私は、今宵、犯される。犯される為に走るのだ。身代りの友を救う為に走るのだ。
触手どもの奸佞邪智を打ち破る為に走るのだ。走らなければならぬ。そうして、私は犯される。
若い時から名誉を守れ。さらば、ふるさと。心の中では威勢のいいことを叫んでみても、足は遅々として進まない。
若い少女の体は、悲鳴をあげていた。幾度か、立ちどまりそうになった。少女にはわかっている。
一度立ちどまってしまえば、私の手は気を失うまで延々と体を慰め続けるだろう。
胸をこね回し、乳首を摘みあげ、秘所を引っ掻き、クリトリスを捻り潰す……
そんな想像にすら少女の体は反応し、あそこは愛液を分泌する。
コスチュームの染みが大きくなり、吸収しきれない液体が、とろりと太ももを伝う。
えい、えいと大声挙げて自身を叱りながら足を引きずって歩いた。
学園を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣板に着いた頃には、雨も止み、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。
少女は額の汗をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫、もはや故郷への未練は無い。妹は、きっと佳い魔法少女になるだろう。
私には、いま、なんの気がかりも無い筈だ。まっすぐに触手どもの巣に行き着けば、それでよいのだ。
そんなに急ぐ必要も無い。ゆっくり歩こう、と持ちまえの呑気さを取り返し、体の疼きから少しでも気を紛らわせようと、
好きな小歌をいい声で歌い出した。
……と、気を緩めたのが命取りになった。突然、何かに足を取られ、無様に這い蹲った。土の味がする。
手から離れたロッドが、からからと音を立てて、視界から消える。一体何が……足に目をやると、触手が一本絡まっていた。
恐怖で身を硬くする少女。捕まった?だが、どことなく様子がおかしい。ばたばたと暴れまわるばかりで、襲ってくる気配がない。
よく見れば、切断面が見える。触手の一部分に過ぎないのだろう。しかし、本体が近くにいるわけでもない。
それに表面が粘液で覆われていない。なんだか苦しそうにのた打ち回っている。罠にしては妙だ―――
そこまで考えて、少女はあることに思い当たった。この辺りは、学院の触手処分場ではなかったか?
魔法少女たちが、怪物を倒した後、隠蔽工作等の事後処理は学院に廻される。情報操作や、関係省庁への連絡、そして屍骸の処理。
ここは、そのための施設である。触手の生命力は凄まじい。触手の種類にもよるが、本体が滅びても、優に数週間は生き続ける。
焼き払おうにも、表面の粘液が邪魔して、魔力を帯びた炎でもない限り傷をつけることは叶わない。もちろん、魔法を用いれば可能だが、
限りのある戦力をそんなことに使うのは無駄である。
そこで、如何にして低コストで触手を処理するか?という目的でもって、実験的に作られたのがこの施設である。
ここに集められた触手は、『触手溜り』と呼ばれるプールに集められ、結界を敷いた後、数週間放置される。
生命力を消費し、程よく干乾びた頃に、普通の炎で焼却処理されるというわけだ。
粘液は、触手の魔力によって精製されるので、水に濡れたからといって回復するわけではないが、
ここの所の大雨で、渇きに苦しむ触手たちが興奮状態に陥り、一部が結界を破った―――そんなところだろう。
そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降って湧いた災難、少女の思考は、はたと、とまった。ロッドは?ロッドはどこだ?
