* * *  
 
 昨日の事だった。  
 引っ越してきた時にしまい込んでしまったバッグを探すついでに、押し入れの整理をはじめてしまった。  
 特に几帳面というわけではないものの、一旦やり始めるとのめり込んでしまうので、気がついたら  
とりあえず仕舞いっぱなしになってしまっていた荷物を、片っ端から出しては片付けてといった具合に  
なっていた。  
 手前が片付けば奥の物まで手が及び、自分の物は粗方終わってしまったので、今度はイチ君の物と  
思しきケースに手を掛けた。  
 ちょっと気が引けなくもないけど、いいよね?と軽い気持ちで開けたそれには、季節外れの衣類や  
小物に紛れて  
『ああ、止めておけばよかった』  
と思ってしまうような物が挟まれてあった。  
 
 何で男はこういう物を喜んだりするんだろうか?  
 
「やらしー……」  
 
 まだ私達がただの同居人であった頃、同じ目に遭った事があった。  
 その時の私達はまだ互いに男でも女でもなくて、ただただ彼を軽蔑してしまった。  
 今はあの頃と比べれば経験ある分、免疫だってあると思う。だけどそれだけにショックも却って大きかった。  
 だってこういう物って、願望を満たすためにあるんだよね?ということは、私では物足りないというわけで。  
 満たされない何かが不満だという本音が彼に隠れてるのかもしれないわけで。  
 
 グラビアを恐いもの見たさで捲ってみれば、自分とは比べ物にならない成熟した大人のカラダや、  
思わず目を覆いたくなるような卑猥な写真に  
「こんなの無理だよー……」  
と地面にのめり込んでしまいそうな程落ち込んでしまった。  
 DVDなんか、昼間レンタル店でバイトして見慣れてる筈なのにパッケージだけでもう無理だってば!  
これを彼が観てたのかと思うとそれだけで卒倒しそうになった。  
 彼氏や旦那様と一緒に観ちゃう、って人もいるみたいだけど、私には勘弁、とんでもないって感じだし。  
 
 決して胸も大きくないし、いわゆるテクニックもない。その上なかなか自分から誘う事も出来ない。  
いつも彼から求めてくるのが当たり前で、その必要もなかった。  
 だけどそれがもしかしたら不満なのかもしれない。いわゆるマグロ女で子供っぽくつまらないのじゃないか。  
 10も歳が違えばその辺物足りなく思ってたりするのかも。そう考えたら途端に不安になった。  
 
 ――私の事を『何も知らないひよこ』だと背を向けられた17歳の冬。どんなに追いかけたくても  
それを許してくれなかった彼とやっと暮らせるようになった今、二度と離れるのは嫌だったから。  
 互いのためを想いながら離ればなれに暮らすのは辛い。だけど心のどこかに不満という隙間を抱えて  
我慢や妥協しながら、それを隠して幸せなふりして相手を欺き騙しだまし暮らしていくのはもっと嫌だ。  
 そう思ったから。  
 
 
 イチ君は制服姿で男の人と絡んでる女優さんのページを指しながら、小さくなっている。  
「お前それで昨日制服を……?」  
「いや、あれはそのっ!?」  
 うう、顔から火が出そう。  
「てーと、さっきのエプロンはもしや?」  
 手にしているDVDの写真には、いわゆる裸エプ……いやあぁ!!  
「だって、イチ君にそういう趣味があるのかと……」  
「いや、そりゃたまたまでその、嫌いじゃないけど、お前……そんな事考えてたの?」  
 呆れたような笑いを堪えたような複雑な顔しながら私を見る彼の態度にカチンときて、側にあった  
クッションを思いっ切り投げつけた。  
「何よっ!私に飽きたんならそう言えばいいじゃん!!どうせ貧乳だし、下手だし、色気が無くて  
 つまんないんでしょっ!?ふーんだっ」  
「違う!お前に不満なんか無い」  
「じゃあ何で?今度はAVまであるじゃん!サイテー」  
 よく見てみろ、と促されて本の裏を見せられると発行日が1年近く前。結婚前の1人暮らしの頃に  
DVDと一緒に買ったものだという。  
「だからそういう事なんだってば。捨てるの忘れてただけだよ!今観てないっ」  
 言われてみれば、あんな奥にしまい込んであったんだから、今更彼がそれらを目にする事はないわけだ。  
 それに気付くと、一気に気が抜けてしまった。  
 
