流れる金糸の髪と湖の青を溶かした碧眼が、月光を避けつつも森の中で輝いていた。
年若いエルフ独特の細い体つきを樹の幹に這わせて身体を預けたままに、その瞳が森の外に輝
く焚き火の光を眺めている。
細い麻糸で編まれた明るい緑のチュニックと白く透き通る少女の肌は、夜の森の黒には決して
馴染まない色ではあったが、それでも森の住人である彼女は文字通り森と一体になって身を隠
している最中であった。
彼女の視線の先には一人の若い男がただ座っている。
男の衣服は彼女の数少ない外の世界の知識でも、異彩を放って世界に馴染まぬ物であると知れ
た。年は若く二十を超えたか超えないか、いずれにしても二百才を数えるエルフのフレイにす
れば大した差ではない。
エルフが住む森の外れで男はキャンプを張っていた。
男の名はラム=チェンイン。
大陸を二つに隔てる絶壁の山脈を越えた東方より流れ着いた流浪の若い旅人。
黄色を基調とした絹の上衣に描かれた八卦の紋様、東方人ならではの見慣れぬ顔の作り。
大陸の西に属するこの地方では先ず見かけることの無い不思議な風貌に、まだ幼いエルフのフ
レイは好奇の心を抑えられなかった。
二百歳を越え、そろそろ心の落ち着きを得ても良い筈の年頃であったが、フレイのまだまだ若
い肉体は、たびたびフレイの心を衝動的に突き動かしては問題を起こす始末。
村で一番の悪戯娘、それが彼女の定評であった。
三日前のこと、村の仲間がキャンプを張ったチェンインの姿を見かけ、外の世界でも興味を惹
くチェンインの装いに若いエルフ達は興味を覚え、好奇心に導かれるまま森の外れに集まり鑑
賞会が開かれていた。
コソコソと隠れるように、森の木に溶け込むようにしながらエルフ達は旅人の生い立ちを、銘
々好き好きに予想しては談笑を繰り返す。
ただでさえ森の生活は退屈を覚える中、現れた風変わりな旅人に人一倍の好奇心と無謀さを併
せ持つフレイの好奇心は惹かれ、もっと近くで観察したいと思い、つい森から足を踏み出して
近づいてしまった。
そして何時だって好奇心はネコを殺す。
「掛かったネ」
フレイの姿を振り向き確認するまでも無く、ニヤリと笑うと両手の指を、複雑に、そして奇妙
に絡み合わせて何事かを呟く。
「三奇八門 三吉四凶 休生傷杜 景死驚開……」
東洋に置いてはメジャーな東方魔術の一門に属する五行道士のチェンインは、大陸西方におい
ては特殊な技でその生業を立てていた。
「閉門絶縁 奇門遁甲封妖陣っ!」
パンッと両手を合掌の形に合わせて叩くと、不可視の結界がチェンインを中心に八角形を描い
てフレイを巻き込み世界を絶縁した。
若いエルフは好奇心に弱い。
なぜなら、森の中には娯楽が少ないから。
自らの風体を囮にチェンインは、森から若いエルフをおびき寄せたのだ。
チェンインの東方での生業は妖鬼狩りであり、そして彼の目から見てエルフとは紛れも無い妖
魔であった。
「な、何コレ!?」
突然発動した結界陣の魔力に驚いてフレイが森へ逃げようと走り出したが、既に結界は、森の
外周と世界を隔て彼女を押し戻す。
ただの魔法と言うのなら、魔力と共に在るエルフが人間の魔法程度に囚われる事は無い。
しかし、東方の陰陽五行を元にした、まったく別種の結界陣は魔力の強弱ではなく、若いエル
フの魔法知識では歯が立たない異質さでもって彼女の逃亡を封じていた。
「妖精姑娘、諦めるネ。お前、ワタシが捕まえたネ」
片言の西方語で語りかけるチェンインの笑顔にフレイの中で怒りが沸く。
(人間風情がっ……!)
