「ねえ!早く学校行こうよ!」
とある朝、窓の外から幼馴染の声が聞こえる、
「今日遅刻したら掃除の罰当番だよー!」
いや、俺たちの関係は幼馴染なんて生易しいものではない、
「いい天気だよー!」
産婦人科の隣のベッドからの付き合い、なんてありがちなものでもない、
「今日のお弁当は君の大好物の……だよー!!」
最初の出会いは中世、とある騎士団の騎士(俺)と第一皇女(あいつ)
近隣諸国にまで評判の美人だったらしい、
ただの騎士である俺は嫉妬やら何やらで謀殺された、
あいつは俺の後を追ったらしい、
「新しい朝だよー!希望の朝だよー!」
次は江戸中期わりと宮大工の俺と有力な旗本の娘なあいつ、
普通に考えて許されない恋、
二人で悩んだ末にコードレスバンジー。
「はやくはやくー!」
今度はいきなり宇宙になった、
「疾風」の通り名をもつエースパイロットの俺、
歌声で兵士たちの心身を癒す敵軍の歌姫のあいつ、
戦争は無事終結してハッピーエンド、
…かと思ったら最後にイカレちまった指揮官の超兵器で二人まとめて光に消えた、
「朝食を食え!学校の支度をしろ!今日は始まったばかりだ!
ハリー!ハリー!ハリー!」
その次はファンタジー、勇者と魔王の世界だった、
神竜の末裔とされる女勇者のあいつ、魔界のとある村に住む村人Aの俺、
仲間を裏切り勇者に協力するも村ごと魔王に消滅させられた、
勇者はすべてが終わった後に自決したらしい。
まだまだ続きはあるがキリがないのでカット、
記憶はお互いが出会った瞬間全て蘇る、
……毎回の別れも全て、
次こそは幸せな未来を望む誓いの言葉も。
……どうでもいいけれど俺社会的な地位あいつより上だったことなくね?
「早くしなさーい!!」
いきなり部屋のドアが開かれる、
我が愛しの姫君が痺れを切らして俺の前に現れた、
やれやれと起き上がる、
今回は現代、幼稚園の時に引っ越した家の隣にこいつがいた、
いつもより早い出会い、平和な国、時代、
今度こそは望んだ最後を迎えられるかもしれない。