似たような顔に同じ表情を貼りつけたキャスター達の口から残暑という言葉がやっと出なくなったここ最近。
蝉が鳴かないだけいくらかマシだが、それでも真昼間の直射日光にはうんざりだ。
最後の一つを腕を使った振り子の反動で押し上げた。
摘まんだシャツの襟元で鼻下を、上げた腕の肩口でこめかみの汗もそのまま拭ってしまう。
(さっき中入ったときに、タオル取っときゃ良かった)
声を張りあげて家の中にいる母さんに呼びかけると、リビングの窓からひょっこり顔が出てくる。
「…かあーさーん!!やっぱりこれ以上は無理だって!」
「やっぱりぃ?じゃ〜ねえ、一回倉庫に置いてきてくれる?」
「俺一人でかよ!」
「しょうがないじゃないの〜。母さんも掃除頑張るんだから」
ね?と言いながら俺の返事も聞かずに丸顔はいなくなる。
頑張るのは分かる、それは分かる。
が、今し方自分で積んだ軽トラに目一杯の段ボールを、一人でまた運び降ろすのかと思うと溜息も出るだろうに。
「はー…」
いよいよ実家の改装工事の日が近づいてきたせいで俺は片付けに駆り出されていた。
捨てると言ったはずのガラクタたちも知人の倉庫を借りれることになった途端、哀愁を漂わせていたかと思えたのに、今ではすっかり我が物顔で段ボールの中だ。
絵梨奈とのことがあってから丸一ヶ月がたった。
あの日、俺は夢も見ずマヌケにも眠り続けて、目が覚めたときには昼をとうに過ぎていた。
自分と壁との間に眠っていた筈の絵梨奈の姿はなく、それはもちろんと付け足さなくても分かりきったことで。
異臭を放ってがびがびに固まった精液だらけの冷えたシーツの中、独りきりで起き上がる。
絵梨奈はどんな思いで目覚めたのか、どれほどの嫌悪で立ち上がったのか。
ならどうして、毛布を掛けなおしていったのか。
想像もつかない。
あんな馬鹿げた最低の行為で、自分の気持ちが伝わるだなんてありえない。
もし伝わったとしても、そんなものは反射屈折を繰り返して、届く頃には原形など跡形も無い。
男の体で組み敷いたその下で、押し付けた欲望ばかりが彼女の瞠った黒目を大きく占める。
久しぶりのミッションで半クラ失敗、一回エンストしてから最寄駅の裏手の倉庫に着いた。
埃っぽい屋内とひび割れて禿げかけた駐車場を何度も往復する。
いたるところに散らばった、角ばったアスファルト片がハイカットの足裏にめり込む。
(いて。てか喉渇いた…)
人間は弱い生き物には違いないだろうが、だからといってそう簡単にも死ねない。
自分の心一つで死ねる人もいるだろうが、俺はそういった類の人間ではなかったみたいだ。
腹が減れば食べれる、眠くなれば眠れる。
しばらく眠れなくても平均睡眠時間が2時間になっても、固形物が喉を通らなくても主食が染谷に貰ったガム1個でも死んだりなんかしない。
俺は消えたりできない。
(そんなつもりないけれど)
加害者が被害者面するのは、可笑しいだろうから。
いつも通りに笑える自身は無かったが、鏡を見ればきちんと笑える“拓馬”がいた。
トイレでげーげー吐いたって、毎日大学の講義を友達と受けて、母親の愚痴も適当な相槌で聞けた。
ただセックスもオナニーもする気にはならなかった。
一人、アパートにまで来てくれた女がいたが部屋にさえ上げず、無心に携帯のメモリーをどんどん減らし続けた。
「ッ!!………い、ってぇ〜」
おざなりに作業を進めていると、今度は倉庫入り口の段差に蹴躓いた。
持っていた段ボールは投げ出され、ついた掌と膝にじんじんと血が集まりだす。
