「ああもう、聞いてますの?シュナイゼル!!」
「勿論です、お嬢様。騎士団長様と婚約されたんですよね。僭越ながらこの身からもお祝い申し上げます。」
私が貴女の声を逃すわけが無いじゃありませんか
「そうです、あの方こそ私の王子様なのです!ああ、あの逞しい腕……思い出すだけでもうっとりしてしまいますわぁ……」
私が貴女を見る度、声を聞く度、過ごしてきた日々を思い出す度に、
どうしても湧き上がってしまう欲望を抑えているのを、普段の振る舞いに反して根が純粋な貴女は知らないのでしょうね
「全く、あの方のファンなどと自称する平民共は本当の魅力ってのを分かってるのかしら。
あの方を幼い頃よりお慕いしてきた私には細かい所まで分かってますのに、ほほほ」
今もこうしてその愛らしい微笑みを見て沸き立つ欲望を抑えて、必死で笑みを作り浮かべているのに
「ふぅ……ふふ、やはり好きな方が居るとはいいものですわね。そうですわ、シュナイゼルには居ませんの?
知ってますのよ、うちのメイド達が貴方を見て騒いでるのを。うふふ、流石私の執事ですわぁ」
「いえ、私は……そのような方は居ません」
また一つ嘘を吐いた
それに……流れる感情も恋愛という物ほど愛らしくはない
「あら、勿体無いですわね。貴族の婦女子達でも囁かれるほどの美貌と言われてますのよ?
くす、これではこぞって名乗りを上げてもおかしくありませんわね」
私には一人しか要りませんよ
「そうですわ、折角ですし、友達の子で可愛らしい子が居ますのよ。ほら、覚えてませんか?
以前館に招待した髪を結んでいた子です。結構気に入っていたようですし、きっとお似合いですわ!」
その子供のような笑顔とはしゃぐ可憐な声で語られた内容に欲望がまた一つ育っていくのを感じた
そして抑えていたもう一つの自分も浮上してくる―――
「……シュナイゼル?聞いてますの?私を気遣っているのなら私も結婚しますから、
これを機に自分のことを考えても宜しいんですのよ?」
それはそれはありがたいですね
「では僭越ながら―――」
「え?んんんぅぅぅぅ……!?」
その可愛らしい口から閉ざさせてもらいましょう
前からこうしたいと思っていました、ずっとずっと―――
「さて、ではベッドへ参りましょう。ご安心ください、腰に力が入らないでしょうし、ちゃんと私が運びますから」
お嬢様、貴女はオレの物だ