高校生活が始まって、席替えがあって。  
 
あの時、席が隣同士になったのが、俺、神谷秀行と石動理恵の始まりだった。  
 
視界に入っていたという点でならもっと前になるが、まあお互いがお互いを認識したという点で。  
 
「何を読んでるんだ?」  
 
理恵が窓側で、俺が通路側。窓の外を見るのが好きだった俺は、隣の席の女子を正直邪魔な存在だと感じていた。  
 
この配置だと、窓の外ではなく隣の女子をジロジロ見ているという形になってしまう。というかそうとしか思われない。  
 
自分の半端なくじ運や、男女関係に敏いお年頃の周囲に対して不満を漏らしたかったが、それはあまりに不毛だ。  
 
窓外ウォッチの代わりに誰かを誘って紙相撲でもしようとも考えたが、  
5秒間の熟慮の末、俺は隣の席の女子に至極普通な質問をしてみたのだ。  
 
「………ん」  
 
俺の言葉を聞いた彼女は、ページに指を挟むと、背表紙と顔をこちらに向けた。  
 
俺はそのとき、彼女を始めて意識した。なんだろう。清流のような透き通ったイメージ。  
 
眼鏡はかけていなかったが、目鼻立ちの整った顔も、涼しげな目もいかにも理知的だった。  
 
無地のハードカバーの背表紙に、流れるように書かれていた  
タイトルは全く読めなかったのでそこには言及しないことにした。  
 
「面白いのか?」  
 
「面白いかと聞かれれば、面白いけど。でも、元々面白さなんて好奇心を勢いづけるための触媒でしかないわよ」  
 
「そういうものか」  
 
「そういうものよ」  
 
開いた窓から5月の風が吹き込む昼下がりの教室で、ふーん、となんだか理由もなく感心したのを覚えている。  
 
なんというか、多分…コイツは変わってるなと思ったのだろう。  
 
それから俺は、よく理恵に話しかけるようになった。  
打てば響くというか、ちっぽけな問いかけにも、理恵は真面目に自分の答えを述べる。  
 
それがいかにも理性的な答えで、また俺はそれに感心してしまうのだ。  
 
大きな夢を語るのもなく、熱い理想を語るのでもなく。  
俺たちは若者らしさとは無縁な、地に足の着いた話ばかり繰り返していた。  
 
「どしたの?ぼーっとして」  
 
「いや…人生って不思議だなと思ってたんだ」  
 
「こっちからしてみれば、今この場での唐突なその発言のほうがよほど不思議だけど」  
 
はぁ、と息を吐きながら俺の隣を歩く、頭ひとつ分下にある横顔はあの頃と変わらず綺麗だった。  
 
いやまあ俺も理恵もあの頃に比べれば大人になっているはずなのだが、あまりそれを感じられない。  
 
ああ、でも胸は大きくなったかもしれない。上着を押し上げる豊かなふくらみに目をやりながら、そんなことを思う。  
 
「通報するわよ」  
 
「すまん」  
 
まあなんというか、あの頃の俺たちはそんな高校生で、今の俺たちはこんな恋人同士だった。  
 
「…ほら」  
 
声をかけられて、足を止める。海を埋め立てたのであろう、木張りの足場に響く足音も止まり、風の音だけが耳に届く。  
 
手すりの向こう、海の彼方に日が沈もうとしていた。  
 
理恵は何も言わず、落ちていく夕日を眺める。  
 
潮風に艶やかな黒いロングヘアを揺らし、どこか満足げな顔をして。多分、俺も似た表情をしているのだろう。  
 
多分、普通なら「キレイ…」と感じ入ったり、すてきすてきと、はしゃいだりするのかもしれない。  
 
でも俺は、こんな理恵が好きで、ただ静かに流れていくこんな時間が好きだった。  
 
あの頃の、夕暮れの教室のような。  
 
 
「神谷は、自由ね」  
 
「何がだ?」  
 
「全部が」  
 
西日が差し込む教室で、自分の机に腰掛けながら理恵はそんなことを言った。  
 
「俺が自由であるのと同程度には、お前も自由だと思うけどな」  
 
俺の言葉と共に、窓からの風が理恵の髪を揺らした。長い髪が沈む日を返し光が散らばる。  
あの頃も、今も理恵の髪は綺麗だった。  
 
「そういうことじゃないの」  
 
普段は何かにつけて理屈っぽいのに、この時の理恵はとても不可解で、俺は戸惑ったのを今でも良く覚えている。  
 
日が沈み、俺たちはホテルへと移動していた。近場で旅行と言うのもいい物ではなかろうかという事で、今日はお泊りだ。  
 
闇に包まれた外では、都会の光と海が広がっている。  
 
「いいの?こんな高いところ」  
 
階層の話ではない。いやまあ階も30階だから高いのだが。  
 
「いや、そんな今更…大体折半じゃないか」  
 
「まあ、そうなんだけどね」  
 
荷物を下ろし、一息つくと理恵は立ち上がった。  
 
「シャワー、使ってくる」  
 
「ああ、俺も」  
 
俺はさりげなく言った。  
 
「………まあ、いいけど」  
 
「なんだと」  
 
「なんで秀行が驚くのよ」  
 
呆れ顔で、理恵は息をつく。  
 
「いや、だってお前はいつも恥ずかしいとかそんなもっともらしい理由をつけて一緒に入ってくれないじゃないか」  
 
「…それをもっともらしい理由と言われるのは中々腹立たしいわね」  
 
