おい茂る木々の枝葉が日の光を遮り、昼でもここは暗かった。  
広い公園の中に建てられた公衆トイレ。少し外れた場所にあるために、ここを使うものは驚くほど少ない。辺りに漂う妙な雰囲気のせいかもしれない。  
さく、さくと枯れ葉を踏む音がしている。  
足音の間隔は短く、早い。  
小走りとも言える勢いだった。  
足音の主は少女。近くにある女子高の制服を来ていた。  
小うるさそうな、気の強そうな印象を与えるつり目がちの目は眼鏡の奥でせわしなく辺りをうかがっている。  
トイレの前で立ちどまり、もう一度周囲をうかがう。  
誰もいないことを確認して、隠れるように入る。  
中に入ると周囲の雰囲気と同じく、薄暗いが、使うものが少ないせいか清潔に保たれている。  
同じ作りの仕切りとドアの列。個室は三つ、障害者用のトイレといった気の利いたものはない。  
だが、彼女の目的は違うところがあった。  
呼吸を整えるように深呼吸をしてから、一番おくのドアに手をかけ、開く。  
最後にもう一度、左右を見回してすばやく入り込んでドアを閉じると、大きく息をつく。  
あまり利用者がいないのか、トイレ本来の用途に伴う悪臭はない。  
そして、作り付けの荷物置きに鞄を置くと、タイをはずしてブラウスのボタンをはずし始めた。  
丁寧に畳むと次はスカートのホックをはずす。  
周囲の同級生たちよりも長い、校則遵守の長さのスカートを床に落とさないように注意して脱ぐ。  
下着に靴下といういでたちになった少女は、羞恥のためか頬を上気させている。  
衝立に仕切られたこの個室には当然ながら少女のみ。  
もはや、少女がここに来たのは本来の用途のためでないのは明白であった。  
少女の名は浦賀涼波。涼しい波と書いてすずみと読む。  
「は……ぁ……」  
切なげな吐息をもらしながら、地味なデザインのブラをはずすと、形のいい乳房があらわになる。  
外気にさらされてか、あるいは興奮からかすでにその頂は硬くしこって自己主張をしていた。  
そのままショーツに手をかけ、足を抜き、最後に残された靴下さえも、やはり脱ぐ。  
こうして涼波は一糸まとわぬ姿となった。彼女が身につけているのは眼鏡のみ。  
無駄な肉のついていない、ほっそりとした体。  
周囲に比べれば、あまり発育がよろしくないとも言える。水泳の時間などはコンプレックスを抱いてしまう。だが、成長途中の体は独特の魅力を持っていた。  
背中を衝立に預け、期待に胸を躍らせながらその時を待った。  
ひんやりとした感触が背中から消えかけた頃、いきなりぐらりと足もとが揺れる。  
揺れたような気がしただけかもしれない。  
待ちわびた感覚だった。  
涼波はためらいなくドアを空け、裸足のまま外へ出た。  
トイレから出ると、さっきまでの風景と一変していた。  
辺りに鬱蒼と茂っていた木々はなく、一面濁った水をたたえた湿地体になっていた。  
その水面へ、涼波は足を踏みいれていく。  
生暖かい水の底で、底の泥の感触を足が捉える。  
「ん……」  
小さくうめく。  
涼波の腿の間から、透明な液が一條流れ落ちた。  
その感触に身を震わせる。  
辺りを見回しても、動くものの影はない。  
先程と一変した風景に涼波は臆すところもなくたたずんでいる。  
しかも、彼女の体を覆うものは何一つない。  
やや足を開き、その付け根へと手を伸ばす。  
茂みの奥のそこはすでにしっとりと濡れ、何かを待ちわびている。  
「く……ん……」  
甘えるような声を上げ、涼波の指先がそこでうごめいた。涼波の眉間にしわがより、声を殺す。  
 
最初は控え目に、だんだんと大胆に。  
うごめき、涼波の秘所を刺激する指は数を増やし、動きを変えた。  
入り口をこするだけだったのが中に入り汲み、自らの愛液でぬかるんだそこをかき回す。  
「んあっ……ああ……ぁ……や……はや……く……」  
胸を隠していた手も、すでに役割を変え、尖って刺激を待ちわびる乳首をいじる。  
