「畜生、畜生っ!!!SSが、投下が、無いじゃないかっ!!!」  
俺は、布団をはねのけてベットから立ち上がり、手にしていた携帯を  
PCのディスプレイに叩きつけた。携帯が貫通し、粉々になった。  
「畜生、畜生、畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生!!」  
PCを、渾身の力を込めて殴り続ける。  
手が血だらけになろうとも、PCが壊れようとも、構うものか。  
これは、放置を続ける職人への切願。  
これは、SSを書けない自分への誅罰。  
投下がないと死にたくなる。  
そうだ、死んでしまえばよい。  
SSを待てない自分など。  
SSを書けない自分など。  
死んで  
 
 
「何してるの?」  
冷ややかな声が聞こえた。振り返ると、姉がいた。  
夕食の準備中だったのだろう。手にはお玉。ひよこ柄のエプロン。  
「一体、何を、しているの?」  
漆黒の瞳にこもる冷たさがが、俺を凍らせた。  
視線のみで自分の周りを見渡す。粉々の携帯、散らばるPCの残骸。  
焦りと後悔で潰れそうになる。姉さんは、きれい好きだ。  
「あ、あのっ、その、これは、ね、姉さんっ、」  
何時の間にか、部屋の戸口にいた姉が目の前にいた。  
姉が俺の耳元に口を寄せる。腰まで届く烏羽色の髪から甘い香りが漂う。  
「私ね、掃除したんだ、さっき。」  
うん。  
「とっても綺麗にしたの。」  
うん。  
姉の両の手のひらが、俺の両頬を挟む。漆黒の瞳が俺の目を覗き込んだ。  
「綺麗なのは気持ちいいでしょう?聡君。」  
目を逸らしたくても、逸らせない。怖い。  
姉が、くすりと笑う。  
ああ、  
「聡君、」  
死刑の、  
「今すぐ、」  
宣告か。  
 
 
「保守しよっか。」  

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