……いやはや、やっぱり世の中の幼なじみは素晴らしいね。  
日本人が昔から培ってきた幼なじみ文化が如何に偉大か、それがよくわかる。  
近すぎて逆に遠い関係、もはや距離のない状態。懐かしき再会なんてパターンもあるな。  
素直になれない、あるいは今さらと気恥ずかしさを感じたり……と、関係も様々なものが描かれるし。  
しかも、色々と情報を漁れば「事実は小説より奇なり」を地でいく話すら見受けられる。  
いやはや、「幼なじみ」という概念を考えた人は偉大だね。そうは思わないかい?  
「電波か」  
……今のは、ちょっと傷ついたなぁ。その返しはひどくない?  
「知るかよ。いきなり大層な御託を並べて、結局は『幼なじみ萌え〜』みたいなことしか言ってないし」  
バレたか。  
「バレるわ」  
いや、けどやっぱり幼なじみは素敵な関係だよ。まったく、  
「『持つ者は持たざる者の気持ちすら考えようとしない』、だろ?」  
……今日はいやに絡んでくるじゃないか。彼女と何かあったの?  
「べ、別に?雪菜とは、何もないぞ!」  
相変わらずわかりやすいなぁ。確かに委員長、朝から機嫌悪かったしなぁ。  
「あっ……く、いや、それは」  
ほらほら、話してごらんよ。とりあえず話すだけでもすっきりするからさ?  
「……お前、そんなに嬉しそうな顔でいうなよ」  
あはは、元からこういう顔なもので。  
 
そりゃ怒るよ。  
「はぁ!?いや、明らかに理不尽だろうが!」  
わかってないなぁ……相手は女の子だよ?  
やっぱりさ、特別な日には想い人がどんな行動をするか、気になるじゃないか。  
「お、想い人って……べ、別に」  
『オレとアイツはそんな関係じゃないし』?  
「……そ、それに」  
『今までそんなのなかったのに、いきなり言われても』?  
「…………おい、」  
『人のセリフを取るんじゃねーよ』?  
「…………」  
まぁまぁ、そう怒らないでよ。からかってるだけだからさ。  
「怒るわ!」  
さておき。やっぱりさ、何だかんだで前とは違うんだと思うよ?  
「さておくなよ……」  
まぁまぁ、聞いてよ。  
キミらってお互いの気持ちを確かめあったわけじゃないか。  
頑なに認めようとしないけど、それは自分でよくわかってるはずじゃないか?  
それでも付き合わないのって、今さらどんな付き合い方をしたらいいかわからないから、だと思うんだ。  
「まぁ……一理ある、か」  
けど、このまま煮え切らない関係が続くのも辛いよね。  
だからさ、何かしらのアクションがあればちょっとは関係が変わると思ったんじゃないかな?  
些細なことでも、いつもとちがうことが起こったら……って。  
少なくとも、彼女はそう考えてる。けどキミはそうじゃない。そこに怒ったんだと思うよ。  
「……やっぱり理不尽じゃねーか」  
理不尽でも、だよ。それともキミは、中途半端にギクシャクした今が好きなの?  
「いや、それは」  
ほーら、結局イヤなんじゃないか。けど残念、今からはもう前の関係には戻れないんだな。  
だからキミは前に進むしかない……ずっと前から言ってるじゃないか。  
「……じゃあ、オレはどうしたらいいんだよ」  
さぁね。知らないよ、そんなこと。  
「無責任だな、おい!?」  
当然。だって僕には関係ないし。  
まぁ、キミが何を感じたか……それを基準に行動したらいいじゃないか。  
「……まぁ、そうだな」  
じゃ、それをしたらいいさ。頑張れよ、若者。  
 
……校門前ってなかなかの素敵スポットだよね。  
学生の特権というか、何かイベントが起こりそうじゃないか。  
……っと、きたきた。  
「おう」  
「…………」  
「っ、おい雪菜!」  
「何よ、ついて来ないで」  
「帰り道が一緒なのに無茶言うな」  
「……じゃあ距離を離しなさいよ、半径1kmくらい」  
「あー言えばこー言いやがって……とりあえず、話があるんだよ」  
「私は何もないわ。それじゃ」  
「ちょ、待てよっ!」  
お、これは修羅場の予感?  
「離して!離しなさいよ!」  
「待て、せめてオレの話を聞いてから……っ!」  
……まぁまぁご両人、とりあえず落ち着いて。  
「なっ……!?」  
「お、お前いたのかよ!?」  
一応ね。本当は見守るだけにしたかったけど、楽しくなさそうだから介入してみた。  
二人とも落ち着いて、話し合うことが大事……ん?  
「…………」  
「…………」  
……いやだなぁ、キミらのラブラブイベントを覗くなんて、そんな野次馬みたいなことするわけないだろ?  
……ないだろ?  
「……っ、もう知らん。行くぞ雪菜」  
「……って、いた、だから放してって!」  
「いやだ」  
「はぁ?」  
「絶対に放さない。今日はこのまま帰る」  
「ちょっと、アンタ、それは」  
「うるせぇ!オレがお前と手を繋ぎたいんだよ!」  
「……へ?」  
「……ほら、行くぞ!」  
「え、ちょっと、ま、待って、痛いから……!」  
 
……全く、幼なじみのくせに、ろくに手も繋げないとか。  
彼女がさりげなくアプローチしても無視、挙げ句に気付いたら「何かキメてんのか?」はないよなぁ……本当に鈍感。  
ま、けどあれか。それで気づけっていう彼女にも無茶はあるか。  
……幼なじみって、意外と大事なことは意志疎通できないんだね。  
 
……ねぇ、キミはどんな幼なじみが好き?  
 
 

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