流れ出る愛液の筋が増え、次々と水面に落ちていく。  
するり、と細い足首に何かが巻きついた。  
「ふあっ」  
不意をつかれて声を出す。  
巻きついたそれは涼波の足を螺旋を描くように上り始めた。  
すぐに水面から姿をあらわす。  
毒々しい色の触手。表面を粘液で覆われているためか、這った後にはてらてらと光る跡ができていた。  
しかしその姿を見ても、涼波は悲鳴を上げなかった。  
「ぁ……やっと……」  
いつのまにか両手にも触手が巻きつき、腰のところで両手をまとめてしまった。  
そのまま下に向かって引き寄せられ、両膝をついてしまう。  
涼波はあらがうこともなく、期待に満ちた表情で這いあがってくる触手を見つめていた。  
水につかった膝を経て太股へ。そしてその付け根で蜜を出している秘所の入り口まで。  
「んぁ……は、早く……」  
一糸もまとわぬ姿で身動きもできないまま、秘すべき場所を得体の知れないものにいじられる。  
そうした状況の中でなお、涼波はあらがうそぶりを見せなかった。  
むしろその得体の知れないものを迎えいれるかのように、足を広げようとさえしている。  
しっとりと濡れた入り口をなぞるように触手の先が往復すると、涼波はせつなげに声をもらす。  
涼波の蜜と触手がまとう粘液が混じりあってくちゃくちゃといやらしい音を立てるのを、うっとりとした表情で聞いている。  
「や……おねがい……早く……」  
懇願する声に応えたのか、触手の先端が向きを替え、涼波に潜り込む。  
「……っっっ」  
自分の胎内に潜り込んでくる感覚に、涼波は声にならない悲鳴をあげた。  
いや、悲鳴というのはおかしいかもしれない。涼波の顔に浮かんでいるのは苦痛ではなく喜悦だった。  
膝をつき、背中を弓のようにしならせてびくん、びくんと震える。  
仰ぎ見た空は、日々生きている世界とは異なった色だった。  
だが、涼波にそんな事を気にする余裕はなかった。  
潜り込んだ触手は、涼波を気遣うように動きを止めていた。  
代わりに他の触手は水中から涼波の手足を這い上り、彼女の肩にかかると更に下へと引き寄せる。挿入の快感にほうけている涼波はその力に抗する事なく背をそらせたまま膝を崩してしまう。  
「んあああっ……!」  
入り込んだ触手がうごかなくとも、涼波自身が動いた事によって胎内からまた新たな刺激が生まれる。  
腰の後ろでまとめられていた手がほどかれ、触手に導かれて水底に手をつき、体を支えた。  
涼波のコンプレックスにもなっている二つのふくらみにも、這い上った触手が巻きつき、硬くしこった先端に触れる。  
「ひあっ……!」  
気がつけば、もはや身動きできない涼波の体のあちこちを触手がはいまわり、粘液で汚されててらてらと光っていた。  
触手が這いまわるたびに涼波は体を震わせる。ぬめりを帯びた愛撫が、全身の性感帯を刺激するが、あくまで弱く、まるでじらすように動くだけだ。  
水面下の両手両足の指に至るまで触手は拘束していたが、ただそれだけ。  
涼波の中に居る触手も動きを止めていた。  
「あ……あ……なんで……?」  
涼波は唯一自由になる首から上をせつなげに揺らし、もっと強い刺激を求めた。  
助けでも求めるように視線を巡らすが、どこまでも広がる湿地しかみあたらない。  
時折思い出したかのように特に敏感な乳首をかすめるように動いてみたり、入り込んだ触手がわずかに身じろぎしたり。  
巧妙に強烈な刺激を与える事なく涼波を追い詰めていく。  
自ら動いて刺激を得ようとしても、全身を拘束する触手はそれを許さなかった。  
そんな生ごろしのような状況に耐えきれなくなった涼波が、ついにその言葉を口にした。  
「お……お願い……もっと動いてぇ……」  
追い詰められた涼波は、自分をいましめている触手に向かって懇願の言葉を紡ぐ。  
言語を解する相手とは思えなかったが、そんな事を考える余裕は涼波には残されていなかった。  
