なんの代わり映えのない目覚めから、また一日を始める。
まだ乾ききってない寝巻きや下着が、ねちゃりと張り付いて気持ち悪い。
全く「あいつら」ときたら、毎日毎日、自重というものを知らないのか。
最も、この状況に慣れきり、このまま寝てしまう私も、大概人のことは言えないけど。
「おはよー」
1階に降り、何気に挨拶をする。当然返してくる者はいない。
「あの異変」が起き、両親共々どこかへ行ってしまって以来、この家はずっと私一人だ。
夢の庭付き一戸建て独占!なんて、こんな状況じゃ諸手で喜べるはずもなく。
溜息一つつき、私は、軽く朝食を摂る。
「朝食」、これも、「あいつら」が提供する果実のようなもの。
これ一つで、一食分の栄養が摂れる、というものらしい。数多くの「経験」で知ったこと。
これ3個で、もう一日分の3食。そして満腹感すらある。なんという都合の良さだろうか。
一日の「活動」を支える為に、「あいつら」がわざわざ人間の生体にあわせているのだ。
「ごちそうさま」
一食分を終え、私はまた、返ってくることのない挨拶をする。
ほぼ無駄な行動のはずなのだけど、なぜか私の中で、一つの取り決めになっている。
食事を終えたら、出かける準備を始める。
このまま家にいようが外に出ようが、「あいつら」がやってくるのは変わりない。
だからこのままボーっと過ごしてもいいのだけど、
それがどうにも我慢が出来ないらしい私は、結局いつものように出かけてしまうのだ。
準備・・・そう、「準備」。
まずはお風呂、といっても水しか出ないので、生温かい水シャワーだけど。
そして体を乾かし、服を着る。
こんな世界で体を磨き服を着ることに何の意味があるのか、と考えたこともあったが、
そう考えること自体、「あいつら」に影響されてるんだな、と思って以来、
私は必ず出かけるときは、「異変前は当たり前だった」習慣をつけるようにしている。
幸いにも、「あいつら」は、「行為」以外は基本的に何の干渉もしない。
服とか道具とかも、全く手をつけない。つける理由がないからだろうけど。
「いってきます」
交わされることのない挨拶をし、私は住処を後にする。
いつものように、空を乳白色一面が覆っている。
いつものように、裸でも過ごしやすいだろう暖かさを保った気温を感じ、
いつものように、ねっとりと湿った空気を肌に感じる。
「あの異変」以来、世界中の天候から「晴れ」が消え、そして春夏秋冬が消えた。
一年を通して、天気は「くもり」か「雨」であり、
「雨」のときも、大粒にならず風も吹かず、ずっと弱く生暖かな滴りを降らせ続ける。
こういってよければ、きわめていやらしい「雨」である。
何を思ってこんな天候で長い時を過ごさせるのか、全く理解ができない。
道を歩いているうちに、「現場」にたどり着く。
「あの異変」以前は、めったやたらにやるべきではなかった事。
「あの異変」以降は、もはや当たり前に行われる事。
性交。彼らが唯一、私たちに強制する、「行為」。
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娘の歳の程は、私とほぼ変わらないだろうか、
「あの異変」以前の学校制服と思しきものを着て、
セミロングの髪にちょっとしたアクセントのピンが愛らしい少女。
対して、「あいつら」
今回のは、ローパータイプ、という、基本的な奴。
人間の身長ほどをした肉の塊から、多数の触手を生やしている。
そんな奴等に手足を絡め取られ、「無駄な抵抗」を試みている。
そうか、あの娘、まだあきらめきれてないんだね。
大方、彼氏でもいたのかな。まあ、多分今は・・・。
「あいつら」はいつも通り、「行為」を、極めて紳士的に、しかし確実に、行っていく。
娘の手足を、触手でガッチリと掴んだ上で、
性交に邪魔な下着を「脱がす」。決して破らない。
必要とあらば服を「脱がす」事まで、彼らはする。
一体何が、彼らをそうさせているのかは分からない。
そんなことで私たちを篭絡させるでもないだろうし。
事実未だに私や、多分あの娘も、「あいつら」に心を許してないし。
服の中に進入しきり、身体をまさぐりつつ、
今しがた下着を脱がせて晒された性器にも、
容赦なく刺激を与え続ける「あいつら」。
悲鳴だけだった娘の声が、次第に変わり始める。
息遣いが断続的になり、身体は震え、少し艶が入った声が漏れる。
しかし、歯を食いしばり、何とかその刺激に堪えようとする娘。
不意にローパーの一部が口のように割れ、中から一本の舌が出てくる。
そして、その「口」を、意地を示していた娘の口に重ねる。
あまりのことに目を見開き、顔をそらして口を離そうとする娘。
そこに再び強引に重ねあわされるローパーの「口」
くちゅくちゅと音がする。よく見たら重なっている口と「口」の間から
ローパーと娘の舌が見えている。抵抗空しく、舌を絡めさせられたようだ。
まるで恋人にするかのような、皮肉のように甘い、甘いキス。
ローパーの舌技に、最後の抵抗のタガをはずされ
ようやくその目から、涙をこぼす娘。
無論これで終わりではない。
ローパーの、下半身と呼べる部位から、ソレまでの触手と違い、
どう考えても人間の陰茎としか思えない、モノが、姿を現す。
サイズは、多分人間の比ではないだろうと思うほど大きい。
それが、愛撫を繰り返された娘の局部に、ぴたりとあてがわれる。
泣き声をあげながら、弱弱しく首を振り拒否を示す娘。
そんな状態を楽しむかのように、少しずつ、少しずつ挿入が開始される。
「いや、いや・・・嫌あぁ・・・んあああああっ!」
もう何度も行為を繰り返されてるだろうに、とっくに慣れているだろうに、
拒否の言葉で泣き声をあげながら、ローパーの性器を受け止める。
再び活動を開始するローパー。
娘の腰は持ち上げられ、上下運動が開始され、
娘の全身は無数の愛撫の触手が暴れ始める
「いや、いやっ、や・・・はぁっ、はあ、あ・・・」
性感にあえぎ始めた娘の口を、再びローパーの口が塞ぐ。
全ての部位が愛撫され、交合の芯を身体に受け、
全身から、くちゅくちゅといやらしい音をたてながら、
もはや娘の顔は蕩けきり、声も甘いものしか出せなくなっていた。
唯一つの抵抗といえば、未だに流れ続けている涙くらいなものか。
娘の息遣いが早くなり始めたのをきっかけに、ローパーの動きもまた活発になりだす。そろそろ頃合だろう。
「腰使い」が早く、深くなる。シンクロするように、早く深くなる、娘の泣き声。
「んっ!んっ!んっ!んっ!・・・んんんんんああああああああっ!!!」
「頂点」で「種」が蒔かれ、同時に口が離される。
最高の、絶頂の、瞬間。
「はあっ・・・・はあっ・・・はあっ・・・」
絶頂の余韻で呆ける娘を抱え、ローパーは場所を移動する。
続きは自分のテリトリーでじっくりと行う気なのであろう。
ぶら下げられた脚の間から、今蒔かれた「種」が、ひどい粘度で零れおちていた。