目が覚めたら、体が動かなかった。
唯一動く頭を持ち上げて自らの体を確認してぎょっとした。
白いサテンのリボンで手首は一つにまとめて頭上へ、足は膝を曲げた開脚の状態でベッドに縛られている。それもすっ裸で。
「あ、起きた?」
「コージ!な、何これ」
「アイちゃんが喜ぶこと、してあげようと思ってねー」
「はい?」
あたしが喜ぶこと?縛られて喜ぶようなMっ子じゃないんだけどな。
10も歳が離れているせいかいつもは小さい子を扱うみたいに優しくしてくれるコージ。
彼がこんな恥ずかしいイジワルをするなんてどうしちゃったんだろう。
いや、本人はご厚意らしいから優しいつもりなのかも。
何とかしようと腕を引っ張ってみても手首が痛いだけだった。
コージはニコニコしてるし信頼もしてるから怖さはあまり感じないけど、それでも何かをされる不安に心臓がムズムズする。
「で、どうしてあたしは縛られちゃったの?」
「アイちゃんがこんなの見てたから。願望を叶えてあげようと思ってね」
コージが見せたのはあたしの携帯のディスプレイ。
「ああっ……!」
顔が熱く火照るのがわかった。きっと今、すごく真っ赤な顔をしてる。
寝る前に見ていた2ちゃんねるの……
「クリトリス攻めメインのSSねぇ……こんなの見てオナニーしてたんだ?」
「ちがっ……!」
「してないの?」
「してないっ!」
コージはあたしの縛られた手のあたりに顔を近付けて、右手の人差し指を舐めた。
「嘘つき。いやらしい味がしてる」
「やだ……違うの……っ」
「違わないでしょう?アイちゃんがエッチな子なのはわかったから、彼氏としては満足させてあげないとね」
2ちゃん見ながら1人エッチして、そのまま寝ちゃったんだ……サイアク。
あれは読み物だから興奮するの。本当にされるのは怖いよ……
「歯みがき粉、試してみようか」
「やだ!痛かったらどうするの?怖いよ」
なんかヒリヒリしそうな気がして体が強張る。もしかしたらあたしのクリさんも縮こまってるかもしれない。
不安がるあたしに笑顔だけ見せて、舌の上に歯磨材を少し出して口に含んだ。
大きなMを描くあたしの脚の真ん中に顔を埋めて舌を這わせると歯磨剤混じりの唾液でそこを濡らしていく。
「痛くない?」
「う、うん……スースーする……」
「気持ちいい?」
「やぁ……ん、そこでしゃべんないで……息が……」
コージの息がかかるだけで感じる。
メンソールの刺激は新しい快感を呼び覚ましてしまったみたい。
コージは指でそこを開いてフーッって息をかけてきた。もちろんクリトリスに狙いを定めて。
「ああんっ!や……っ、やだ……」
「なんで?気持ちいいんでしょ?」
「いいけど……なんか、焦れったくって」
もっとはっきりとした感覚が欲しい。
「どうして欲しい?」
「舐めて欲しい……」
「了解」
未知の快楽にあたしの脳は不安混じりに熱を帯びていく。
温かいコージの舌の感触と冷たく感じる歯磨き粉。それが交代であたしのクリトリスを責める。
指先で剥いた皮と芽の境目をなぞるように舌先が這って。コージの舌が入らないその隙間に歯磨剤が入り込む。
クリトリスの根元をメンソールが刺激して、味わった事のない快感が体を突き抜けた。
「あは……っ、あん……すごい、気持ちい……」
「コリコリになって……アイちゃんのがこんなに勃起してるの初めて見たよ」
興味深く指でこすったり甘噛みしたり、小さな粒を執拗に責め立てる。
おまけにこんなに小さい中にもちゃんと気持ちいい場所があって……コージはそれを知り尽くしてるから困る。
責められている箇所からお腹、心臓の辺りまで気持ちいいのがどんどん広がってきて、その波に飲み込まれていった。
「あっ……!そのまま……イッちゃいそ……あん、やだ……いく……っ」
達して、いつもなら波が収まるのを待つように体を丸める癖があるんだけど縛られているせいでそれができない。
ビクビクと大袈裟に跳ねる体を恥ずかしく思いながらコージの方を見た。
「まだスースーするよう」
「ふふ、さて次はと……」
「ええっ、まだするの!?あたしイッちゃったよ?」
「男じゃないんだから一回で終わらなくていいでしょうが。これ使ってみよっか」
取り出したのはコージの超音波歯ブラシ。スイッチを押してウィーンと細かく振動している所を見せてきた。
「そんなの絶対痛いよ!」
「プラスチックのとこ当てればローターと変わんないって」
「で、でも……ばっちいし」
「何だと!?」
「違うよ。歯ブラシじゃなくて……」
「あぁ。アタシのエッチなお汁でコージの歯ブラシが汚れちゃう〜って事ね」
「……そんな言い方、」
