少女は耳を疑った。  
「なっ!!なん……だ……と!?」  
妹は、満面の笑顔を浮かべ、血も凍る冷たい声を発する。  
「命乞いなさい……と言ったんです、姉さん。そうすれば、姉さんだけは助けてあげます。他の皆は、殺しますけど。」  
強烈な殺気で皮膚がぴりぴりする。間違いなく本気だろう。少女は問い返した。  
「わ、私に、自分の命か、皆の命を選べ……と?ふざけるな!」  
妹は、かぶりを振る。  
「いいえ、姉さんが命乞いしようが、しまいが、皆は殺します。あいつらは、許せない。  
だから、姉さんが意地を張ろうが同じことです。さあ、命乞いなさい。」  
許せない?どういうことだ。普通の触手は、人を意味無く殺したりなどしない。やはり、こいつはどこかおかしい。  
「おのれ、貴様……愚弄するか!私だけ、おめおめと生き残れるものか!」  
妹は瞬きすらせず、姉を真っ直ぐ見据える。  
「皆死ぬのだから、ここで意地を張っても、ただの犬死にです。私を殺すのでしょう?だったら命乞いなさい。」  
少女は力強く、かぶりを振った。  
「我が愛する妹を奪った怪物よ。」  
少女は眼に涙を浮べて言った。  
「私を殺せ。ちから一ぱいに、あの剣を振れ。私は、途中で一度、悪い夢を見た。貴様が若し私を殺してくれなかったら、  
私は妹とあの世で再会する資格さえ無いのだ。殺せ。」  
 妹は、すべてを察した様子で首肯き、辺り一ぱいに鳴り響くほど音高く少女の右頬を殴った。  
殴ってから優しく微笑み、  
「だ、大事なことなので、もう一度言います……ね?わ、私……は、他の誰でもありません。私は私です!!」  
表情の綻びは繕えても、内心の動揺は隠せない。声は怒りで震え、言葉を詰まらせる。最後の方は、ほとんど絶叫に近かった。  
 姉さんは私など見ていなかった。この身を震わせる、憎悪も殺気も、私の触手に向けられたものだったのだ。  
許せない!私を馬鹿にしている!姉さんは私を認めてくれない。いつも上から見下ろしているんだ!許せない。  
決して、楽に殺してなどやるものか。徹底的に痛めつけて、嬲って、壊して、声が嗄れるまで泣き叫ばせてやる!  
―――妹は徐に拳を作り、少女の無防備な腹にめり込ませた。  
「が……は……」  
打撃を覚悟する時間すらなかった。生身の柔らかい腹に、手首まで埋まる。衝撃を受け、少女の体が、くの字に曲がった。  
妹は無言のまま、姉をサンドバッグにする。  
「げほっ!がぁっ!あぎっ!も、もうやめ……ぐはっ!うげぇっ!ごほっ!ごほ、ごほっ……」  
胃液すら出なくなった少女は、黒い血を吐いた。内臓が完全に破壊されている。おそらく、持って数時間の命だろう。  
 飛びそうになる意識を驚異的な精神力で堪え、少女は妹の目を見る―――そこには、深い怒りと悲しみの色があった。  
少女は悟った。どこか、噛み合わない会話……疑問が氷解する。妹は……触手に憑かれてなどいなかったのだと。  
触手は感情を持たない、利己的な化け物だ。故に、全ての行動は快楽を優先させる。激情を発露させるなどありえないのだ。  
「そう……か……げほっ!これは……おま……えの……我が姉妹……の、意思……か……」  
 妹は、触手に乗っ取られてなどいなかった。妹に憑こうとした触手の計算に無かったもの、それは―――宿主の闇があまりに深かった事。  
触手が宿主の深淵を覗き込んだ時、深淵から見つめる者の存在があった。それに気付かず、触手は罠を張った。  
深淵にて穴を掘り、獲物を待ち構える蟻地獄は、自らの深淵を覗き込んだ蟻に喰われたのだった。  
 それは、姉である少女にとって、あまりに残酷な事実だった。それでは……私は……今まで何のために……  
少女の目から、一粒の大きな涙が、ぽろり、と零れる。  
 
「そうです……私……あの夜、わかったんです。ずっと、皆が私のこと、いじめるの、仕方ない事だって思ってました。  
姉さんはわかりますか?人殺しの妹だと罵られ、クラスメート全員の前でオナニーさせられる気持ちが?  