「ごめんなさいもう買いません。てか買ってないから!……香子がいなくて寂しかったんだよ、俺だって」  
 クスリを効かせてやるつもりでしばらく無視してやろうと思ってたのに、最後の一言で吹いてしまった。  
 しゅんとしちゃってさ、なんか可哀想になっちゃうんだよね。――そういうとこ、ずるい。そりゃ、  
浮気したわけじゃないけど何かムカついたんだよね。  
「今度はもう無いからね」  
「当然だ。もう必要ないし」  
 ここにおいで、と促されて膝の上に後ろから抱っこされる。  
「だからあんなに頑張ったのか?……制服プレイとか考えたり?」  
「……ん」  
「ぷっ……くくっ」  
「あー笑った!!」  
 こっちは必死だったのに!  
「だって、だって……あははっ」  
 恥ずかしいのと腹が立つのでまた泣きたくなった。やっぱり私らしくもない行動だったかもしれない。  
「バカだなあ。でも、なんか嬉しいわ。ありがとう」  
 私はお礼を言われても嬉しくない。はっきり言って複雑だった。  
 
「余計な真似するんじゃなかった。本当ばかみたい」  
「んー確かにあんな小細工しなくても良かったかもな」  
 そう言うといきなり首筋にきつく唇を充てて吸い付いてきた。  
「わっ……」  
「そんな事しなくたって充分お前に欲情してる」  
 耳たぶを軽く噛みながらバスタオルを外され、露わになった胸をふにふにと手のひらで弄ぶように揉まれる。  
「お陰でその気になっちゃったんだから、責任とって貰うよ。一週間ぶん」  
「……えっ、や、だ……」  
 するりと膝の上に落ちたタオルを握り締め、きゅうっと尖ってきた乳首を摘まれる刺激に耐える。  
「んあっ……あ……」  
 首筋に滑る舌と同時にかかる息がぞわぞわと背筋にまで伝わって、思わず仰け反った。  
「ここで……しよっか?」  
 彼にそう言われくいと顔を向けられ、肩越しのキスをされた。  
 唇が離れると、再び耳たぶを噛みながら胸を撫で回され、指先で乳首を転がしながら強弱を繰り返し  
決して豊かとは言い難いであろう胸を揉みしだかれた。  
 
「はあっ……はあ、ああ……」  
 耳の後ろに当たる舌が滑らかに動き、同時に感じる胸の刺激に声を堪える事が出来なくなって、荒い  
呼吸を吐きながら開きっぱなしの唇はからからに渇いてゆく。  
「ん、も、だめぇ……」  
「触って欲しい?」  
 むずむずと落ち着かなくなって擦り合わせるように動く膝の動きを察知されて、片手は胸を弄びながら  
もう片方の手が掛かったタオルの下に潜り込んだ。  
 するん、とした下着の感触とその上から感じる線に沿った指の感覚と共に彼のちょっとした戸惑いがわかる。  
「香子……いつもと違う?」  
 頷くと、  
「だよね?見ていい?」  
とタオルを落とす。  
 
「そんなに期待しないでね……。凄くないでしょ?」  
「いや、まあ……でも珍しいな。いいじゃん」  
 
 
 普段は色気とは程遠い3枚いくら、なんていうごく普通の物を身に着けている。  
 だが今日は単なる綿素材ではなく、少しだけレースの飾りの付いた薄手の光沢のある素材の物を履いていた。  
 
