腐敗しきった王政を終わらせる為、  
仲間と一緒に立った蜂起したあの日から、既に5年の歳月がたっていた。  
 当時少年だった彼も、今では反乱軍を率いるまでになっていた。  
その顔立ちには幼さの代わりに数多の苦労が刻まれ、  
ここまでの長い道のりが窺える。  
 城壁に立ち、やっと開城までこぎつけたこれまでの事を思い返しながら、  
男は遠くに見える町並みを見ていた。  
   
 
「ハロルド、ここにいたのか。とうとうここまで来たって感じだな」  
 ハロルドと呼ばれた男は振り返り、アーネストか、と戦友の名を呼んだ。  
「あの親衛隊の隊長ってのは投降したのか?女だとかいう…」  
「ああ。最後は割とあっさりと投降したよ。  
結局今まで女王の側にいたのは、その女隊長だけだぜ。  
もう誰も残ってないってのに、泣かせるよな」  
 アーネストの言葉に、ハロルドは苦笑した。  
「どこがだ。情にほだされて状況判断もできずに逃げ遅れたんだろ。  
馬鹿なだけだろ」  
 
 ハロルドがそう一蹴し、今度はアーネストが苦笑する。  
「ずいぶん手厳しいな。お前なら、てっきり敵ながら見上げた奴だ、  
とか言うかと思ったんだが」  
「お前こそなんで女隊長の肩を持つんだよ。  
危うく半殺しにされかかったのは誰だ?アーネスト」  
 ハロルドに指摘され、アーネストは肩口に巻かれた包帯を左手で撫でた。  
 
 その傷は命に関わるものでこそないが、浅いものではない。  
アーネストも我流とはいえ、剣の腕は悪くない。  
その彼が女隊長に斬られたと聞いたとき、  
ハロルドはずいぶん驚いたものだ。  
だが、あと10センチ上にそれていれば、命に関わる傷だった。  
 だから俺は会った事も無い女隊長に対して、  
こんなに憎しみを抱くのかもしれないな、とハロルドはふと思った。  
 
 ただ、当のアーネストは笑いながらのんびりと言った。  
「まぁ、これは俺が悪いんだけどな」  
「何だそれは」  
 ハロルドが聞き返すと、アーネストは笑って頭をかいた。  
「実はあらかじめ警告されてたんだ。  
『剣を交える気はない。  
自分はしかるべき時期が来たら投降する、だから退け』ってさ。  
そんな事言われても、やっぱいい腕してるって聞いたら血が騒ぐだろ?  
で、突っ込んでいったら斬られた、というオチなんだよなぁ」  
 
 アーネストは空を見上げて伸びをしながら、続ける。  
「あんなに鮮やかに負けたの久々だったよ。  
あれは間違いなくプロの訓練受けてるな。案外お前のクラスメートだったりして」  
 
 ハロルドはじろりとアーネストを睨んだ。  
「俺は"元"軍隊出身の剣士に師事してただけだ。そんな知り合いなんていねぇよ」  
「そうかぁ?よく思い出してみろよ。  
金髪で緑の目のきれいなねーちゃんだったぜ。顔の割に胸がでかい感じの…」  
「勝手に言ってろ。俺は女隊長の様子を見てくる」  
 まだまだ話を終えそうにないアーネストに、  
ハロルドは半ば呆れてそういい残し、城内の地下へと足を向けた。  
 
馬鹿馬鹿しいと思いつつも、  
ハロルドはアーネストの言った言葉が気にかかっていた。  
薄い緑の瞳、金髪の女。目蓋の裏に、遠い記憶の中の少女の姿が蘇る。  
 いつも側にいて、伝えるべきことも伝えられないまま、  
いつの間にか目の前から消えてしまった。  
 ふとした瞬間に、存在の大きさを思い出す。例えば今のような瞬間に。  
「まさか、な」  
 ハロルドは考えを打ち消すように頭を振った。  
今は昔を思い出している場合じゃない、そう自分に言い聞かせながら。  
 