焦って周囲を見回すが、どこにもない。となれば考えられる可能性は一つ。あの忌々しい触手溜めの中だ。
あれは最後の希望なのだ。何があっても手放すわけにはいかない。それ以前に、今の少女は支えも無しには歩くことすら叶わないのだ。
少女は獣のように這って、触手溜りまで進む。尻を振って、はぁ、はぁ、と舌を突き出して喘ぐ様は、発情した牝犬そのものだった。
見よ、前方の触手の海を。きのうの豪雨で触手は氾濫し、濁流滔々と魔方陣に集り、猛勢一挙に結界を破壊し、
どうどうと響きをあげる激流が、木葉微塵に屋根を跳ね飛ばしていた。少女は茫然と、へたりこんだ。
あちこちと眺めまわし、また、声を限りに呼びたててみたが、監視施設は残らず触手の浪に浚われて影なく、施設管理者の姿も見えない。
流れはいよいよ、ふくれ上り、海のようになっている。少女は触手溜めの縁にうずくまり、半ば絶望しながらも覚悟を決めた。
自分が転んだ場所からの距離と方向を考慮に入れて、ロッドが落ちた場所の見当をつける。
このうねりの中だ。当然、流されているだろうが、何も考慮しないよりはましだ。
とにかく何でもいいから考えていないと、恐怖で心が挫けてしまう。触手の動きが鈍い場所を見つけた。
深呼吸して、気を落ち着かせる。縁に手をつき、触手溜めを余り見ないように、後ろ向きになって、触手の海に片足を浸けた。
ひんやりとした触手の感触が、エナメル質のニーソックス越しに伝わり、背筋がぞくっとする。
不快感を精神力で押さえつけ、足を伸ばす。幸い深さそれほどでもなく、足が底に着いた。
この程度の深さならば―――もう一方の足も入れる。案の定、ぎりぎり股間は浸からない。
一時は、触手の海で泳ぐことすら覚悟していたのだから、僥倖といえた。その時、
「はぁん!」
暴れた触手の一本が、豆の先端を掠めた。危険な愉悦に背筋が反る。腰が砕けそうになるのをすんでの所で耐えた。
皮肉にもぎっしり詰まった触手が、少女の両足をしっかりと固定し、
倒れこむのを防いでくれた。
陸上では、這うのがやっとだった少女も、これならなんとか動けそうだ。
しかし、気をつけなければ……歩を進める時には、触手に刺激を与えないようにゆっくり動かさなければならない。
少女は慎重に、足の感覚で辺りを探ってみる。だが、ブーツ越しにわかろう筈もない。
少女はしばし、逡巡した。やはり、手を使うしかないのか。気を抜けばいつの間にか半開きになってしまう口許を引き締め、決意した。
胸を触手に浸けないようにしなければ―――少女は片腕で胸をガードしながら、前屈の姿勢をとった。
自分のあそこが視界に入る。下の口は、極薄のコスチュームを通して、ひくひくと何か食べさせろと、訴えていた。
少女は自分の体の浅ましさに赤面する。思えば、三日前の触手と、帰り道の自慰以来、ずっとおあずけを食らっている。
少女は自分の体の限界が近いことを、改めて認識させられた。急がなければ。触手溜めの中に利き腕を突き入れた。
触手の感触が、グローブ越しにはっきりと伝わる。これならば……いける。少女は絶望的な捜索を再開した。
数十分後。涙を浮かべながらも、いまだ希望を失ってはいない少女が、そこに居た。
暑さで、意識が朦朧とする。時折、秘所を、尻を、触手になぞりあげる。
その度に、子宮がきゅんと締め付けられる感じがした。集中力を削られる。少女が気を失うのも時間の問題だった。
何度目だろう?こうして触手をかき回すのは。何のために私はこんなことをしているのか。
最早、少女は、ほとんど思考力を失いかけていた。その時―――指先に何か硬いものが触れた。
見つけた!少女は一瞬にして思考力を取り戻す。反射的にもう片方の手を伸ばしていた。
握った手には、しっかりとロッドの感触が有る。絶望の涙が、歓喜の涙へと変わる。
―――少女が異変に気づいたのは、数瞬後だった。
「あ……あぁ……いっひぃぃいい!だっだめ、だめぇぇええ!!」
見れば、腕を放した双房が完全に触手溜りに浸かっていた。激感が全身を駆け抜ける。
触手たちは、別に愛撫しているわけではない。渇きに喘いでのた打ち回っているだけ、単なる生理反応だ。
それでも、恥知らずな少女の胸は、触手の動き全てを性感に変換してしまう。次の瞬間、蛸型触手の吸盤が乳首を襲った。運悪く、少女の乳首はすっぽりと吸盤に覆われてしまう。
「んんん!!す、吸われ……っふぅぅうう……あっ……ふあぁ……」
ほとんどイキかけている体に、止めの一撃が加えられる。それでも、少女は耐えていた。薄い上に、少女の汗や、愛液でべちゃべちゃになったコスチュームは、胸全体を覆う無数の吸盤の感触を、そのまま伝えていた。
イってはだめだ。手を離してはだめだ。離したら終わりだ。これが最後のチャンスなのだ。
もしイってしまったら、ここから動けない。どこにも行けない。だから、イケない!