ちなみに、過去に共に風呂に入ったことは20回程度しかない。十分?いや、俺は毎回だって理恵と共に入りたい。  
 
「お風呂では態勢を立て直したいのよ」  
 
「ああ………理恵は凄く乱れるものな」  
 
理恵の目がすっと細められる。  
 
「…本当のことじゃないか」  
 
俺は自分の発言の正当性を主張しようとしたが、何故か叱られた子供の言い訳のような口調だった。  
 
「そうだとしても、今言うことじゃないわね」  
 
「すまん」  
 
「……行きましょ」  
 
はぁ、とお約束のため息をつくと、理恵は風呂場へ向かう。  
 
「ああ!」  
 
俺は冒険に向かう勇者のような口調で返事を返すと、その後を追った。そして勢いあまって理恵を追い越してしまった。  
 
「…そんなに楽しみ?」  
 
「ああ!!」  
俺は爽やかなスポーツ青年のような口調で返事を返すと、理恵の手を引いた。  
 
そういえば、こういうことが多かったな。何かにつけて、俺は理恵の手を引いていた気がする。  
 
…振り回していたというか。  
 
 
「何してるの?」  
 
自分の席でチラシを片手にむむむと唸っていた俺を見て、  
ぶらりとやって来た石動(本を持っているので図書室帰りだ)が声をかけてきた。  
 
「いやな、ケーキが食べたいんだ」  
 
「食べればいいじゃない」  
 
マリーのような口調で石動は答える。  
 
俺は手にしたチラシを見せる。そこにはカップルのお客様には全品半額と言う文字が重々しく書かれていた。  
 
「ふーん…」  
 
まるで興味なさそうに、石動は自分の席に着こうとする。  
 
日付は今日。今日しかない。だが俺一人で行っても意味がない。しかし石動を見た瞬間俺に天啓が下っていた。  
 
「よし石動。ケーキを食べに行こう」  
 
俺はフリーの左手で石動の手を取り、祈るように掲げた。  
 
「…なんで?」  
 
俺は右手に持ったチラシを見せる。そこにはカップルのお客様には全品半額と言う文字が軽やかに躍っていた。  
 
「ケーキは嫌いか?」  
 
「好きよ」  
 
「友達として、俺を助けてくれ…!」  
 
付き合いもそれなりに長くなり、俺は石動がクールな見た目と違って情に厚い女だということも知っていた。  
 
「………」  
 
が、石動は何故か不満げな顔で、俺を見返してきた。なので俺はさらに一条件加えた。  
 
「俺が出すぞ」  
 
「…それは魅力的ね」  
 
「だろう!」  
 
「でもそれじゃ、結局普通の額で一人前払うのと変わらないわね」  
 
「そうだった!!」  
 
俺はバカか!少し自分でも愕然としてしまった。  
 
「あ、私も行きたい!」  
 
そんなやり取りをしていると、近くにいた米田さんが会話に加わってきた。  
 
すると米田さんに続くように、俺も俺も、私も私もとわらわらとクラスの男女が集まってくる。  
 
…まあ、男女の数さえ等数ならば何の問題もないだろう。  
 
「よし、じゃあ皆で行こう!」  
 
俺はチラシを高々と掲げると、石動の手を握った片手をぶんぶんと振る。  
 
おー!とクラスの声が重なり、石動は呆れ顔でため息をついていた。  
 
 
ドアを開け、浴室の扉の前に立つと、理恵は上着を脱いだ。  
 
豊かな胸のふくらみが、レースの縁取りがされたレモンイエローのブラに押し込められている様子が露になる。  
 
続けて、アイボリーのロングスカートがはらりと床に落ちる。  
 
下腹部を覆うショーツはブラとお揃いのレモンイエローで、レースの柄も上と同じだった。  
 
その面積の予想外の小ささに、俺は少し興奮する。  
 
「…秀行も脱ぎなさい」  
 
険しい声がかけられる。ハッとすると、下着姿の理恵がこちらを軽く睨みつけていた。  
 
「…そうだな」  
 
俺はいそいそと服を脱ぎ始めた。  
 
まったく、と理恵は下着に手をかけた。  
 
 
「おお…」  
 
理恵に言われ、俺は先に浴室に入っていた。  
 
中は中々に広い。なんちて。  
 
…全裸なのも手伝って我ながら薄ら寒くなってしまった。  
 
俺はお湯の暑さを確かめると、早速湯船にお湯を張り始める。  
 
「〜♪〜〜♪」  
 
浴槽をお湯が満ちていくのを、俺は鼻歌を歌いながら上機嫌で眺めていた。  
 
「………何してるのよ」  
 
その様子を見られていた。  
 
「…なんでもない」  
 
「もう…」  
 
今まで俺は何度理恵に呆れられたのだろうか。  
 
呆れられるたびに1セント貰ってたら今頃大金持ちだぜ!と言えるぐらいだろうか。  
 
「まあそんな事より、理恵」  
 
俺は両手で、胸を隠すように組まれていた理恵の手を取った。  
 
「な、何?」  
 
「洗いっこしよう」  
 
「………」  
 
呆れられるたびに1セント貰ってたら今頃、俺は確実に小金持ちではあるだろうな、と思った。  
 
 
「…で、まずは私が洗われるわけね」  
 
「なんだかお前はイマイチ乗り気じゃないからな」  
 
俺は言葉を交わしながらスポンジにボディソープを乗せ、丹念に泡立てる。  
 
「まあゆっくりとお姫様気分でも味わってくれ」  
 