エルフの常に外れない行動基準、長命を生きる者の短命に対する不遜が彼女を動かした。
逃亡ではなく攻撃を、精霊に近い命のエルフにとって魔法とは、指先を動かすことと変わりな
い。身振り手振りに言葉の呪文を要する人間の魔法になど遅れをとる筈が無いのだ。
意思の思ったままに風がうねり、確かな重量と運動量を持った風の弾丸がチェンインを襲う。
人間の魔法では対処の余裕も与えられない超速の即効にチェンインが上げた声は一つだけ。
「”環”」
風が百八十度方角を変えて、その異常に驚愕するフレイが風に弾かれて吹き飛ばされた。
魔術に正面から抗うのではなく、魔術の標的を敵に移しかえるだけの東方では当たり前の術で
はあったが、何の予備知識も無いフレイや他のエルフ達の目には風の精霊がフレイを裏切り襲
い掛かってきたようにしか映らない。
「そこで見てるエルフ、この姑娘返して欲しければ大人呼んでくるよろしいネ。お前達じゃ話
ならないネ」
弾かれた衝撃に息を詰まらせているフレイを肩に担ぎ上げると、まだ森からチェンインを見て
いたエルフや、フレイを助けようと結界陣に弾かれた若い男のエルフに向かって宣言する。
「早くした方が良いネ。今からワタシ、この姑娘に乱暴するヨ」
そう言ってニッコリと森に向かってチェンインは笑いかけるのだった。
フレイが二百歳を越えたと言っても、エルフの中では若輩の部類に入る年齢でしかない。
人間の年齢に換算すれば十四・五と言った所だろう。
もっとも、性的薄いエルフの乳房だけは、必要性の無さからか第二次性徴を向かえる前の少女
のモノと比べても心許ない。
ゆるやかな地平線、なだらかな水平線と言った所だ。
「エルフの姑娘、どれもこれも発育不良ネ」
「な、な、な、何言ってんのよ! 胸なんて必要ないんだから! あったって弓の邪魔になる
だけなんだから!」
これもエルフの常の一つ。エルフ同士の生活の中では、乳房が小さい事を一切気にしないのだ
が、多種族にそれをからわかわれると顔を真っ赤にして怒り出す。
短命の、定命の種族に侮蔑されるのが我慢できないのだ。
「……アナタ、私のこと捕まえてどうする気なのよ?」
息を詰まらせた状態のまま抵抗も出来ずに、フレイはチェンインのテントに連れ込まれて手足
を縛られ床に座らせられていた。
「どうする? もちろん、売るネ」
予想通り、そして予想の中で最も最悪の返答であった。
エルフ狩り、エルフの女性を捕まえて奴隷として売ることを生業とする人間が居る事を、村の
大人達に聞かされては居た。しかし、それに自分が捕まるとは想像出来なかった。
エルフの魔法は人間の条理を超えており、百人がかりであろうとも人間では指一つ触れること
さえ出来ないのが西方での常識だ。
いくら魚が望んでも、飛ぶ鳥をどうする事も出来ないように。
「エルフの牝、良い金に成るネ」
何の情けも無く、チェンインはフレイに告げた。
フレイが村の大人の話を思い出して青ざめる。売られたエルフの末路は、人間どもに寄ってた
かって生きたまま肉を食べられたり、邪神への生贄にされるのだと聞かされていたからだ。
「お、お願い、何でもするから売るのだけは止めて!」
「何でも言うなら、大人しく売られるがイイヨ。それに人に頼む時は頭下げるものネ」
ニッコリとチェンインが笑みで返す。
額に冷や汗が流れ、フレイが沸いた屈辱感に唇を噛み締めながらプルプルと体を振るわせる。
「お・・・…お願い、します」
エルフの私が、人間の、短命の、すぐに死んでしまう生き物なんかに頭を下げるなんて。
いつもなら考えられない、生まれてから一度足りとも考えた事の無かった屈辱に身を浸しなが
らも、それでも売られるのだけは助けて欲しいと頭を床につける形で懇願する。
「だから売られるがイイネ、それ私一番助かるヨ」
「アナタ話を聞いてるのっ!? 売られるのが嫌だから何でもするって言ってるんでしょ!
頭下げろって言うから、この私が、エルフの私が頭を下げたのに! なんで! どうして!