少女は、待ちわびた悦びに泣きに泣きながら神に哀願した。
「……んっくぅぅうう……ああ……し、鎮めたまえ……あひぃ……荒れ狂う流れを!ひゃぅ!
……とっ時は……時は刻々に過ぎて……イキ……い、行きますぅ。た、太陽も既に真昼時で……す。
だっだめぇ……服の中になんてぇ……あっあれが沈んで……沈んでしまわぬうちに……
ち、乳首吸うなぁぁああ……しょ、触手の巣にイキた……ちっ違!……行き着くことが出来なかったらぁぁああ……
くひぃ……あ、あの佳い友達が、わらひ……わっ私のために……ひぬ……死ぬのですぅ……
うぁぁああ……こんらろひんひゃうぅぅうう!!」
濁流は、少女の叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂う。浪は少女の胸を呑み、捲き、煽り立て、
そうして時は、刻一刻と消えて行く。
のた打ち荒れ狂う数万数億匹の触手を相手に、少女は淫靡な闘争を続けた。
満身の力をロッドを持たない腕にこめて、胸に押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻きわけ掻きわける。
その動きに刺激され、さらに触手が暴れまわる。胸をしごかれ、少女は耐え切れず、めくらめっぽう腕を振り回す。
逃れようのない悪循環に陥っていた。触手溜りから尻を高く突き出し、ぷるぷる震わせ、よだれを垂れ流す。
男を誘っているようにしか見えない、無様な少女の姿がそこにあった。
獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐愍を垂れてくれた。
無限の連鎖を断ち切ってくれたのだ―――考えられる最悪の形で。
暴れていた一本の触手が、突然あそこの布地を押し分け、中に飛び込んだのだ。
「っ!……っ!!」
あまりの衝撃に、少女は声にならない叫びを上げる。何が起こったのか、脳が認識するまで時間がかかった。
「あ……へぁ……あぁあああああ!!」
頭の中で火花が飛び、一瞬にして数度の絶頂を迎える。もう、立っていられない。
足が力を失い、首から上だけを残して、全身が触手の海に浸かる。
震え続ける尻も、コスチュームを押し上げ自己主張する豆も、脇も、臍も、全てが触手の生贄に捧げられた。
それでも、奇跡的に少女が意識を失わなかったのは、神の恩寵か、それとも淫乱な少女に下された罰か。
「こっこれ……こえらめぇ……は、早く……抜かない……と。」
残された理性を振り絞って、最善の行動を選択する―――その選択が、最悪の結果に繋がる事も知らずに。
手探りで、股間の触手を探り当て、強く握る。苦しむ触手が膣内で暴れた。絶頂すること三度。
それでも、持てる意識を動員し、触手を引っ張る。しかし……
「そ、そんなぁぁああ……抜け……抜けないなんて……ぇ。んあぁっ!」
ずっとおあずけを食らっていた下の口が、獲物を離そうとしない。逃すものかと、触手をぎゅっと締め付ける。
苦し紛れに触手が、がんがんと淫肉の壁を叩く。その度に意識が明滅した。少女には、もう何がなんだかわからない。
ただ、『抜く』という意思だけが残された。触手を手が引っ張る。エナメル質のグローブが、
少女の愛液でコーティングされた触手の表面を滑る。その隙に決して離すまいと、あそこが触手を咥え込み、締め付ける。
死に掛けの触手が、中を滅茶苦茶に掻き回す。触手を手が引っ張る。下の口が触手を締め付ける。触手が暴れる。
淫猥な綱引きは、擬似的なピストン運動を形成していた。もし、触手の海が透き通っていたならば、股間から男根を生やし、
一心不乱にしごきまくる―――快楽に溺れる一匹の牝豚の姿が見えたことだろう。
