「…以上でお引越しのお荷物はすべてとなります。こちらに受け取りのサインをお願いできますか?」  
引越し業者が受け取り票を差し出し、俺に受け取りのサインを求めてくる。  
俺は、ダンボールを下敷きにして業者の要求に従い、受け取り票を業者に返す。  
「はい、ありがとうございます。では、またお引越し等のご用件がごさいましたら、  
弊社までご連絡お願い致します」  
軽く会釈をすると、業者はアパートの階段を軽快に降りていった。  
 
早速ダンボールの箱を開けると、たくさんのDVDディスクの詰まったピンク色のケースが目に付く。  
『おにぃ頑張ってね!!あたしも頑張るから!!       真帆』  
丸みを帯びた文字でそう書かれた紙が、ケースの上面にセロテープで固定されている。  
もうあれから2年が経つのか…妹の真帆が同じ高校に入学し立て時のことを懐かしく思う。  
このディスクには、他人には言えない、俺と真帆だけの思い出がたくさん詰まっている…  
 
高校時代の俺と真帆の2人で作り上げた、沢山の物語が…  
 
「おにぃ〜見てよ!!新しい制服だよ!!」  
妹の真帆が自慢げに制服を見せている。明日は真帆の入学式だ。  
「制服着てそんなにはしゃぐなよ…しかも家の居間で」  
「だって〜前から着たかったし〜。でも、ほんっとにかわいいよね〜この制服」  
 
真帆がはしゃぐのも無理はない。このブレザーの制服は、高校のOBで、  
俗に言う一流デザイナーが作製したものだからだ。どうやら高校の校長が新入生徒獲得の一環として  
このデザイナーに頼み込んだらしい。そして見事に校長の思惑通りになり、この制服に変わってから  
受験の倍率が女子生徒を中心に倍近くに増えた。俺自身も別の高校に進学をするか悩んでいた時、制服  
のデザインが良かったのが決め手の一つになったので、校長の策略に見事に嵌った一人なのかもしれないが…  
 
「真帆、おまえまさかその制服着たさに決めたんじゃないだろうな?」  
「そんなことないってば」  
「じゃあ理由はなんなんだよ?」  
俺の問いかけに、真帆は急に視線を反らし、両手の指を軽く擦るしぐさをする。  
なんかおかしな質問でもしてしまっただろうか…こちらも急に不安になってしまう。  
「なんなんだよ…急に」  
「それは…おにぃと…一緒の高校に…入りたかったから。学校でも…おにぃと…一緒にいたいから…」  
真帆は頬を赤らめながら、照れくさそうに言う。  
なにを言い出すんだこいつは。そのしくざで言われると、こっちまで照れくさくなってくる。  
「おいおい…おかしな冗談いうなよ」  
そう言うと、突然真帆は自分のシャツの肩から少し下の部分をぎゅっと掴み、  
上目遣いで何か訴えかけるような視線で俺を見る。  
「冗談じゃ…ないよ。本気…だし。だって最近、おにぃといると…なんかね、胸の奥が熱くなるっていうか…」  
「ぇ……」  
そのあまりも真剣なまなざしが、俺の心を揺さぶらせ、心臓の鼓動を早めていく…  
返す言葉もなくしばらく真帆を見つめていると、突然真帆が悪戯っぽく笑みを浮かべる。  
「スキあり!!」  
頭に軽い手刀を食らわされた。突然の行動に、唖然としてしまう。  
「あっははは!!おにぃときめくなんてありえないって〜。少女漫画じゃないんだからさ」  
真帆の態度に少しイラっとしてしまう。10年前だったらココで喧嘩になるが、今は義務教育を終えた身だ、  
ここは我慢しよう。  
 
「本当の理由はね、あの高校の演劇部に入りたかったからなの」  
やっぱりそうか…俺の高校の演劇部は、劇の質の良さで有名で、学園祭になる劇が目的で毎年地元のTV局が  
取材に来ているほどだ。俺自身も、演劇部に所属している…昨年度は脇役に徹していたが。  
「演劇部にはいって、ヒロイン役になれば、TV局が注目して、もしかしから…」  
「そんなんでモデルとか女優になれたらだれも苦労しねぇよ。オーディションとか受けた方が  
よっぽど可能性あるだろ」  
「へへ…やっぱり〜。でも、オーディションは受けるよ。高校生になったら解禁されるもんね」  
 