   
城の地下へと続く階段を下りると、ひんやりとした空気が上がってくる。  
ハロルドの視線の先には、石造りの廊下が奥までずっと続いていた。  
 過去何百人という人物が閉じ込め、最期を迎えた牢獄。  
まるでここだけは時に忘れ去られたように、静まり返っている。  
壁際に据え付けられた松明の音だけがパチパチと小さくこだましていた。  
 
 廊下の突き当たりにある、古びた扉の格子を覗くと、  
グレーの粗末な服を着た女が背を向けて座っていた。  
ハロルドは扉を数回たたき、中へと入った。  
 たいまつの炎を壁のランプに移す。  
石造りの部屋の内部がぼんやりと浮かび上がり、ゆっくりと女が振り返る。  
女はハロルドの顔を数秒見つめると、穏やかに微笑んだ。  
女の微笑に、記憶の中の少女の面影が重なる。  
 ハロルドは言葉を失った。  
 
「まさか、嘘…だろ…レイラ、なんでお前が」  
 レイラは少し微笑んだまま肩をすくめた。  
「久しぶりね。師匠はまだ現役なの?  
あの頃からもう何年?なんだか懐かしいわね」  
 まるでここが牢獄である事を忘れているようなレイラの物言いに、  
ハロルドは苛立った。思わず声を荒げる。  
 
「そんな事はどうでもいい!なんでお前がここにいるんだよ!」  
やや呆れたような顔でレイラはため息をついた。  
「なんでって、捕まったからに決まってるでしょ。  
女王がいなくなって、親衛隊の私もお役御免になったってわけ」  
「俺が言いたいのは、そんな事じゃない!  
レイラ、お前…もしかして、俺が反乱軍にいるって知ってたのかよ?  
それなのに、お前は…!」  
「一兵士から、その能力を買われてリーダーになったんでしょう?  
活躍ぶりは聞いているわ」  
 語気を強めて詰め寄るハロルドに対し、  
レイラの口調はいたって平静を保ったままだ。  
 
「何だよ、それは…!お前、俺がこっち側にいるって知っててなお、  
女王の、あんな腐りきった奴らの味方してたのか?  
お前のせいでどれだけ犠牲がでたと思ってる!」  
 レイラはため息をついてハロルドを見上げた。  
「犠牲は覚悟の上でしょ?  
血を流さずに革命が成せると本気で思ってたの」  
 ハロルドは思わずレイラの胸倉を掴んでいた。  
が、目の前の女はひるむでもなく、まっすぐにハロルドを見つめ返してくる。  
「昔からお前は冷静だったよな…!いつも分かったような顔しやがって。  
俺達の反乱も、この5年俺達が死に物狂いでやってきた事も、  
お前にとってはただの仕事の一部だったって事かよ…!」  
ハロルドの声は怒りで震えていた。  
 
 たとえ側にいなくてもきっと同じ道を目指している、  
そう信じていた自分が馬鹿らしく、ハロルドはレイラを睨みつけた。  
と同時に、どす黒い衝動にかられる。  
今ならこの女を犯しても、言い訳がたつ。  
怒りに任せて親衛隊の隊長を辱めただけだ。  
そう、この感情は怒りのせい───。汚い自己保身の考えが頭の隅を掠める。  
 
 胸倉を掴んだまま急に無言になったハロルドに、  
レイラは怪訝そうな面持ちで覗き込む。  
 葛藤するまでもなく、ハロルドの中で答えは決まっていた。  
ハロルドはレイラの背後にあった小さな鉄製のベッドに、力任せに押し倒した。  
 はずみでベッドが軋み、金属のこすれるいやな音がする。  
 
