オレは、今高校一年生。今日は、友達のうちに行って帰ってきたところだ。
電車を降り、一号車が一番出口に近いのに最後尾から降りたことを後悔しながらホームを歩いていた。
そのときだった。オレの目に普通の人間生活上確率的にあまりないものがうつったのは。
それは、女の子だった。ホームの端っこで、うずくまって泣いていた。なぜ泣いているのかは全くわからない。
ただ、オレは放っておけなかった。
「ねえ、どうかしたの?」
なんともつっけんどんな言い方だが、許してもらいたいものだ。オレは不器用なのだ。
「・・・・・ヒクッ」
泣いたままである。何も答えない。みると、女の子の前に大きなトランクがおいてある。
「・・・重すぎ・・・か?」
「・・・違う・・・」
「いったい何があったのかだけ、説明していただけるか?」
そう聞くと、その子は顔を上げ、上目遣いでオレを見つめた。
このとき、オレの脳内で一つの計算ミスがあったことが明らかになった。
その子は、むちゃくちゃに可愛かったのだ。
「うぉっ・・・」
目と髪の毛は栗色で、顔はフランス人形のように整い、でも、まだどこか幼げを残していた。
「とりあえず・・・WHAT YOUR NAME?」
人間はせっぱ詰まったとき、意味不明なことを言うらしい。なんでだろうね。
「・・一瀬美香」
それだけ言うと、彼女はおもむろに立ち上がり、トランクをポケットから出した鍵で広げた。
そして、人前であるにもかかわらず、トランクの荷物を引っかき回して、その中から書類の束を出してオレに押しつけた。
その書類を見たオレは、開いた口がふさがらなくなってしまった。
そこにあったのは、保険証、中学校の(中学二年一組 一瀬美香とある。)緊急連絡網連絡先変更届、等々の生活に必要なものすべてだった。
「・・・虐待されて、追い払われた。」
そう言った彼女の頬に、一筋の涙がこぼれた。こんな可愛い子を虐待するなんて、信じられない。いや、可愛いからこそ虐待するのかもしれない。
ポケットに珍しくハンカチを持っていることを思い出したオレは、出して拭かせた。
「とりあえず、涙を拭いて、トランクを閉じよう。な。」
こんなことを言っている間も、オレは興奮していた。可愛いんだ。とにかく。
真性のロリコンに思えるかもしれない。が、萌えというのは(ry
その子をその子が待っていたSUIKAで改札から出して、オレは自分の家へ向かった。
警察に行こう、と最初にその子(えっと・・・美香ちゃん。)に言ったのだが、また家に帰されるのが怖いという理由で、美香ちゃんは首を縦に振らなかった。
だが、家の前にきて、オレは大変なことに気がついた。食事、風呂等々はどうするのだ?
というわけで、隣に住んでいるオレの祖母の家に預けることにした。
「その人・・いい人?」
「ああ、勉強したくなくなるほどな。」
「・・・え?」
「いや、言葉の綾だ。」
実際は、道徳的で勉強熱心と言いたいのだ。オレは。
祖母は最初こそ驚いたが、その呑気さと優しさと物わかりの良さで引き取ってくれた。
美香ちゃんはしばらく、オレを黙って見つめていたが、不意に、
「またあとで、来てくれる?」
と言った。もちろんだ!
