「あ、あなる?」
いつものように、あまぁい時間を過ごしていた午後。
俊ちゃんが「いっぺんアナルでやってみたい」と言い出したのがきっかけだった。
俊ちゃんはいつも私を優しく扱ってくれるけど、何だか今日は様子がおかしい。
ベッドの中で、お互い裸で寄り添っている今でも、何だかハァハァと変に興奮しているし。
「あ、あなる、って……何?」
普通のセックスとは何が違うんだろうか。
俊ちゃんの様子も相まって、私はちょっとびくびくしている。
そんな私の様子に気付いて、俊ちゃんは頭を撫でてくれた。
この瞬間が、一番好きだ。
俊ちゃんに頭を撫でられると、いつだってポワポワって気分になって、ギューってしたくなる。
……だから、次の瞬間囁かれた言葉は、私をいつも以上にびっくりさせた。
「え、えぇっ!?そ、そんな場所、汚な、はぅっ!」
私が言い終わらないうちに、俊ちゃんの手がそこに伸びる。
カリカリと引っ掛かれて、何か変な感じ。
「だ、ダメっ!いくら俊ちゃんでもそれはダメ!そこは違うの、ちがっ、んっ!」
クニクニと弄る手から逃げようとするけど、じたばたと動いたところで俊ちゃんは逃がしてくれない。
私はもう混乱しちゃって、泣きそうで、実際涙で目が潤んできて。
「ふぇ……もぉ、やだぁ……」
そう言うと、俊ちゃんの手が止まった。
もう片方の、さっき頭を撫でてくれた手で、私の涙を拭ってくれた。
ごめん、と謝る俊ちゃん。
申し訳なさそうで、でも何だか残念そうで。
私は、私の言ったことを後悔した。
だって私、俊ちゃんのそんな顔、見たくない。
私のせいで、私の愛しいこの人を悲しませたくなかった。
「……ごめんね、俊ちゃん」
俊ちゃんが悲しむと、私も悲しい。私は俊ちゃんに笑っていて欲しいのだ。
俊ちゃんは首を振る。ありさが泣くのは嫌だから、と言ってくれた。
そんな俊ちゃんが愛しくて、私は、
「しゅ、俊ちゃんがどうしても、って言うなら、そ、その……」
……してもいいよ、とは言えなかったけど。
またいつか、機会があればということで。
私はそれから、痛くないようにする練習に励んだりするんだけど、それは、俊ちゃんには内緒。