ちょっとは話を聞きなさいよアンタっ!!」激昂するフレイの大声に、チェンインは両手で耳
を塞いで顔を顰める。
「ソレ、人に物頼む態度違うネ。ホント、うるさい姑娘ヨ」
なしのつぶて、暖簾に腕押し、ぬかに釘。
罠に掛かった獲物をワザワザ逃がす猟師が居ないのは解りそうなものだが、それでも村から引
き離されて売られる危機にあるフレイが諦める訳にはいかない。
怒りに顔を真っ赤に染めながら、余所を向いて余裕を見せるチェンインに向かって懇願を続け
る。
「………お願い……します。本当に、何でもしますから……」
怒りと、怒りでも隠しきれない恐怖から、フレイの瞳が涙をこぼした。
最初は頬を伝うように一滴。決壊した涙腺から次々に、とどまることを知らずに流れ出す。
「お願いします……ヒック……お願いします………お願ヒック……します……」
一度溢れ出したものは止めようも無く、さめざめと泣くフレイにチェンインが居心地悪そうに
頬を掻いた。
「わかったネ。条件出すネ。姑娘がワタシのお願い聞いてくれるなら売らないであげるネ」
「………ホント?」
涙に瞳を潤ませながら、フレイは上目遣いにチェンインを見つめる。
その弱々しげな顔に、チェンインは満面の笑顔でこう答えた。
「任せるネ。チャイニーズ、嘘つかないヨ」
出された条件は一つ、チェンインの一物をフレイの舌で舐めあげ奉仕して満足させる事。
つまり、フェラチオを命じられたのだった。
「ばっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっかじゃないのっ!!?」
チェンインの要求に、今度は羞恥と怒りに顔を真っ赤にさせながら大声で罵倒するフレイ。
「阿ー阿ー阿ー、うるさいネ。嫌なら売り払うだけネ」
確かに何でもと言った手前、フェラチオもその範疇ではある。が、エルフとしての、それ以前
に乙女としてのプライドがフレイをいきり立たせた。
しかし、そうは言っても、要求を飲まなければチェンインはフレイを売り飛ばしてしまうだろ
う。選択肢は与えられてはいない。
「………わかった……わよ」
怒りと羞恥と、未知の性に対する恐怖の交じり合った感情に身体を震わせながら、やっとで答
える。
「……で、どうすれば良いのよ?」
羞恥を抑えるように、胎の据わった表情でチェンインに問い掛ける。
頬は染まり、心臓はドキドキと大きく鼓動をさせ、額からは汗が流れ出していたが、それでも
彼女は矜持でもって強がりを見せるのだ。
「コレ、咥えるヨ。噛んじゃダメヨ」
ボロリと、何の情緒も無くチェンインが陰茎をズボンを降ろして突きつけると、フレイの蒼い
瞳がマジマジとソレを見つめた。基本的に好奇心が何より勝ってしまう娘なのだ。
「ナニこれ?」
「何って、陰茎ヨ。こっちの言葉でペニスの事ヨ」
マジマジと眺めながら、そのフォルムに首を傾げる。昔々に水浴びのときに見た、父のソレと
は余りに形状が違う。例えるなら形は蛇のようで、チェンインの股間から伸びるペニスは隆々
と天高く伸び上がり存在感を示していた。
「うそ。ペニ……スって、もっと小さいモノでしょ? 昔、小さい頃にお父様の見たことある
もの。小さくて細くて、こう、私の小指くらいの大きさしか無かったわ」
ペニスと続けて発音する事に躊躇いと恥かしさに言葉を詰まらせながらも、思ったままにそう
言った。
「嘘ってなにヨ。本物のペニスに決まってるヨ」
想像外のフレイの言葉に、苦笑を浮かべてチェンインが答える。
外の世界に疎いフレイには解らない事であったが、性的に薄いエルフの乳房が発達しないよう
に、男根もまた人間に比べて発達しない。まさに大蛇とミミズ程の差があるのだ。
「…………何時まで、見てるネ?」
「うひゃああっ!?」
好奇心の求めるままに、じーっと大蛇を観察していたフレイが、自分が見つめていた物の正体
を思い出して飛び退く。乙女としてはあるまじき醜態であった。
「早くしてくれないと寂しいネ。寂しくて泣いちゃうネ、ワタシ」
確かに剥き出しのまま、ずっと立ち尽くす姿には男としての哀愁を感じさせた。
「………………………………………………………………………………泣けばいいじゃない」
余所に瞳を流し、ボソッと呟くフレイ。
「売っちゃうヨ?」
「ウソ、ウソ、冗談。今するから、待って」
脅しにうろたえながら、ゴクリと生唾を飲み込んだ。
思っていた以上の存在感。そもそも口で咥えられるのかも怪しい。
足と手を後ろに縛られ、正座にも似た体勢のまま、眼前に近づけられたペニスを咥えようとそ
の顔を近づけて顎を開く。
「…………………………………………んくっ」
口を広げ、唇の中に迎え入れようと構えて止まった。
命乞いのためとはいえ、男の、人間のモノを口に咥えるなどエルフのプライドが許さない。
プライドと恐怖の板挟みに、フレイの身体が固まり動かない。
開かれた唇の間からプルプルと舌を出して、それがモノ先に触れるか触れないかまで近づいて
も僅かに届かない。
この距離まで近づけば、呼吸のたびに陰茎からの臭気を感じてしまい、フレイは青白んでしま
う。唇に男のモノを迎え入れた事はおろか、異性とキスを交わした事も無いのだから。
覚悟を決め、いざ咥えようと顔を前に進めても、身体が勝手にそれを留めてしまう。
「早くするネ」
「んぐーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!」
乙女の葛藤を余所に、情緒を理解しないチェンインが腰を突き出すと、口中はアッサリと一物
を受け入れてしまった。
「んぐっ、んぐぐぐぐぐぐぐぐぐっ! んぐぅっ!」
(いま、咥えようと思ってたのにっ! バカァッ!)
口中にペニスが居座られては、明瞭に喋る事も出来ない。思わず噛んでしまわなかったのはお
互いにとって不幸中の幸いであった。
「口にモノ入れて喋る、はしたないネ」
「んぐぐぐっ! んぐぐぐぐぐぅっっ!!」
(アンタがっ! 入れたんでしょっっ!!)