耐えきれずに体をゆすり、わずかでも刺激を得ようともがく。だがその動きも許される事はなく、途端にいましめがきつくなる。  
その間にも、じらすように軽い愛撫を続けてくる。  
「やぁ……もう……もう……だめぇ……」  
じわじわと追い詰めるように加えられる刺激に涼波はもう限界に近づいていた。  
もう何も考えられず、ただただ胎内で荒れ狂う情欲を満たしてくれる刺激を待ちわびていた。  
 
しかし、手足を絡め取った触手も、胸の頂や秘所で気まぐれに愛撫をする触手も涼波を絶頂に導く事をしなかった。まるでじらされて苦しむ涼波を見て楽しんでいるかのような悪辣さがあった。  
「お願い……もう……いじめないでぇ……」  
もはや拷問にも等しい仕うち。  
びしゃ、と言う水音を立てて、涼波の中に入り込んでいた一本が抜け出した。  
期待していたよりも軽いものの、与えられた刺激に涼波は細い体を震わせてその刺激を楽しむ。が、それもすぐいいようのない喪失感に変わる。  
「あ……やあ……抜けちゃ、いやぁ……」  
このままでは気が狂ってしまう、という時、目の前の水面が盛りあがり、何かが現れた。  
「あ……?」  
涙で曇った目に写ったその姿に、涼波は声をあげた。  
現れたのは、触手の本体。  
長い触手を持った、巨大なイソギンチャクのようなそれは、明らかに既知の生物ではなかった。  
涼波はそれを見ても怯えなかった。むしろ今までの責めから解放されるとでも言うように、期待に満ちた目でそれを見つめた。  
もうすぐ、もうすぐいかせてもらえる。  
あの触手で目茶苦茶にしてもらえる。  
そんな期待で鼓動が速くなる。  
「あうっ」  
いきなり引き寄せられる。拘束していた触手に引きずられ、本体へと導かれる。  
最初にであった時は、初めてこの湿地に迷い込んだ時は不安に泣き叫び、このイソギンチャクの化け物に出会った時は恐怖でおかしくなりそうだった。  
だが、今は違う。  
この怪物が与えてくれる快楽を知ってしまった今は、恐怖は微塵もない。  
あるのはこれから始まる陵辱と人外の快楽に対する期待だ。  
うねうねと動く触手からは粘液が糸を引いて落ちている。  
親指ほどの太さの触手が涼波の頬をなでる。粘液が跡をつけ、その感触に涼波は身を震わせる。  
目の前で揺れる触手に涼波は舌をつきだすと、触手のほうから寄ってきた。  
粘液が滴るそれを涼波はうっとりとした表情で舌で奉仕する。  
表面を覆う粘液は甘く、口に入り、喉へ落ちるたびに腹の奥が熱くなる。  
半ば以上理性を失ったように、一身に触手へと舌での奉仕を続けるその姿は酷く淫靡であった。  
されるがままに愛撫を受けていた触手が、不意に動き出し、涼波の口の中へと進入する。  
少しむせながらも涼波はそれを受け入れ、今度は舌と口で奉仕をはじめる。  
「んっ……むっ……」  
拙いながらも懸命な愛撫に、触手が揮え出す。  
触手に抱えあげられ、真上を向いたいそぎんちゃくの化け物の真上へとつりあげられた。  
先程まで涼波の口を犯していたのと同じくらいのサイズの触手がうねうねと波打っている。  
そしてその中央にはより太く、複雑な形の触手がそそり立っていた。  
その光景に、涼波は背筋を震わせる。  
恐怖などではなく、これから自分の身を陵辱する生物に対する嫌悪でもない。  
これから始まる人外の宴に、あの触手の群がもたらす快楽に対する期待だ。  
ゆっくりと涼波は下ろされていく。触手が下から伸びてきて、足先に触れる。  
「ひんっ……」  
途端に獲物を捕らえるヘビのようなすばやさで触手が螺旋を描くように巻きつき、伸びてくる。  
 
触手は足を開かせ、触手のそれとは異なる粘液を滴らせる涼波の秘所の入り口を触手の先端が触れる。  
だが、先端を入り口であそばせるだけで中には入りこもうとはしない。  
一本は後ろの排泄器官をいじる。  
ここに迷いこんだときに涼波はそこでの快感を教えこまれた。  
今ではそちらも立派な性感帯だった。  
