「お父さん、美紀がびーる入れてあげる」
仕事を終え野球中継をツマミにビールを飲んでいた僕に、美紀が両手でビールを取るとグラスに注いだ。
まだ程度がわからないせいか、泡が吹き出しそうになったので、僕は急いでグラスを口に近づけて泡をすすった。
「お父さん、しろいおヒゲ生えた」
美紀が満面の笑みで僕の顔を見えて微笑んだ。
本当に可愛い。
美紀は、僕と綾の子供だ。美紀が生まれて、もう5年になる。
ヨチヨチ歩きだった頃の美紀の姿を思い出すと、本当に月日が過ぎるのは早いと思う。