モデルから女優へ…それが真帆が抱いている昔から変わらない夢だ。俺たちの母がグラビアモデル  
であったからだろうか、血は譲れない。真帆の夢について母は反対していたのだが、あまりにも真帆が真剣  
に語るので、高校からはオーディションを受けることを許可したらしい。  
俺自身も、いつか映画館で放映されるような映画を作りたいという夢を持っている。  
お互い、笑っちゃうような夢だけど。  
「これで自分の夢に挑戦できる……演劇部に入るのは、演技の練習のためだね。さっきみたいに…あははっ!!」  
真帆の笑い声でさっきのやり取りを思い出してしまい、顔が歪んでしまう。  
「でもうちの演劇部舐めてもらっちゃこまるなぁ…真帆だったらてんぱって…ってことはないよなぁ。。。」  
中学時代の卒業式を思い出した。俺が3年で卒業した時、真帆は代表の送辞をやったが、送辞の台詞を一切読まずに  
堂々と話していた。モデルの子だけあって、肝が据わっている。  
「そうそう、そんなことないない!…ぁ、せっかく制服来たから、いつもの撮影、しようよ」  
 
いつもの撮影と言うのは、小学生のことだろうか、俺と真帆でやりはじめたちょっとした遊びだ。  
俺が親父の部屋にある高級一眼レフカメラを勝手に持ち出し、真帆を撮影したのが事の始まりだ。  
親父がそのフィルムを現像した時、『カメラワークが神ががっていた』らしく、  
俺の誕生日の時にそのカメラをプレゼントしてくれた。  
以来、そのカメラを使ってポーズを決めた真帆を撮っては2人で盛り上がり、  
今まで1000枚以上の写真を撮ってきた。親父は自分のカメラワークを褒めていたが、  
自分以上に、写真に写っている真帆がよかったのだと思う。サラサラのロングヘアーに小顔でパッチリとした目、  
ぷっくりとかわいらしく膨らんだ口元…身長は162cmとそこまで高くないが、手足が長く腰の位置が高いので、  
実際よりも背丈が高く見えてしまう。  
真帆がいいから自分の写真が良く見える…特に最近なんかは。  
真帆の要求を呑んだ俺は、自分の部屋からカメラを取り出し、真帆に指示を出して写真を撮っていく…  
「今回の写真も楽しみ〜パパと同じでおにぃのカメラワークすごくいいからね」  
俺の親父はモデルや結婚式などのカメラマンをしている…妹と同じでこのカメラワークも  
親父ゆずりなのだろう。  
「パパとママもこんな風に撮影してたのかな…」  
真帆が俯いてポツリと呟く。…そんな真帆の姿も、極上の絵になる。  
こうして築き上げられていく一枚一枚の写真が、俺たちが親父と母親の子供であることの証明となっている。  
いつか親のような存在…いや、それ以上の存在を夢として抱きながら。  
しかし、一週間後その親の『存在』が打ち崩されることとなる。一本のビデオテープによって。。。  
 
入学式が終わって一週間後か過ぎ、新年度の慌しいムードも落ち着き始めていた。  
昼休憩になり弁当を食べていると、友達である智也が興奮気味に話かけてきた。  
「おい、恭介!!これ見てみろよ!!」  
智也が突き出している物をみる。どうやらVHS型のビデオテープらしい。  
「フフフ…これは、昔大ブレイクしていたAV女優、桃井 メグの引退作品らしいんだ…」  
「昔大ブレイクって…俺AV詳しくないし。  
それよりも、なんで俺にそんなに興奮して話す理由がわからん。智也ならもっといいAV沢山持ってるだろ?」  
「これを見てみろよ」  
智也はそう言うと、発売された年月日を指す。平成2年…自分が生まれた年だ。  
「次にこれを見てみ」  
次に智也は出演しているAV女優の顔を指差す。その顔を良く見てみると、こいつの意図していることが理解できた。  
「…たしかに、俺の母さんににているかもしれないけど、違うよこれは。俺のの苗字は長谷部だし」  
「苗字なんかわかんないって。AV女優なんかほとんど偽名つかってるんだし。  
しかもこのタイトルからしてみて、撮影中に相当中出ししたんだろうなぁ…」  
智也がいやらしい顔つきでビデオテープを眺める。タイトルを見てみると『桃井 メグ 覚悟の中出し10連発』  
と書かれていた。  
「このAV女優が恭介のお母様だったら、この撮影中で恭介の元となった精子と卵子が合体したんだろうなぁ…うんうん」  
なにを納得しているんだ。わざとらしく首を縦に振る智也をみて、怒りよりも呆れてしまう。  
「んなわけねぇだろ…俺の親父はカメラマンだし。AV男優どころか撮影もしてない」  
「わかってるって〜でも、興味ない?これ」  
たしかにAV女優の顔は俺の母に似ている。べつにこの女優が母親だとは思わないが、  
その事実が俺に興味をそそらせる。  
「…わかったよ。今度ファミレスでなんか奢ってやるから、貸してくれ」  
「まいどあり〜」  
思惑通りになったのが嬉しいのか、智也は満面の笑みで俺の席から離れていった。  
 
