「…暑いな」
「そうですねぇ」
「……暑いな」
「いや全く」
「…私はな。長らくヨーロッパの山の中で暮らしていたのでな、暑いのは苦手なのだ。ましてや日本の暑さは湿度が高くさらに厳しい」
「そうでしょうね」
「で、貴様は何をしている?」
「何がです?」
「…このクソ暑い中、貴様はなんで私にしがみついてるんだ!」
「嫌ですか?」
「今はそんなコトは言ってない!」
「嫌なんですか?」
「だ、だから、今は」
「嫌?」
「…クッ、うぅ〜。い、嫌ではないが、ただでさえ暑いのに余計に暑苦しくなるだろう?」
「僕はひんやりしてて気持ちいいです」
「き、貴様!私を何だと思っているんだ!?」
「……氷枕?アイスノン?冷えピタ?備長炭入りのマットが云々」
「血ィ吸うたろか!!」
「間寛平〜」
「誰がモンキーか!!」
「吸血鬼ですよね〜」
「いい加減にしろお!!」
「あ〜もう、わかりましたよ。それじゃあ水風呂にでも入りますか?」
「む、悪くないな。…待て、何故担ぎ上げる?こんな荷物みたいな運び方じゃなくて、お姫様抱っ…、じゃなくて!何?一緒に入る?い、いらん!1人で入る!離せ!降ろせ〜!」