少しの愛撫ですぐにほころび、本来とは違う役割をはじめる。  
濡れた音が響く中、ゆっくりと足先からイソギンチャクの中へと沈んでいく。  
「ふああ……あああっ」  
ぬるぬるとした触手の群がはいまわる感覚から涼波の口から声があがる。  
だがこれはまだ小手調べのようなものに過ぎない事は涼波自身が良く知っていた。  
太股まで足が潜りこむ。  
そしてついに、涼波が待ちわびていた物がやって来た。  
中央の一本涼波の秘所と後ろの穴の間に触れる。  
「えぁ……ひっ……」  
だが、土壇場で涼波の期待は裏切られた。  
「やあ……そっち、ちが……」  
受け入れる準備を万端に整えていた涼波の秘所ではなく、もう一つの穴へと触手は入りこんでいった。  
「か……は……ぁ……ああ……」  
肺の中の空気を押し出されているかのように声が漏れる。  
ほんの数週間前までは想像もできない行為であったが、今の涼波にとっては好みの行為の一つだった。  
ここでこのイソギンチャクにされない日は、家人が寝静まった後に風呂場でこっそりとそちらの穴を慰める。  
そんなことをしても今では余計つらいだけだった。自分でするのではとてもではないがこの快感は再現できない。  
それでも涼波にとって今入り込んでいる触手はいささか太すぎた。  
目を大きく見開き、空気を求めるように舌をつき出して声を出す事もかなわない。  
限界まで広げられた筋肉の輪は涼波の意志に関係なく入り込んだ触手をきっちりとくわえこんで離さない。  
だが、入り込んだ触手はただそこでじっとしている訳ではなかった。  
「あっ……か……かきまわさな……」  
強烈な締付けに対抗するかのようにその身をくねらし、涼波の体内をかき回す。  
表面からは粘液を出してその動きを助けている。  
ぬめりをえてからは徐々にその動きに前後運動が混じり、秘所を肉の壁ごしにこづきまわす。  
「お尻ぃ……ひろがっちゃ……ん……ぎ……ひいい……っ……は……んうぅ……」  
ふるふるとかぶりを振り、声を上げた。  
その声は苦痛を訴えるだけではないのは明らかだった。  
声のはしばしに艶が混じり始めている。  
「だ……め……」  
入り口を探るように蠢いていたもう一本がついに秘所へと進入する。  
下半身の二つの穴をふさがれた涼波はさらにもう一段上の快感の波に飲まれた。  
 
同時に再開されたほかの性感帯に対する責めは侵入以前より苛烈なものになっていた。  
つつましやかな乳房には細い触手が巻きつき、いやらしくその形を変えていた。そしてその先端は乳房の頂を吸盤のように吸い上げている。  
下半身も触手が入り込んだままの二つの穴はもちろん、秘所の上で刺激を待ちわびる小さな肉の芽も攻撃対象になっている。先端がブラシのようになった触手が陰核を磨き上げるが如く扱き、それが触れるたびに涼波は電気でも流されたかのように震えた。  
背中、脇、首筋、ありとあらゆる性感帯は例外なく責めたてられていた。  
「きぃ……っ・……〜〜」  
同時に与えられた刺激は許容範囲外の快感になり、涼波を襲った。  
声を上げる事も出来ず、大きく見開かれた目からは涙がこぼれる。  
蹴りあげられるように絶頂へと追い込まれて、涼波は暴力的な快感にあらがう事も出来なかった。  
「やっやめっ……おねが……」  
涼波の懇願は何ら意味をなさず、途切れ途切れの言葉の断片だった。最も、途切れていなくとも願いは聞き入れられはしなかったろうが。  
もはや悲鳴をあげながら触手の陵辱を受け入れる以外、涼波に出来る事など何もなかった。  
絶え間ない快感はまるで拷問のように涼波を責め苛む。先程までのじらすような責めとはまるで逆の責め。絶頂へと導かれ、休む事なく次の絶頂へ。  
(もう……だめ……こわれ……る)  
触手の群に翻弄され、触手から分泌される妖しげな粘液を体中に塗りこめられ、下からの突き上げのたびに細いからだが痙攣するように震えるが、全身を触手に拘束された涼波にできるのはそれだけだ。  
