こんなとこ連れてきて一体何をされるのだろう。震えが止まらない。バタンと後ろでドアが閉まる音がする。  
 
「さぁて、私が楽しみにしていたクリームパンを食べちゃった哀れな哀れな宙太君に、ちゃ〜んとお返ししてあげないとねェ」  
 
そうなのだ、あれはお昼休みの事 その日うっかりお昼のお金を家に忘れてきてしまったぼくは空腹に耐え切れず駄目な事と分かっていたのに机に置いてあった高級クリームパンを平らげてしまった。  
 
何故、あの時あの席が天敵である猫澤先輩のであるのを忘れていたのか。悔やんでも悔やみきれない。  
 
そして今個室と二人っきりのこの状況。ドSと噂される猫澤先輩の事だ、半殺しにされるか最悪食い殺されるかも...  
 
目の前に居る眼鏡と稟とした黒髪ロングでネコミミを生やした先輩という物体はかなり、悦楽な表情をしている。それが恐怖をさらに駆り立てた。  
 
「ウフフフ...そんなに怯えなくてもいいのに」  
 
と、言いながらこつこつとぼくに近づいてきた!逃げたくてもあのギラついた目に睨まれて体が固まり言う事を聞かない!  
 
あっという間に先輩は文字通りぼくの目と鼻の先で止まった。すごく怖いけれど先輩の顔をこんな近くで見たの始めてかも...その、かなり可愛いかった....  
 
 
先輩は一通りぼくを吟味すると  
 
「...ぉいしそぅ....」  
 
とぼそりと言い放った!  
 
(ひっ!!!)  
 
それを理解した瞬間、すぐ鼠の防衛本能が働く。  
 
それは...  
 
「あらあら....」  
 
 
土下座。  
 
 
プライドなぞとうに捨てたと思われる完璧なフォーム。もし、全世界土下座選手権が開催されたら間違いなくぼくが優勝だろう。  
 
そして先輩が戸惑ってる瞬間を見極め全身全霊を込めた謝罪をぶつけた!  
 
「猫澤先輩ッ!ほんとにッすいませんでしたッッッッ!お金は十倍にして返しますッ!どんないうことも聞きますッ!だから、だからっ命だけはっ....」  
 
 
きーんとするほどの大声で放ったぼくの魂の叫び、どうか届いて..  
 
すると先輩はぼくと同じ目線までしゃがみ込むと  
 
「宙太君、顔をあげて..?」  
 
ゆっくり、とてもゆっくりとぼくは言われた通り地面にこすりつけていた顔をあげた。  
 
 
565 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2009/05/18(月) 17:32:02 ID:dUhaqvfg 
!?  
 
すると、しゃがんでいる先輩。い......や、スカートから覗く縞パンが丸見えになっている!  
 
 
先輩はというとニコニコ笑っているままだ。わざとなのか偶然こうなったのか、とにもかくにもぼくの思考回路は爆発寸前だった。  
 
 
そして半ば廃人状態のぼくに猫の形をした神は判決を下す。  
 
 
「あのね宙太君。」  
 
「はい」  
 
「この世の中にはね」  
 
「...は..い」  
 
「いくら謝っても許されない事もあるんだよ?」  
 
「...「」  
 
「特に私の場合、食べ物の怨みがね(ニコッ」  
 
 
ぼくの想いは粉々にくだけちり、目の前が真っ暗になった。  
 
明日になれば三面記事で紹介とかされるのかな..  
 
「哀れなネズミ偉大な猫族の怒りを買い処刑される!」  
 
タイトルはこれで決まりだねあはあはあは  
 
猫澤先輩..読んで..くれるかな..  
 
 
せん..ぱ...  
 
ちゅっ  
 
「ぇ...?」  
 
唇に何かの感触、それは紛れも無い猫澤先輩の唇..だった。  
 
「....ぷはっ」  
 
顔を真っ赤にした猫澤先輩は戸惑う僕を尻目にこう言った。  
 
「ずっと、前からあなたが好きだった..クリームパンの事は許してあげる。...だから、私と付き合いなさい?」  
 
驚天動地 おしまい  
 

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