立ち上がる気力もなく、汚れるのも構わず俺は腰を下ろした。
少しぼーっとしてからひっくり返ったままの段ボールをおこすと、ささくれ立った皮膚がかさこそと音を立てる。
周りに散乱した物に目をやると、どうやら俺がまだ幼かった頃にかいた絵や作文、初めて折った折り紙、使ってた連絡帳なんかまであった。
嬉しいやら呆れるやら、軽く眺めたりパラパラと流し読みしながら一つずつ元に戻していく。
ふと、目についたものがあった。
丸く切り取った厚紙に金色の折り紙が貼られ、その上に一回り小さな銀の色紙が重なり、そこに油性ペンで覚えたての平仮名が書かれてあった。
水色の首掛けの紐が指の間から垂れて埃を掬う。
『――――おめでとっ!すごいねー、拓ちゃんがんばったねー!』
『そんなにすごくないよ…』
『はい!!!これッ』
『くれるの?』
『うん、首にかけてあげるね!』
『ぷっ…へたっぴな字だなあ。“おめでとう たくちゃん”って書いてある?』
『これでも、がんばってかいたんだよ。笑わないでよー』
『ごめんごめん、ありがとう』
なにを褒めてもらったのか、自分でも思い出せないほど些細なことだった。
でも、絵梨奈はにこにこしながらこれをくれたんだ。
「……、…」
昔から、いつだって、絵梨奈は絵梨奈なりに好いてくれていたのに。
たとえそれが兄や友を想うようなものだったとしても、ありのまま素直に受け入れるべきだったのに。
俺が、ぜんぶ間違えた。
「…っ………っふ…」
枯れたはずのものが溢れて折り紙に落ちていった。
金や銀が水分を弾いていくれてよかった、こんなもので、汚れなくてよかった。
玄関のドアを開けると、待ち構えていたかのような母さんに出くわした。
靴を脱ぐのに手間取るフリをして顔を上げずに返事をする。
「遅かったわね〜!今、電話しようかと思ってたのよ〜」
「ガラクタが重くて時間くったの」
「失礼ねっ、ガラクタじゃないわよ。大事なものばっかりなんだから」
「…うん。俺、風呂入るわ」
「あ、もう少ししたらご近所さんがみえるから。折角だからリビングに顔出してね〜」
「こんなぐちゃぐちゃで人様が座れるところなんか」
母さんが無言でリビングにつづくドアを開け、意味不明のポーズを取り出す。
どうだ!と言わんばかりの表情の向こうには、普段の生活に必要のない家具やガラクタの無くなった分、すっきりと広がった空間に机と来客用の座布団が整然と並べられていた。
「リビングばっかり掃除してるなーと思ってたら…これのためか」
「ふふふ〜。さ、早くお風呂入ってらっしゃい!」
バンッと背中を叩かれて、つんのめる俺の後ろで母さんが十八番を口ずさみ始めた。
熱めの湯を頭からかぶり、素手でザラつきを撫で掃って流した。
沁みる目元をよく拭って風呂からあがると、うっすらと浮いたあばらが西日を受けて洗面台の鏡に映りこんでいた。
浮遊する塵があわく輝く。
不意に繋がった廊下の先、玄関のほうが騒がしくなる。
ドアの開け閉めや衣擦れの音、それに伴って三和土で靴の上から砂利を踏みしめる音が聞こえてくる。
「皆さんいらっしゃい!暑かったでしょ〜」
「お邪魔しますー。あら!大分、片付いたのねぇ」
「お邪魔しまぁす!」
「あの…これ、良かったら茶請けの足しにしてくれる?」
「まあ、まあ!さ、どうぞあがってあがって〜」
(これまた結構な人数だな…)
床伝いに響いてくる足音だけで判断してもすでに4、5人のご近所さんを迎えているようだった。
自然と瞼は落ちて、タオルの両端でがしがしと頭をかきつつ聞くともなしに自分以外の気配へとぼんやり想う。
