「ラミー、貴女、男が出来たって本当なの?」  
「ゴホッ、ゲホゲホ。何だそれは?」  
女戦士ラミーは、同僚の質問に驚いて、飲み物を吐き出した。  
「何って、結構な噂よ。鉄の女も身を固めたって。」  
ラミーはこの国の中でもトップクラスの戦士だった。身体能力、技術、戦術、全  
てに於いて秀でていた。また、その美しさも秀でていたと言っていい。並みの男  
を上回る身長に、顔、体つき、それらが合わさり、見事な美貌を誇っていた。男  
装の麗人と呼ぶに相応しく、男女から人気があった。  
「まいったな。」  
「じゃあ、嘘なの。」  
「ま、まあな。」  
ラミーは嘘を吐いた。ラミーには恋人と呼べる間柄の男がいた。しかし、それを  
正直に話したくはなかった。冷やかされるに決まっている。訓練所の食堂を出て、  
ラミーは廊下を歩くと、自分の噂話が聞こえてくる。  
「ほら、彼女よ、例の。」  
「まあ、身分もわきまえず富豪の殿方をたらしこんだというのは。」  
「男に興味なさそうな顔して。」  
嫉妬を含んだ話も聞こえてきた。無理もない。貧しい家系の出身で、戦士としての  
能力で国の精鋭部隊の一員にまで上り詰めた自分に向けられる視線は覚悟してい  
た。ラミーはその日は非番だった。訓練所を出て街に出て暫く歩くと、ラミーは少  
し人目を気にし始めた。これから行く場所は、知り合いにあまり知られたくない。  
目的の場所、ある富豪の屋敷に着くと、守衛に顔パスで入らせてもらい、ドアをノ  
ックした。すると、老女が顔を出し、  
「まあ、ラミー様、いらっしゃいませ。直ぐに坊ちゃまをお呼びします。」  
と言い、奥の階段を昇っていった。暫くすると、老女が降りてきた。  
 
「申し訳ありません。坊ちゃまはお休みのようです。取り敢えずご案内します。  
どうぞ。」  
そう言って、老女に案内された。老女がドアを開けると、椅子に座ったまま眠っ  
ている男がいた。  
「お茶をお持ちいたちます。」  
そう言って老女は退室した。ラミーは目の前で眠っている男を見た。彼こそ、ラ  
ミーの恋人、カイだった。身長はラミーより低く年下で、甘い美貌の持ち主だっ  
た。  
(全く、昼間から居眠りして、部隊では考えられないことだ。)  
彼は、ラミーとは正反対と言ってもいい人間だった。常に努力を怠らず、向上心  
があり、悪を許さない正義感を持ち、時には非情さを見せ、知力と体力に優れる  
ラミーに比べて、カイは無気力で、面倒臭がり屋で、物事に無関心で、ラミー以  
上に無口で無愛想で、知力と体力に特に優れている訳でも無かった。彼らはラミー  
がカイの家の警護を上層部から命令された時に知り合った。異性に対してあまり  
関心の無かったラミーが付き合うようになったのは、カイの父が社交性に乏しい  
息子に、女性と付き合って欲しいと、警護の際に顔を覚えていたラミーの上層部  
に頼んだからである。ラミーは乗り気では無かったが、段々と彼に惹かれていっ  
た。理由は、自分に無いものを持っていたことであり、その中でも、彼の冷たそ  
うな瞳の奥に潜む、虫も殺せなさそうな優しさに惹かれていった。  
(しかし、よく眠ってるな。)  
このままでは夜まで目覚めそうにないカイを、ラミーは片手で揺さぶった。  
「おい、カイ、いい加減に起きろ。昼間からたるんでるぞ。」  
それでも起きない。ラミーは両手でカイの胸ぐらを掴み、揺さぶった。  
「起きろと言ってるだろ!こら!」  
激しく揺さぶると、ようやくカイは目を開けた。  
「ふぁ、あ、ラミー。来てたのか・・・・。」  
「もう少ししっかりしろ。全く。」  
その後、二人は茶を飲み、話をした。といっても、殆どラミーが喋り、カイは相  
槌をうつだけだった。  
 
ー数日後ー  
「ラミー、妊娠したって本当なの?」  
「ブッ、ゴホッ、ゴホッ、何ぃ?」  
「噂よ、相手は富豪の御曹司だって。」  
どうやらカイと会っているのを見られたらしく、最早隠し通せなかった。しかし、  
まさかここまで噂に尾鰭がつくとはラミーは思ってもみなかった。  
「ねぇ、相手の人って格好いいの?夜の方はどうなのよ?」  
「まだそこまでいってない。」  
「え?ねぇ、付き合ってどのくらい経つの?」  
「3ケ月程だな。」  
「嘘?じゃあ、キスは?」  
「ま、まだだ。別にいいだろ。」  
「よくないわよ!ねぇ、彼と会って何してるの?」  
「何って、奴の家で茶を飲んだり、公園を散歩したり、演劇を見たり、そんこと  
だな。」  
「信じられない。ひょっとして彼、不能なの?」  
「聞いてない。」  
「愛されてるの、本当に?」  
「う・・・・。」  
確かに、話しているのは殆ど自分である。訓練所での出来事や戦術論などを自分  
が話し、カイは専ら聞き役だった。  
(もしかしたら、親に言われて無理矢理付き合っているのかもしれないな・・・  
・。)  
ラミーはひどく不安になった。それだけ、彼女の心の中でカイの存在が大きくなっ  
ていたということだった。  
 
