「ごめんなさい。私、付き合ってる人がいるの。だから…あなたとは…付き合えない…」
突然の告白だった。
中等部から女子校に通っているせいか告白されるのに慣れていなかった。
だから最初すごくびっくりした。
まさか会ったこともない人に告白されるなんて。
高校からの帰り道、校門を出るといきなり男の人が駆け寄ってきて「僕と付き合ってください!」と顔を真っ赤にしながら大声で叫ばれた。
紺のブレザーにグレーのズボン、きっと隣街の名門男子校の生徒だ。
学年は…私と同じかひとつ上くらいかな?
長い前髪のせいで顔はよく見えない。
ねっとりとした黒髪が、この人の不潔さと根暗さをよく表現していた。
「嘘だっ!京子に彼氏なんていないじゃないかっ!京子は処女だろっ!」
突然そう叫ばれて私の身体はビクッと小さく跳ねた。
確かに私に彼氏はいない。
告白をお断りするには一番いい方法だと沙奈が言っていたので使わせてもらったのだ。
だいたい、今日初めて会ったのに名前を呼び捨てにされるなんて何か不快。
それに…何…?
京子は処女だろって…。
何でそんなこと知ってるの?
…気持ち悪い。絶対この人、危ない。
無言で立ち去ろうとすると男は私の腕を力強く掴んだ。
「好きなんだ!京子は俺のなんだ!俺のものなんだ!京子…京子…京子…」
男の目は見開き、血走っていた。
そのあまりにも必死で恐ろしい顔に背筋が凍り、私は勢いよく男の手を振り解くと走ってその場から逃げ出した。
「へぇ〜。そんなことがあったんだ」
あの後、私は自分の家に帰るでもなく一目散に沙奈の家に行った。
「沙奈がズル休みしなければあんなことにならなかったんだからねっ!」
わざとスネたように頬を膨らますと沙奈はベッドに座り雑誌を読みながら優しくハハッと笑った。
「私がいても同じだったでしょ。それにしても京子はモテるねぇ。妬いちゃうなぁ」
「沙奈も告白されたいの…?」
さっきよりもっと頬を膨らませて沙奈を睨む。
「違うから。そんなわけないでしょ。私には京子がいるんだから」
沙奈は、ハァと溜め息をつくと読んでいた雑誌を置きベッドを私を抱き寄せた。
「京子は私のなのに男が寄ってくるのが気にいらないの」
沙奈が耳元で囁くから、ふにゃあと力が抜けた。
「京子のこの栗色の髪もこの大きな瞳も…この小さな唇も全部私のなの」
そう言って沙奈が私にキスをする。
優しくて甘くて深くてエッチなキス。
沙奈の舌が私の舌に絡まってクチュクチュと濡れた音が漏れる。
唇を離すと照れて顔を真っ赤にする私とは正反対に沙奈はニヤニヤと笑っていた。
「それに…この身体も私のなの」
沙奈はそう言うと私のブレザーを脱がした。
またキスをしながら沙奈が器用に私のブラウスのボタンをひとつひとつ確実に外す。
その間も舌と舌が絡み合うイヤラシイ音が部屋に響いた。
ブラウスがはらりとベッドに落ちた。
それでも沙奈はキスをやめなかった。
沙奈の両手は私のブラのホックを意図も簡単に外してみせた。
ぷるんという音と共にブラが外され両胸が露わになった。
そうしてやっと沙奈の唇が離れ今度は、耳から首筋へ、首筋から胸元へとチュッチュッと優しいキスが落とされる。
「沙奈…ダメぇ…」
「この胸も私のなの」
そういうと沙奈は私の右胸をペロリと舐めあげた。
「あっ…!」
沙奈は右胸を舐めながら左胸の突起を細くて綺麗な指で優しく撫でた。
「や…あ…だめ…沙奈…あん…」
「気持ちいいの?」
ぺちゃぺちゃとわざと音をたてて胸を舐めながら沙奈が言った。
「気持ちよくなんか…!」
沙奈はフフッといじわるそうに笑った。
その時、下の階から玄関が開く音と「ただいまー」という声が聞こえてきた。
「残念。今日はここまで」
沙奈はそう言うと顔を離し私のブラをつけなおしてくれた。
そうして名残惜しそうに私の胸元に顔をうずめた。
チクリと胸元に痛みが走り沙奈からパッと身体を離す。
胸元を見てみると小さなキスマークがつけられていた。
「京子が私のだっていう証拠」
沙奈は満足げに笑った。
それがなんか嬉しくて愛おしくて私は沙奈に抱きついた。
あの後、沙奈に家まで送ってもらった。
いくら断っても沙奈は聞かなかった。
沙奈と別れ、お風呂に入ろうと脱衣場で制服を脱いでいると、ふと鏡に映った自分の胸元に顔が火照る。
小さなキスマーク。
私が沙奈のだという証拠。
私…こんなに幸せでいいのかなぁ。
湯船に浸かりながら沙奈のことを考える。
沙奈には中等部の入学式で初めて出逢った。
背が高くて腰までの薄茶の綺麗なストレートの髪と目鼻立ちの整った綺麗な顔がすごく印象的だった。
沙奈が私の初恋だった。
自分が同性愛者なのかは、わからない。
でも沙奈のことを心から愛しているしずっとそばにいたいと思う。
私の気持ちを受け入れて同じ気持ちになってくれた沙奈にはすごく感謝している。
同時に、沙奈に出逢わせてくれた神様にも。
神様…これからも沙奈のそばにいさせて下さい。
私から沙奈を奪わないで下さい。
ピンポーンとチャイムが鳴った。
誰か来たようだ。
放っておいてもきっと誰か出るだろうと思って、ハッとした。
今日、家には誰もいないんだ。
お母さんとお父さんは仕事でふたり揃って泊まり込みだし、弟はそれをいいことに友達の家へ勉強会という名の朝までゲーム大会へ出掛けたんだ。
私が出なきゃ!
