日記だ。  
革の装丁がなされている少し高そうな日記だ。  
私の中に自制心と好奇心が起こった。特に前者は本人が  
いないだけ尚のこと強かった。  
しばしの思考。  
けど結局は好奇心が僅かに勝り、私は日記を手に取った。  
ぱらぱらと頁をめくり、昨日の日記の所で手を止めた。  
兄さんらしい少し雑な文字が飛び込んでくる。  
「○月×日  
ついに明日からは待ちに待った日がやってくる。  
両親が旅行でいない五日間、家の中は俺と明菜の二人っきり。  
これで邪魔も入らずに俺は明菜と結ばれることができる」  
私は目を見張った。  
結ばれる?一体何を言っているの。  
胸の内がざわめきだすのを感じた。  
 
何処かから来る動揺を押さえ、私は先を続けていく。  
「多分明菜は戸惑うと思う。何と言っても兄妹だからな。  
だから最初の内は少し強引になるかもしれないし、  
その為の道具だって一応用意してある。  
けれどきっとうまくいく。  
五日間、時間を掛けて愛し合えば明菜も、俺が明菜のことを  
どれだけ大切に想っているか分かってくれるだろうから。  
な、明菜 俺の 俺だけの妹 明菜 明菜 明菜  
明菜 明菜 明菜 明菜 明菜 明菜 明菜 明菜 明菜 明菜 明菜 明菜――――――」  
かちゃん―――金属音。振り返ると濡れた髪を拭きながら  
兄さんが後ろ手で部屋の鍵を掛けていた。  
私は呆然とその姿を見つめる。  
と、兄さんはいつもの様に笑って  
「明菜―――」  
私の名前を呼んだ。  
 
 
 
「嫌ぁ!!お願いだから、兄さん正気に戻ってよ!!こんなの駄目なんだってばぁ!!」  
兄が男の顔で自分を見ていることが耐えられなくて、縛られた身体を捩り泣きじゃくりながらなおも叫び続ける。  
しかしそれに恐怖すら感じさせる笑みを浮かべ、妹の肉付きのいい太ももを撫でながら兄は応えていく。  
「はは、どうしてって顔だな。……どうしても何も俺がお前を愛しているからだよ。  
まさかあいつがお前を取ろうとするなんて思わなかった、こんな事ならもっと早くこうしていれば良かったな」  
兄は彼女の感触を味わう嬉しさに笑みが止まらない。  
日々美しくなり続ける妹に抱いていた道ならぬ思い。それがようやく叶った事に。  
その手は男の欲望が求めるままに華奢な身体の割りには大きな胸を、艶やかな太ももを、怯える少女の頬に纏わりつく。  
兄は少女の女らしい美麗な線を描く身体を隅々まで眺めた。  
「ああ……やはりお前は素敵だ……ずっとお前のことを想ってた。ずっとこの時を夢見ていた。  
お前は誰にも渡さない。今ここでお前を手に入れる、さあ俺と一緒になろう……」  
男は彼女の存在を確かめるように、胸を愛撫し続けながら残酷なほど優しい笑みでそう言った。  
美しいラインを描く豊満な乳房に実の兄の手が食い込み、そしてまた離れまた食い込む。  
その手は妹だった女を自らの欲望で汚すことに一切の躊躇いがない。  
そしてそんな男の怒張もまた目の前の女と番うことに躊躇いがないのである……。  
 
 
 

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