少女は、数え切れない程の絶頂を迎る。触手はついに力尽き、死ぬ。
興味を失った下の口は、締め付けるのを止め、すぽんと呆気なく触手が引き抜かれた。
「あぁ!んっひぃぃいい!!」
膣内の襞が根こそぎめくれ返る。これまでに無い強烈な衝撃。そして……
ぷっしゃぁああああああ
少女の膀胱が決壊した。潮と尿が同時に噴出する。彼女の体は、既に壊れ始めていた。
「ふあぁぁああ……あはっ?」
しばしの間、少女は法悦と放尿を愉しむ。少女は限界まで背を反らせ、見せ付けるかのように、はしたない股間を前に突き出す。
魂までも腐らせるような開放感に、少女は酔わされていた。全身が弛緩する。ロッドを握っていた手が、ついに開かれた。
「あっ!?ああああ!!……し、しまっ……」
我に返った時には、全てが手遅れだった。もうどこにもロッドの感触は無い。絶望に思考が黒く染まる。
間を置かず、少女の心に、追い討ちをかける出来事が起こる。大量の水分―――少女の尿と潮に辺りの触手が興奮し始めたのだ。
「あっあひぃ……な、何本もなんてぇ……お腹苦し……ひぃっ……そ、そこはぁ……」
水分を求めて、触手たちは少女のあそことアナルに殺到した。かろうじて触手の海から出ている口から、絶叫が発せられた。
その、涎をだらだら流す口を見逃す触手たちではなかった。
「んんん!!んむぅぅうう!んん……んぅ!!」
半開きになった口が標的となる。息が……できない。少女は力なく、ずぶずぶと沈んでいく。
最後まで、何かを掴むかのように水面から伸ばしていた手も、ついに見えなくなった。
水面下で待っていたのは、地獄だった。狂乱状態の触手たちは、少女の穴という穴を埋め尽くす。尻穴や、秘所には飽き足らず、口、
鼻の穴や耳の穴にいたるまで、陵辱されつくした。もちろん、触手たちに少女を辱めるという意思は無い。
単に居心地のよい場所を探しているだけだ。それは、愛撫などでは決してない。常人ならば、痛みで発狂することだろう。
だが、少女の壊れかけた体は、それらを快楽だと感じ、貪った。
狂う……
それは、窒息によってか、それとも快感によってか、少女の意識は消えようとしていた。
ブラックアウトの直前、指がロッドの石に触れる―――その途端、辺りを光が包み込んだ。触手が一匹残らず消滅する。
そこには、うつ伏せに倒れ、白目をむき、時折ぴくぴくと痙攣する少女だけが残された。
数分後、少女は覚醒する。自らの体の惨状を目にするや、すすり泣き始めた。これまでにも、何度か化け物に犯されることはあった。
それらは、少女を辱め、自らの欲望を満たすための行為だ。気が狂う直前まで責めたてられた事もある。だが、今回は違う。
あの触手たちは、犯す意思もなく、ただ生存本能に従っていただけだ。普段であれば、不快に思いこそすれ、感じたりなど絶対しない。
そんなものに、イキ狂わされた……少女は、悔しくて、情けなくて、しばらく泣き続けた。
ともあれ、快楽に押し流されつつも、見事、一筋の光に、すがりつく事が出来たのである。ありがたい。少女は気を取り直した。
少女は大きな深呼吸を一つして、すぐにロッドを探した。こんなことで、あれを使ったしまった。
もう、一滴の魔力といえども、むだには出来ない。陽は既に西に傾きかけている。
ぜいぜい荒い呼吸をしながら芋虫のように這って、ロッドに向かう。
「んっ……ふぅっ……あんっ……」
冷たいコンクリートに乳首とクリトリスが擦れて、声をあげてしまう。その度に彼女は軽くイった。
ようやくロッドを手にして、ほっとした時、突然、目の前に大きな影が落ちる。少女を見下ろす巨体がそこにあった。