講義が終わると臼井麗子の周りには、同じゼミの学生が一斉に集まった。普段、あまり
付き合いの無い者まで集まってくるので、麗子が面食らっていると、
「麗子、S大生とのコンパがあるんだけど、行かない?」
「ごめん、パス」
「また?たまには付き合ってよ」
「ごめん。本当に駄目なのよ。それじゃ」
麗子が講堂から出て行くと、残された学生たちは口々に残念だとこぼした。なにしろ今日
のコンパは、学内一の美女と名高い麗子を目当てに、S大生の方から申し込みがあった
のだ。
「これじゃあ、盛り上がらないし、下手したら割り勘かも」
「割り勘ならまだましよ。麗子が出なかったら、損害賠償ものよ」
「でもあの子、コンパとかには滅多に顔を出さないね。どうして?」
「生まれつき心臓の悪い弟さんがいて、なるべく家を空けたくないって言ってたけどね」
「それじゃあ、仕方がないか」
同じゼミの学生がそんな事を話している時、麗子は愛車に乗って自宅へ向かっていた。
途中、洋菓子屋に寄って弟の好きなケーキを買い、家に着いたのは午後三時過ぎであっ
た。
「ただいま、祥太郎」
「おかえり。お姉ちゃん」
帰宅した麗子が真っ先に向かうのは、弟、祥太郎の自室である。祥太郎は先天性の心臓
病を患っており、十七歳になるのに学校へは通っておらず、一日の大半をベッドの上で過
ごしている。それが不憫な為、麗子は友達づきあいも放って、弟の傍にいつもいてやるの
である。
「体の具合はどう?」
「今日はだいぶん、良いんだ。あ、もしかして、それはケーキ?」
「ええ。今、お茶を淹れるから、待っててね」
今日は祥太郎の顔色も良いようで、麗子は安堵した。
キッチンへ行き紅茶を淹れてから部屋へ戻ると、祥太郎は本を読んでいた。その本は
数日前、弟の気晴らしに良いと思って、麗子が買ってきた物だった。
「それ、面白い?」
「うん」
「読んだらお姉ちゃんにも貸してね」
「いいよ」
ベッドの脇にあるワゴンに紅茶とケーキを置くと、麗子は籐椅子に座って、本を読む祥太
郎の横顔を眺めた。
(かわいそう。この子は何も悪くないのに)
それは麗子を含め、家族が何度も繰り返してきた言葉である。だが祥太郎は病を抱え
るとはいえ決して自暴自棄にはならず、懸命に治療を続けているので、余計に麗子の
胸を打った。
「祥太郎、今日は暖かいし、体を拭こうか」
「そうだね」
「決まりね」
麗子はお湯をためた洗面器を風呂場から持ってくると、祥太郎の体を起こし、寝巻きを
脱がせて綺麗な手ぬぐいで拭き始めた。心臓病を患う祥太郎は、入浴にだって気を使
わなければならず、普段はこうして麗子が清めてやっていた。
祥太郎の体は十七歳にしては肉付きが薄く、いかにも病弱そうである。しかし、一時に
比べて肌つやは格段に良くなり、復調の兆しが窺える事が、麗子にとっては救いだった。
「もうすぐ春ね。桜が咲いたらお花見に行きましょう」
「うん」
手ぬぐいを持った麗子の手が肩から背中、腰に及び、今度は下半身に向かった。
「ズボンずらすわよ」
「恥ずかしいよ」
姉が寝巻きの下を脱がそうとするので、祥太郎はむずがった。彼も年頃なので、姉とは
いえ下半身を晒すのは心もとないのであろう。寝巻きをしっかりと持って離そうとしない。
「姉弟なのよ。何も恥ずかしい事なんて無いわ」
麗子はそう言って祥太郎の寝巻きを下ろし、パンツごと脱がせてしまった。するとどうだ
ろう、祥太郎の若き肉棒はしっかりと上を向き、先端からは涎を垂らしているではないか。
「あら、祥太郎は何を考えてたのかしら。ここをこんなにして」
「だって、お姉ちゃんの触り方、いやらしいんだもの」
「手をどけてみなさい。よーく、観察してあげるから」
病弱な割りに肉棒は大き目で、先から根元まで力が漲っていた。麗子はガラス細工にで