レイラが小さく悲鳴をあげた。  
「いきなり、何するのよ?痛いっ」  
「そうだ、俺は、ずっと昔からお前を…俺のものにしたかった。  
俺だけのものに…」  
ハロルドは独り言のように小さく呟く。  
「何言い出すのよ?いきなり、やっやめ、てっ…!」  
 ハロルドはレイラに覆いかぶさると、  
強引に唇に舌を滑り込ませる。熱い口内を探るように舐めまわし、  
逃げようとするレイラの舌に無理矢理唾液を絡める。  
 両手首を押さえつけ、両手を頭上にあげた体勢を取らせた。  
自身のベルトで両手を縛り上げると、  
無防備になったワンピースの上半身部分をハロルドは力任せに引き裂いた。  
 
布地が裂かれる鈍い音に、レイラのくぐもった悲鳴が重なる。  
やっとハロルドはレイラの舌を開放し、顎から首、  
うっすらと汗をかいている双丘の谷間へと舌を順に這わせていく。  
「お願い、ハロルド、こんなのいや…」  
 レイラはかすれた声でハロルドに呼びかける。  
だか許しを請うその声もハロルドの耳にはすでに遠い。  
レイラのなだらかな曲線を描く下腹部を唇でなぞりながら、  
服としての機能を失った布地をハロルドはベッドサイドに投げ捨てた。  
 
 白のショーツの中に手を入れると、  
しっとりと湿った草叢の感触が指先に伝わる。  
 必死に力を入れて拒絶しているレイラの太ももの間に指を割りいれ、  
隠されたヒダの奥へと更に指を伸ばす。重なり合った花弁の間、  
親指の辺りに小さな突起が触れる。  
 優しく親指の先端で撫で、細かく振動させた。  
同時に豊かに膨らんだ乳房の先端を口に含み、舌先で転がす。  
 
口の中で徐々に固くなっていく蕾をハロルドが甘噛みしてやると、  
レイラは喉の奥でため息のような声を上げた。  
 愛撫するのもそこそこに、ハロルドは自身の服を脱ぎ捨て、  
レイラのショーツを強引に引き下ろす。  
隠れ蓑を失い、ほの紅く染まった花弁が現れた。  
淡いピンクのヒダからは、透明な粘液が糸を引いている  
 
 レイラは観念したのか、暴れるのをやめ、  
黙って目を閉じ唇を噛みしめている。  
ゆっくりと、太ももを曲線を確認するように舌でなぞっていくと、  
舌先に鳥肌の感触がざらざらとして心地いい。  
  愛液をまぶされて光っている突起が、  
すでに真っ赤に充血し、存在を主張しているのが目に入る。  
花弁の奥の突起を、再び指先でゆっくりと擦る。  
「もう完全に尖ってるぜ…ここ…」  
 
 レイラは耐え切れなくなり、身をよじらせて甘い吐息を漏らす。  
「んっ、ぁっ、そんなところ、触らないで、っぁ…くぅ」  
「お前のそんな声、初めて聞いたぜ。そんな声、お前もあげるんだな…」  
 ハロルドが囁くと、レイラは恥ずかしさからか、  
いやいやと子供のように首を振る。  
真っ赤になりながら恥じる仕草も愛しく、  
ハロルドはわざと音をたてて愛液を吸い上げた。  
じゅるじゅると下品な音を響かせながら蜜を吸われる恥ずかしさも、  
レイラの身体は快楽として貪り始めていた。  
 
蜜壷からは絶えず液体が溢れ出し、  
シーツの色が変わるほどぐっしょりと濡れている。  
 肉芽を弄られるのがよほど感じるのか、  
ハロルドが執拗に指先でこねると、レイラの脚からは次第に力が失われていき、  
その代わりけいれんするようにぴくぴくと震えながら悦びを表現し始める。  
抑えた喘ぎ声が重なり、甘ったるく、  
生々しいメスのニオイがハロルドの鼻をついた。  
思わずごくりと唾を飲みこむ。  
 