そう言いながら俺は理恵の背中を流し始めた。  
 
「男に体を洗わせるプリンセスは何処にもいないと思うけど」  
 
返事を聞き流し、俺は理恵の背中に泡を広げていく。  
 
髪がアップにされることで露出した、あまり見る機会のない理恵のうなじに少しドキドキしてしまう。  
 
「このぐらいの強さでいいか?」  
 
「ん……」  
 
「腕、上げて」  
 
スポンジを動かし、ゆっくりと丁寧に洗ってゆく。右腕、そして左腕。  
 
理恵の体の前にスポンジを滑らす。  
 
「ちょ、ちょっと…」  
 
ぽよん、とした感触をスポンジ越しに感じる。  
 
「大きいよなあ」  
 
俺はぽよぽよ、と手の上で胸を揺らし、その感触に息をつく。  
 
「…お姫様は、セクハラにも耐えなきゃいけないのかしら?」  
 
「ただちにご奉仕させていただきます」  
 
物凄く大きいわけではなく、平均より大きめ、といった感じの理恵の胸を下から持ち上げるようにして洗う。  
 
スポンジを持ってないほうの手も動かして、今度は側面。両脇を洗い次は胸の谷間にスポンジを滑らせ上下させる  
 
小さいながらも先端で立ち上がり自己主張する乳首も、磨くようにつまんで擦り洗う。  
 
「……!!」  
 
懸命に口を結び、声をこらえる様子がかわいい。  
 
「どうだ? 」  
 
「そ、その質問、何かおかしくない?」  
 
「いや、全然 」  
 
胸を洗い終え、今度はお腹を洗う。かわいいおへそも軽く指の先で洗うと、理恵がくすぐったそうに身じろぎした。  
 
「大きいよなぁ。安産型ってやつなのか?」  
 
そしてぷりぷりしたお尻のお肉を洗いながらふと聞いてみる。そういえばどういうのを安産型というのだろう、と思ったのだ。  
 
「こ、この…」  
 
「ん?」  
 
今目の前にある理恵のお尻が少し震えている。  
 
「くすぐったいか?」  
 
「………」  
 
…返事はない。仕方がないので、俺はまた陶器を磨くようにして、理恵の体を洗っていく。  
 
尻から続く太ももを右、左。最後に両脛。泡まみれのスポンジを滑らせていく。  
 
その間、理恵はずっと言葉もなく体を震わせていた。  
 
「よし、んじゃあ座ってくれ」  
 
置いてあった椅子を持ってくると、俺は理恵にそう頼んだ。  
 
「え?」  
 
「いや、まだ残ってるじゃないか」  
 
股間が。  
 
「い、いいわよ。自分で洗う」  
 
「はいはい」  
 
理恵の両肩に手を置いて椅子に座らせる。抵抗は強くなかった。  
 
すとん、と理恵の泡まみれのお尻が椅子に着地する。  
 
「ほれ、足開いて」  
 
座ることにこそ抵抗はなかったが、もじもじと擦り合わせるように動く両脚で股間はガッチリガードされている。  
 
「…変態」  
 
腿にぽんぽん、と手を置いて開くよう促す俺をにらみつけながら理恵が毒ずく。  
 
「俺は完璧主義者なんだ」  
 
「初耳ね」  
 
「…ほら、いいから」  
 
「覚えておきなさいよ……」  
 
不穏な言葉と共に緩んだ抵抗に合わせて、俺は理恵の脚を開いた。  
 
開かれた脚の付け根にある秘部は、ぴったりと閉じられている。  
 
俺はまず、その上を薄く飾る陰毛に手を伸ばした。  
 
スポンジではなく、泡まみれにした指で、ぽわぽわした毛質のそれを一本一本洗ってゆくようにしてシャンプーしてゆく。  
 
理恵は手の甲の付け根を口にあてて、完全にそっぽを向いていた。  
 
ふてくされる仕草もかわいいよな、なんて思う俺は重症だろうか。  
 
シャンプーが終わり、俺はスポンジを持ち直すとぴったりと閉じられている割れ目を開いた。  
 
「やぁ…っ…」  
 
キレイなピンク色の秘肉が露になり、とろっとした液体が入り口から漏れる。  
 
「…ああ、少し濡れてるのか」  
 
「〜〜〜〜!」  
 
言葉にならない音で、顔を真っ赤にした理恵が俺の無神経な発言に抗議する。  
 
「す、すまん」  
 
俺は一言謝ると、大切なところに泡が入らないように気をつけながら、秘部を撫でるようにして洗った。  
 
スポンジが上下する度に、理恵の身じろぎが徐々に大きくなる。  
 
ぴくぴくと震える脚に、俺はなんともいえない満足感を感じた。  
 
「はい、じゃあ腰を前にな」  
 
「やっ、ちょっと…!」  
 
有無を言わさず、俺は理恵の背中に手を回し支えながら、腰を引き寄せる。  
 
「や、やだっ!」  
 
理恵は完全にこちらに股間を突き出す体勢になった。  
 
「はいはい、すぐ終るから」  
 
俺は決して離さぬよう背中に回した手にしっかりと力を込めてから、  
もう片方の手に持ったスポンジで優しくお尻の穴とその周辺を洗う。  
 
「やぁ……」  
 
女の子のお尻のお穴は、ちょこん、といった擬音が似合う感じでかわいいよな、なんて思いながら。  
 
…いや、まあ理恵以外の女の子のなんて知らないけども。  
 
「よし、んじゃあ流すぞ」  
 
俺はシャワーの温度と勢いを確かめてから、理恵の体に浴びせた。  
 
ぬるめのお湯が理恵の体の上を滑り落ち、泡もどんどん流れ落ちて排水溝に飲まれてゆく。  
 