仲間を見捨てるような奴の妹に、背中は任せられないって言われて、置いて行かれる気持ちが?  
私、毎晩、あのクソババアに玩具にされてたんですよ?お前のことは、姉からよろしくと頼まれている……そう言って犯すんです。  
知ってました?あいつアナル狂いの変態なんです。私、調教されて、アナルでイク、変態さんになっちゃいました。あは♥」  
 妹は、陶然とした表情を浮かべる。  
「ア……アナルバイブを挿れたまま、授業を受けさせられたこともありました。座って我慢してるだけでやっとなのに、  
あ、あいつ……は、私を教壇に立たせて、問題を解かせるんです。教壇までの数歩が、どれだけ辛かったことか……  
リモコンを強弱させて、やっとチョークを持った私を嬲るんです。あいつは、ずっと嗤ってました。  
結局、文字なんか書けなくて……皆の方にお尻突き出して、イっちゃいました。あはっ♥」  
 妹の、自らを強く責め苛むかの様な、独白は続く。  
「あの後、大変だったなぁ……『私はアナル奴隷です』って宣言させられて、皆の前で何度もアナルオナニーさせられて。  
変態に罰を与えるとか何とか言われて、何度もアナルバイブ蹴られて……そんなひどい事されても、私、イっちゃいました。あはは♥  
姉さん。私、今じゃ、一日に何度もアナルで気をやらないと、狂っちゃう変態なんですよ?」  
 妹はいつの間にか、涙を流していた。  
「みんな姉さんが悪いんです!姉さんさえいなければ、私はあんな惨めな思いをせずに済んだんです!!」  
 妹は髪を持つ手に力を込め、俯く少女の顔を無理矢理上げさせた。妹は、姉の目を見て愕然とする。  
少女の目には、憐憫と慈愛があった―――その優しさが、反って妹の心を抉る。  
「わ……私を、そんな目で見ないで下さ……い。い……いや……み、見ない……で……」  
 逆上した妹は力任せに、少女の顔をコンクリートの壁に叩きつけた。  
「がっ!!」  
少女の体が痙攣する。我を失った妹は、何度も何度も姉を壁に叩きつけた。駄々っ子のごとき、妹の叫び声が木霊する。  
「見ないで!見ないで!見ないで!見ないでぇ!!」  
コンクリートが見る見るうちに、血で赤く染まっていく。少女の血の一滴が、妹の顔を、ぴちゃり、と濡らし、我に返った。  
動かなくなった、姉の体を恐る恐るこちらへ向ける。少女の整った顔右半分が、ぐずぐずの肉隗と化し、白い頬骨が露出する。  
右目が跡形も無く潰れていた。それでも―――虫の息の少女は、残った目で妹を見据えていた。  
それは、いつもの優しい姉の目だった。自分を見守り、慈しむ心が伝わってくる。  
「ひっ!」  
 妹は恐怖し、少女の髪を握っていた手を、開く。支えを失った少女は、力なく地に伏した。  
震える指先に絡みついた姉の髪の毛を、必死に払い落とす。妹は、自分の顔を両手で覆い、放心した。  
 そんな……私はこんなに強いのに。せっかく力を手に入れたのに。また、姉さんに負けてしまう!  