先着した一行から僅かな間を空けて、再びドアが軋んで開閉を知らせた。
「こんにちは、お邪魔しますね。遅くなっちゃったかしら?」
「いらっしゃ〜い。そんなことないわよ、大丈夫よ〜。あら!!」
「お邪魔します…。おばさま、お久しぶりです」
ソプラノとアルトの中間あたり、滑舌はあまり良くなく、でもホットケーキの輪郭のように柔らかい優しい曲線を孕んだ声。
「絵梨奈ちゃんったら、会う度に美人さんになってくんだから〜。こんな年寄りの集まりに来てくれるなんて嬉しいわあ!遠慮なくあがって、お茶でも飲んでってちょうだい」
「はい、ありがとうございます」
袖を通したばかりの真新しいシャツが吸い寄せられ、みるみる体に張り付き、背中に汗が染みていくのが嫌でも分かった。
掌の窪みに溜まったかと錯覚しそうになるほどの手汗を掻いて、視界の隙間からふやけた掌、指先を見ると爪の白半月が覗いた。
絵梨奈を押さえつけた体が汚い。
この手が俺が、汚い。
「今日はちょうど拓馬も手伝いに来てて――…」
話し声が遠退き、蝶番がキィイーと鳴って廊下が静まると、俺は風呂場から飛び出し必死になって階段を駆け上った。
“気付かれないように”その一心で、足音を潜めて体を縮めて2階の一番奥の部屋へ入った。
扉に預けた背中が熱い。
すう、はく、すう、はく、すう、はく、すう、はく。
「はっ……はっ…はっ…」
犬よろしく自分の荒い息がうっとうしく耳につく。
心臓は早鐘をうち、足りない頭を回すためにも律儀に呼吸を繰り返すのに、吸ったことしか記憶に残らない。
いつまでたっても落ち着かず、ずるずると座り込めば色々な物が乱雑に置かれた部屋の中で埃が舞った。
今では物置がわりだが、ここは元は俺の部屋だった場所だ。
無理に肺に入れた酸素が苦くて、喉に広がった渋みが消えない。
「…――どこ行っちゃったのかしらね〜、本当あの子ったら」
ドア1枚分、くぐもりが薄まった声に肩が跳ねた。
もう一人の声が母さんに返事をしたはずなのに、他の来客のお喋りにかき消されて聞こえない。
室温があがった気がして、警告音が鳴ったような気がして、気が急く。
「顔出すように言ったんだけどねえ……あ、部屋は散らかってるけどそれでもよければ好きにしてて。お洋服汚れないようにね〜」
トンッと一段、踏み出す音。
ダメだここに居てはいけない、会うわけにはいかないだろう、そもそも顔も見たくないはずだ、ならどうして、逃げろ、隠れろ、でも、どこへ。
混迷する意識でも耳だけは研ぎ澄まされて、トントンと階段を登るのを確かに聞いていた。
すぐ向こう側にいる人の足が部屋の前でそっと止まった。
(なんで)
「…………拓ちゃん……?」
金色、銀色、キラキラに縁取られたこの声を、もう聞けることはないと思ったのに。
(もう関わることは一生ないと思ったのに)
無意識のうちに深い息を三度吐いて、ドアへのろのろと向き合おうとればす、自分の存在を不安定に感じて右手で左手を握る。
ふわふわした震えが手首から流れて、ちゃんと体温が続いた。
もう一度、声がかけられた。
取っ手に腕を伸ばす。
ゆっくりとドアを押し開いても互いに無言で、脇へ避けた俺の前を絵梨奈が通り過ぎる。
「物いっぱいだけど、あんまり変わらないね…」
部屋を見回した絵梨奈が小さく呟くので、俺は甲斐性もなく呻くようにああとだけ返した。
本当はもっと自分から話さなくちゃいけないことがあっただろうし、聞きたいこともあったけど口からは出なかった。
「久しぶり、だね……痩せた?」