 これまでに文句を言われた事はないけれど  
「もっとちゃんと見せて。そう……綺麗だよ」  
と向かい合わせに立たされ嬉しそうにソファーに腰掛け見上げてくる所を見ると、本音はこういうの  
好きなんだろうなぁ、と思う。  
「じっくり見ないでよ。それに褒めすぎ」  
「えー?充分色っぽいぞ。……触っていい?」  
 言うが早いか抱きつかれて、私は彼の体に倒れ込むように密着し、胸元に吸い付かれてお尻を撫で回された。  
 きつく唇の当たった後に朱い印を認めると、またそれに重ねて何個も痕を付けられる。  
「ん、痛い」  
「悪い……でももうちょいだけ」  
 唇を尖らせ吸い付きながら上目遣いに見つめてくる。  
 ――もう、これに弱いんだよ!はっきり言って反則だー……。30前にもなる癖に。この顔見ちゃうと  
仕方ないなと何でも許してしまいそうになってしまう。甘いよ私。  
「こっちおいで」  
 ひとしきりマーキングして気が済んだのか、位置をずらすと場所を空け私の体を座面に横たえ、脚を  
割って入り覆い被さってきた。  
 
「可愛いな。いつ買ったの?」  
「この前バイト先の近所のショップで……なんかそこの店上下セットで安くなってるタイプのがいっぱいあって」  
「セット?」  
「うん。ブラ買いに行ったら、その、サイズが変わっててね、何組か……あ、でもそんなに高くないの  
 選んだからっ!」  
「いや、それは気にしなくていいよ。お前は無駄遣いするような子じゃないし好きなの買えば?ん、  
 でも……サイズ?」  
「1サイズおっきくなってた」  
 果たして反応は?――ああ、やっぱり。  
「そっかー成長したか。揉みまくった甲斐があったというわけだ」  
 嬉しそうに、乗せた手のひらで確かめるように胸を包んで撫で回す。エロ親父根性丸出しじゃん。  
「俺のお陰だな」  
「は?」  
「そう考えると周りが“若い嫁”が羨ましいのがわかるかな。段々自分好みに育っていくのはいいもんだ」  
「やっぱり大きい方がいいんだ……」  
 揉むとか迷信じゃないの?って思ってたんだけどな。彼がそんな事間に受けるなんて、ちょっと面白くない。  
「ていうか大きくなったのが嬉しいの!ほら、俺嫁育てたってよくネタにされてるじゃん?別に狙って  
 そうしたわけじゃなくて、たまたまそうなったってだけで。だから最近は正直参ってたんだけどさ、  
 やっぱりお前がそうやって綺麗になっていくのは嬉しいな、って」  
「でも……私だっていつまでも若いわけじゃないし。年取って、それで思い通りにならなかったら  
 冷めちゃうの?」  
「は?俺をそんな男だと思ってんの?そんなつまらん奴に惚れてくれてるわけお前は」  
 おでこをぴん!と軽く弾かれた。  
「いたっ!じゃあさ、おばさんになっても好きでいてくれる?飽きたりとか……しない?」  
 頬を寄せられ口づけをする。  
「お前を抱きたくて、何年耐えて抑えてきたと思う?やっと手に入れたんだぞ。だから信じろ。その  
 ままの香子が俺は好きなんだ。だからもう……無理すんな」  
「……うん」  
「よろしい」  
 おでこにかかる前髪をかき分けキスしてくれると、もう一度唇にそれを戻しながら胸を寄せるように  
揉まれた。  
 