「………」  
 
その間、理恵は何も言わず頭を俯けてただ黙っていた。  
 
「……お疲れ様です」  
 
そのせいでなんだか嫌な沈黙が漂っていたので、とりあえず俺は理恵にねぎらいの言葉をかけた。  
 
「……………」  
 
返事はない。  
 
「……………頭にきた」  
 
そう言うと、理恵は俯けていた頭を上げる。凛とした瞳には、炎が燃えていた。  
 
「洗いっこなのよね」  
 
確認するような口調で、理恵は問う。  
 
「あ、ああ」  
 
「なら私にも秀行を洗う権利があるわよね」  
 
「ま、まあな…」  
 
というか、本来二人でキャッキャウフフしながら  
同時に洗い会うのが俺の理想だったのだが、つい流れで一方的に洗ってしまった。  
 
世の中とはままならないものだな。  
 
そんなことを考えている俺には構わず、理恵はスポンジを乱暴にひったくると  
ボディソープのポンプを連打して石鹸を振りかけていく。  
 
後ろから見ていてもなんだか鬼気迫る迫力だった。  
 
「な、なんか怖いぞ」  
 
「黙りなさい」  
 
そう言うと、理恵はぐいと俺の胸にスポンジを押し当てた。  
 
「…覚悟しなさい」  
 
「何を…?」  
 
俺の問いかけは無視され、理恵のターンが始まった。  
 
まず俺は両手と体をゴシゴシとかなり強く磨かれた。あまり愛は感じなかった。自業自得ではあるが少し悲しい。  
 
そして今、理恵は腰を落とし実ははずっと屹立しっぱなしだった俺の男性器をしげしげと眺めていた。  
 
「こんなにして…」  
 
ポツリと呟くと、理恵はスポンジでなく石鹸まみれの手で勢いよくそれをしごき始めた。  
 
片手で竿をこすり、もう片方の手で俺がしたように陰毛をシャンプーする。  
 
た、たしかにこれは恥ずかしいかもしれない…  
 
ぐりぐり、と亀頭を指先が拭うように撫で回し、玉袋もぐにぐにとシワをのばすようにして洗われながらそんなことを思う。  
 
そして理恵は腰に抱きつくようにして尻肉もスポンジでごしごしと洗っていく。  
 
理恵の胸がちょくちょく脚に当たり、正直これは心地よかった。が、そんな幸せ気分もすぐに霧消する。  
 
「座りなさい」  
 
「…この床にか」  
 
何度確認しても、理恵は椅子でなく床を指し示す。  
 
「座りなさい」  
 
「オーライ…」  
 
有無を言わせぬ口調に従って、俺は浴室の床に腰を下ろす。冷たい。  
 
「お尻を上げて」  
 
「いや、それは…」  
 
理恵は最後まで聞かず、俺の体を倒して腰を抱き込んだ。  
 
先ほど俺が理恵に椅子の上でしたように、今度は俺が尻と両足を高く上げる形になる。  
 
「お、おい」  
 
「………」  
 
何も言わず、理恵は無言でげしげしとタオルで俺の尻の穴を擦る。  
 
「ま、待て!俺はもう少し優しくしたぞ」  
 
「………」  
 
聞く耳持たないとばかりに尻の谷間でスポンジが激しく上下する。  
 
その後、足も抱えられて洗われた。  
 
「う、うう…」  
 
その後、泡を流されながら、隅々まで蹂躙された感覚に呻くしかない俺がいた。  
 
あの後、お互いの体を触りながらベタベタしていたらいつの間にか大分時間が過ぎていたようだ。  
 
なんだか少しふらふらするな、と思いながら浴衣に着替えた俺はぼすりとベッドに倒れこんだ。  
 
「のぼせたか……」  
 
ちなみに、あの後ずっと浴槽の中でベタベタしていたのだが、意地悪な理恵は俺に発射を許してはくれなかった。  
 
それどころか、風呂から出る際に「これで我慢しなさい」と言うとシャワーで冷水を股間に浴びせてきた。ひどい。  
 
そんな仕打ちを受けながらも、さすがに少し負い目があったので俺はあまり強く出られなかった。  
自業自得ってこういうことね。  
 
ぷりぷり怒っていた理恵も、俺と一緒にフラフラしながら風呂から出て浴衣を着ると、  
 
今は冷蔵庫を開けてペットボトルのお茶をくぴくぴ飲っていた。  
 
浴衣、似合ってたなあ…  
 
俺はまた浴衣姿の理恵を存分に視姦しようと、ベッドに埋めていた顔を冷蔵庫の方に向けた。  
 
「あれ…」  
 
理恵がいない。部屋を見渡そうとしたその瞬間、照明が全て落ちた。  
 
停電?俺は暗闇の中でぱっと体を起こすと理恵に声をかける。  
 
「大丈夫か!」  
 
「ん…」  
 
空調の音に混じり、ささやかな返事が返ってくる。  
 
いつも通りの簡素な返事に俺は安心し、ベッドに仰向けになった。  
 
ごうごうと空調の音だけが耳に届く。停電じゃなくて、理恵が電気を落としたのか。  
 
なんでだろうと思った瞬間、ぼすり、と寄り添うように理恵が倒れ込んできた。  
 
「理恵?」  
 
「ん」  
 
体を擦り付けるようにして、理恵が寄り添ってくる。柔らかな感触と、人のぬくもり。鼻腔には石鹸の香り。  
 
「………何よ」  
 
「いや、まだ何も言ってないんだが…」  
 
「彼女にあんなことするなんて」  
 
首に理恵の息がかかる。くすぐったいけど心地いいな、と俺はそんなことを思った。  
 