いやだ!いやだ!いやだ!いやだ!そんなのはいやだ!私は姉さんに勝つんだ。姉さんを屈服させるんだ。  
じゃないと、私はずっと惨めなままだ。姉さんに負けたままなんていやだ。絶対に許さない。  
―――妹は無意識のうちに、詠唱を開始していた。  
 薄れ行く意識の中で、少女の鼓膜は、はっきりと妹の声を捉えていた。  
こ……れは……この術は……やめろ……やめるんだ!ひゅう、ひゅう、と息が漏れるだけで、声にならない。  
妹の吐息が、おぞましき呪縛と化して、少女の体を包み込む。詠唱が完了する。妹によって紡がれた禁呪は、すぐに効果を表した。  
 
 血管が修復され、出血が止まる。皮膚の細胞が恐ろしい速度で増殖し、崩れた皮膚が、見る見る新しい組織に置き換わっていく。  
砕かれた骨や歯、関節が元通りになり、少女のほっそりとした足が姿を現す。眼球が再生され、少女の顔がバランスを取り戻す。  
内臓が生まれ変わり、血液が大量に生産され、ずたずたにされた神経が繋がる。少女の頬に、久方ぶりの暖かな血色がさした。  
―――神の御業とも言うべき奇跡の代償はあまりに大きい。  
 少女がようやく口を開く。そこから漏れ出たのは、感謝の言葉でも、怨嗟の唸りでもなく、淫らな喘ぎ声だった。  
「あ……あすいぃぃいい♥……からだ……あすいよぉ♥……」  
 本来、痛みと快感は紙一重の関係にある。人間の脳は、微弱な痛みを快楽と誤認し、脳内物質を分泌するのだ。  
禁呪は、その働きを増幅し、どんな痛みも快楽へと変換してしまう。外傷性ショック死を避ける為の機構が災いするのだ。  
さらに、微細な損傷、ちょっとした引っかき傷や、粘膜の爛れまで、過剰に反応し、大量の抗体を生成し、  
自身の体を傷つけてしまうので、異常性感が収まることは無い。結果、禁呪の対象者は、全身性感帯のまま生き地獄を味わうことになる。  
 少女は、自分の体に何が起こったか理解していた。だが、どうにもならない。衣擦れはもちろん、快楽を押さえ込もうと、  
血が滲むほど握り締めた指、きゅっと結ばれた唇、口内で荒れ狂う舌、嚥下する唾の感触、ぎゅっと丸く窄められた足の指、  
きつく閉じられた瞼にいたるまで、全てがクリトリス並みの快楽信号を伝えてくる。動いてはならない、力を篭めてはならない。  
わかっている。しかし、このような狂った感覚に耐えられる人間など存在しない。  
まるで、皮膚の裏で、小さな蟲が這い回る感触―――少女は、強力な電流を浴びたように、びくびく、と跳ねまくった。  
「ひぁっ!あひん!くひぃ!ふあぁ♥……く、くるっひゃうぅぅうう!!」  
 壊れた人形のように、踊り狂う少女と対称的に、妹は冷静さを取り戻しつつあった。  
なんだ……淫売のくせに……  
自分に術を使ったとき、確かに体は疼いた。しかし、ここまで恥知らずな反応を示すほどの副作用ではなかった。  
これでは、犯すことしか頭に無い、サイクロプスと同じではないか。やはり、姉さんは救いがたい淫乱なんだ。  
 妹はヒールで少女の胸を踏み潰す。少女の形の良い胸が、ぐにゃり、と潰れた。  
「はっひぃぃいい!!むね……むねぇ♥こわれひゃぅう〜♥むね、しゅごいのぉぉおお♥」  
足を除けると、今度は両手で制服の上から、むんずと胸を鷲掴みにし、そのまま持ち上げる。  
「そんなに、胸がいいんですか?姉さん?」  
元々、性感帯である胸を締め付けられ、危険な量の脳内麻薬が分泌される。一瞬にして両方の胸で、絶頂を迎えた。  
「ひゃうぅぅうう!!む、むねは、きもひ、よしゅぎりゅの♥……むね、いじめないれぇ♥」  
妹の口許から笑みが零れる。  
「そうですか、胸は嫌なんですか?随分と、嬉しそうなのに?ふふふ、我が侭な姉さん♪じゃあ、こんなのはいかがですか?」  
妹は、片方の手を離し、少女の細長い首へと伸ばす。そのまま、強く締め上げた。  
「あ……ぎ……」  
 少女の脳が酸素を求める。少女の手は、妹の腕を掴むが、魔力で強化された力に敵うはずも無い。  
少女の顔が、次第に鬱血していく。死に際して分泌される脳内麻薬エンドルフィンの効果は、通常の麻薬の比ではない。  
しかも、禁呪によって量が数倍されている。付け加えて、女性の脳は、オルガムス直後、極端な酸素不足の状態に陥ると言われる。  
頚動脈の圧迫による脳の血量不足は、オルガムス直後の酩酊に似た状態を作り出した。  
少女の脳が快楽の奔流に飲み込まれる。ぶっしゃぁぁああ!  
これまでで、最大の潮吹き。たった一回にもかかわらず、少女の足元には大きな水溜りができる。  
少女の足が、びくん、と跳ねて心臓が止まった。  
 妹は、首を絞める指を緩める。すると、禁呪は再び少女の心臓を動かし、脳に酸素を送り始める。  
「あ……う……あ……がっ!!」  
少女が覚醒するのを見て取るや、間髪いれず指に力を篭める。繰り返すこと数十回。  
 
「ふぁぁああ……も、もうやめ……ぎっ!く、くびぃ♥……くびひめうの……きもちよしゅぎうの♥ごっ!  
