「うっ……」  
「どうしたんだよ、一子」  
「……スレ立て失敗しちゃった。てへ」  
 見ると、微妙に形の崩れたテンプレが。  
「あー、これぐらいならまだ何とかなるだろ」  
 俺は一子からマウスを奪い取って、残りのテンプレをコピペしていく。  
「……ごめんね、はじめちゃん」  
「なんだよ、急に」  
「小さい頃から私の失敗の後始末させちゃってるもん……迷惑ばっかりかけて……」  
 
 ビシッ!!  
 
 気分の沈みかけた一子にデコピンを喰らわせる。  
「痛っ!!な、何するのよ!?」  
「俺がいつ迷惑だなんて言った」  
「で、でも……」  
「これまで迷惑と思ったことは一度もねぇよ」  
「……ホントに?」  
「ホントだ。ほら、新作投下するんだろ?」  
「あ、うん」  
 
「……好きなやつに頼られて、迷惑なんて思うわけ無いだろ」  
 既にモニターに向かってあれこれと操作をしている一子には、このつぶやきは聞こえなかったみたいだ。  
 
 
「……はじめちゃん」  
「ん?」  
「ごめん、今度は投下失敗しちゃった」  
「…………」  
 はぁ、とため息をついて、今日二度目のデコピンを一子に喰らわせた。  
 
 
 
 

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