「変態」  
 
「手厳しいな」  
 
「変態…」  
 
「愛ゆえに」  
 
「………何が愛よ」  
 
ふてくされたように、理恵は言った。  
 
「ベタ惚れなもので」  
 
素直な気持ちだった。  
 
「よく、平然と言えるわね…」  
 
「本当のことだからな」  
 
「女たらし」  
 
「惚れたほうが負けだそうだぞ」  
 
これは名言だな、と思う。結局、夢中なのだ。いつからかも思い出せないが、  
 
あの関係が、共にいる時間が何よりも心地よくなってしまった時から。  
 
「…ベタ惚れよ、悪い?」  
 
俺の言葉をどう解釈したのか、理恵は怒ったように言った。  
 
「…俺だってベタ惚れだ」  
 
「さっきも聞いた」  
 
くい、と浴衣の裾が引かれる。俺は何も言わず、ただ黙っていた。  
 
しばらく沈黙が続く。窓から差し込む町の明かりに照らされて、俺たちはただ寄り添っていた。  
 
 
「…あなたは、自由ね」  
 
いつか聞いた言葉だな、と思った。俺は何も言わず待った。  
 
あの時言わなかったことを、理恵は言おうとしている。そう感じたのだ。多分それは大切なことなのだろう。  
 
「…いつから、素直に物を見れなくなったのかしらね」  
 
呟くように、理恵は言った。自嘲するような、惜しむような口調で。  
 
「男の子が女の子に優しくすれば下心があるって思われるし、先生の前で真面目にしてると媚びてるって思われる」  
 
「みんなの前でいいことするとカッコつけてるって思われる」  
 
「…実際、私もそう思っちゃうの 」  
 
「仕方ないさ」  
 
下手をすれば、善行ですら下心としか見られない。実際そういうケースは多いのだろうし、仕方がないのだ。  
 
まあ生きにくいよな、とは思う。ただ優しくしたいだけであっても、なんだか考えなきゃいけない事、煩わしい事が多すぎて。  
 
「でもあなたはそんなの、何も気にしないで飛び越えていっちゃうの。自分に、正直で」  
 
理恵は、まるで眩しいものを見るみたいに、目を細めた。  
 
「自分の気持ちを恥ずかしがらずに、伝えるのに誤解も恐れずに。ただ、素直で」  
 
「………恥知らずと言われているような」  
 
「似たようなものかもね」  
 
ふふ、と理恵が優しく笑い、俺は少し安心した。  
 
「まあ確かに俺は人より素直な性格かもしれんが…」  
 
「素直なんてものじゃないわよ」  
 
「でもね、だから…あなたの側にいると、私も自由になれる気がするの」  
 
そう言うと、理恵は体を起こした。俺の体の上で、四つんばいになる。  
 
「気がする、んじゃなくて。事実そうなんだけどね」  
 
ちゅ、と唇が軽く触れ合い、離れる。理恵は子供のような笑みを浮かべて俺を見つめていた。  
 
「俺と一緒にいる時の理恵と、普段の理恵に違いがあるとは思わないけどなあ」  
 
俺は、自分にそんな影響力があるなんてとても思えない。  
 
そう思いながら、口付けに応えるように理恵の体を優しく抱く。理恵は素直に俺に体を預けてくれる。  
 
「それは、いつも一緒だったからでしょ」  
 
胸に頭を優しく擦り付けるようにしながら、理恵は言った。  
 
「自由な理恵は、甘えん坊なわけか」  
 
「そういうときもあるの」  
 
窓の外からの町明かりと、回り続ける空調の音。そして触れ合った互いの体温と息づかい。  
 
「静かね…」  
 
理恵はとても安らいだ口調で呟いたので、俺は抱いた手を緩めた。  
 
「このまま、眠るか?」  
 
「眠れそうに、ない…」  
 
そう言うと、理恵はゆらぐように体を起こす。マウントポジションを取ると、片手でさっとアップにされていた髪を解いた。  
 
広がる艶やかな黒髪は、蒼い光を弾きとても幻想的だった。  
 
「ひでゆき」  
理恵は名前を呼んで、俺を見つめる。  
 
俺はなんだと問い返そうとしたが、その前に口を塞がれてしまった。  
 
「ん……ちゅ…えろ」  
 
唇だけでなく、舌で交わる。理恵の舌は、まるで侵略するような動きでこちらの口内を責めてくる。  
 
調べるように、確かめるように。理恵の舌が俺の口の中を動き回る。唇を合わせると、理恵はいつもこうだ。  
 
でも俺も激しくするのは好きなので何の問題もない。世の中は上手く出来ているものだ。  
 
俺は自分の舌で理恵の舌を絡め取ると、唾液を理恵の口に押し込む。  
 
理恵もそれを受け取り喉を鳴らして飲み込む。そして返すように舌を伝わせて自分の唾液を流し込んでくる。  
 
互いの体液を交換し、飲み下す。食道を伝う感触だけで体が熱くなる気がした。  
 
歯茎を伝い、歯を撫でる舌で相手の舌も確かめる。しばらくの間、俺たちは繋がり続けていた。  
 
息の荒くなった理恵がぷはっ、と口を離す。さっきまでの行為を証明するように唾液が糸を引いて互いの唇を繋いでいた。  
 
「今日は、私が…ぜんぶ、する…」  
 
荒い息のままそう言うと、理恵は俺の浴衣に手をかける。  
 
前の部分をはだけ胸を露にすると、のしかかったままそのまま理恵は俺の首にちょん、ちょんと細かく口付ける。  
 