イきながりゃ逝くの……しゅごしゅぎへ♥あぎっ!わらひ……お、おかひくなっひゃうの♥ぐっ!らめらめらめぇ……  
くしぇに、なっひゃうぅぅうう!ぎぁっ!く、くび‥…ひめらりぇながりゃ……イ゛グの、くしぇになっひゃうよぉ♥」  
 ようやく手を離した時、辺りは少女の発する濃厚な牝の匂いで包まれ、実の姉妹でさえ噎せ返りそうになった。  
少女は、自分の潮でできた池に顔を半分埋めて、陶然とした幸福な表情を浮かべている。  
「あへ♥あぁ……ふへぇ♥がっ!!」  
妹は、そんな少女の横顔を、ヒールで容赦なく踏みつけた。  
「ずいぶん、派手に汚したもんですね、姉さん。ほら、舐めなさい。一滴残らず舐めて綺麗になさい、姉さん!」  
屈辱的な姿勢を強いられたにもかかわらず、少女は、なんの躊躇も無く、舌で自分の白濁した液体を舐め取る。  
ざらざらしたコンクリートの感触が、性感帯と化した舌に伝わって来る。  
「あは♥じゅる……し、したぁ……きもひいいのぉっ!じぶんにょ、あい……えひ、なめうの……ずずっ……  
おかひぃにょに……くじゅ……こんにゃ……へんひゃい……みひゃいにゃ……じゅる……ことひへ……イっひゃうよぅ♥」  
 うつ伏せの状態のまま、少女は幾度も絶頂する。その度に、コンクリートの染みは、拡大した。  
「あらあら♪姉さん、綺麗にしてるんだか、汚してるんだか。これじゃあ、いつまで経っても終わりませんよ?」  
 足を退けても、一心不乱に床を舐め続ける少女に、妹は諭すように語りかける。その言葉は、少女の耳に届いているのだろうか。  
「まあ!姉さん、お洋服もこんなに汚しちゃって!ふふ♪そうだ!姉さん、お着替えしましょうね♪」  
 妹は、少女を優しく抱きかかえる。少女は舌を突き出し、名残惜しそうに愛液の広がる床を眺めていた。  
そのまま、姉妹は口付けし、妹は魔力を姉に注ぎ込んだ。思わぬ、キスのご褒美に、少女の目が歓喜で輝く。  
「んぁ……くちゅ……んむ……くちゃ……いいのぉ♥……くちゅ……きしゅ、らけれ……イっちゃうのぉ……」  
 少女の体が光で包まれる。気がつけば、少女は再び魔法少女のコスチュームを身に纏っていた。  
しかし、不自然な魔力の行使は、不完全な結果を招く。少女の衣装に魔力は通わず、どことなく形も変わっていた。  
グローブや、ブーツ、ニーソックス、大きなリボンはそのままだったが、元々短かったスカートの丈が半分になっている。  
最も大きな変化を示していたのは、一回り小さくなったレオタードだ。  
 極薄だった生地は、さらに薄くなり、強い光を当てれば、透けてしまいそうだ。  
胸は窮屈そうに押しつぶされ、乳首の細かな形状すら読み取れる。ぴったり張り付いた生地越しに、臍の形まで浮き出ていた。  
後ろは完全なTバックで、白いお尻が丸見えだ。前の方も、きつく筋に食い込み、わずかなふくらみの細部にいたるまで生地に映し出す。  
クリトリスも勃起し、自己主張を忘れない。皮が剥けているのが分かる程だ。少女は、全裸よりいやらしい姿を晒していた。  
 妹が、唇を離す。涎が、二人の唇の間で淫蕩なアーチを作った。  
「んはぁぁああ!!か、からだ……びんかんになっひゃうにょ……あしょこ、しめつけられりゅの……きもひいいのぉ……あははっ♥」  
 加えて、筋力こそ非力な少女のままだったが、感覚器官は普段の変身同様、常人の数倍鋭敏になっていた。  
本来、身を守るコスチュームが、何物にも劣らない責め具として、少女を苛む。  
少女は立った姿勢のまま、コスチュームに何度も極めさせられた。妹は姉の目を覗き込む。もはや、何も映してはいない。  
「姉さん……辛いですか?苦しいですか?さあ、祈りなさい。懇願なさい。私が姉さんを楽にして差し上げますから。」  