 ゆっくり優しく、かと思うと時々強く揉みほぐすように触れられる胸の愛撫に酔っていると、仰け反った  
拍子に無防備になった首筋にすっと舌の動きを伴って唇をあててくる。  
「あ、やっ」  
「嘘。色っぽい声出してるくせに」  
 くすっと笑いながら片手は胸そのままに、片手は腰のラインを撫でて太ももを這う。  
「んんん」  
「口と指どっちが好き?」  
 さわさわと指の腹で堅くなった胸の先を触られて選択を迫られる。  
「どっちって……わかんない、もうっ」  
「じゃあ好きにしよ」  
 両脚を膝を曲げて広げさせられ体を乗せられると、無防備な体勢のまま身動きの取れない状態に置かれ  
そのまま躊躇いもなく、舌先でちろちろと痛い位に尖る乳首の先だけを焦らすように舐められた。  
 苦しげに呻く事しか叶わずのしかかる彼の髪や肩を掴んで背中を反らすと、  
「して欲しい事いってごらん?」  
と言いながらじわりと熱を帯びてきた秘所を下着の上から擦られる。  
 
 ――だめ、耐えられない。  
 
「やぁ……も、もっとし……あああっ!?」  
 いきなり舌全体で口に含んだ胸先を転がし始め、脚の間の指の動きが速まった。  
「あ……んっ!いや、そこ、やっ」  
 下着の上からとはいえ、指の動きが少し鈍くなったのがわかる。濡れて貼りついた部分が時折ヨレて  
ぬるんと滑るのがちょっと気持ち悪い。  
 
 でも、気持ちいい。  
 ちゃんと触れて欲しい。  
 
「ね……お願い。ちゃんと」  
「ん、何?」  
「だから、ちゃんと」  
 これだけ言えば解るはずなのに、彼は首を傾げて知らぬふりをしてまた下着の上から焦らしじらし  
スリットに沿って指を押し当てながら撫でてくる。  
「わかんないよ、ちゃんとおねだりしなきゃ」  
「う……」  
 腰が勝手にぴくぴく浮く。不格好に広げられた脚が震えて爪先までぴんとなり、放っておけばつって  
しまいそうな程張り詰めている。  
「やめていい?なあ」  
 そんなに辱めたいのか。一瞬で頭に血が昇った。  
「意地悪!イチ君の……ばかっ」  
 悔しくて腹が立ったのと同時に恥ずかしくて逃げたくなった。  
「わかったよ。もう苛めないから泣くなよ〜」  
 苦笑いしながら気づけば頬に伝っていた涙を大きな手でゴシゴシと拭かれ、背中を支えられ体を起こされた。  
 
 さっきと逆に私をソファーに座らせ、彼の方が床に跪いた。  
「なにす……きゃあっ!?」  
 両膝を抱えられ脚を広げられた。これって、え、M字ってやつ!?  
「嫌、いや!恥ずかしい!!」  
「だめ。きちんと見せてよ。香子が女になったこと、ちゃんと見ておきたいんだから」  
「そん……」  
「お願い」  
 
 出た。上目遣いのおねだり。もう、だからダメなんだってばー!イチ君は歳の割に若く見える。私が  
言うのも何だけど、見方によっては意外と可愛い顔だったりするんだよ……。  
 だから年上のくせに母性ってやつを刺激されるっていうか。だからズルい、絶対卑怯だ!  
 とか何とか思ってるうちに胸をまじまじと眺めて触られつつ、下着に手が掛かる。  
 透け素材のせいで湿り気を帯びたその部分がほんのり濡れて、中身の、いわゆるヘアーがうっすら  
見えて、そこだけが淡いピンク色とレースの調和を妙に淫靡な雰囲気にしてしまっているように感じた。  
 これは恥ずかしい。  
「あの……あんまり見ちゃ、いや」  
 でも私の控えめな『お願い』は脚下されてしまったようだ。  
「だめ。ちゃんと見せてくれなきゃ」  
 脚の付け根に這わせた指をそのまま躊躇無く脇から中に滑らせた。  
「――あああ!!」  
 直に触れられ転がされる花芯は、焦らされ続けた故の強い揺さぶりに一気に快感を駆け上ってゆく。  
「目、閉じないで。ちゃんと見て」  
 唇を啄みながら小声で叱咤してくる彼の低くとも強い声に恐々と俯けば、広がる脚の中心に下着の  
中で蠢く彼の長い指を認めた。  
「どう動いてるんだろうね?俺。……想像してごらん」  
 直接見えないだけに頭の中で浮かぶ細やかな指の動きが実際の刺激に重なり、余計にいやらしく思えた。  
「あ、やあんっ、だめえぇ」  
 まだ、まだだめ。  
「我慢すんな」  
 できないよ。でも。  
「やらしくて綺麗だ。俺も我慢できないよ……」  
 私も、あなたが。  
「欲し……」  
 
