姉というものを持つ世の中の弟、妹の諸君には分かっていただけると思うが、
姉がウザい理由の一つに、こちらの覚えていない思い出話を――それもあまり
知りたくない思い出話を嬉々として話し出す、ということがある。
姉のいない人間は数年ぶりに近所のおばちゃんや親戚のおばさんに会ったところを
想像して欲しい。
まあ、たかちゃん、大きくなって。この間までオムツをしていたのにねえ。
お定まりのあの会話。
そう、姉の思い出話というのはおばちゃんのあのうざさと同じくらいにウザいものだ。
しかもおばちゃんたちと違って一年中一緒にいる姉は、気の向いたときに何度でも
その話を蒸し返すのだ。
たかちゃんはよく私の後を泣いてついて回ってきて小さい頃は本当にかわいかったわ。
たかちゃんはよくおもらしをして、私が隠してあげたのよ。
今日も姉さんはその話を始めだした。ああ、本当にウザいことこの上ない。
特に姉さんはよく僕がお漏らしをしたという話がお気に入りらしく、僕が何度怒って
見せても笑うだけで一向に話をやめようとしない。
姉さんは親愛の情のつもりなのだろうが、そんな大昔の話をされて面白いわけがない。
同じように何か思い出話を持ち出して反撃したくても、2歳という年齢の差は結構大きくて、
僕のほうはほとんど何も覚えていないのだ。思い出を大切にする、というより過去に
こだわる姉さんとこだわらない自分の性格の違いかもしれないけれども。
僕はキスをするふりをして姉さんの話をやめさせながら、僕は何とか姉さんをやり込める方法
はないだろうか、と思いをめぐらせていた。
朝の光に僕は目を覚ました。小さく伸びをしようとして、僕は肌に触れる暖かなものに気がつく。
僕の肌に重なる暖かなもの――これは姉さんの背中だ。
僕の腕の中に姉さんの体がすっぽりと入るようになったのはいつごろだっただろうか。
毛布からむき出しになった肩のラインはきれいだけど何故か痛々しく、僕はそっと毛布
をかけてやった。
起こさないように気を使ったつもりだったが、姉さんはどうやら目を覚ましたらしい。
「ん・・・・・・」
姉さんは小さな吐息をもらし、体を身じろぎさせた。
それでもまだ意識ははっきりとしないらしく、眠りに抗うように小さな息を吐きながら体を
縮こませたり伸びたりしている。その様子がかわいくて、僕は姉さんの乳房に手を回すと、
たふたふと軽くもみ始めた。
「やん・・・・・・」
姉さんの口から甘い喘ぎ声が漏れる。
乳首のくぼみを探し当てるように爪を立てて丹念につつき、またはいくら押してもすぐに
立ち上がってくるそれを指の腹でじっくりとこねくり回す。
姉さんの体はどこもお菓子のように甘い。
マシュマロのような胸に、その上にある飴玉みたいなつぼみ。そしてあえぎ声。
「あ・・・・・・ふぅ」
寝ぼけた姉さんは僕にされるがまま、時折熱い小さな吐息を漏らすだけだったけれど、
やがて姉さんは遠慮するように僕の手をゆっくりと動かし、起き上がった。
「起きるの?」
姉さんの肌の暖かさがまだ恋しく、僕は姉さんの細い腰をつかんで引き寄せる。姉さんが
愛撫――特に大好きな胸の愛撫の途中に抜け出すなんて、なぜだろう。
姉さんは恥ずかしがるようにちょっと間を置いて、小さく
「トイレ」
と言った。
「行くなよ」
「やだ・・・・・・本当にダメなの」
赤くなりながら姉さんは答える。本当に限界らしく、体がそわそわとしている。
その姿を見て、僕の脳裏にひらめくものがあった。
何年の悩まされてきた姉さんの思い出話。今が、反撃のチャンスかもしれない。
後先のことも考えず、僕は毛布から飛び出ると姉さんを後ろから羽交い絞めにした。そして足を後ろから絡ませて姉さんの足を開かせる。
「いや!何するの」
「ここでしちゃえよ」
僕は姉さんの耳にささやいた。
そして、片手で胸を押さえつけて、もう片方の手で膀胱のあたりを強く揉みしだく。
「あっ・・・・・・いやっ・・・・・・」
ぐっと体をこわばらせ腕を振り回して姉さんは必死に抵抗する。けれど、男の力に
かなうはずもない。姉さんが抵抗すればするほど、僕は姉さんを締め付ける手に力を
入れた。
「やっ・・・・・・だめぇ」
今にも泣きそうな姉さんの声。僕はもう一度姉さんの下腹をぎゅっと押さえつけた。
「あっ!」
姉さんの体がびくんと大きく震えた。が、持ちこたえたらしい。
「ふうっ・・・・・・」
体を震わせると姉さんは大きく息を吐いた。その声には既に涙の色がにじんでいる。
僕は作戦を変えた。
膀胱を押さえつけた手を離すと、今度は姉さんのあそこに指を伸ばす。
「やっ」
姉さんの体が引きつる。が、かまわず僕はそこの輪郭を人差し指でゆっくりとなぞり始めた。
「ダメ・・・・・・やめてぇ・・・・・」
姉さんの体から力が抜けていくのが分かる。その背中にキスをし、前かがみになる体を片手で引き戻しながらさらに胸をもみあげる。
「やめ・・・・・・」