その後、ラミーはカイの家を訪れていた。二人でカードに興じている。ラミーは  
以前から考えていたことを言った。  
「カイ、今夜はここに泊めてくれないか?」  
「別に。客間はあったと思うけど。」  
「それだけか?」  
「え?」  
「いや、仮にも付き合ってるんだからもう少し色々とリアクションがあるんじゃ  
ないかと思ってな。」  
「別に。ただ、あんたはそういうの嫌そうに見えたから・・・・。それに、あん  
たにうっかり殴られたら死にそうだからな。」  
「色恋沙汰はよく分からん。しかし、何も無いなら無いで色々と言われるのでな。  
お前が不能なんじゃないかと言われたよ。」  
「別に。」  
「はっきりと聞くが、お前、私のことどう思う?」  
「なんでそんなこと聞くんだよ?」  
カイは不思議そうである。  
「不安なんだ。お前、いつも私の話を興味無さそうに聞くだろ。」  
「本当に興味無いんだからしょうがないだろ。」  
「自分のことは全然話さないし。」  
「話すようなことしてないし。」  
「はっきり言ってくれ。私を愛しているか?」  
「んな、恥ずかしいこと言えるかよ。」  
カイは少しうんざりとした様子だった。  
「答えてくれ。」  
ラミーがカイの肩をがっちりと掴む。暫し、無言の間が続いた。  
「愛している。」  
カイが口を開いた。  
「本当か?」  
「ああ。」  
ラミーの瞳が、僅かだが涙に濡れた。  
 
「もう、いいだろ、この話しは。僕、下にあんたが泊まることを伝えてくるよ。」  
カイは立ち上がり、扉に向かおうとする。  
「私も行こう。」  
ラミーも立ち上がり、カイを追おうとする。しかし、カイが扉の前で立ち止まっ  
たまま動かなかったため、ラミーも立ち止まった。  
「カイ、どうした?」  
カイは少しの間、黙ったままだったが、やがて口を開いた。  
「悪い。僕、もう我慢できそうにない。」  
「え?」  
ラミーには何のことか分からなかった。しかし、カイは振り向くとラミーを抱き  
締めていた。一瞬、ラミーは思考が止まったが、すぐに気づくと顔を赤く染めた。  
「なっ、なななな、カ、カイ、何をっ!」  
「あんたの話聞いてて、柄にもなく興奮しちまった。」  
「ば、馬鹿っ!放せっ!んぶ!?」  
抗議の声を、カイは唇で止めた。唇を強く合わせると、顔を左右に振り、舌を入  
れようとする。  
「んんー、んっ、んぅー!」  
初めてのキスに混乱しながらも、ラミーは力ずくでカイを引き剥がした。ラミー  
は距離を保とうと後ろに下がると、足がベッドに当たった。それに気づき振り返っ  
たラミーが顔を戻すと、カイが再びラミーに抱き付いてきた。そして、彼女の足  
を払い、ベッドに押し倒した。  
「うわっ・・・・!?」  
カイは再び口づけようとし、ラミーはそれを躱す。そうしながらもカイは、胸当  
ての下の乳房に手を伸ばそうとする。  
「やめろっ、カイ!こ、こんなのは強姦だっ!なっ、殴るぞ!」  
「かもな。でも、僕、もう・・・・。」  
 
カイは胸当ての下に手を潜り込ませ、乳房を掴み、揉みしだく。異性に胸を触ら  
れる嫌悪感に、ラミーは抵抗を激しくする。  
「な、何をする!やめろ!あっ、くっ・・・・!」  
カイは片手で乳房をこね回しながら、胸当ての止め具を外す。それだけではない。  
他の防具なども、不器用ながら全て外す。そして、ズボンのベルトをも外そうと  
する。  
「くっ、よせっ!」  
ラミーは力を込めて起き上がると、膝蹴りを腹部に叩き込んだ。「うっ。」とカ  
イが呻いた。ラミーは身を翻し逃げようとする。しかし、カイは逃がさず背中に  
のし掛かる。ラミーはうつ伏せのままベッドに倒れた。こうなってはラミーとい  
えども不利だ。カイは両手で両方の乳房をこね回しながら、首筋に舌を這わせる。  
「ひゃっ!?や、やめ、ああっ、くぅっ、ひ、よせっ、ああっ、う、くぅっ!」  
自慰も経験したことのないラミーは未知の感覚に戸惑い、嬌声を押し殺す。カイ  
は背後からラミーの服を下着ごと捲りあげた。  
「やっ・・・・。」  
筋肉質な身体と、豊かな乳房が露になる。乳首は乳房を揉まれていたことと、服  
やベッドで擦られたことで、既に固くなっていた。カイはそんなラミーの乳首を  
指で挟み込んだ。  
「あ、くぅぅぅぅ・・・・。ひぃっ、い、いやだあ!」  
ラミーは必死に叫ぶ。カイはラミーのベルトを外して、ズボンの中に手を突っ込  
んだ。下着越しだが、濡れていないことは分かった。  
「よ、よせ!やめろおっ!」  
カイは下着越しにラミーの秘部を撫で続けた。  
「ひぃっ、ひぃあああああああ!ふっ、んふっ!やはぁっ!」  
続ける内に、ラミーの秘部から、何かが流れてくるのが分かった。  
 