も触れるかのように、肉棒をそっと指で包んだ。
「熱い。それに硬いわね。この前、こうしてあげたのって、いつだったかしら?」
「うーん、一昨日かな」
「じゃあ、もう、お玉には精子がいっぱいね。ちょっと、出しておきましょうか」
そうして麗子は手ぬぐいを洗面器に浸すと、弟の肉棒を手で擦り始めた。
「気持ち良い?」
「うん」
「今日は調子良いみたいだし、最後までしてみようか」
「いいの?」
「うふふ、いいわよ。その前にちょっと、おしゃぶりしてあげるわね」
麗子は手で擦っていた肉棒に顔を近づけ、唇で咥え込んだ。青臭さが鼻を抜けると、麗
子は弟の生命力を感じ、心の底から安堵し喜びを味わう事が出来た。
「ああ、お姉ちゃん・・・」
祥太郎は口唇愛撫の最中に尿道を舌で押してやると、すぐに切なげな声を上げる。
麗子はそういう弟の姿が好きなので、自分が商売女にでもなったつもりで、何度も何度も
同じ事を繰り返している。そして唇を窄めて、音を立てて肉棒を吸い、扱いてやるのであ
った。
「いきそうになったら、いってもいいのよ。お姉ちゃんが飲んであげるからね」
「う、うん」
姉弟がこうして禁忌の愛を紡ぐようになってから、すでに三年が過ぎていた。最初は病と
戦う弟に気晴らしをさせてやろうと、麗子が自慰の仕方を教えてやった。それから行為は
エスカレートし、いつしか麗子自身が祥太郎の自慰を手伝い、更には口唇愛撫に及んだ
後は、忌まわしい近親相姦にまで発展したのである。
今にして思えば病を患う弟に同情したのかもしれないが、気がつけば麗子は自分が病床
の祥太郎を愛するようになっていた。甲斐甲斐しく世話をするのは、ひとえに弟の心を独
占したいが為の事で、いわば私心からだった。麗子はこうして弟の肉棒を唇で扱く時、幸
せな気分に包まれる。処女も弟に捧げたし、何かしたいと言われればなんでもかなえて
やった。肉親という障害はあるが、麗子は祥太郎へ肉体奉仕する時が、女として至福の
時なのである。
「あっ、お姉ちゃん、僕、いく・・・」
祥太郎が絶頂を迎えると、麗子は更に口唇愛撫を激しくし、特に肉傘を唇で扱いてやった。
するとすぐに麗子の舌は生臭い子種の味を感じ取った。
(ふふ、祥太郎ったら、だいぶんたまってたのね・・・)
いつもの事なので、麗子は大量の精液が出されても、何とも思わない。ただ腰砕けになる
祥太郎の姿を愛しげな眼差しで見つめながら、飲み干していくだけであった。
「ふーっ、ああ、美味しかった。ごちそうさま・・・」
麗子は指で唇の端を拭きつつ、頬を染める祥太郎の顔を見つめた。目は半開きで、恥ずか
しそうな表情が、麗子には愛らしくてたまらない。
「心臓は大丈夫?」
「平気だよ」
「じゃあ、今度はお姉ちゃんを気持ちよくして貰おうかしら」
麗子は立ち上がると着ている物を脱ぎ、床へ放り投げた。下着は薄桃色の上下で、パン
ティは股繰りの深い種類であった。
「じゃあ、触って」
「うん」
祥太郎はベッドの傍らに立つ姉のパンティを脱がせると、女穴へ指を伸ばした。
「温かいね」
「興奮してるからよ」
「チンチンをしゃぶってても興奮するものなの?セックスそのものをしなくても?」
「勿論、感じるわ。私の場合、祥太郎をどうやって苛めてやろうかって考えるだけで、興奮
するの」
「酷いよ、お姉ちゃん」
「だって、苛め甲斐があるもの、うふふ・・・あんッ!」
祥太郎の指がすっと女穴の奥の方まで入り、麗子はうめいた。
「ああ・・・」
指の出し入れを始めると、麗子の体はぶるぶると震えた。弟に愛撫させるという背徳的な
行為が、この姉を辱め、また興奮させていた。
「祥太郎、胸も触って・・・」
「うん」
祥太郎が乳房に手をやると、麗子の背は反った。
「ああ、あ・・・」