急いでお風呂から出て下着をつけパジャマを着て玄関へと走った。
その間もチャイムは止まなかった。
「はーい!どなたですか?」
ドア越しに尋ねるとどうやらお隣さんが回覧板を届けに来たらしい。
「あらぁ。今日お母さんいないの。ちゃんと鍵閉めなきゃダメよ!なんかあったらうちに来なさい」
「ありがとうございます」
「じゃあね」
隣のおばさんが去ったのでドアを閉めた。
その時、またピンポーンとチャイムが鳴った。
早く髪を乾かしたいのに…。
「はい…どなたですか?」
「嫌ねぇ。回覧板届けにきて回覧板渡すの忘れちゃったわ。開けてちょうだい」
ハァと溜め息をつきドアを開けた。
「何度もごめんねぇ。じゃあ、これ回覧板!よろしくね」
回覧板を受け取り、またドアを閉めた。
今度こそ髪を乾かそうと部屋へ向かおうとすると、またピンポーンとチャイムが鳴った。
またお隣さんかと何も聞かずにドアを開けた。
そこには
「やぁ、京子。遊びに来たよ」
校門で告白してきた、あの男が立っていた。
私は何も聞かずにドアを開けたことをすごく後悔した。
「お風呂入ってたの?もう少し待っててくれれば僕も一緒に入ったのに」
男がずいぶんと気持ち悪いことを言うものだから吐き気がして「何の用ですか?」とついキツい口調で言ってしまった。
「どうしてそんな恐い顔するの?せっかく彼氏が遊びにきてあげたのに」
こいつ本当に危ない。
黙ってドアを閉めようとすると男が、ガッと足を挟んで閉めることを許してはくれなかった。
「や、やめて下さい!足どけて下さい!」
ついに本格的に恐くなり大声で男を怒鳴りつける。
「怒った声も可愛いよ、京子。今、そっちに行くからね」
男が挟んだ足を動かしこじ開けようとしたので開けられてたまるかとドアノブを力いっぱい引っ張る。
「京子は力ないなぁ。ほーら、開けちゃうよ」
男は楽しそうにそう言うと足をガッと引き、ドアノブは京子の手から簡単に抜け男にドアを開けられてしまった。
「はははー。京子のうち綺麗だね。あ、鍵かけとくね」
ガチャンと鍵をかける音がやけに響いた。
「出てって下さい!警察呼びますよ!」
自分でも声が震えているのがわかった。
「どうして?京子がひとりで寂しくないようにきてあげたんだよ?ははは。京子ってば、ツンデレかな?」
こいつに脅しは通じないと悟り、本当に警察を呼ぼうと電話をかけにリビングへと走る。
「京子どこいくの?」
男が追い掛けてくるのがわかり、本当に恐くてリビングまで全力疾走する。
リビングってこんなに遠かったかな。
そんなことを考えていると耳元で「捕まーえた」という声がしたと思うと天井がぐるりと回り、ドシンと身体に痛みが走った。
男の顔が目の前にあり身体に重みを感じ自分が今、男に組み敷かれているのだとやっと理解できた。
「京子…誘ってたのかい?」
耳元でそう呟くと耳をベロンと舐められた。
「きゃあああああ!!!やだっ!やめて!どいて!離してよっ!!!」
男の身体の下でジタバタと暴れるも男はピクリとも動かなかった。
「なんで?こうしてほしかったんでしょ?見掛けによらず淫乱だね」
男はそう言うとパジャマ越しに京子の胸をキツく乱暴に揉んだ。
「やだっ!!!やめてぇ!!!!!」
「はぁはぁ…京子って…はぁ…結構おっぱい大きいんだね。今、直に触ってあげるからね」
パジャマを乱暴に引っ張られパンパンパンとボタンが飛び、パジャマとブラを剥ぎ取られ上半身は簡単に素肌が露わになった。
「京子綺麗だよ。今、全部脱がしてあげるからね」
「やだぁ!!!やめてぇ!!!!!」
どんなに暴れて抵抗しても小柄な京子が男の力にかなうはずもなくズボンとパンツも簡単に剥ぎ取られてしまった。