「イけよ」  
 
 
「――――っ!!」  
 
 
 背もたれに躰を預けて大きく仰け反りながら、自らの声にならない悲鳴を聞いた気がした。  
 
 ――ふっと我に返ると、横になった体を見下ろす彼と目が合った。  
 
「立てる?」  
 頷くとゆっくり腕を取って最初のように私を立たせ見上げてくる。  
「ここにおいで」  
「えっ?」  
「跨って。自分で入れてごらん」  
 まだちょっとぼんやりとした頭で、既に準備を終えて剥き出しになっている彼の下半身を眺める。  
 えー!?いきなり自分でなんて無理だよ。途中から上になった事はあったけど、いつも最初は普通に  
彼から入ってきてくれてたのに。  
「今日は俺の事気持ち良くしてくれるんじゃないの?積極的な香子がもっと見たいなぁ」  
「だってあれは……」  
「大丈夫だから、おいで。俺が欲しいって言ってなかったっけ?」  
 さっき熱に浮かされて口走ってしまった一言が重くのしかかり、同時に体の芯が熱くなって導かれる  
ままにふらふらと膝の上に乗っかってしまった。  
 
「……あ、下着」  
 脱ぐのを忘れたと気付いたところで降りようとすると  
「このまま」  
と股の布を指でずらしただけで腰を掴まれた。  
「腰、下ろして……」  
 ぬるぬると滑るその部分にアレの先が当たってツンツンとつついてくる。まるで自分の存在を主張  
してるみたいに。  
「く……ううんっ、……ふっ」  
 思い切って腰を沈めてみる。ぐっと大きなモノが、私の中をいきなり押し広げながら奥まで入り込む。  
「んん」  
 一度入れてしまえば抜いてもするりと受け入れてしまうのに、やはり初めから深くするのは少し痛い。  
お腹の中が苦しくて、必死で息を吐いた。  
 もう少しなのに。やっぱりうまく出来なくてチラッと目の前の彼を見ると、ふっと笑みを零して  
「しっかり捕まって。大丈夫だから」  
と言いながらお尻を掴む手に力を込めてくる。  
 それに従って首に腕をしっかり回して抱きつくと、いきなり下からずん、と突き上げてきた。  
「――くあっ!?」  
 思わず仰け反った私の背を支えながら、そのまま強く深くかき混ぜるように中を貫き、  
「香子も、動いて……」  
呻きながら私を串刺しにしてゆく。  
 