俺の目の前に絵梨奈が立って視線が繋がった。
真正面の頭2つほど下、口を結んで上手く笑えていない顔があった。
他人が自分を映す鏡なら、あれは俺の顔でもあるのか。
へたっぴな顔だと思った。
答えを求めていない質問は置き去りにして、絵梨奈は続ける。
「なんで……あんなことしたのか、聞いてもいい?どうして、泣いたの?」
必死に震えを抑えた声音に身勝手に胸がつまる。
出来れば聞かないで欲しかった、俺は答えられない。
それに俺の答えがなくとも絵梨奈の答えは決まってるのに、目が、そう言ってる。
瞬きに紛れて視線を外した。
繋がりが絶たれた瞬間、視界の端で絵梨奈が苦しそうに息を呑んだ。
黙り込み続けた挙句に顔も上げていられないなんて俺はとことんまで腐ってる。
一々そうやって間接的に突きつけてくれなくても知っている。
耳が痛くなるほどの長い沈黙のあと、隙間なく閉じられていた喉を抉じ開けた。
ほとんどの動きを止めて、自信なく喋りだしたのは俺だった。
「俺、と……俺の傍にいて、怖くないのか?あんなこ」
「こわいよ」
顔はまだ見れない。
細い足指が床に食い込んで縮こまって、爪が白んでいくのをただ眺めていた。
「……じゃあなんで……」
「こわいよ!!怖いに決まってる!」
叫びは強い主張を表して、弾かれたように俺は絵梨奈を見る。
「だからって…怖いからって、逃げてばっかりじゃいられない。逃げたぐらいじゃ私、吹っ切れないよ。拓ちゃんを避けたって、結局自分自身からは逃げられないんだよ?……でも」
瞳の淵にめいっぱい涙を溜めて、それでも零れた痕に髪が張り付くのにも構わず、口を大きく大きく開けて言葉を縒り上げる絵梨奈に、相槌さえ忘れて見とれていた。
「私だって、どうしたらいいのかなんて分かんないよぉ…」
目の前で泣く絵梨奈の涙も拭えない。
この右手は強張るばかりで一向に動こうとはしない。
(ああ、俺)
「私…拓ちゃんが、好きなんだよ。ずーっと前から好きだ。…あんなことされて怖いのに、この気持ちは無くなってくれない」
相手を、心で求めて、体は拒む。
堂々巡りの無限ループ。
「……うん……うん、……うん」
緩みきっていた涙腺はやっぱりもたなかった。
絵梨奈が話してくれたことには何も返せないで、馬鹿みたいにうんうんとしか言えなかった。
への字に曲がった口と涙と鼻水で、まだ頭と言葉がまとまらない、心と体が遠い。
責任を、と言われればどんな形や手段であってもそれ相応の責任をとるつもりだった。
謝罪をと言われれば謝罪を、罰をと言われれば甘んじて、責められて咎められて、存在自体を淘汰されるべきだと思っていた。
でも絵梨奈は“逃げるな”と言うから、俺は俺を確かめる。
目もある、口もある、濡れたままの伸びた髪は次の休みにでも切ろう。
絵梨奈とはつくりの違う筋ばった腕、握る拳に力も籠もりはじめる。
埃まみれの足でも床から垂直に立っていられる、体の中心ど真ん中で、無くならない想いもある。
10分か20分、いや、30分は優に経っていたのかもしれない。
西日が夕日に変わるまで、黙って二人泣いて泣きつくした。
途中どちらからだったか互いに音もなく座り込んで、子供みたいに手の甲や袖で何度も顔を拭った。
少しずつ息を整えて絵梨奈を見やると、真っ赤な鼻に黒ずんだ目元、ストライプの七部袖がぐっちゃぐちゃだ。
絵梨奈もこちらを窺ってか自然と目があう。
「……お化粧、とれちゃった」
「うん……パンダ」
「うるさいな」
「大丈夫、かわいいよ」
瞳がぐらぐらと揺れて、絵梨奈は両手でジーンズの小さな膝を握り締めては俯いた。