 ハロルドはレイラの膝に手をあて、思いきり開脚させた。  
頬は上気しているが、表情はまだ不安そうなまま  
こちらを見つめるレイラと目が合う。  
ふと罪悪感が心の片隅をよぎったが、すでに固く屹立したハロルドのそれは、  
突き上げる場所をただ求めていた。  
 
ごめんな、と小さく呟くと、レイラの胎内へ押し入っていく。  
こんなに熱いのかと驚くぐらいの熱と、  
ゼリーできた幕のような感触が先端を通して伝わってくる。  
十分に分泌された愛液が潤滑油となり、  
狭く閉ざされた膣口が徐々に開かれていく。  
 
 ハロルドは最深部までゆっくりと侵入しきると、  
己の感触を刻み込むように、緩慢な動きで突き上げ始めた。  
肉体がぶつかる音と粘り気のある水音とがこぼれる。  
胎内の肉襞のひとつひとつがぴったりと吸い付いて締め上げてくる。  
 ハロルドは腰を打ち付ける速度を上げながら、  
更にレイラの腰に手を回し、引き寄せるようにして奥まで蹂躙していく。  
レイラは目を固く閉じたまま、  
挿入のリズムに合わせてはっ、はっと小さく息を吐いて応じる。  
 
律動を重ねる度、腰の辺りに熱い衝動がじんわりと広がっていく。  
それとは逆に、頭の中はゆっくりと醒め始めているのをハロルドは感じた。  
別の場所からこの行為を眺めているような感覚に囚われる。  
 ただ、身体と本能は理性だけでは止められない所まで来ていた。  
 
ただ夢中で奥へ奥へと突き上げると、ペニスの先端に向かってむず痒いような、  
熱い塊が衝動となってこみ上げてくる。  
 爆発寸前で胎内からそれを引き抜くと、  
白濁した液体をレイラの入り口付近にぶちまける。  
 そして荒い息をつきながら、ハロルドは手のひらで汗を拭った。  
 
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 身体が感じている解放感と入れ違いのように、  
ハロルドの頭の中では罪悪感がなお侵食を続けていた。  
 ベッドの下に落ちたグレーの毛布をそっとレイラの身体にかけ、  
ベルトで括り付けたままでいた両手の戒めを解いてやった。  
 見ればその手首にはうっすらと赤くなっている。  
ハロルドはいたたまれなくなり、レイラに背を向け、慌てて服を身に着ける。  
ベルトを通しながら、ハロルドは切れ切れに言った。  
「すまない…俺は……こんな事するつもりじゃ…」  
 
 レイラは何も言わない。  
小さな空間に気まずい沈黙が流れた。  
責めるでもなく、泣き叫ぶわけでもないレイラの態度が、  
ハロルドにとっては余計苦しいものだった。  
 もうこれで、レイラは俺を一生軽蔑するだろう、  
そう思うと、もう言い訳も謝罪の言葉も出てこなかった。  
ただ後悔と自己嫌悪とでうなだれることしかできなかった。  
 
 
「シャツ、貸して」  
そう言って長い沈黙を破ったのは、レイラのほうだった。  
 ハロルドが振り返ると、レイラは毛布を身体に巻きつけ上半身を起こしていた。  
半ば放心気味でいたハロルドが思わず聞き返すと、  
レイラはむっとした表情になる。  
「え?じゃないわよ。シャツくらい貸しなさい。  
服を破るなんて…昔から馬鹿力なんだから」  
 ハロルドからシャツを取り上げると、レイラは続けた。  
「それに、すぐに頭に血が上る性格どうにかしてよ。  
久々の再会なのにいきなり押し倒すなんて…何考えてるのよ」  
 
 言い訳と、今までの想いとがごっちゃになり、  
ハロルドはしどろもどろになりながらも、必死に言葉を紡ぐ。  
「俺は、お前に何も伝えてないまま別れたのを後悔してて、  
それでも、俺と同じ気持ちでいるんじゃないか、とか勝手に思ってて、  
その…でも、お前が俺と敵同士でも平気だったって聞いて、  
かっときて……もう離したくなくて…つまり、その…」  
 