「好きにしていいから」  
 そんな事言われても、どうしたら気持ち良く出来るかなんてわからない。とりあえずゆっくり上下  
して堅くそそり立つモノが壁を擦りながら出入りするのを感じる。  
 深く呑み込んでは浅く押し出す、その繰り返し。  
「……っ!?んっ、ふっ、く、んん!」  
 不意に唇を塞がれ、浮かした腰が密着した躰にほんの少し作った隙間に彼の指が忍び込み、熱く充血した  
堅い蕾をつっと擦った。  
「やぁんっ……」  
 ほんの少し揺らすだけで、震えるだけで簡単に私の躰は跳ねてしまう。だめ――だめ!!  
「いや、これじゃまた……わた、私、が」  
「いいんだよ、イっちゃっても」  
「だって、やっ、だめっ!!」  
 それじゃあなたが、と言おうとしても声は言葉にならず、意思に逆らい自らの快感を求めてその指と  
中で暴れるモノに、めちゃくちゃに突き動かされるままに身を委ねてしまう。  
「ああああ……!!」  
 頭の中は何も考えられない程ぐちゃぐちゃに乱れて、ただそこにある愛しいひとの形をした温もりに  
しがみつく。  
「イチ君、イ……っ!!」  
 前後に上下に掻き回され突き上げられ、繋がりを持っているそこはジンジンと痺れるように熱く蜜を  
滴らせ躰を濡らす。  
 そこだけが濡れそぼった音をたてているかのように耳に届いて、それをかき消そうとまた私の声が  
被さり益々淫らな空間を造り上げてゆく。  
「もっと狂っていいんだよ」  
「そん……だって、イチ君、が、ああんっ」  
「俺は、お前……が、感じてるのが嬉しい。それがイイんだ……。もっと……乱れて、声も、もっと」  
「――あああっ!!」  
 お腹の中がきゅっとなる。そこから、切なくなるほど胸から喉元へと熱くなる何かがこみ上げる。  
 
 強く突き上げて。  
「や、もっと」  
 深く貫いて。  
「は、はあっ、はあ、そこ……」  
 ぶつかり合う躰に合わせてギシギシとスプリングの跳ねる音がする。  
 
「香……子!イくよ、イく……っ!!」  
「――――んっ!!」  
 息が出来なくなり、涙がじわじわとこみ上げて流れだす。  
 
 
 ――最後の最後に、思いっ切り彼の首筋に私のシルシを残した。  
 
 2人とも何となくそのままソファーに重なり合って横になり、イチ君が端に丸めてあった小さめの  
毛布を持ち上げて作ったトンネルの中に滑り込む。  
「重くない?」  
「平気だよ」  
 仰向けになった彼の胸板に顔を乗せて上になった。  
「俺はあんまり気の利いた事言えないし出来ない。不器用だし、お前にも年上のくせに頼りない所  
 ばかりで迷惑かけてると思う。なのにちゃんと俺を見て、信じて、応えてくれて感謝してる」  
「そんな事。私はずっとイチ君に守られて来たんだよ?大事にされて、愛されて。感謝するのは私の方」  
 おでこにキスされながら抱き寄せられ、髪を梳かれると安心して眠くなった。  
「密かにお前を欲しいと想い続けてその願いは叶ったけど、ずっと表立って願ってたもう一つは叶わ  
 なかった。でも今となってはそれで良かった」  
「え?」  
 顔をあげると、ふっと笑いながら頭をよしよしされた。  
「――昔、俺が『他の誰とも結婚しない』って言ったの覚えてる?」  
「うん」  
 そんな事があった。彼が私にとって“男”になった瞬間だった。  
 
「お前を立派に嫁に出すつもりでいた。けど、諦めて手離さなくて良かった。お前のいない人生なんて  
 意味がない」  
 ふいに目頭が熱くなる。  
「愛してる。一生側にいて」  
 閉じた瞳から涙が零れて彼の胸に流れた。  
 それ以上気の利いた言葉なんかいらない。  
 
 そのままのあなたが好きだから小細工は必要ない。  
 ただこの耳に届く心臓の音をずっと聴き続けていたい。  
 
 あなたに幸せだと笑っていて欲しい。  
 
「あ、そうだ。あと何枚ある?ああいうパンツ。今度はどの下着がいいか選びたいなー」  
「はっ!?まだする気?」  
「当然。夜はまだこれからだぞ?」  
 嘘でしょー!?私結構疲れました……。  
「……それと」  
「え?まだ何か!?」  
「俺昔は普通に見てたから気づかなかったんだけどさー……制服の上にエプロンていう組み合わせって、  
 結構最強コンボじゃないかなぁ。特に今ならまだ」  
 
 
 ――さて、どうやってその男のロマンとやらを回避しようか。  
 今度こそあの上目遣いに負けるまいと決意して、温かな胸の上で寝たふりする事にした。  
 
 
「終わり」  
 

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