「やめろっ、やめろおっ!はぁん、はぁん・・・・。」  
カイは今度はラミーの秘部に直接手を触れた。ラミーがビクッと身体を震わせる。  
「よ、よせ・・・・。」  
カイはラミーの秘部を揉み、こね回した。たまらず、ラミーが拒絶する。  
「ぃやあああああああ!やだ、やだぁっ!は、放せっ、んあっ、い、今すぐ手を  
放せっ!んひぃっ、さ、さもないと、あっ、あ、後で・・・・。」  
カイは構わず指を一本そっとラミーの膣に少しだけ差し込んだ。  
「えっ、まさか、まさか・・・・?あ、あああああああっ!いやぁーーーーーーーっ!」  
「ラミー?」  
「抜いてっ!抜いてくれぇ!ぬっ、抜けぇーーーーーーーー!そんな所・・・・、  
いやだあああああああ!」  
ラミーには、自分すら触れたことの無い所に、指を差し込まれて混乱してしまっ  
た。戦士として、精神面でも訓練を積んだレミーでも、初めての性行為に狼狽え  
てしまった。  
「ラミー、大丈夫だ。」  
カイは指をそっと引き抜いた。そして、ラミーを仰向けに寝かせて、ラミーのズ  
ボンを下着ごと引き下ろした。  
「やぁ・・・・。」  
恥ずかしさに、ラミーは顔を手で少し覆った。カイは勃起したペニスを取り出す  
と、手に添えて、ラミーの秘部に近づける。  
(あれが私の中に・・・・。でも入るのか?ああ、怖い。こんな恐怖は初めてだ。  
でも、もうすぐあれを入れられるんだ。そして、子供の種子を注がれて・・・・。)  
 
ラミーの心には、期待が表れていた。しかし、カイはそこから先へは進もうとし  
ない。  
「カイ?」  
「ラミー、僕は全てを犠牲にしてまであんたを守る事はできそうにない。僕は人  
を殺せないし、殺すつもりも無い。他にも犠牲にできないものはある。」  
「そんなの知ってる。」  
「それでも良かったら僕をこのまま受け入れてくれ。そして僕と結婚してくれ。」  
「ああ。さ、続けてくれ。」  
カイは頷いた。そしてペニスを秘部にあてがうと、挿入した。  
「う、ううううっ・・・・。」  
「くぅぅぅぅぅぅぅっ。あ、あああああああっ。」  
カイに抱き付き、腕に力を込めるラミー。そして、カイのペニスはラミーの処女  
膜を貫通した。  
「っ・・・・、くあああああああっ!いっ、つ・・・・!」  
「大丈夫か。」  
「ああ、痛みも引いてきた。」  
「そうか。じゃ、動くよ・・・・。」  
「ん、はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、はあっ!」  
カイはピストン運動を開始した。ラミーの口から喘ぎ声が漏れる。そしてラミー  
は挿入によってもたらされる快感をはっきりと感じ、それに身を委ねていた。  
「んはぁっ、はあぁぁっ、きっ、気持ちいいっ、はあっ、あひぃっ、あふぅんっ!」  
二人は、絶頂に達しようとしていた。  
「僕、もう、駄目・・・・。」  
「私、なんか、変な感じだ・・・・。」  
「うっ、出る・・・・。」  
「待ってくれ、中には出すな!まだ子供を産むわけにはいかん!」  
「くっ、も、もう駄目・・・・。はあっ!」  
「はあっ、はあっ、あはあーーーーーーーんっ!」  
二人は絶頂に達し、ラミーの子宮には、精液が注がれた。  
 
「妊娠してたらどうしよう?」  
「戦士やめて僕の家で暮らせば?」  
「何を言ってる?私は結婚しても戦士はやめんぞ。」  
「やっぱりね。僕としてはやめて安全に・・・・。」  
「私は戦士であり続ける。お嬢様のようにというのは御免だ。」  
「でも今はこうして眠ってくれ。」  
「ああ。」  
二人は唇を合わせた。  
 

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