額の下辺り、ハの字眉の間に皺がよる。
「…そんなの、今まで、一度だって言ってくれたことなかったくせに…ずるい」
「ごめん」
体を起こして姿勢を正すと同時に絵梨奈の肩がビクッと跳ねた。
胸が痛んだが、傷つく資格もないので歯を喰いしばってやり過ごした。
一拍置いて今度は驚かせないように徐々に動いた。
手をついて背を倒して頭を床につける、つまりは土下座だ。
腹めいっぱい、苦しくなるまで酸素を吸い込む。
「この間のこと、ごめん、ごめんなさい。あれは全部、俺が勝手に……」
語尾が頼りなく、全身からは汗が吹き出て、床と両手の合間がぬるんだ。
(逃げるな、逃げるな)
挫けそうになる決心を奮い立たせて、さっきと同じ、吐き出す以外の選択肢をえらべないように深く深く息を詰め込んだ。
のに、言葉に詰まって、歯切れの悪い不必要な前置きばかり長くなる。
「…こ、んなこと言えた立場でもないし、本当なら」
「言って、ちゃんと教えて?」
俺が一番伝えたいことは、伝えなくちゃいけないことは何だ。
「俺……絵梨奈が好きなんだ、もうずっと。自分のことは棚に上げて、絵梨奈が誰かのものになるなんて許せなかった」
こめかみから額へ、汗が逆流する。
自分の体温で額のフローリングが暖まっていく。
「謝ったからって許されるなんて思ってない。けど絵梨奈がまだ俺を選んでくれるなら頑張りたい、一緒に考えていきたい。俺、逃げないから」
(だからどうか選んで)
どこまでも自分勝手だったが、それが今の、足掻いてみたって結局は捨てられなかった正直な気持ちだった。
選んでほしい。
可能な限り、傍にいたい。
「……うっ…、……ッ…ばかぁ……ぅーー」
「絵梨奈…?」
俺は恐る恐る顔を上げる。
「嬉しいよ!でも言うの遅いよ!あの、あの時ひっ、く……私、拓ちゃんに好きだって言うつもりだったのになんで私が誰かのものになっちゃうのよ!!」
「え?え?だって……見合い…するって」
「そんなもの!とっくに、断ってる……」
「…………」
号泣しながら感嘆符に合わせて床をバシバシ叩く絵梨奈、二の句を次げない俺。
「もうっ…本当ばか……」
「………………ごめんなさい。でも……本当ごめん、今、俺よかったと思ってる」
卑しい、けどそれが本心でこれが俺だ。
正座した膝の上、握った手の甲へぼたり、ぼたり、落ちる水滴が温かく染みていく。
安堵して泣いたのは、舌足らずな子供の頃以来のことだった。
決壊したものは自分の意思ではどうにもならなくて、情けないとは感じたが今更だとも思えた。
「拓ちゃん」
「ごめん、今日涙腺ゆるくて」
「……二人とも顔ボロボロだね」
「うん」
俺たちは静かに見つめあった。
絵梨奈が少し離れた場所にいて、言葉を選んでいるのが分かった。
その気遣いは自分のためだと、今なら、卑屈にならずに受け入れられる。
「許せない気持ちも、怖く思う気持ちも、なくなりはしないのかもしれない。けど、拓ちゃんが逃げないで向き合って考えてくれるなら、私も頑張る」
これからよろしくお願いします、とぺこんと頭が下げられて。
「ありがとう。……嬉しい。こちらこそ、これからも出来ればずっと、よろしくお願いします」
俺も頭を下げた。
変わるものと変わらないもの、満たすことと満たされること。
体温を取り込んで優しくなった部屋で、苦くぎこちなくとも二人で笑える幸せを忘れないでいたい。
「拓馬〜ッ!!!絵梨奈ちゃ〜〜ん!お茶菓子、一緒にいただきましょ〜〜〜」
「 「 はーーい! 」 」