フレイは怒りに任せた発言に、舌が不自由ながらもペニスを舐め、ビブラートする刺激でモノ
を攻め立てながらも、それは本位ではない口愛であった。
無理矢理とはいえ、もう口に侵入されてしまった。
後は覚悟を決めて男のモノに奉仕するよりない。なにしろ、これは命乞いなのだから。
「んっ、んっ、んっ」
一度覚悟を決めると、その後は舌が大胆に動き出す。
舌で柔らかな亀頭を舐め、唇で肉胴を咥えて絞る。流石にチェンインのペニスに触れた唾液に
は嫌悪を感じて飲み込めずに、口の端から涎を垂れ流しながら奉仕を続ける。
命令されずとも、男の喜ばせ方を知っているかのように、スムーズに彼女の口は動いた。
「んぐぐぐぅ?」
(気持ちいい?)
不明瞭な言葉のまま、蒼い瞳だけを上に向けてチェンインに尋ねる。
「気持ちいいヨ。姑娘、才能あるネ」
その誉め言葉に、多少、複雑な思いを抱きながらも誉められフレイは照れた。
こんな才能はあっても嬉しくない。
「んぐっ、んぐっ、んっ、んっ」
深く深く、浅く浅く、咥えたまま口愛で肉棒い愛撫を重ねていく。
フレイの頭が前後に揺れ動き、金に輝く髪も合わせて揺ら揺らと振れて、金糸からピョコンと
飛び出したエルフ特有の尖った耳も前後に動いてチェンインを楽しませた。
股間をフレイに咥えさせたまま、手の置きどころに困ったように、チェンインは思わずその両
耳を指先で摘み上げると、その反応は劇的に、そして即座に現れた。
「んぎぃっ!」
「アイッッッヤアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
ビクリと身体を竦ませたフレイが、噛んだのだ。チェンイン自身を。
流石の出来事にチェンインはフレイの口中から引き抜いて床を転げまわった。
「だ、だ、だ、大丈夫!?」
そのただならぬ様子に自分を捕まえた憎い相手とは言え、フレイは心配した目を向ける。
「だ、大丈夫じゃないヨ。噛むのダメ、言ったネ」
幸い血塗れになるのは避けられたようだが、それでも激痛にチェンインは股間を押さえて震え
続ける。押さえたペニスの肉胴には、くっきりとフレイの歯形が残る。
「だって、その、急に耳を触るから……耳はダメ……」
怒りとは違う色で顔を赤く染めながら、ボソボソとフレイは抗弁した。
「ど、どうして駄目カ?」
「耳を触っていいのは恋人だけだもの。愛の行為は、運命に結ばれた人としかしちゃいけない
のよってお母様が言ってたもの」
愛の行為、それはエルフにとって、人間のセックスに対応する文化である。
結ばれた男女のエルフが、お互いの尖った耳をくすぐる行為は、性交渉でもあり、愛を確かめ
合う接吻の役割も同時に果たしているのだ。
フレイが口愛を容易く受け入れた理由がこれであった。
性器を咥えること自身には抵抗があるが、その抵抗感は、人間に例えたなら望まない相手の頬
にキスをする程度のようなもの。その程度であるならとフレイは受け入れたのだ。
エルフの耳は感覚器官として鋭敏な知覚と触覚を備えていた。そしてその触覚をくすぐりあい
愛を確かめあうことが、エルフにとって最大の性交渉に該当する。
「耳はダメなの。もう一度舐めるから、それだけは許して……」
純潔を守ろうとする乙女のように、フレイが瞳に涙を溜めて訴えた。
「も、もうイイネ」
未だジンジンと痛む股間に振るえながら、チェンインが行為の終わりを告げる。
乙女の純潔を汚されなかった安堵が心に広がって、フレイの表情がほっと緩んだ。
「じゃ、じゃあ、もう私を逃がしてくれるの?」
「逃がす? 逃がさないヨ?」
何を言っているのか解らないという顔で、チェンインがフレイへ返す。
「ワタシ、売らない言っただけヨ。逃がすなんて言ってないネ」
「そんな………嘘吐き………嘘吐き嘘吐き嘘吐き嘘吐き嘘吐き嘘吐き嘘吐き嘘吐き嘘吐き嘘吐
き嘘吐き嘘吐き嘘吐き嘘吐きっ! チャイニーズ嘘つかないって言ったじゃないっっ!!」
「ハハッ、嘘吐かない言うのは嘘吐きだけネ」
ああ言えば、こう言う。
怒りの炎が見えるような、恨みがましい目で睨みつけながら、嘘吐き嘘吐きと怨嗟の声をフレ
イはあげ続けたのだった。