篤守さんとの旅行から帰ってからも、これと言って何も変わらない日々が続いています。
いえ…別に何かを期待していたわけではないけれど、
あっという間に過ぎていってしまったから…。
ただ、少し変わったのは篤守さんが以前よりも笑う事が増えたような気がします。
家に帰ってきた後お風呂に入り、お食事を食べた後に最近では二人でテレビを観ながら
他愛もない会話をする事が増えてきました。
仕事の話しは正直イマイチよく分からないけれど、
それでも私なんかにちょっとした愚痴を言ってくれたり、
たまに甘えてくれるようになったり…嬉しい。
嬉しいなんて失礼かな。でも、よく分からないけれど心の中がポワッとなるの。
「ただいま〜」
あ!?篤守さんが帰ってきました。あれ?私なんで小走りして玄関に向かってるのかな?
べ…別に篤守さんが帰ってきたのが嬉しくて走っているわけではないんですよ…!!
は…誰に言い訳しているのかな私は…。
玄関を開けたらお疲れ顔の篤守さんが立っていた。
「お帰りなさい篤守さん」
笑顔で出迎えるとそっと篤守さんは私を抱きしめてきた。
「あ…篤守さん!?」
篤守さんの不意の行動に私は動揺のあまり、固まったままだった。
「ごめん…少しだけこうさせて…」
玄関のドアを閉めながら、篤守さんは私を抱きしめ続けた。
「吐きそう…」
おい〜!?良い雰囲気も一転、私は篤守さんの背中をさすりながら
トイレまで付き添い、急いで飲みすぎに効く薬と水を持ってトイレに戻った。
中からは擬音にするのも恐ろしい呻きが聞こえてきたけれど
臭いと便器の中のおぞましい物に目を瞑りながら
私は篤守さんに薬を渡すとだっとの如く走り去った。
これが少女漫画でなくて良かった…心からそう思いました。
「都〜…保守して…」
あ…瀕死の篤守さんが助けを呼んでる。