家に帰り、誰もいないのを確認すると、早速居間にある古びたビデオデッキを起動させた。  
本当は自分の部屋で見たいのだが、パソコンしかなく、DVDしか見れないため仕方なく居間で見ることにした。  
「さ〜てどれどれ…」  
ビデオを入れて再生すると、タイトル画面が表示され、さっそく本編が始まった。  
ベッドの上に下着姿の女性が横たわっている…さすがに20年近く前の映画なのでファッションや髪型も  
一昔前のものだ。改めて見たが、やはりこのファッションはダサいような気がする…  
「きて……」  
女性がそう呟き、画面に向かって手招きをする。  
すると男性が手前から現れる…  
「おいおい…冗談だろ?」  
思わず声に出してしまった。その男が、俺の父親の若い頃にそっくりだからだ。  
でも俺はその時点では信じられなかった、いや、信じたくなかった。  
まだ、声は全然ちがうかもしれないし、20年前の映像だから画質の悪さでそう見えるのだろう、そう自分に言い聞かせた。  
「じゃあ、熱いキスをしてやるよ…」  
声も親父そっくりだ…でも、まだ親父だと断定するわけには…  
俺の心の中では親父=画面の男という式を必死に否定している。  
しかし、男が女性の下着を脱がし始めた時、決定的な証拠を見つけてしまった。  
わき腹にある古傷だ。ここまで一致すれば、この男が父親であることはまちがいないと思わざるおえなかった。  
男…いや、画面の中の若い親父が女性の乳房を舐める。  
「あっ……ああっ!!」  
女性の甘美な声が聞こえる。この声も母親にそっくり…いや、母親のものだ。  
「まじ……かよ」  
俺はただ呆然とその映像を眺めるだけだった。  
いままで聞いた俺の親父と母親の職業は嘘だったのかよ…じゃあ、親父は今、どういう仕事をしているんだ?  
いろんな疑問が頭の中を駆け巡り、混乱する。  
 