「いつも直接舐めてんのに、今さら気にする?嫌がったってするからね」
優しい声色は相変わらずに、それでも否応なしに再び皮をめくってくる。
そこにスイッチを切った状態で冷たくプラスチックの部分を当てた。
「いっぱいイッてね」
「え……ああっ!ちょっと、待って……あん、だめ、これ……あああぁぁっ!いやぁん……っ!」
小さなクリトリスの一番感じる所に強い振動を与えられて、あっという間に真っ白になった。
あまりにも強い快感に歯を食い縛ってイッてしまった。
「はぁ……、イッちゃった……ねぇ止めてよう」
「アイちゃんなら連続イキできるよ」
そんなの無理……って言おうとしたら達して感覚を失ったクリトリスがまた感じ始めてしまって……
「あっ……コージ……だ、だめ!あんっ、あん……怖い……」
「ほら、イけよ」
「ああんっ!いく、いっちゃう……!」
お尻にぎゅーっと力が入って動けないなりに腰を振ってまたイッた。
それでもコージは止めてくれない。彼のこんなSな部分を見るのは初めてで、段々と恐怖さえ感じてきた。
「も……無理ぃ!止めて……もう、イケないよ……ああっ、あああぁぁっ!止めてよぅ……いや、いやなの、怖い……」
どんなに腰をくねらせても振動はそこから離れてくれなくて……またイッてしまった。
「アイちゃん、かわいい」
「ううっ……あああっ、やだ、何か……ダメ!本当に、もうダメ!おしっこ出ちゃうぅっ!」
「いいよ。我慢しないで出して」
「やだぁ!あんっ、出ちゃうよ……見ないで、恥ずかしい……っ、うあああんっ!」
イキながら勢いよく飛び散ってる感じがした。短い間隔で何度か噴いて、あまりの恥ずかしさに涙が目尻から溢れてくる。
「ひっく……恥ずかしいよ……」
「よしよし、ちょっと休憩ね」
音波ブラシを切ると、あたしの髪を撫でてキスしてくれた。
撫でられて初めて自分が頬に髪の毛が貼り付くくらい汗ばんでいるんだと知った。
「おしっこじゃなくて潮だね」
「そんなのどっちでも恥ずかしいってば……ううっ、コージのばか」
「中、全然触ってないのに噴くなんていやらしい」
「イジワルすぎ……」
「だって悔しいでしょ。僕のオカズはアイちゃんなのに、アイちゃんのオカズは2ちゃんだなんて」
「え……もしかして、怒ってる……?」
「うん。だからまだ止めないよ?」
☆違うのに。SS読みながら想像したのはコージだもん。
あたしだってちゃんとコージでイッてるのに……と説明したかったけど再び与えられた振動に、まともにしゃべれなかった。
「ああっ、ちが……あん、そこ、もう……いやぁ!」
「違わない。あームカつく。ここの職人さんにイカされてたんでしょ。この浮気者め」
「あう……ごめ……なさぃ……」
もう三文字以上しゃべれないよう、あーん。
連続でイッちゃうなんて嘘だと思ってたのに、あたしどうしちゃったんだろう。止まんない。
絶頂の繰り返しと言うより、長く長く頂点にいる感じで、終わってくれない。
「あ、たし……おかし……ああっ……!助けて、怖い……ひっく……ああああんっ!」
「あーあ、でちゃったね」
何が?と思ったらお尻の方へ温かいものが……やだ、今度こそ本当におしっこ漏らしてる?
歯ブラシは放って、食い入るようにそこを観察されて……
不思議と自分では放尿してる感覚はなかった。ただ、じわーっと温かく濡れていくのがわかるだけで止めようと思っても止められない。
「お漏らしなんて恥ずかしい子だねぇ」
「ううっ……もう許してよう」
「よしよし。じゃキレイにしよっか」
色んなのでぐちゃぐちゃのあたしのあそこに顔を埋めてジュルジュルとすするコージ。
「もうっ……!やだ、舐めちゃだめえぇ!」
「おしっこ塩っ辛い……アイちゃん、塩分控えた方がいいよ」
「ううっ……コージきらい……」
散々いじられたそこを優しく丁寧に舐められて、なんだか胸が熱くなる。この手が縛られていなかったらコージの髪を撫でていただろう。
クリさんの舐め方で愛を感じてしまうなんてあたしもバカだなぁと思った。
「僕はアイちゃんが好きだけどねー」
「うん……もう解いて?普通にエッチしよ」
「条件があります」
「まだ何かあるの!?」
「僕が今アイちゃんにしたこと、SSにして投下すること」
「ぇえ?か、書けないよ!書いたことないし!」
「住人なんでしょ?できるできる」
あたしを縛っていたリボンを鼻歌混じりに解きながらあたしを見た。
嬉しそうな顔……
「GJもらえるといいね」
「どーだろ」
「GJもらえた数だけまたイカせてあげるから」
「……」
みなさん、どうかGJしないでスルーして下さいませ。壊れちゃいます……
おわり