「漂流女子高」〜幼い兄妹〜
少年はローソクの火を見詰め考え込んでいる、その隣には泣きつかれた妹が猫のように体を丸めて眠っていた。
今日は秘密基地に集まってから森の奥まで友達と探検に行って楽しく過すはずだったのに
(どうしてこんな事に…こんな所に…どうやって、来てしまったのだろう………)
少年は今日一日を振り返る
急いで学校から帰った僕達はカンタンに荷物をまとめて自転車で飛び出した
後ろの方でお母さんの「勇介、美咲、夕飯までには帰って来なさいよ」との声に
「わかってる」「いってきま〜す」といつもの様に返事をして出掛けたんだ
そう、いつもの様に……
秘密基地、到着 消滅 数分前
子供達の秘密基地は森の中腹辺りにあり、粗大ゴミに捨ててあったボロいテントを使った物で、下に木の板や石をひいて安定させて、屋根の部分は太い木の枝で吊り上げて、雨風を凌げる様にしてある物だった。
勇「まだ誰も来てないみたいだな」
咲「私達がいちば〜ん」
辺りを見まわしても人の気配は無かったから皆が来るのを待つ事にしたんだ
すぐに来るもんだと思ってたのに……
消滅 数秒前
女の子「ごめ〜ん、待った」
男の子、兄「少しな、それじゃ急ごうぜ、約束の時間より遅れてるからユウの奴、怒ってるぜ」
男の子、弟「大変だ、急がなきゃ」
子供達が行こうとしたその時、目も開けられない程の凄まじい風が急に吹たと思ったら、すぐに止んだ
男の子、兄「なんだ、今の突風は?」
女の子「凄かったね、飛ばされるかと思ったわ」
男の子、弟「あっ、兄ちゃん 山が…」
男の子、兄「どうした? ぁ、山が…森が…無い」
見ると、ついさっきまであった山や森がスッポリと無くなっていたのだった
その山は秘密基地の在る山で、おそらく二人の兄妹が先に待っている筈の場所であった。
消滅 数分後
子供達は急いで自転車を走らせた
山の在った場所は酷い状態で木々は凄まじい力に引き寄せられるように、折れたり、根っ子事引き抜かれたりしていた。
男、兄「なんだよ、これ…ユウ〜、サキ〜、どこだー」
女の子「勇介く〜ん、美咲ちゃ〜ん、返事して〜」
男、弟「兄ちゃん、あれ 二人の自転車だよ」
近づいて見てみると、そこにはフレームやタイヤはグニャリと歪にまがり
土とかで汚れているが、確かに二人の自転車で兄妹がここに来ていた事が確実になった。
女の子「そんな…勇介君…美咲ちゃん…」
男、兄「マジかよ、ユウゥ〜、サキィ〜、無事なら返事しろ〜」
男、弟「僕、大人の人を呼んでくる」
男、兄「たのむ、俺達はもう少しこの辺を探してみる」
元の世界では大騒ぎになりつつある事など二人は知るよしもなかった。
消滅 数十分後
その時二人の兄弟は待ちくたびれていた
勇「遅い、何やってんだアイツ等 いくらなんでも待たせすぎだ」
咲「ユウ兄ちゃん、つまんないよう」
ついに痺れを切らしたユウは「チョット見てくる」と立ち上がって走り出す、そんな兄につられサキも「私もいく〜」と後ろからモタモタと追いかけて行く
山を下ってしばらくして、木々の間から外の光と地面が見え出したが少し様子がおかしかった
(森を抜けるにはもう少し時間がかかる筈なのに)不信に思いながら森を抜けた時、ユウの体は思わず固まった
ボーと突っ立ってる兄を見て、待ってくれてる物と思い ポテポテとサキが駆け寄る
咲「やっと追いついた……あれ?」
サキの目の前に飛び込んできた景色は今まで見なれた緑や山の物ではなく
岩や砂、裸の山や荒れた大地であった。
咲「ユウ…兄ちゃん、ここ…ドコなの?」
ユウは空を見上げながら呟くように答えた
勇「そんなの…兄ちゃんにだって、わからないよ……」
見上げた空には見た事もない模様の月が三つも光輝いていた
続く