ひときわ大きな快感が涼波を襲い、何もかもが真っ白になった。  
「……っ……っっぁ……は……」  
強すぎる刺激に悲鳴すら出ない。呼吸も忘れ、小さく体を震えさせるのみだった。涼波が絶頂を迎えても、触手の動きは完全には止まっていない。  
 
同年代の友人たちの幾人かが経験しているであろう恋人との行為の様に、やさしい抱擁があるわけでもなければ、唇が合わせられることもない。  
だが、それでもかまわない。きっと人間が相手ではこんな快楽は得られない。  
この快楽は、たぶんほかのいかなる行為で燃えられないだろう。だから、怖いのだ。もう自分はこのイソギンチャクから逃れられない。  
まだじわじわと責めは続いている。そして敏感になった涼波は、それだけの刺激であっても十分に強烈な快楽にさらされてしまう。  
ぼやけた視界の端に何かがせりあがってくるのが見えた。  
それを認めて涼波は、この宴が終わりに近づいているのを悟る。  
いつもと同じ終わり方だ。  
花びらのような、あるいはきれいにむいたみかんの皮のような部分が包み込もうとするように持ち上がってくる。内側には、細かく小さな触手の群れ。  
「んんっ……うあ……」  
びちゃり、と湿った音を立てて拘束された涼波の肌に密着する。細かな触手がもたらす刺激にも、涼波はか細い声を上げるぐらいの力しか残っていない。  
細かな触手は海栗やヒトデの管足のように肌に吸い付き、花びらが這い上がる。こそばゆい感覚に小さく声を上げていると、口元を触手が中に入れろとばかりにつつく。涼波はそれを受け入れる。いつもと同じだ。  
人間の恋人がしてくれる二本の腕の抱擁の変わりに、イソギンチャクは花びらで涼波を抱擁し、触手で口付けをしてくれるのだ。  
涼波の胎内の二本の触手にも変化が現れる。  
それまでの動きに加え触手が震え始めていた。  
花びらも涼波の体を飲み込み、すでに全身が大小さまざまな触手に囲まれていた。  
胎内の触手は動きを今までなく激しいものにし、口を犯している触手から何か粘ついた液が吐き出された。  
流し込まれた粘液を涼波は飲み下そうとしたが、すぐに限界が訪れた。  
「んんぅ……ぷあああああっ」  
息が詰まりそうになると触手は引き抜かれ、紫色のしぶきが顔に飛ぶが気にならない。そんな余裕はもうないし、触手がまとう粘液に汚れていないところなどどこにもなかった。  
胎内の触手の動きが唐突に止まった。  
終わりが来たのだ。  
前後の穴に入り込んだ二本が震えだしたかと思うと、こぶのような何かが触手の中を進んできている。  
「あ……くる……きちゃう……」  
足先からびっしりと触手に埋没していたが、それでもその塊が近づいてきているのはわかった。前回も、前々回も、その前もそうだったから。  
やがてその塊がついに涼波の元へと到着した。前後の穴の中へと送り込まれていく。  
中身は粘性の高い液体らしく、触手を締め付ける括約筋を無理に広めることなく中へと入り込んでゆき、涼波の胎内で灼熱の感覚が弾けると、涼波もまたいままでにない絶頂へと放り上げられる。  
「あ……ああぁぁぁああああああっ……!」  
そこで、目の前が真っ白になり、記憶がいったん途切れた。  
 
 
気がつくと涼波はトイレの便座に腰を下ろしていた。  
制服はきちんと身に着け、もちろん下着も着けている。  
あのどことも知れぬ沼地の怪物の陵辱の痕跡は何もない。少なくとも外から見える範囲では。  
「ん……ぅ……」  
下腹部の感覚に涼波は少しあわて、下着を下ろす。  
便器の中へと紫色の粘液が滴った。  
これが、あの陵辱が夢でなかったことの証だ。  
初めてのときは恐怖に震えたものだが、今ではもう気にならない。  
あのイソギンチャクが与えてくれる快感はすっかり涼波をとりこにしていた。  
だからきっと、またここにきてしまうだろう。  
 

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