ガチャ…  
玄関のドアが開くのと同時に、俺は慌ててビデオデッキに手を伸ばす。  
この時間帯…おそらく真帆が帰ってきたのだ。真帆はすぐに居間に入ってきたので、ビデオを出してソファーの間に  
隠すことで手一杯だった。  
「ぁ、ただいまおにぃ」  
「あぁ、おかえり、真帆」  
俺はただ、何事もなかったかのようにテーブルの上においている雑誌を手に取り読むふりをする。  
真帆は荷物を食卓の椅子の上に置くと、俺の横に座りリモコンを手に取る  
「この時間ってあんまりいい番組やってないんだよね〜」  
真帆がテレビの電源をつけるが、画面が黒いままだ。入力切替をするのを忘れていた。  
「あれ?おにぃ映画とか見てた?」  
「いや、親父がみてたんじゃないの?俺は今日テレビ見てないし…」  
なるべく視線を合わせないように雑誌の記事に目を向ける。  
「ふ〜ん、まぁいいや……ん?あのケースなんだろ?」  
しまった……ビデオを隠したのはいいが、肝心のケースを隠すのを忘れていた。何をしているんだ俺は。  
真帆はビデオデッキの下に置いてある、禁断のビデオケースに近づいていく…  
この状況になったら必死に隠しても余計に怪しまれるだけだ、ここは流れに任せるしかない。  
「なんだろこのケース…」  
真帆はケースを手に取り、表紙を見る。驚くかと思ったが、意外にも冷静にその表紙を眺めている。  
「へぇ〜なるほどぉ〜だから画面が黒かったんだね、お・に・い・ちゃん」  
真帆が満面の笑みでこちらを見ている。その真帆の表情をみて俺はただ苦笑いをするしかない。  
「あはは…」  
「しかもこの女の人、ママに似てるし…はぁ〜まだおにぃはマミィのおっぱいが恋しいんでちゅね…」  
真帆が口をつぼめながら言う。最高にうっとうしい。俺は我慢できずに雑誌から目を逸らし、ソファーから立ち上がった  
「返せよ、それ」  
「へへ、や〜だよ〜中身のビデオテープを見せてくれるまで、返さない。あははっ!!」  
真帆が挑発的に、ケースをもった右手を振る。俺はそのビデオに、驚愕の事実が隠されていることを思い出し、  
一度冷静になって真帆に話かける。  
「だめだ…それは、見ちゃいけない」  
「なによ〜そんなに真剣になっちゃって…ホントにおにぃってマザコン…」  
「ほんとに見ちゃいけないんだ!!」  
真帆の発言を遮るように、声を荒げる。俺の真剣な目つきに真帆も次第に表情を固くする。  
「…やっぱり、見せてくれるまでこのケース、返さない」  
真帆は奪われないようにケースを両手でがっちりと抱える。逆効果だったか…  
「なんかおにぃ隠し事してるでしょ?……ぁ!!まさか、この表紙の女の人がホントにママだったり、とか?」  
「そ、そんなことねぇよ…」  
なんでこんな時に勘が鋭いんだ。俺は思わず声が上ずり、顔をこわばらせてしまう。  
「じゃあなんでそんなに声を荒げたの?別にあたしがAV見たって、おにぃにとって不都合なことはないでしょ?」  
「そ、それは…」  
言い訳が思いつかない…俺と真帆は、互いに見つめあい、何ともいえないような空気が流れる…  
本当は見せないほうがいいが、早かれ遅かれ真帆は気づく事だから、できるだけ早めに事実をしったほうが…  
解決策が思い浮かばいまま、自分の頭の中で真帆に見せてもいいんじゃないかという思いにシフトする。  
「…わかったよ。見せるけど、絶対に後悔するぞ」  
「…へへへ、見ないほうが後悔するし」  
自分の意見が通り、真帆は満足そうな表情を浮かべた。  
 
 
夕食を食べていると母の美代子が心配そうに話しかけてくる。  
「まーちゃんはどうしたのかしら…呼んでも『晩御飯いらないから入ってこないで!!』の一点張りで  
なに悩んでるのかわからないわ…ねぇきょうくん、なにか心当たりあるかしら?」  
「さぁ〜ダイエットでもしたいんじゃねぇの?」  
そっけなく母に答える。……心当たりなんてものすごくある。さっき見たビデオテープのせいだ。  
ビデオテープを再生していくと、真帆の顔がみるみるうちに歪んでいった。  
そして、父親の古傷を見た瞬間、泣きそうな顔になり『もう見たくない!!』といって居間を出て行き、それっきりだ。  
だから見るなっていったのに…今頃自分のベッドにうずくまっているだろう。母親が元AV女優という事実を目の前にして。  
「食事を抜くなんて…ダイエットとしてよくないわ。お肌にも悪いから…」  
母は頬に手を当てながら悩むしぐさをする。母親は肌の手入れとフィットネスをしっかりやっているせいか、  
歳の割にはスタイルも良く、かなり若く見える。今年で43歳になるのに三十代前半と言われても分からないくらいだ。  
「じゃあ俺がちょっと見てくるよ、心配だし」  
元はといえば自分がまいた種だ…流石にこのまま放っておくわけにはいかない。  
「うん。ごめんね、きょうちゃん」  
俺は母がそう言うのを確認すると、階段を上り、真帆の部屋へと向かった。  
 
真帆の部屋にたどり着いた俺は、とりあえずドアをノックしてみた。  
「入るな!!」  
予想通り、断られる。しょうがないな…真帆の気持ちも分かるが、このままだと母の悩みの種になってしまう。  
でもどうやったら真帆を説得することができるだろうか…強引に母と話をさせる?母さんの気持ちも考えろよと説教をする?  
しかし、俺はどちらともいい案だとは思わなかった。今、真帆の気持ちが一番分かるのは、兄である俺だ。  
そんな心無い方法では、真帆が心を閉ざしてしまい、これからの生活に重大な影響を及ぼしかねない。  
両親がアダルトビデオの男優と女優であった事実を知った、率直な気持ちを伝えよう…  
俺は大きく一息付き、ドアに背中を合わせようにしてその場に座り込んだ。  
「なぁ…真帆」  
「俺はあのビデオ見たとき、すごいショックで頭が混乱してさ、しばらくアホみたいに口あけて  
映像見ることしかできなかった」  
「…でもな、その後考えたんだよ。『親父と母さんがAVやってても、自分の夢に影響してくるのか?』って」  
「確かに俺は、カメラマンの親父の影響で映画を作りたいという夢を持ち、努力してる。  
だけど、そんなのはただのきっかけだし、今はその夢を目指すこと自体が楽しいから、そんなことで  
あきらめたくない…かな」  
 
