部としてではなく、事実として。  
 アリシア姫が魔族に犯されたら、大陸は魔族のものになるって知ってた?  
 だからこの国は本気でアリシア姫を守ってる。  
 これは、家督を継いだあなたのお兄さんも恐らくは知っている事実。  
 あなた、それを教えてもらってた?」  
「………………」  
「あなたはこの国にとってはその程度。  
 この国があなたに何をしてくれる?  
 あなたがこの国に何をしてやれる?  
 でも、私達なら、あなたの願いが叶えられる。  
 あなたなら私達の願いが叶えられる」  
「――――――」  
何かがおかしい。何がおかしいのかは分からないが、何もかもがおかしい。  
だが、もうどうでも良かった。  
少なくともこの女についていきさえすれば、  
大陸中から一身に信仰を集める純白の聖少女を、  
一瞬だけでも自分だけのものに出来る事さえ確かならば、  
他の事などもう、私にはどうでも良かった――  
 
「それで、どうするんだ?」  
地面にへたり込んだ私が女を見上げつつ言葉を吐き出すと、  
女は満足そうな笑みを浮かべながら私を見下ろす。  
「明日の夜、私があなたをアリシア姫の寝室に送り込むわ」  
「明日の夜?」  
「そう。アリシア姫の寝室は神聖な結界が張られた一種の『神殿』  
 仮に結界が突破出来たとしても、私達は中に居続ける事は出来ない。  
 でも、結界の突破自体は可能。  
 そのために必要な月と星の並びが、明日整う」  
アリシアが汚れてくれれば、こんなまだるこしい事をしなくても、  
魔族の力でどうとでも出来る様になるんだけどね、と女は付け加える。  
「寝室に送り込んだらすぐさま結界の外に結界を張る。  
 これであなたが寝室の中で何をしても、お姫様は助けを求める事は出来ない。  
 あなたは後の事は気にせず、思うさま凌辱していい。  
 ただし一つだけ、アリシアは確実にイカせなさい」  
私は耳を疑った。無力な姫君の純潔を奪うだけならば、私の腕力でも可能だろう。  
だが、純白の聖少女を絶頂に導くとなると――  
「大丈夫よ。あなたは私とのセックスで、私の秘術がその身に刻み込まれている。  
もちろん、慌てちゃダメよ? 向こうはオナニーさえ知らない純白の聖少女。  
砂糖菓子の様に繊細なお姫様だから、乱暴に扱っちゃダメ。丁寧に、丁寧に――  
 イカせてやるの」  
 
魔女との邂逅から、一日が過ぎた。  
私は、敬虔な信徒ではない。  
だからこれから大陸を災禍に巻き込む前に、自分から命を絶つ事も出来た。  
だが、私にはそれが出来なかった。  
否、その選択肢がある事を知っていながら、  
その選択肢に手を伸ばそうとすらしなかった。  
教会に近付く事を恐れて外出を控え、  
家の中で一人、胸の昂りを抑えていた。  
ああ、私には分かっている。  
私の中には何の迷いも、呵責すらない。  
約束の時間の訪れを、今か今かと待ち侘びている。  
口のひり付きと喉の渇きに何度も水を飲み、  
緊張に尿意を覚えて小用を足す。  
そんな事を意味も無く繰り返しているうちに、  
呆気無く、約束の時間がやってきた。  
 
入浴を済ませて髭を整え、女の来訪を静かに待っていた。  
すると、私の部屋の扉がいきなりノックされる。  
何者かが家に入った気配など全く無かったが、私は驚く事も無く扉を開ける。  
そこにいたのは果たして昨日の女であった。  
昨日と同じ美しさ、昨日と同じ匂い。  
だが、私は性欲が掻き乱される事は無かった。  
「待たせたわね。それじゃあ行きましょうか」  
女が微笑んで言う。この女が来なければ、昨日の邂逅は夢で済ませられただろう。  
だが私は、そんな事は全く望んでいなかった。  
むしろ昨日の邂逅が夢である事を、  
汚れ無き姫君を思うさま凌辱する未来が、  
この大陸を災禍に巻き込む未来が夢で終わる事を、私は恐れてさえいた。  
「なかなかいい部屋じゃない?」  
部屋に入りぐるりと見回す女。その傍らにはいつの間にか、  
姿見が音も無く立っていた。  
 