指先で乳首が転がされている。時々、爪が痛みを与えるが、その後の優しい愛撫で帳消し
になる。いや、それどころか、痛みと愛撫を交互に与えられると、よりいっそうの高みへと
導いてくれそうな気さえする。
麗子は敏感な場所を刺激されるたび、腰や肩がびくついた。弟の愛撫に喜ぶ淫乱な自分
を責めながら、もっとして欲しいと腰を振っている事に気がついた。
「お姉ちゃん、僕、また大きくなっちゃった」
「じゃあ、私が上になるから、祥太郎は寝転びなさい」
祥太郎が身を横たえると、麗子は先ほど子種を飲ませてくれた肉棒の上にまたがった。
「無理しないのよ。もし心臓が変になったら、すぐに言ってね」
「分かってる」
「じゃあ、いくわよ」
麗子は祥太郎に負担をかけぬよう細心の注意を払いつつ、自ら肉棒に串刺しとなった。
「ふふッ・・・入っちゃった」
麗子は手で髪を梳きながら、肉棒をまず入り口で締めた。心臓の悪い弟に激しい運動
をさせぬよう、自然に身についたやり方である。
「あッ、お姉ちゃん、ちょっと待って」
「待たないわ。あはっ、祥太郎のおちんちん、ピクピクしてる」
麗子は中腰になり、肉棒を中心に円を描くように尻を振った。これをやると体を動かさず
とも肉棒が上下運動をしているかのようになり、祥太郎を楽しませてくれるのだ。
「私が祥太郎を犯してるみたい。どう、気持ち良い?」
「うん」
「精子出そう?」
「出そう」
「全部、中へ出しても良いからね」
「うん。でも、赤ちゃん出来ないのかな」
「大丈夫。今日は安全な日だから」
ギッギッとベッドが軋み、室内には肉と肉が交わりあういやらしい音が響く。
「ああっ、祥太郎のおちんちん、奥に当たってるわ」
麗子は弟にまたがりながら、自分が世にもはしたない姿である事を感じていた。乳房が
上下に弾み、肉棒がずずっと奥まで入り込んでくる時、尻の穴が開いてしまう事も十分、
分かっている。他人が見れば自分たちの行動は浅ましく汚らしいのかもしれない。だが、
麗子はこうしている事に満足していた。それどころか、弟の子を孕んでも良いとすら思っ
ていた。おそらく祥太郎は病の為に結婚など出来ないに違いない。麗子はそれならばい
っそ、自分が祥太郎の妻となり、子を産んでやろうと思うようになっていた。
「お姉ちゃん、僕、いく」
「私もよ。さあ、おいで」
麗子は祥太郎に覆いかぶさるような形で腰を振った。そして膣内には大量の子種が放出
されたのであった。
「あッ、い、いくッ・・・」
麗子は祥太郎の首に手を回し、力の限り肉棒を締めた。肉棒は締められるたびに、二度、
三度と粘液を出し、結局、子種は一滴残らず麗子の中へ収まったのである。
「ふう、ふうッ・・・祥太郎、キスしよう」
「お姉ちゃん」
姉弟は強く抱き合い、口付けをした。そして、
「また、体拭かないとね」
麗子はそう言って、やっと弟の上から降りたのであった。
「お姉ちゃん」
鏡の前で髪を梳く姉の後姿に、祥太郎は呼びかけた。
「なに?」
「僕・・・」
祥太郎は何か口に出したいようだが、考えている事がうまくまとまらないといった感じだ
った。それを察した麗子が、
「大丈夫。お姉ちゃんが一生、傍にいてあげるからね」
「うん」
弟はきっと何かと不安なのだろう。その気持ちが理解できるのは、世界でもたった一人
しかいないのだ。
「お姉ちゃん」
「なあに?」
祥太郎はもう一度、呼びかけた。そして、
「僕、強くなるように頑張るから」
「うん」
麗子は祥太郎の前へ行き、僅かに潤む目の縁に指を伸ばした。
「泣き虫め」
「ごめんよ」
「ううん。そんな祥太郎が好きよ」
夜が近づき部屋が薄暗くなる中で、姉と弟はもう一度口付けをした。そして麗子は祥太郎
の心臓の前へ手を置き、少しでもよくなるように願いながら、いつまでも口付けを楽しむの
であった。
おしまい