姉さんの弱弱しい抗議の声。が、僕はかまわずに姉さんのあそこの探索を続けた。
まずは、肌と肉色の境のあたりを大きく一周。それからさらに溝へと指を忍ばせる。
「うう・・・・・・っ・・・・・・」
もはや姉さんは抵抗することをやめ、小刻みに震えながらじっとこらえている。
ここを刺激してやれば、もうすぐだ。
期待を込めながらくぼみになった場所を軽くまさぐると、生暖かな液体が指に絡みつく。
一瞬目的を達成したのかと思ったが、すぐに液体の正体に思い当たり、僕は指を放し
目で確認する。
無色に近いとろりとした液体。
こんな状況でも濡れるなんて、女性の体はやはり貪欲にできているらしい。
僕は姉さんの体を抱えなおし、僕は姉さんの目の前に愛液の絡まった指を示した。
「こんな状態でも、ちゃんと濡れるんだ?」
僕の言葉に、腕の中の姉さんの体がさらに熱くなる。
「あっちのほうは一生懸命我慢しているのに、こっちのほうは出るのをこらえられない
んだね」
僕はにちゃっと水音をさせて再び愛液を指で掬い取ると、それを擦り付けるように姉さん
の足の真ん中にあるつぼみを指で挟みこむ。
それからゆっくりと僕はそこをこねくり回した。
「いやぁ・・・・・もぉっ・・・・・・もおやめて・・・・・・」
悩ましげに大きく息を吐きながら姉さんは訴えた。
「どうして?欲しいんじゃないの」
クリトリスを責めながら、僕は残った指でクリトリスの下のくぼみをなぞる。
そして中への入り口を探し当てると、僕はそこに浅く中指を入れた。
「あんっ・・・・・・」
姉さんの体が僕の手の中でびくんと震える。
「ね?どうなの?」
言いながら指を抜き、そしてまた浅く差し込む。
「やぁ・・・・・・」
「ほら、もっとあげるよ」
僕は姉さんの耳元でささやくと、逃げないようにさらに力を入れて姉さんを押さえ込み、
小さくかき回しながら少しずつ指を進入させた。
尿意をこらえているせいなのか、そこはかなりのきつさだった。
もともと姉さんのはかなり狭いのだが、今はまるで処女のそれのようだ。
が、そのことがいっそう僕の中の嗜虐心をあおる。
姉さんの手が僕の腕に力なくすがりつくけれど、僕はお構いなしに入るところまで指を
進入させると内壁をこすりあげる。
「ひぁ・・・・・・!」
指を動かすたびにくちゅくちゅと水音がたち、そこはひくひくと生き物みたいに痙攣をする。
「うっ・・・・・・うー」
胸に当たる姉さんの背も手の中の乳房も汗でじっとりと濡れ、僕もまた熱に浮かされた
ように姉さんを刺激し続けた。
かき回し、中のひだの一つ一つをこすりあげ、肩を嘗め回し、胸をもみしだき、
その先にある突起をつまみ引っ張る。
見たい、見たい。姉さんがそうするところを。
姉さんの足が大きくがくがくと震える。そして僕の指の間をさらりとした液体が一筋流れた。
「もっ・・・・・・だめぇ・・・・・・・!」
姉さんの小さな叫び声とともに、僕は手を抜いた。
小さな水流の音、そして姉さんの泣き声に僕は目的を果たしたことを知った。
姉さんの体を離すと、僕は姉さんの股の下を覗き込んだ。
白いシーツに広がる染み。そして水にぬれてぬらぬらと光る陰部。
達成感と征服感とで僕はため息をついたが、姉さんは子供のように泣き出した。
「だから、だから言ったのに・・・・・・もう・・・・・・」
搾り出すように言うと、また嗚咽を繰り返す。もっと怒りの言葉を投げつけたいのだが
次から次へと出てくる涙のせいで言葉にならないらしい。
「もっ・・・・・もおっ・・・・・・だ、大っ嫌い・・・・・・・うー・・・・・・」
「ごめん」
さっきまでの嗜虐心は一転、肩を震わせて泣いている姉さんがかわいそうで
思わず僕は姉さんの肩を抱きしめようとしたが、姉さんは手を払いのけた。
「馬鹿・・・・・・!」
そう叫ぶと、姉さんは泣きじゃくりながら布団から立ち上がり、部屋を飛び出した。
激しく扉を閉める音を聴きながら、僕はすでに後悔を始めていた。
(あーあ、やってしまった・・・・・・)
いつかもこんな風景を見たような気がする。
そういえば姉さんを無理やり押し倒してしまったときも姉さんはこんな
風に泣いていたけ。そして僕はというと今と同じく布団の上でいったいどうやって仲直り
しようかと思案していた。
僕という人間はいつも目的を果たしてしまうととたんに弱気になってしまうのだ。
弟の性、なのだろう。
常に自分は弟の上にいるという思い上がりと、絶対に弟は自分に逆らわないと信じている
無邪気さをずたずたにしてやりたいと思う一方で、常に姉の庇護の下にありたいと思う。
・・・・・・結局は姉には逆らえないよう心に染みつけられているのだ。
(あの時と同じように平謝りするしかないか)
まあ、これでしばらくは不名誉な昔話を持ち出されることはないだろう。
ため息をつくと、僕は風呂場で一人泣いているだろう姉さんの体を洗うべく立ち上がった。