「鏡……?」  
「そう、鏡。これを使って、あなたに結界を突破してもらうわ」  
言って女は姿身を撫でる。私は何となくその鏡に触れようとする。  
「ああ、触らないで。鏡の位置も方向も、星の位置に対応させているから」  
私は手を引っ込める。無造作に置いた様に見えて、きちんと位置決めをしていたらしい。  
女は口の中で小さく何かを唱える。  
すると、鏡の向こう側の世界に変化が訪れる。  
薄暗く、いかにもむさ苦しい部屋の姿が消え、  
豪奢ではないが上品な寝室が現れる。  
天蓋付きのベッドが見えるが、このベッドにも余計な装飾は見当たらない。  
だがよくよく眼を凝らせば、職人の腕の良さを思わせる彫り物が、  
柱に天蓋に、さりげなく彫り込まれているのが分かる。  
私の心臓が早鐘を打つ。この部屋が、あの――  
女は鏡面を右手で触れる。鏡面が波打ち、女の手は飲み込まれる。  
女はすぐに手を引いた。私は息を飲んだ。女の右手は真っ赤に焼け爛れていた。  
「ご覧の通り。結界の突破は出来ても、この向こう側にいる事は出来ないわ」  
説明している間にも、爛れた女の右手は、元の艶を取り戻していく。  
「私は大丈夫なのか? 魔族の力が宿っているのではなかったのか?」  
「ご心配なく。あなたに刻み込んだのは私の魔力自体ではなく、  
 私の魔力をあなた達の魔術に『翻訳』したもの。  
 人間が焼かれないのと同様に、あなたに刻み込んだ魔術は焼かれない」  
魔術の仕組みに疎い私には理解し難かったが、  
私の頭の中は、自分が焼かれる懸念よりも、  
あそこへ行きたいという意志の方で占められていた。  
「これを持っていきなさい」  
女が私に、手鏡を押し付ける。  
「今はまだ、アリシアはあの寝室にはいない。あなたは寝室に入ったら、隠れなさい。  
 アリシアが寝室に入ったら、私は結界を張る。  
 でも結界を張ったら、こちらからは合図さえ送れない。  
 だからこの鏡も結界の穴として使う。  
 この鏡がこちらの部屋を写さない単なる鏡になったら、  
 結界を張り終えた合図だと思いなさい」  
 
ふと頭の中に疑問が浮かぶが、どうでもいい疑問なので  
私は敢えて聞かないでおいた。  
「そう。この術を使って殺し屋や猛獣を送り込めば、アリシア姫は殺せる」  
だが女は、こんなどうでもいい疑問にも答えてくれる。  
「でもそれだけじゃダメ。セレンディールの血統を汚さないとダメなの。  
 魔術的な話なんだけど、分かるかしら?」  
「アリシア姫を堕とせばいい。それだけ分かれば充分だろう?」  
「フフ、言うじゃない。  
 それじゃあ、行ってらっしゃい。  
 アリシア姫は肉体的には普通の女の子。  
 使える聖魔術も、人を傷付ける類のものは無い。  
 一方あなたは、私の魔力を刻まれて多少は肉体的にも強化されている。  
 お姫様がどんな抵抗をしても、あなたにはどうという事は無いはず。  
 だから――やりすぎて殺しちゃダメよ?」  
女の微笑みを背に受けて、私は鏡の門を潜り抜けた。  
 
「………………」  
呆気無く、私は鏡を潜り抜ける。  
(これが、姫君の寝室……)  
そんな事は無いのかも知れないが、どこか、甘い様な匂いがする様に感じる。  
私は、本棚の陰に姿を隠す。  
程なくして、寝室の扉の方から人の気配が近付いてきた。  
扉が開く音が聞こえる。  
「お休みなさいませ、姫様」  
「おやすみなさい」  
私の心臓が早鐘を打つ。  
いる。ここからすぐ側に、セレンディール聖王国の聖なる姫君がいる。  
扉が優しく閉ざされる音がする、  
と同時に、私の部屋を映していた手鏡が、私の顔を写し出す。  
私は、本棚の陰から立ち上がった。  
 
「え……?」  
自分の寝室に男がいきなり現れた事に、  
アリシア姫は驚愕の表情を浮かべる。  
そんなアリシア姫に、私は一歩一歩、歩みを進める。  
(美しい――)  
私の頭の中から、それ以外の言葉が消える。  
と同時に、私の頭のどこかの部分がそれを否定する。  
今まで、こんなに間近で見た事は無かったが、  
プラチナの輝きとハニーの柔らかさを併せ持つ極上の絹糸の様な金髪は、  
この距離で見てなお一本一本に至るまで神々が丹念に櫛を入れたとしか思えない。  
処女雪の白さと儚さの内に、思春期の生命感が眩しいぐらいに輝く柔肌。  
幼さを残しながらも気品高く整った面差しからは、清純な可憐さが薫っている。  
宝石の高貴さと青空の柔らかさを持つ碧眼は、  
知性と優しさを湛えながらも汚れた所が全く無い。  
ただそこにいるだけで、ほの白く輝いてる様だ。  
――美しいという言葉で済ませるには、愛らし過ぎる。  
小柄で華奢、劣情を催す者とていない可憐な肢体でありながら、  
白いプリンセスドレスを押し上げる胸の膨らみが、ドキッとさせる。  
「あなたは、ルッコラ男爵の弟君ですか?」  
アリシア姫が私の顔を知ってくれていた事に、驚きを覚える。  
アリシア姫が私の顔を見た事など、貴族の係累として並んだ顔を、  
二、三度遠目に見た事があったかどうかぐらいだろう。  
これが、アリシア姫をよく知る者ほど憧憬を覚えると言われた所以か。  
その程度の私をきちんと憶えてくれていた事に、  
私は感動を覚え――同時にそんな姫君が犯せる事に歓喜した。  
私はアリシア姫の質問に答えず、手を伸ばせば触れられる距離にまで近付いた。  
ふ、と柔らかな匂いが私の鼻をくすぐる。  
甘やかさの中に乳臭さを多分に残す、バニラにも似た芳香。  
それは劣情を催すというよりは、どこか心を癒す匂いだった。  
だがそれが、禁断とも言うべき、16歳の聖なる姫君の体臭だと思うと、  
私の頭の中で溶岩の様に性欲が煮えくり返るのである。  
 
