「ねぇ、おばあちゃま!」
「何だい」
「女の子の話、また聞かせて!」
「そうだねぇ、また聞かせてあげようか…
昔、昔。あるところに、女の子がおりました。女の子は何不自由なく育てられました。
しかしその女の子は我儘ばかり言っていたから、神様が怒っちゃったのでしょうね。
女の子は突然、目が見えなくなってしまったのです。
神様は言いました。お前の我儘の罰だ、光を失ったのは自業自得だってね」
「神様はひどいわ!」
「女の子のお父さんは、目の見えなくなった女の子を嫌い、山の中のお城に閉じ込めました。
友達もいなくなり、我儘も言えなくなりました。女の子は真っ暗闇の中、絶望しながら毎日を送りました」
「そんな…」
「ある日のこと。女の子に、一人の男の子が声をかけます。
「そこの美しいお嬢さん、どうしてあなたは泣いているの」と。
女の子は言いました。「私は目が見えないのです」
男の子は女の子の手を握って言いました。
「おやおや、それは大変でしょう。では私が、あなたの目になって差し上げましょう」
世間の人はそんな彼をあざ笑いました。彼はとても醜い顔の男だったのです。
でも女の子は何も言わなかったわ、だって…」
「その人の心が美しいってわかっていたから!」
「その通り。女の子はこうして、余計な物を見なくて済む世界で幸せに暮らしました。
…さ、お話はこれでおしまい」
「おばあちゃまのおめめも見えないのでしょう?もしかして女の子っておばあちゃまなの?」
「さぁてねぇ?さ、早く寝なさい」