素直に自分の気持ちを真帆に伝えた…あとは、真帆の反応を待つだけだ。  
「『そんなこと』って…私にとっては『そんなこと』じゃないの!!」  
「私はママに憧れてモデルになろうと思ったの。。。お兄ちゃんとは違うの!!」  
真帆の説得に失敗したか……このままだと、真帆は自分の夢を諦めてしまうのか……  
いやだ…そんなのいやだ!!母が悩むからだとか、家族の空気が重くなるとか、そんな理由じゃない。  
真帆がモデルになるという夢を諦めてしまうこと自体が嫌なのだ…そばでずっと見守ってきた、真帆の夢が。  
俺の胸の奥から熱いものがこみ上げてくるのを感じる。  
「真帆…モデルの夢…あきらめるのか?」  
何も反応が返ってこない。俺は、真帆返答を待たずに、立ち上がりそのまま話を続ける。  
「俺は…嫌だな、あきらめてほしくない…」  
「この前撮った写真、現像しんだけどさ、すげーびっくりしたんだよ……真帆がすごい綺麗でさ」  
「俺の妹の写真なのに、しばらく見とれてしまって…」  
「だから俺、真帆が雑誌に載るの、凄い楽しみにしてるんだぜ!!真帆で日本の男共が釘付けになる瞬間をさ!!」  
「でも、俺は既に釘付けになってるけどな、真帆に。だからあきらめないで欲しい、真帆の、最初のファンとして…」  
自分のありったけの思いを真帆にぶつけた。言いたいことを言えたからだろうか、気持ちが幾分すっきりしている。  
「って…」  
しばらくして真帆の声が聞こえたが、小さすぎて聞き取れなかった。  
「入って!!」  
「へ?」  
思わぬ発言に、返す言葉が見つからない。  
「私の部屋に入ってって言ってるの!!」  
さっきは入るなといってたのに、今度は入ってかよ…よく分からないが、とりあえず説得は成功なのかな?  
「はいはい分かりました。真帆お嬢さん」  
真帆の言葉に従い、部屋のドアを開けた。  
 
部屋のドアを開け真帆の姿を見た途端、俺は思わずのけぞってしまった。  
真帆が下着だけの姿になっていたのだ。  
「おい、真帆!!兄妹だとはいえそんな格好は…」  
「べ、べつに…いいじゃん。モ、モデルやるならこういう格好も…あるでしょ?…それより…撮ってよ」  
真帆は自分の机の上においてある、カメラをとり俺の前に差し出す。自分の下着姿が俺に見られているのが恥ずかしいのか、  
その手は少し震えている。  
「おい…手がふるえているぞ。緊張してるのか?」  
「そ、そんなわけないでしょ!!おにぃ相手に…緊張…なんか…」  
目を合わせようとしない…やっぱり恥ずかしいらしい。俺は仕方なくカメラを取る。  
いつものように、真帆にポーズをとらせ、写真をとる。ただ、いつもとは違い肌の露出部分が多い。  
綺麗なお腹のくびれ、少し谷間のある胸…さすが、モデルを目指しているというだけあって生きた芸術品のような体をしている。  
兄のくせに、真帆に少しばかり興奮してしまう…呼吸と心拍数が上がる自分を落ち着かせるために、真帆に話しかける…  
「お、おい…さっきから、顔が固いぞ…やっぱり緊張しているんじゃないのか?」  
真帆はしばらくだまりこむ。  
「……うん」  
「やっぱり緊張してるのか…別に、無理してこんなことする必要は…」  
「…みたいに」  
真帆が先ほどみたいにぼそっと呟く。  
「ん?どうした?」  
「恋人みたいに…接して…くれたら…緊張…しない…かも」  
「おいおい、恋人みたいにって…何すればいいんだよ」  
「……キス、して」  
 