そこから舌を伸ばし、胸へと舌を這わせてゆく。  
 
「えろ…んん…ちゅっ…」  
 
乳首を優しく舌で円を描くように転がされ、軽く吸引される感覚に俺は体を震わせた。  
 
そんな俺の様子に、理恵はとても満足げだ。  
 
「ふふ…」  
 
ちゅっちゅと優しいキスを胸に降らすと、理恵は舌を下腹部へと這わせる。  
 
道中、おへそを舌でほじくるように舐められて少し変な声を上げてしまった。  
 
そして股間に辿り着くと、理恵はすっかり屹立した俺のモノを軽く掴みしげしげと見つめる。  
 
「いつ見ても、凶悪よね…」  
 
この傘の広がりとか、と言いながら理恵はその部分をなぞるように人差し指を動かす。  
 
なんだか感心するような口調にこっちが妙に気恥ずかしい。  
 
「割と恥ずかしいんだが…」  
 
「我慢しなさい」  
 
そう言うと、理恵は愛しむようにちゅっと亀頭に口付ける。  
 
そのまま舌を伸ばし、確かめるように舐め上げていく。上から下へ、下から上へ。  
 
隙間なく舌を這わせていく。  
 
「何か、してほしい事はないの?」  
その最中に、どこか懇願するような調子で理恵は尋ねてきた。  
 
「…愛して欲しい」  
 
せっかくの申し出だったが、何故か具体的な要望が思い浮かばなかった。  
 
「バカ…」  
 
そう言うと、理恵は俯くようにして玉袋をくわえ込んだ。  
 
「ん…んん……」  
 
咥えると、ころころと舌上でタマを動かすようにしたり、袋のしわをとことん舐め伸ばすように舌で優しく責めてくる。  
 
軽く吸引される感触に、俺は腰を震わせた。  
 
「…腰、上げて」  
 
「え?」  
 
「上げなさい」  
 
言われるがままに、俺は少し腰を浮かす。そうすると、理恵はそのまま俺の腰を抱えた。  
 
「お、おい…」  
 
なんだか急にさっきの暴虐が思い出されて、俺は焦った。  
 
「こんな所まで洗われて、すごく恥ずかしかったんだから…」  
 
「お、お互い様じゃないか、って…!」  
 
すねるように呟いた理恵はちゅ、とそのまま尻穴にキスをした。  
 
「あ…ふぁ、えろ……」  
 
しわの一本一本をなぞるように、中心から放射状に理恵は何度も舌を動かす。しかも妙にゆっくりと。  
 
「こ、こら…!」  
 
なんだか急にこみ上げてきた羞恥に俺は理恵を諌める。  
 
が、理恵はまるで効く耳を持たず、行為を続けた。  
 
「ん…んん…っ!」  
 
強く押し付けられたと思った次の瞬間、ついに舌が体の中に進入してきた。  
 
「えろえろ…ん…ちゅ……!」  
 
腸壁を舐める舌の感覚に、俺は悶絶した。  
 
「わ、わっ…!」  
 
思わず上げられた俺の声に満足したのか、理恵はふふ、と笑うと  
 
舌の届く範囲は隙間なく舐め回そうと、円を描くように、そして入り口から奥へと舌を動かす。  
 
その丁寧な、それでいて大胆な舌のほじくり回す動きに俺は抵抗できない。  
 
そしてほじくるだけほじくると、理恵はぷはぁっ、という息と共に口を離した。  
 
何か言いたかったのだが、情けないことに声に力が入らなかった。やっとベッドに腰がついたのに安堵してしまう。  
 
「いつもやられてばかりだったもの、今度はこっちの番よ…いつも人ばっかり声を上げさせて」  
 
「…そんなこと言われましても」  
 
さすがにそれは俺の責任ではないはずだ。多分。  
 
「…おちんちん、こんなに勃起させて…」  
 
一息ついた理恵はまたしげしげと眺めている。面白いものなのだろうか。  
 
すると、ん、と唇をかぶせるようにしてくわえ込んできた。  
 
俺は深く息をつく。暖かい粘膜に包まれる感触がたまらないのだ。  
 
理恵はそんな俺の様子を見て幸せそうに微笑むと、艶やかな唇で男性器をしごくようにして頭を上下させ始める。  
 
「ん、ぐちゅ、んん…れろ…ん、ちゅぱ…ちゅちゅっ…!」  
 
それと同時に舌も動かし、さらに吸い上げる。  
 
俺は理恵の頭を撫でながら、懸命に耐えていた。  
 
「らさないの…?」  
 
しばらくそれが続くと、行為を止めることなく、理恵は尋ねてきた。  
 
「…そろそろ、限界だ」  
 
俺の答えを聞くと、理恵はさらに頭と舌の動きを強める。  
 
「らし…てっ…いいからっ…!」  
 
「あ、ああ…頼む…!」  
 
くわえ込みながら求める言葉を零す理恵に、俺は勢い良く射精した。  
 
「ん、ちゅ…んんっ…!」  
 
びゅくびゅくと勢い良く出しているのが自分でも分かる。  
 
だがそれでも理恵は口を離さずに、ゆっくりと頭を上下させ続けている。  
 
射精しながら吸い上げられる感覚に俺は体を震わせた。  
 
「ふ…ふぁ…、んちゅ……ぱぁ、んん…ごく、んんっ…はぁ…」  
 
射精が止まったのを確認すると、  
理恵は最後の吸引を行い、口を離す。そして口内にたまった精液を飲みこんだ。  
 
「けほ、ごほっ!」  
 
「お、おい大丈夫か」  
 
「ん………」  
 
けほけほと咳き込む理恵の背中をさすってやる。  
 
「出しすぎよ、秀行…」  
 
「す、すまん」  
 