とりあえず、オレは家に帰り、夕飯を食べた。
夕飯の後、オレこっそり玄関の鍵を開け、ドアを開け、ドアを閉め、鍵を閉め、門を開け(ry祖母の家へ向かった。
美香ちゃんは夕ご飯を食べていた。美味いだろう。家の祖母の料理は最高なのだ。隣のうちであった幸運を感謝せんとな。
その子が夕飯を食べているとき、祖母がオレの所に来て、オレにこう聞いた。
ちなみに、祖母は、オレのお母さんのお母さんである。
オレのお母さんを生んだ後、お父さん(つまりオレの実の祖父)は亡くなった。
今、祖母は再婚して別の人と暮らしている。オレからすれば義理の祖父だ。現在の祖母の姓は「広田」だ。
「ねえ、あたしの二つ目の名字を覚えてる?」
この年になっても、一人称は「あたし」らしい。
「覚えてないな。」
とっさに思い浮かんだのが一ノ瀬スキー場だったのはなぜだろうね。でも、あながち外れではなかった。
「一瀬・・・よ。つまり、あなたのお母さんの本当の名字は一瀬なの。」
「おいおい、妹が居るなんて聞いたことも・・・」
「最後まで聞いて。あの子はあなたの本当の妹にとても近い。義理の妹にはなる。そして、一瀬家のDNAがある。」
オレの頭に、一つの恐ろしい考えが浮かんだ。
「親子丼・・・?」
「そういうこと。あなたのお父さんはあなたを生んだ二年後、あたしの所に来て・・・」
なるほど、確かに義理の妹だ。そして、母の血、いや、正確に言えば祖母の血が流れている。
「ずいぶんと複雑だな。・・・って家の父さん悪者じゃねえか!どうしてされるがままだったんだよ!昔だって正当防衛・・・」
「だってぇ。ハンサムだったんだもん。」
こいつ・・・子供みたいな声あげやがって。
「それ・・・美香には話したのか?」
美香が妹だと思った瞬間に、「ちゃん」が消えた。なんでだろうね。
「話したわよ。」
あと、オレは疑問に思うことがもう一つあった。
「なんであんな所に預けたんだ!?この子は虐待を受けて挙げ句の果てに追い出されたんだろう?何でそんなところに?」
「養子だもんしかたないじゃない。でも、これからはこの子も責任もって育てるわ。」
「祖父にはどう説明するつもりだ?」
「祖父はもう知ってるわ。」
「それで・・・祖父はそのことを今まで隠していた訳か。」
「そういうことになるわね。じゃ、もう夜も遅いんだし、お風呂沸かしてあるから入ってきたら?」
この家の風呂は二階にある。また、ベッドルームも二階だ。
玄関に「祖母の家に行ってきます」と置き手紙を残したから、長い時間居られる。ベッドルームでテレビを観ることにした。
とりあえず、目的は違うが行き先が同じなため、オレと美香は階段を上がっていった。
美香が洗面所に行ったのを見届けると、オレはベッドルームに入った。
テレビをつけて三秒、オレは部屋に人が入ってくる気配を感じ、思わず身構えた。
だが、入ってきたのは美香だった。オレは緊張を解いて美香と向き合った。
中学二年生のその体は、まだ幼さを残していて、それでいて、胸はあった。
巨乳なのではない。だが、洗濯板でもない。中ぐらい。均整のとれた・・・美乳。
尻の曲線は割としっかりしている。最高だね。
「えーっと、お兄ちゃん・・・かな?名前は、××○○さんね。」
名前はこの際あげないでおく。
美香は、一応、関係上はオレの叔母にもなり得るのだが、妹にしたいね。オレは。
「叔母にもなるんだけど、妹で居てくれるか?」
「いいよ。」
そういうと、彼女は少し微笑んだ。可愛い。
「お風呂、入ってきたらどうだ?」
「えーっとね、そのね、お風呂はいる前に、いろいろ話がしたいな、と思って。」
「・・・なんだ?」
「えっとさ・・・正直に言ってほしいんだけど・・・あたしって可愛い?」
「はあ!?」
「いつもさ、親に「可愛くもない小娘だ。」とか言われて殴られてたんだもん。本当なの?と・・・」
「殴ったって・・・大丈夫なのか?」
そういうと、彼女は、袖をまくった。腕に、大きなアザがあった。
「これは二日前。父親。あと・・・」
おもむろに彼女は、シャツの首の部分を引っ張って首の根本付近を出し、
「これは昨日。母親・・・」
だが、オレはそれどころではない。引っ張った間から見える乳に目が釘付けになっていた。
「えっと・・・ほかにもいっぱいあるんだけど・・・」
「いや、もう大丈夫だ。」
危ない。もうすぐで襲う所だった。
「で、可愛い?」
「ああ、とても可愛い。親の言うことなんか気にすんな。」
なぜか言葉が口をついてでていた。美香は顔を真っ赤にし、泣き出した。
「・・・ごめん。なにかいやなこと言ったか?」
「いや、違うの。どちらかというと・・・ヒクッ、感激?」
「・・・そこまで感激するのか・・・」
「生まれてこのかた、そんなほめられたこと無いんだもん。」
ああ、可愛い。いや、可愛いという結論以外出せない。理性がはじけ飛ぶ。
オレは、気づいたら美香を抱きしめていた。だが、美香は抵抗もしなかった。
ああ、柔らかい。その感触を味わっていると、美香が火照った顔で、
「・・・ぁりがとぅ・」
と小さくつぶやいた。そして、オレの背中に手を伸ばしてきた。
それから十分間、オレたちはお風呂のことも忘れて抱き合っていた。