一体何をいっているんだ?兄妹同士でキスなんかできるわけない。緊張のせいで頭がおかしくなったのか?  
「…お前、それ本気で言ってるのか?」  
「当たり前じゃない…いいから早く…キス…してよ…」  
「わかったよ…」  
カメラを置き、真帆の頬にキスうをする。キスというよりも唇を頬に当てたようなものだが。  
「ほらしたぞ。これで緊張しなくなったか?」  
「おにぃ…ふざけてるの?恋人同士だったら…く、唇にキスをするに決まってる…じゃん。しかも…すごく…熱いのを…」  
真帆が顔を赤らめる。本当に正気なのか?俺が真帆の部屋に入ってから、だんだん現実離れしてきているような気がする。  
このまま行くと、本当に漫画みたいな展開になってしまう。ここは強引にでも俺が部屋を出た方がよさそうだ。  
「真帆…俺は一旦出るから、ちょっと頭を…」  
「!!」  
さすがに驚いてしまった…真帆が自分から俺の唇にキスをしてきたからだ。  
「……んっ…んっ…」  
真帆は俺を逃がさないつもりなのか、自分の腕を俺の背中にまわして強く俺の体に密着させると、俺の口の中に  
強引に舌を入れ、絡め合わせる。  
「……ハァ…ハァ。…へへ。これが恋人同士のキス…だよ。わかった?」  
先ほどの固い表情が解け、上目遣いで柔らかい笑みを浮かべる。…可愛過ぎる。  
…もっと、触れ合っていたい…もっと激しく。  
キスの感触と自分の体に当たっている胸の感触が、自分の理性をかき消しけしていく。  
「んっ……んっ…」  
今度は俺が真帆の口の中に舌を入れる。そして、自分の本能の赴くままに、抱き合いながら真帆を押し倒していく…  
「ぇ…おにぃ…なに、するの?」  
一旦唇を、真帆からはなすと、真帆が不安そうな表情を浮かべているのが見えた。  
「恋人同士だったら…セックスも、するだろ?」  
 
「セックスって…そ、それは、できないよ…」  
真帆の言葉を無視し、首元にキスをする。そして、キスをする位置をだんだん下げていきながらブラジャーの上から真帆の乳房を掴む。  
「あっ!!…だめっ…そこは…」  
「あんだけ興奮させておいて、今更だめはないだろ?」  
今度はブラジャーのつなぎ目に手をかける…真帆は俺の腕を掴み、抵抗をする。  
「そんなことしちゃ、外せられないんだけど」  
「だって…恥ずかしい…もん」  
「でも今は恋人同士なんだろ?恥ずかしいとかは、無し」  
俺はもう一方の手で真帆の手をどけると、そのままブラジャーを外した。  
綺麗な形の乳房が見える…俺はそのまま左の乳首を舐め回す。  
「あっ!!ああっ…おにぃ…だめ…」  
だめとはいっているものの、殆ど抵抗しない。右手を真帆の股間に伸ばす…パンツの上から、撫でるようにさわる。  
「んっ!!…ハァ…ハァ…」  
真帆は興奮しているせいで、息遣いが荒くなり、乳首がたっているのが分かる。  
それに同調するかのように、俺の下半身も熱くなる。  
「じゃあこっちも、気持ちよくしてやるよ…」  
今度は、パンツの中に手を入れ、そのまま陰部を指で摩る。  
「ああっ!!あっ!!…ハァ…ハァ…汚いよ…そんな…とこ…触っちゃ…」  
甘い声をあげ、身を捩らせる。その声と素振りが俺を更に興奮させる。  
「真帆のここ…すっごい濡れてる…」  
「だって…おにぃが触るから…でも、おにぃのも、すっごく大きくなってる…」  
真帆に指摘され、自分の股間に視線を遣る。ズボンの上から、しっかりとその怒張したシルエットが見える。  
「おにぃも気持ちよくなりたいでしょ?いいよ…きて。だって、恋人同士だもん…」  
その甘い催促に従うように、俺は服をすべて脱いだ。  
 
