「由香里さんですか?桜です、まだ優様が起きていないようですので、  
朝食の準備を少し遅らせてもらえますか?」  
『はいー…では愛しのご主人様に朝から襲われる時間も考慮して、  
3時間程度遅らせて、精のつくものを「切りますね」  
『あ、ちょっとま』  
 
ガチャリ  
 
「…まったく、もう」  
内心、少し期待してはいるのだが。  
 
ご主人様と私は互いに15歳の時からこれまで7年になる。  
ご主人様の両親、清見様は科学者、研究員であり怪しげな商品を作り、  
昭夫様がその商品を販売する、と夫婦で商売をされている。  
どの商品も莫大な利益を呼び、そのお陰で私はご主人様とこうしていられる。  
 
私の両親は私が12の時に他界、一人ぼっちの私を助けるため、  
昭夫様にご主人様の専属のメイドとして住み込みで雇っていただいた。  
 
ご主人様は清見様の商品開発を継ぐらしく、今は清見様の補助をしている。  
それを知った私がメイドの傍ら、  
マーケティングの勉強をしているのは私だけの秘密だ。  
 
コンコン  
「おはようございます、ご主人様…起きていらっしゃいますか?」  
 
返事は無い。  
 
「…失礼します」  
 
ベットへ近づく。  
 
「ご主人様?起きて………ぅぁ」  
 
その女性的な柔らかい表情は  
ご主人様を愛するメイドの顔を真っ赤にするには充分すぎるのだ。  
今日は住人に私とご主人様の間柄を説明しようとしていたせいで  
心構えをまったくしていなかったせいで―  
 
…そうだ、仕方ないのだ。  
メイドの理性を溶かすご主人様の表情のせい、  
柔らかそうな唇のせいで、メイドは寝ているご主人様にキスを…  
 
「―…さくら?」  
「ごっ、ご主人様おはようございます本日はとてもいい天気でございましてさきほど  
コックに内線で朝食の準備は少し遅らせるよう指示しておきましたのでゆっくり準備  
していただければと思います着替えはクローゼットの」  
「桜、あの」  
「そういえば今日は一日お休みということで外出の許可は取っておりますので気が向  
きましたらどうぞなんなりと御申し付けくださいませしかしご主人様温暖設備がある  
とは言いましても半裸で寝てしまうというのはいささか健康面に関して問題があるか  
と思いますもし寝具に不備が」  
「桜、聞いてる?」  
「不備がありましたらなんなりと重い躾ではなくお申し付けくださいあまり裸で寝  
てしまうと…、は、裸?」  
 
「ねぇ桜、今、何しようとしたのかな?」  
「ッ!…あ、あのっ私用事が出来てしまいましたので、これで失礼します!」  
 
このままでは、あのコックの言う通りに…  
 
がし  
「だめだよ、ご主人様の寝込みを襲うようなメイドには重い躾しなくちゃ、ね」  
 
そしてご主人様とメイドは、コックの言う通りになった。  
 
「ご主人様っ!いけません、こんな、ぁいっ…朝、からぁ…」  
「朝から情熱的なキスをしようとしたのは、どのメイドかな?」  
 
口は嘘をつく、口以外は嘘をつけなかった。  
ご主人様からの刺激を受けやすくするために、サイドテーブルにつく手も。  
少し広げる足も。下着を濡らす密壷も。  
身体はご主人様を欲していたから。  
 
「…やっぱり、また大きくなったね…下着きつくない?」  
「んあ…ぁ、は、い」  
「じゃあ、これから付けちゃダメ、だよ」  
「いや、ぁです、…ひぁ!あ、あぁ!」  
「下も、禁止にしようか…?」  
「ごめんなさ…あ、あはぁっ!」  
 
意地悪は、嫌いじゃなかった。  
本当に嫌な時は、わかってくれるから。  
場所を移して、ベットに突っ伏したようにしてご主人様にお尻を向ける。  
口以外は絶対服従、どうしても抗うことはできないのに。  
 
「こんな格好、恥ずかしいです…」  
「…凄い濡れてる」  
「いや、ぁ…」  
「ん、ごめん…いれちゃう、ね」  
 
想いを爆発させた日から、なんども受け入れていても、  
私の体はこの大きさと、熱さと、硬さには慣れないようだ。  
いつもドキドキして、予想を遥かに越える気持ち良さに、  
今日も、イってしまうのだ。  
 
「……ッ!イッ…!」  
「っく、いっちゃったか、な」  
「ご、ご主人様ぁ、もっと、もっとぉ」  
「やっと、お口も素直になったね…じゃ、いくよ」  
 
ぐちょっ、ぬちょ、ぬちょ…  
「あは、ん!やっ!」  
ずっちゃ、ずっちゃ、ずっちゃ、ずっちゃ。  
「あっ、ああっ、くふぅん、あ、あうぅ…」  
 
ご主人様が本格的に腰を動かし始める。  
 
じゅっく、じゅっぷ、ぬちゅ、くちゅ、ぬぷ!  
「あはっ、あうっ!ん〜!あっ、やああああっ!!」  
 
「やっ、やぁっ、もう、もう、もう!!」  
「イくんだね、さくら!?」  
「イくっ!イきますっ!!もうだめっ、イきますぅっ!!ぅあ――っ!!!」  
 
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―――――  
 
それから私は、ご主人様にたっぷり可愛がられて、  
心地良いまどろみに身を投げ出した。  
 
そして、  
 
「桜、桜?」  
「ん…ぁ、ご主人様」  
「くす…、おはよう」  
「あ…、おはよう、ございます」  
 
コックの思惑は少し外れ、  
遅らせるべき時間は、4時間だった。  
 

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