「ルッコラ男爵の弟君が、こんな時間にどうして私の寝室にいらっしゃるのですか?  
 いいえ――  
 どうやって私の寝室にお入りになったのですか?」  
アリシアの表情に、不審なものが宿る。  
当然だ。この状況は誰が見ても不審過ぎる。  
だが、アリシア姫は続けた。  
「弟君様。この部屋は、普通の手段では入れない筈。  
 まさかとは思いますが、危険な方と関わったのではありませんか?」  
驚いた。この期に及んでアリシア姫は、私の心配をしてくれていた。  
愚かな姫と嘲るべきか、優しい姫と感じ入るべきか。  
だが、せっかくの姫君の心配にもかかわらず私は、  
苺を思わせる姫君の吐息の匂いを楽しんでいた。  
「私は、『弟君』などという名ではない」  
私はそれだけを言うと、  
問答無用で姫君のプリンセスドレスの胸元を右手で掴み、引き裂いた。  
「きゃあああああああ!!!」  
アリシアの可憐な唇から絶叫が迸る。  
決して巨乳ではないが、可憐な容姿からは意外なほど豊かな胸が若々しい弾力に弾む。  
ふ、ドレスに閉じ込められていた姫君の体温と体臭が、私の鼻をくすぐる。  
姫君の乳房はまだまだ乳臭さが勝った匂いがした。  
弾かれた様にアリシア姫は交差させた両手で胸を庇う。  
可憐な姫君が、手の平から乳肉をはみ出させながら  
先端だけでも死守しようとする様は、いじらしくも愛らしい姿だったが、  
私はそのか細い両手首を左手だけで掴み切ると、姫の頭上へと追いやった。  
恐怖と羞恥に震える可憐な乳房が眼前に現れる。  
雪白の膨らみは取り立てて豊かという程ではないが、  
上向きに形良く整っているため、  
小柄で華奢な体格と可憐な容姿からすれば意外なほど膨らんで見える。  
その頂の、薄桃色をした小粒な乳首は消え入りそうに儚げで、  
それでいて目が離せない程の可憐さがあった。  
(オッパイ! あの、アリシア姫の、オッパイ!)  
私はバカになった様に興奮する。  
アリシアの胸元に光る十字架が、  
処女の恐怖と羞恥を代弁するかの様に揺れていた。  
 
「……!」  
両手を取られたまま恐怖と羞恥に揺れていたアリシアの瞳に、突如強い輝きが蘇った。  
その唇から、千の鈴を鳴らした様な神々しい旋律が迸り、寝室に輝きが満たされる。  
魔を焼き払う神聖魔術、だが、人である私には――無力だった。  
神聖なる輝きを意に介さず、私はアリシア姫の華奢な身体を壁に押し付ける。  
「ああ、そんな……」  
絶望の呟きを洩らすアリシアの唇を奪う。  
「!?」  
驚愕に揺れる少女の身体を押さえ付け、顔を押し込む様にして柔らかい唇を貪る。  
(ああっ……何だこの唇は!?)  
吸いつくと溶けていきそうな程柔らかい癖に、  
思い切り溶かしてやろうとするとぷりぷりした弾力が押し返してくる。  
(こんな、こんな唇は初めてだ!)  
私の右手は夢中になってアリシア姫の聖なる乳房を揉みしだく。  
アリシア姫が痛そうに身体を震わせたが、気にも止めない。  
姫君の乳房は16歳の吸い付く様な柔肌がしっとりと男の手に追随し、  
それでいて跳ねる様な弾力の手応えが手の平に返ってくる。  
私の思い通りに形を変えている可憐な乳房が、手を離すと  
まるで女を主張する様にぷるんぷるんと可愛く揺れる。  
処女雪を踏み荒らすのにも似た快感。  
怖気に震えるアリシア姫の唇を割り開き、舌を潜り込ませる。  
姫君の清潔な口内のしっとりと温かいほの甘さを味わい、  
綺麗に整った歯列を舌でなぞり、  
口の奥の方で縮こまっていた舌に自分の舌を絡ませる。  
苦しげに呻きながら、アリシア姫の身体が崩れ落ちていった。  
 

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