「こんな大きいのが…入るの?」  
真帆は俺のモノを見ると唇を軽く噛み、表情をこわばらせる。  
「大丈夫だよ…痛いのは最初だけ…だと思う」  
「だと思うって…余計に不安になるんだけど…」  
「まぁすればわかるさ…ちょっと腰をあげてよ。パンツ脱がすからさ」  
真帆が軽く頷き、腰を上げると、下着を一気に脱がした。真帆の陰部をみる…濡れいるせいか、部屋の明かりで  
反射して少してかっている。  
「ううっ…そんなにみないでよ…恥ずかしいよ…」  
真帆は俺の頭を両手で押さえ、自分の陰部から遠ざけた。  
本当はクンニをやってみようかと思ったが、そろそろ自分のアソコの欲求を満たさなければならない。  
「じゃあ…いくぞ…」  
真帆が頷くのを確認すると  
俺のモノを陰部にこすり付ける…真帆の陰部の感触が気持ちいい。その快感で自分のモノが更に固くなる。  
しばらくこすりつけた後、俺はゆっくりと真帆の中に自分のモノを沈めていく…  
「んっ!!……ああっ!!」  
真帆は顔を歪ませ、ベッドのシーツを掴みながら必死に痛みに耐えている。  
「大丈夫か?」  
「ハァ…ハァ…大丈夫だよ…そのまま、動いて…」  
真帆に従うようにゆっくりと腰を動かす…真帆の中は暖かく、自分のモノを程よく締め付けてくる。  
「ハァ…ハァ…真帆…気持ち…いい…」  
熱いキスをして、互いに体を密着させあう…恋人同士がするように。  
「あっ!!ああっ!!…ハァ…ハァ…あたしも…体が…熱くなってきた…」  
間近から聞こえる真帆の甘い喘ぎ声と、息遣いから俺の気持ちが最高潮に昂る。  
初めは、処女である真帆に気を遣っていたが、自分の欲情が抑えきれず腰の動きを早めていく…  
「あああっ!!…ハァ…ハァ…激しすぎ…おかしく…なっちゃうよ…」  
真帆は口を開け、写真で写る時には絶対にしないような、だらしのない顔つきになる。  
「うっ…やばい…イキそう…」  
欲望の赴くままに腰を振っていたせいか、開始から3分程で限界が近づいてきた。  
本当は、真帆の中で射精したいのだが、さすがにそれはまずい。  
「うっ!出る!!」  
俺は射精寸前で真帆の中から離れ、自分のモノを擦りあげそのまま真帆の腹に射精した。  
「ハァ…ハァ…これが、おにぃの…」  
真帆は自分の腹にべっとりと付いている精液を掬うと、指でこすりながらまじまじと眺めていた。  
 
 
「ねぇ、おにぃ。ちょっと、協力して欲しいことがあるんだけど…」  
真帆についている精液をふき取り、2人でベッドに寝そべりながら世話話をしていると、  
急に真帆が真剣な顔つきになる。  
「ん?なに?」  
「あのさ…2人でアダルトビデオの撮影…しない?もちろん、あたしたち専用のものだけど…」  
また何を言い出すんだ?今日の真帆はおかしな発言を連発している。  
「別にいいけど…たぶんアダルトビデオというよりかはエッチなホームビデオになると思うよ。2人で全部やるから」  
「それでもいいよ…もし、おにぃが下宿して離れ離れになったら寂しいから撮っておきたいの」  
「だって…おにぃのこと…好きだから。…へへ。」  
真帆はそういって微笑む。  
「ぉ、いまの笑顔いいね!!一枚撮っておこうか?」  
「うん、いいよ」  
ベットのそばにころがっているカメラを取ると、そのまま真帆に向ける  
「じゃ〜もういっかい『好き』って言って」  
「ぇ〜〜いやだよ。そういうのは言わせるもんじゃないよ」  
「しょうがないな…真帆…大好きだよ」  
普通に照れくさい。確かに、面と向かって言わせるもんじゃないな。  
「へへ…あたしも大好きだよ」  
真帆が微笑み、俺はその姿を写真に収めた。  
 
 
大学にはいってから2週間が過ぎた。  
1年は必修の単位が多いせいか、殆どの曜日がフルタイムで授業があるのでなかなか忙しい。  
今日も、新しくできた親友の裕也と学食で昼食をとっている  
「おっ!この子、かわいくね?」  
裕也は雑誌を見ながら言うと、俺にその女の子が載っているページを見せる。  
その女の子は優しく微笑みながらこちらを見ている…そう、あの時のように。  
「…俺も頑張らないとな」  
俺は、話しかけるように雑誌の女の子に呟いた。  
 

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