どうにもならない事なのだが、そう言われると謝るしかない。  
 
「…まあ、いいけど」  
 
何がだろうか。  
 
「ありがとな」  
 
まあ深く考えることはやめて、俺は理恵にお礼の気持ちを込めて軽くキスをする。  
 
「ん……」  
 
理恵は照れくさそうに身じろぎした。  
 
「さて、それじゃ今度は俺が…」  
 
「ダメ」  
 
さりげなく主導権を握ろうとしたが、まだ理恵のターンは終っていないようだった。  
 
「今日は、私がするの…」  
 
「いや、だがお前の方だって」  
 
色々あるじゃないか、都合が。  
 
「…大丈夫」  
 
「何が」  
 
質問すると、理恵は顔を赤く染めてそむけ、ぽつりと呟いた。  
 
「もう、すごく…濡れてるから…」  
 
目をやるが、浴衣に隠れたそこがどうなのか俺には見えない。  
 
「俺、全く何もしてないんだが…」  
 
「そ、そうよ。おかしい?」  
 
なんだか怒りだした。  
 
「いや…」  
 
まあ、たしかに理恵は凄く濡れやすいが…  
 
そうだな、と俺は理恵を押し倒した。  
 
「な、ちょ、ちょっと…」  
 
「少しいいか?」  
 
質問しながら、答えを聞かずに俺は浴衣の隙間から理恵の股間に指を這わせた。くちゅ、という濡れた感触が指に伝わる。  
 
「む……」  
濡れてる、というかもうトロトロだった。そこは煮えるように熱くほぐれている。  
 
「わ、わかったでしょ」  
 
「うん……」  
 
俺は素直に頷き体をどかした。  
 
「ほら、寝て」  
 
「うぃー」  
 
まあなんかこだわりがあるようだし、今日は理恵の好きにさせてやろう。  
 
俺は寝そべると、理恵のアクションを待つ。  
 
「お前が上になるのか?」  
 
「ん……」  
 
いつも通りのイエスの返事と共に、理恵は俺に跨る。  
 
と、俺はここで大切なことを一つ思い出した。  
 
避妊具をつけていない。  
 
「ちょっと待っててくれ、今コン」  
 
「大丈夫、今日は薬、飲んでるから」  
 
理恵はさらりと言う。  
 
「い、いやお前それは…副作用とか、色々あるんじゃないのか?」  
 
心配に思わず体を起こしかける俺を理恵は苦笑いしながら制する。  
 
「常用してるわけじゃないし、今日一日だけ。大丈夫よ」  
 
ありがと、と言いながら理恵はキスをしてきた。  
 
そのまま、耳元で囁く。  
 
「だから、私の中に好きなだけ出して…」  
 
「ん………」  
 
囁かれた卑猥な誘いに、なんだか理恵のような返事になってしまった。  
 
理恵はそんな俺の様子に優しい笑みを浮かべる。  
 
そして体を起こすと、腰を浮かせて俺のものを掴み、狙いを定める。  
 
「じゃ、じゃあ…入れる、わよ…」  
 
少し緊張した様子で理恵は徐々に腰を落としていく。  
 
「ん……あっ…」  
 
ちょん、と亀頭が秘裂に触れ、理恵が声を漏らす。  
 
俺もその熱い感触を先端で感じて少しドキッとしてしまう。俺のモノが入り口をこじ開けようとしている。  
 
「あ……はぁ…!」  
 
ぐっ、と理恵は一気に腰を落とす。それと同時に、理恵の中をかき分けるようにして進入して  
 
俺のモノはぴったりと理恵の中に納まった。とん、と最奥に触れている。  
 
「ど、どう……?」  
 
もう二人で何度もしている行為なのに、珍しい自分主導だからか理恵はまるで初めての時のように不安げだ。  
 
「ああ、すごく、気持ちいい…」  
 
実際、熱くとろけている理恵の中は、きゅうきゅうと優しく俺のことを歓迎してくれていた。  
 
とろとろに煮えたいくつものヒダがもたらす快感は極大だ。理恵の中はただ入っているだけでも気持ちいい。  
 
「じゃ、じゃあ、動く…から…っ」  
 
俺の言葉を聞いて理恵は幸せそうに微笑むと、腰を前後に動かし始める。  
 
「は、はぁ…ん……!あっ…!」  
 
腰の動き自体は拙いのかもしれない。  
 
だが、理恵の中のいくつものヒダヒダが俺を柔らかく、強く抱きしめシゴく感触は俺には例えようのない快感だった。  
 
「い、いつでも…好きな時に出して、出してぇ、いいから…!」  
 
理恵も俺をイカせるためにと腰を振りながらも、ときたま自身の快感のポイントに触れてしまうのか  
唇を固く結び声を必死にこらえている。声がもうとろけていた。  
 
俺はそんな様子の理恵を見て、とん、と下から理恵の動きに合わせて腰を打ち上げた。  
 
「ひゃっ!?」  
 
ずん、とちょうど腰を下ろした際に最奥を突き上げられて理恵は体をビクンと震わせる。  
 
「だ、だめ…私が、する…のっ…!」  
 
理恵の言葉に構わず、俺は理恵が特に弱い最奥の手前の辺りに狙いを定めて積極的に腰を突き上げだす。  
 
「やら、そこ…ひでゆき、はっ…動いちゃ…あっ、ダメなのにっ…!」  
 
単調にならないように、同じ場所を責めるのにもひねりこむようにしたり、  
カリ首の返しに当たるようにしたりと考えて突き込む。  
 
理恵はもう口に手を当てて必死に声をこらえていた。腰の動きも大分怪しい。  
 
「理恵」  
 
「ふぇっ…?」  
 