突如、少女の目に光が宿る。呂律の回らない舌を鞭打ち、少女は凛々しく宣言した。  
「わ、わらひは……せいぎの……まほうしょうりょ……なんら……お、おまえも……みんにゃも……たすけ……るんら……」  
 妹は、はぁ〜、と大げさに溜め息を吐いて見せた。我が姉ながら、強情にも程がある―――  
「まあ……そうくるだろうと、思ってましたけど……ねっ!」  
姉の淫核をコスチュームの上から、力の限り捻り潰した。姉の体を支える手を離し、全体重がクリトリスに掛かる。  
 
「んっひゃぁぁああ!!」  
 重力によって、クリトリスは破断強度ぎりぎりまで、引き伸ばされる。  
少女の背が弓なりに反り、更なる負荷がクリトリスに掛かった。充血した粘膜に亀裂が生じる。  
「みぎゃぁぁああ!!お、おまめ……ちぎれひゃうぅぅうう……」  
だが、今の彼女の体は、痛みを快楽と感じるように調整されてしまっている。  
常人であれば、発狂してもおかしくない激痛も、少女にとっては、天にも昇る快感だ。  
クリトリスに走る本来の快感すら消し飛ばされた。  
「にゃぁぁああ!!ちぎれてりゅうぅ……お、おまめちぎれてりゅのっ!!ちぎれりゅの、とまらにゃいのぉ……」  
禁呪が、亀裂の入った粘膜を、片っ端から修復する。少女は激感に耐えられず、仰け反る。そうすると、クリトリスが裂ける。  
さらに、禁呪が再生する―――淫らな永久機関が稼動を始めた。少女に、止める術は無い。  
「ひぎゃっ!!ら、らめっ!みぎぃっ!!た、たしゅけ……あぎゃっ!!くるっひゃうぅぅ……」  
 しばらくの間、少女に猫のような嬌声を上げさせてから、妹は潰れた豆を解放した。重力が少女の体を横たえる。  
少女は白目を剥き、泡を吹くが、意識を失うことは許されない。禁呪がそれを許可しない。  
意識を失えば、体温が低下し、新陳代謝が抑制されてしまう。体の回復を最優先させる禁呪は、無理矢理、少女の意識を保つのだった。  
 妹は、マイクロミニのスカートの下で、何やらごそごそやると、一匹の触手を取り出した。  
「はぁ♥……んぅ♥……」  
ぴちぴちと跳ねるそれを、少女の目前に差し出す。ひっ、と小さな呻きを漏らし、少女の目が恐怖に見開かれる。  
「い、いやら……いやらぁ……」  
幼児のような仕草で首を振る姉に、妹が諭すように語りかける。  
「助けてくれるのは嬉しいんですけれど、腰が抜けてちゃ、どうしようもありませんよね?姉さん、私が手助けしてあげましょう♪」  
妹が、株を解き放つ。それは、一目散に少女の秘所へと向かった―――そして、一番の弱点に牙を剥く。  
「あっぎゃぁぁああ!!ひぎぃぃいい!!」  
 触手がクリトリスとの融合を開始する。神経を接続する痛みは、男性なら即座に狂死する程、強烈なものだ。  
それを、禁呪は全て快楽信号へと変換する。一瞬にして数百回もの絶頂を迎え、ショックで心臓が停止した。  
だが、即座に蘇生させられ、再び、これでもかと絶頂を味わう。淫靡で、地獄じみた輪廻転生を数分の内に幾度も繰り返す。  
 壊れたように跳ねる姉を横目で見て、妹は思索する。さて……どうしたものか。姉さんの心を壊すには、どんな方法が有効だろう?  
まあ、これで体が先に壊れる心配はなくなったのだ。じっくり料理すればよい。姉さんは私の玩具なのだから。  
そういえば、触手の巣に姉さんの使い魔が囚われているのだったな。面白い、もしかしたら、触手たちを利用できるかもしれない。  
彼らは、私のことを仲間だと勘違いしているだろうから。まだ、陽は沈んでいない。時間はたっぷりある。  
 妹は独り、ほくそ笑んだ。  
 
 
『次回タイトル』  
 
・宴  
 

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