一向に要領を得ないハロルドの言葉を遮ると、レイラは言った。  
「誰がハロルドと敵同士になったって言ったのよ」  
 レイラの言葉に、ハロルドは眉をひそめる。  
「だってお前は親衛隊の隊長で、俺は…反乱軍のリーダーだろ?」  
「呆れた。王家を本当に滅ぼすには、外から潰すだけじゃだめだ、  
中から膿を出し切らなきゃ同じ事を繰り返すだけだ。  
そう言ったのはハロルドでしょ。  
まさか、忘れたの?」  
 きょとんとしているハロルドに、レイラは大げさにため息をついてみせた。  
「嘘だろ…じゃ、お前は最初からそのつもりで親衛隊に入ったのか?  
中から王家を潰すつもりで?それならそう言ってくれよ。  
そしたら俺だってさ…」  
「そっちは分かってるのかと思ってたのよ。  
全く覚えてないなんて…呆れたとしか言えないわ」  
 
 混乱が収まると、急に嬉しさがこみ上げてきて、  
思わずハロルドは声をあげて笑っていた。  
目の前の女を力いっぱい抱きしめる。  
 反対にレイラは口を尖らせる。  
「笑うんじゃないわよ。襲っておいて。痛かったんだから…!」  
 そう言いながらも、ハロルドの腕の中でレイラはつられてくすくすと笑いだす。  
「そっちこそ何だよ、急に笑い出して」  
 レイラの表情に、屈託のない笑顔が戻る。  
ハロルドは安堵してほっと息を吐いた。  
 
「ハロルドみたいな突進タイプがリーダーしてたと思ったらおかしくて。  
よく生き残れたわね?」  
「生憎と俺はお前みたいに、大儀の為に何年も敵を装えるほど人間できてねえよ」  
 とげのある言葉に、ハロルドは思わずむっとして言い返す。  
が、レイラの返答は意外なものだった。  
 
「別に…大儀のためじゃないわよ」  
「じゃあ何だよ。よっぽどの理由だろ。5年だぞ」  
 ハロルドの疑問に、レイラは急に慌てたように口ごもる。  
「そ、そんなのどうでもいいでしょ。女王だって生け捕りにできたし、  
隠し財産だって明らかになったし、理由なんて今更…」  
 どうでもよくないだろ、と言いかけたが、  
やけに慌てているレイラの態度のせいで、ハロルドはやっと気づいた。  
勝手に緩んでくる頬を必死でこらえる。  
「ありがとな」  
「な、何がよ」  
 あくまでレイラはしらを切りとおす気らしい。  
ハロルドはからかうようにわざとレイラの顔を覗き込む。  
「お前に一番キツイ役やらしちまったな、”俺の為”に」  
 
 吹き出すのをこらえながらなんとか言い切ると、  
レイラはさっと視線を逸らしてうつむいた。  
何も答えなかったが、肯定の証拠に耳が真っ赤に染まっている。  
ハロルドの口元はもはや完全に緩んでいた。  
「ほんっとに昔から素直じゃねぇな。お前は。そんなだと俺、  
また強硬手段にでるかも…」  
 レイラは顔をあげハロルドを、きっ、と睨んだ。  
「こんな乱暴なの今回だけだからね!ハロルドだから、許すだけで…」  
そう言いながらもハロルドの手を強く握りしめる。   
ハロルドは温かい指先を握り返しながら、そっとレイラの耳に口を寄せた。  
「この次はちゃんとイかせるから」  
「バカっ!」  
 くたびれたグレーの毛布がハロルド目掛けて飛んできた。  
頭からもろに毛布をかぶりながら、ハロルドは精一杯笑みをかみ殺していた。  
 
 
(終)   
 

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