「ずい分近くに落ちたな」  
 
と言ったが返事が返ってこない。  
怪訝に思いそちらを無くと青い顔をして彼女は立っていた。  
なるほど、足の震えはこれか。  
いまだに生気が抜けたように立っている彼女は、普段の凛とした雰囲気がかけらも残っていなかった。  
何時ものかっこいい姿も好きだが、こんなしおらしい姿もそれはそれでいいものだ。  
そんな彼女の腕を取って軽く引っ張ると正気に帰ったようだ。  
 
「あっ……す、すいません」  
 
恥ずかしい姿を見られたからか何時もより頬が赤い。と、また空が光る。こんどは若干の悲鳴を上げた。  
ふっ、と笑って彼女の腕を取り寝室へと引っ張っていく。  
そして彼女をベッドに寝かせ、自分はその上に覆いかぶさった。  
 
「雷の事を考える余裕もなくしてあげる」  
 
そう言ってキスをしつつ頭の中で考えた。  
そういえば、明日の天気も雨だっけ。  
 
終  
 

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