俺は理恵の手をとって、引き寄せる。素直に倒れ込んでくる上半身を抱きしめると唇を合わせる。  
 
「ん、んんっ……!」  
 
お互い、鼻での呼吸では酸欠になるんじゃないかというぐらいに舌を絡ませて、相手の口を犯す。  
 
理恵がキスをしながら上半身を押し付けるようにして身悶えた。  
次の瞬間、痙攣するような動きと共に理恵の中が激しくうねる。  
 
「ぷふぁ…あっ…」  
 
唇を離すと、とろけきった表情の理恵がくてん、と倒れこんでくる。  
それでも、理恵は腰の動きは止めずにゆるゆると動かし続けている。  
 
危く出しそうになった俺も少し腰の動きを落ち着けると、  
唇の端からよだれをたらしてゼエゼエと息をついている理恵に尋ねる。  
 
「イッた、のか?」  
 
息も絶え絶えの理恵は俺の胸に頭をこすり付けるようにして頷いた。  
 
俺はお疲れ様、と理恵の頭をよしよしと撫でる。  
俺に頭を撫でられながら、理恵は必死に呼吸を整えていた。  
 
しばらくそうして、理恵の呼吸も大分落ち着いてきたのを見計らって、俺はまた腰を動かし始めた。  
 
「やぁ……ぁっ!わらし、がぁっ…」  
 
いやいやと理恵は頭を振る。私がするの、と言いたいのだろう。  
 
でも俺はもっと乱れた理恵を見ていたい。腰を動かしながら、理恵のぷるぷると震える胸に手を当てた。  
 
ゆっくりと揉みこむようにして全体を触り、次は乳首をつまんで軽くひねる。  
 
「やっ!やぁぁっ、ちくび、ダメぇ!やめ……おひんひん、とめてぇっ!」  
 
俺は理恵の言葉には耳を傾けず、思い切り腰を突き上げた。  
 
ズン、と思い切り最奥を突かれて理恵はその衝撃に身を硬くする。  
 
それと同時に俺は片手を胸から離すと、ゆっくりとお腹を撫でた。ここも理恵は好きなのだ。  
 
「あ、あぁっ、ひでゆき、ひでゆきぃっ…!」  
 
もう単語らしきものは俺の名前しかなく、理恵は思い切り舌を突き出してキスをせがむ。  
 
俺はそれに応えてまた舌を絡ませる。  
 
その最中に理恵がまたぶる、と小さく体を震わせる。そろそろ俺も限界だった。  
 
震える俺の男性器に射精の予兆を感じたのか、理恵は腰を振りながら、俺の体に強く押し付ける。  
 
「ん、んむ、ぷふぁっ、い、いいよ、ひでゆき、イッて、イッてぇっ!」  
 
「あ、ああ……!」  
 
俺にももう言葉をつむぐ余裕などなく、ただ必死に腰を突き上げる。  
 
「だして、だしてぇっ!わたひの、なかにぃっ!」  
 
その言葉を聴いた瞬間、もう限界だった。  
 
理恵を強く抱きしめながら、俺は何度も腰を振りまた強烈に締まった理恵の中に射精していく。  
 
理恵は俺の胸に頭を擦りつけびく、びくと体を震わせながらも俺の動きを助けて搾り出すように腰を動かしていた。  
 
互いに息も荒く、強く抱きしめあいながらベッドに横たわる。  
 
「あ、あはぁ、ひでゆき…いっぱい…」  
 
「理恵……」  
 
とろけきった微笑を見せる理恵に、俺はまたキスをする。今度はゆっくりと舌を絡ませながら、俺たちは互いを感じていた。  
 
 
 
「いい天気だな……」  
 
日の光が明るい部屋の中で、俺はのんびりと持ち込んだ缶コーヒーをすすっていた。  
 
昨夜はあれからも盛大にやからし続けたので実はほとんど寝ていない。  
 
理恵はまだ寝ている。まあ元々朝はあまり強くないし、ゆっくりと寝かせてやるべきだろう。  
 
「ひでゆき…」  
 
呼ばれた声にハッとなって振り返るものの、そこには昨日の痕跡も生々しいベッドで理恵が眠り続けていた。  
 
「寝言か」  
 
俺の寝ていたほうに理恵の手が差し出されている。何かを掴むように。  
 
「………」  
 
俺は静かにその手を取った。確かめるように、握る。それと共に理恵の口元がふっと緩んだように見えるのは、俺の自惚れだろうか。  
 
そのまま何分か過ぎると、理恵が目を開けた。  
 
「ん………?」  
 
「おはよう」  
 
「ん…」  
 
「いま、何時…?」  
 
朝起きるなり手を繋いでいるのをいぶかしげにしつつも、寝ぼけ眼で理恵は尋ねる。  
 
「10時半だぞ」  
 
俺は日曜日の午前に相応しい爽やかな笑みで答えた。  
 
が、理恵の動きは凍りつく。  
 
「チェックアウトは?」  
 
「大丈夫、11時だ」  
 
「あと30分で掃除の人来ちゃうじゃない!」  
 
すっかり眼も覚めたという形相で理恵は言う。  
 
「そうだな」  
 
「なんで落ち着いてるのよ!」  
 
「むしろお前のその慌てぶりのほうが珍しいと思うが…」  
 
なんだかこっちがビックリしてしまう。  
 
「シャ、シャワー!あとシーツも片付けないと!ええと、あと」  
 
「シーツは俺に任せておいて、まあシャワーでも浴びてくるといい」  
 
「そうするわよっ!」  
 
…なんだか今日も楽しい一日になりそうだな、と俺は確信する。  
 
窓の外では、太陽が鮮やかに日曜日の町を照らしだしていた。  
 

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